考察:アホな子だからこそ、平沢唯が大好きです
自分の住んでいる地域では、先週『けいおん!』アニメが13話(番外編)で放送終了となりました。
自分は本当にこのアニメが大好きでした。それほど沢山のアニメを観ているワケではないですけど、「好きなアニメを一つ挙げて下さい」と見合いの席で訊かれたら迷わず「けいおん!」と即答したいくらい好きでした。
「その作品を好きかどうか」は理屈抜きでキャラクターの魅力で決まるんだなぁとつくづく思います。
キャラクターの魅力というのは、“キャラクターの描き方”とか“見せ方”という言葉の方がしっくりきますかね。『けいおん!』アニメはこれがとんでもなく上手かったです。
喩えば、唯憂姉妹よりももっと直接的にイチャイチャしている姉妹は恐らく二次元には存在していると思うのだけれど、唯憂姉妹はそれらのどの姉妹よりもグッと来るように描かれていたというかね。
演出も脚本も作画ももちろん大切な武器だけれど、そうした武器で描かれるのは“キャラクター”なんですよね。
ということで、アニメの放送は終わってしまったのだけれど、『けいおん!』キャラが何故ああも魅力的だったのかをしばらくは考えて記事にしていこうかなーと思います。今日は自分が一番好きだった
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平沢唯は「アホな子」の魅力をこれでもかって体現したキャラクターでしたよね。
『けいおん!』キャラの中で自分が一番好きなキャラは唯です。
世間的には澪や梓の方が人気高いかもなーとは思いますし、“完璧な妹”である憂だって捨てがたいのだけれど……やっぱり自分は「唯あっての『けいおん!』」だったと思います。そして、どうして自分がそこまで唯のことが好きかと考えると、「アホな子」だったからこそと思うのです。
「アホな子」萌え
喩えば『あずまんが大王』の大阪とか、『CLANNAD』の渚とか、「おバカキャラ」とも「ドジっ子」ともちょっと違う「アホな子」としか形容のしようがない微妙な抜け具合のキャラを自分は好きな傾向があると思っていました。勉強が出来ないというよりは、勉強の仕方を知らないタイプというか。
男性キャラでいうと、『スラムダンク』の桜木花道とかもそうかな。頭が悪いワケではないし、気が遣えないワケでもない。ただ、「どこか抜けている気がする」絶妙さというかね。
「何故アホな子に萌えるのか?」
貧乳が好きだという記事を書いた後もそうなんですけど、こういうことを書くとウンザリするくらい「それはアナタが小っぽけな人間だから相手を見下したくてそういう女性を好きになるんじゃないですか」みたいなことを言われます。ふざけるなと言いたい。オマエは見下している相手を好きになるのか、と。
貧乳が好きなのは、それ自体のフォルムの美しさゆえです。
貧乳には貧乳にしかない魅力があるのです。貧乳コンプレックスなんか要らん!
「アホな子」萌えもそう。
「アホな子」には「アホな子」にしかない魅力がある―――
平沢唯は、その「アホな子」にしかない魅力を徹底的に描いたキャラクターだったと思いますし。
自分が「好きなんだけどどうして好きなのかは上手く説明できないなー」と長年疑問だった「アホな子」萌えの理由を、平沢唯というキャラクターは自分に教えてくれたと思うのです。
1.「アホな子」だから裏表がない
ほぼ初対面の人達に向かって「あんまり上手くないですね!」ですよ。
フツーは相手に気を遣って言えません。でも、唯は思ったままを口に出してしまうコ―――言い換えれば「ウソをつく技量のないコ」なので、そのまんまの言葉を発してしまうのです。その素直さに、自分は第1話のそのシーンで『けいおん!』を一気に好きになりました。
子どもの頃に「大人は汚い!」「大人はウソばかり言う!」とよつばのように言っていたのだけど、大人になるとそんな生易しいものではなかったことを知るのです。
ウソをつくのは生きていくための処世術。如何に自分たちに利益が来るように他人を騙せるか、自分達の利益を失わないように他人に騙されないかという世界で、「騙されるヤツが悪い」と堂々と言われてしまうのが大人というもの。
そんな世界で、ウソのつけない「アホな子」は大人が忘れてしまった“人間の理想像”のように目に映るのです。本当ならばこうありたい、でも汚れてしまった自分にはもうこんな生き方は出来ないよ、と。
そんな唯だけど、作中で2度ばかり「ウソをつく」シーンがありました。
1度目は7話の「クリスマス」で、憂に「クリスマス会では一芸を披露しなきゃいけないんだよ」とついたウソ。受験生相手に。しかも本人すぐに忘れるという(笑)。
2度目は9話で梓相手に「自分の方がギターが上手い」と見栄を張るシーン。でもウソがバレバレな上に、こらえきれずに自分から弟子入りを志願してしまうという。
「ウソつき」スキルが低いにも程がある。
でも、そこが唯の魅力なんだと思います。
7話「クリスマス」は唯憂姉妹のイチャツキっぷりに30分悶えていた回だったのですが、実はその中でも自分が好きだったエピソードが上述した「一芸披露」のウソのくだりでした。唯の他愛もないウソを信じてしまった憂が腹話術を特訓し当日披露、憂が本気にしてしまったことに驚いた唯が「本気にしてたの?」「ごめん」と謝り、憂は「ううん、気にしないで」
許すの、早くね?
