日本のゲーム会社すら日本市場を見捨てるのか
08年度家庭用ゲーム市場、5年ぶり縮小 「Wii」「DS」失速で
この記事では06~07年度に好調だったWiiとニンテンドーDSが08年度に失速したことが要因だと書いていますね。『マルガの湖畔』さんでは、6つのハードにユーザーが分散していることが要因だと考察していますね(4/3の日記より)。
どちらも納得。
全ての要因は「どれか一つが正解」ということではなく、色んな要因が相互に絡まりあって起こっているものなので「どの角度から見て、どこを重視するか」という差なんだと思います。それを前提に、自分が思う“日本の家庭用ゲーム市場が縮小した要因”を一つ語らせてもらうと……
日本のゲーム会社が日本市場を軽視したからだと思います。
日本市場の売上げを伸ばす方法だったら沢山あったけれど、もっと大切なものがあったからその手段は選ばれなかった―――その結果として売上げが落ちただけだと思います。
端的な例を挙げると……
昨年度、Xbox360用で“大作”と呼ばれる和製RPGが何本も発売されました。『テイルズオブヴェスペリア』『インフィニットアンディスカバリー』『ラストレムナント』『スターオーシャン4』―――『インアン』はマイクロソフト発売の予定だったから例外としても、国内売上げだけを考えれば、国内でもっと普及しているハードで出せばイイだけの話ですよ。
PS3でも良いし、PS2でも良いし、WiiでもDSでもPSPでも良いワケですよ。マルチでも良い。ハード所有者の数が多ければ多いほど売上げは伸びます。
でも、少なくとも“08年度は”Xbox360でしか発売されませんでした。
それには様々な理由があったのでしょう。「技術を進歩させなきゃならなかった」とか「Xbox360だと開発がしやすかった」とか「マイクロソフトから援助があった」とか「1年おきに複数ハードで出せば毎度買う人がいるだろうから儲かるぜ!」とか「海外で普及しているXbox360で発売することで海外市場での売上げを期待した」とか。
それこそ色んな理由が絡まりあってそうした選択がされたのでしょう(『ラストレムナント』は単に開発が難航していただけという気もしますしね……)
結果として、海外市場で売れなかったことはともかくですよ。
国内市場で100万台普及していなかったハードにソフトを投入するというコトは、国内の売上げよりも重要なことがあったというだけのコトでしょうし。その結果として国内市場の売上げが落ちたのは当然のことだと思います。
もちろんこうした動きは「どのハードで発売するか」だけでなく、「ゲームデザイン」とか「キャラデザイン」にも言えることですね。もう一つ分かりやすい例を挙げるとなると―――08年度に発売されたソフトではありませんが、『大乱闘スマッシュブラザーズX』について。
このソフトはシリーズで初めて任天堂以外の作品が参戦し、『メタルギア』シリーズのスネークと『ソニック』シリーズのソニックがプレイキャラとして登場するのですが……国内市場の売上げを伸ばしたいのなら、『ソニック』よりも『ドラクエ』でしょ。『スマブラX』は国内150万本前後だったと思いますが、『ドラクエ』キャラが出ていたら200万~250万本くらいは売れたと思います。
ですが、海外市場では『ドラクエ』の認知度は低く、逆に『ソニック』は『マリオ』と並ぶアクションゲームの二大キャラとして認知されているそうで……夢の共演となった『スマブラX』は海外市場で売れまくって、世界累計800万本を超えていたはず。日本国内で100万増やすよりも、海外市場で200万増やす方が実入りが大きいんですよね。
もちろん「『ドラクエ』も出したかったけどスクエニがOKしてくれなかった」という可能性もありますけどね(笑)。日本のゲームファンからすると「スマブラに『ドラクエ』参戦」は見てみたかったし、今後にも期待をしたいのですけど……海外市場での認知度を考えると、それは難しいんだろうなと思います。
誤解を招くといけないので、一応書いておきますけど……
僕は別に「海外市場を重視するな」とは言いません。「Xbox360に和製RPGを投入する」ことも、「『スマブラX』にソニックが参戦する」ことも、一つの選択肢として尊重したいと思います。国内にも喜ぶ人は沢山いますし、直接は喜ばなくても海外市場で得た利益で国内メーカーが安定することで喜べるという見方も出来ますしね。もちろんゲハ的な煽りがしたいワケでもありません。
ただ一つ僕が言いたいのは、海外市場を重視して作られたソフトが日本国内で売れなくても文句は言えないよねということだけです。それで「日本ではゲームらしいゲームが売れない」と文句を言うなよと。
以前、「洋ゲーが日本で売れないのは果たして「洋ゲーだから」なのか?」という記事を書いた際に、「海外のゲーム会社は規模の小さい日本市場なんてどうでもイイと思っているのでは?(だから日本人に合ったソフトは出てこない)」という面白い意見を頂きました。
日本のゲーム会社もそうなりそうですよね。
日本国内市場よりも海外市場の方が何倍も大きいから、海外市場に向けたソフトを作る。でも、そうしたソフトは日本人の感性に合わない(可能性が大きくなる)から売上げは落ちるかも知れないし、売上げが落ちると市場規模は狭まるし、ゲーム人口も縮小するし、ゲーム会社はますます「日本市場よりも海外市場の方が実入りがイイもんな!」と海外志向が強まる……なんて未来が来るんじゃないかと危惧しています。
和製RPGは海外市場では売れませんでしたが……バンナムの『ファミリースキー』『ファミリートレーナー』とか、任天堂&セガの『マリオ&ソニック』とか、レベルファイブの『レイトン教授』とか、日本市場以上に海外市場で売れている日本製ゲームは沢山あります。
『ファミリースキー』なんか、続編は思いっきり海外市場に寄せた内容になってましたしね……
このまま、海外メーカーどころか日本国内のメーカーにまで日本のゲーム市場は見捨てられてしまうんじゃないか―――そんなことを今回のニュースを聞いて思いました。
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余談というか蛇足というか来週の予告。
もう一つ深刻だと思うのが、「DS」「Wii」の失速の要因なんですけど……任天堂がソフトを出していないという理由だけなら話は簡単なんですが(現在開発中のソフトが発売されて売れればイイだけですからね)。
サードメーカーがあくまで国内向けに、「このハードにはこういうソフトが売れているから、こういうゲームを出せば売れるんじゃね?」と思って出したであろうソフトが不発に終わっているのが怖いです。DSで言えばサードメーカーの新作RPG、Wiiで言えばファミリー向けゲーム―――Wiiについては、近い内に別記事で書