憂がウソを信じてしまったことや、隠れて特訓していたことはしっかり描かれていたので、「なんでウソつくの、お姉ちゃん!」的な展開になるのかと思いきや。1秒もかからずに許してしまいました。
サラッと流されたシーンなんですけど、自分はこの短い「ごめん」「ううん、気にしないで」という会話の中に姉妹が過ごしてきた時間を感じたのです。多分憂は、唯が悪気があってウソをついたのではないことも、唯の「ごめん」はうわべではなく心をこめたものだと分かったんだろうなーと思ってホンワカしたのです(実際、次に一芸披露したのは唯だった)。
2.「アホな子」には母性がある!
もういっちょ唯憂姉妹について。
しっかりしている妹と色々と残念な姉という姉妹なので、作品の内外においてとかく「姉と妹が逆じゃないか」と揶揄されている二人で……自分も当初はそう思いながら観ていたのですが、アニメ後半になると「やっぱ唯はお姉ちゃんなんだなー」と思うようになりました。
唯は他人を否定しない―――
9話でブチギレ梓を後ろから抱きしめて「いーこいーこ」しながら抑える場面なんかは特に顕著なんですけど。6話のライブで澪を「澪ちゃんが一生懸命練習していたの、みんな分かっているよ」と励ますシーンも、7話の回想シーンで憂のためにホワイトクリスマスを演出する場面も。初詣のシーンで澪を「可愛いよ」と言ったり、13話で紬に「ムギちゃんは手も心も暖かいよ!」と言ったり。
実は、唯は作中最も“母性”を持っているキャラなのかもと思いました。
他人に対してイジワルをしたり否定をしたりというチャンネルがないんでしょうね。「アホな子」には案外、教師とか保母さんとかの適性があるのやも。
「裏表がない」、その上で「他人を否定しない」―――
こういう姉がいるからこそ妹があれだけ真っ直ぐなコに育ったとも思えるし、憂が唯を好きな理由も頷けるというものです。
ちなみに、そんな唯だけど律に対しては「律っちゃんのくせに」とツッコミを入れるし、さわちゃん先生のセクハラはスルーするという。自分は梓に抱きついているくせに!
3.「アホな子」だから常に一生懸命
澪や梓はよく「全然マジメに練習をしない!」と唯や律に対して愚痴っていたのだけど。
唯は「マジメに練習」をして「マジメにサボっている」んだと思うのです。
遊びも練習も常に全力投球というか。手の抜き方を知らないというか。
常にアクセル全開なために進路をどっちの方向に合わせるかとか、要領よく色んなことに手を出すとかが苦手で。逆に言うと、方向さえ定まってしまえば本領を発揮する能力は持っているという。
2年目の夏合宿の回(10話)で、昼間に散々遊んで、みんなが寝静まってから夜一人で練習していた―――というのに梓は驚いていたのですが。マジメにやるなら昼みんなで練習しろって話ですよね(笑)。
でも、良くも悪くも唯には“方向を定める力”はなく、突如として「練習したい」モードに入っちゃうから周りからは唐突に思えるという。(付き合いの長い憂や和は、唯のそうした特性を知っている)
「一生懸命」とか「集中している」とかは、人間の魅力として大事な一要素だと思います。
合コン中にずっとメール打っている女とか腹立つじゃん。
逆に、ゴハンを一心不乱にすごく美味しそうに食べている男は、見ているこっちも幸せに思えてしまうのです。
唯の魅力って「美味しそうにゴハンをバクバク食べている男」に通じるものがある気がします。
常に一生懸命で、幸せそうで、ニコニコしていて、キラキラしていて、観ているこちらまで幸せな気分にしてくれるというか。『けいおん!』を観ていた13週間がどうしてこうも幸せだったかは、唯が一生懸命だったおかげだろうと本気で思っています。
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「アホな子」という言葉が悪いんですけど、どうにも「劣っている」とか「平均以下だ」みたいな印象を持ってしまいがちですよね。でも、どっちかというと、「ウソをつく技術」とか「他人を否定する技術」とか「手広くこなす技術」とか、余計なものを削ぎ落としている魅力があると思うんです。
これは「貧乳」の魅力にも通じるものがあるかな。
自分が『けいおん!』アニメで好きだった回は……7話の「クリスマス」は別格として(笑)
その次が13話の番外編かなーと思います。
Aパートでは澪・律・紬・梓の4人がそれぞれ“軽音部から一歩踏み出した外で”不安やら悩みやらに直面している様を描き、それはある意味で軽音部の未来―――高校生活が終わって、それぞれが別々の道に進むかも知れない未来を視聴者に感じさせるものでした。
どんなに楽しい時間も、いずれ終わりが来る。
でも、唯だけは。唯だけは。
12話のライブシーンで“(自分達が築いてきた)軽音部の今”と“(自分達が築いていく)軽音部の未来”を信じられるようになったからか。それとも単に「アホな子」だからか。
何も変わらず、何も考えていない、アホなメールを4人に送り。
それが彼女達の救いになり。最後、何も変わらず、いつものように部室で「めざせ武道館!」と未来への夢を語るラストシーンに繋がるという。何にも変わっていないし何も起こっていない、だけど物凄く感動的なラストシーンでした。
僕は平沢唯が大好きです。
自分にとって彼女のような生き方は「理想像」だから。賢くはない、むしろ「アホな」生き方だけれど、だからこそ非常に魅力的に見えるし。自分もああなりたいと考えさせられるのです。
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| ヒンヌー | 18:38 | comments:25 | trackbacks:1 | TOP↑
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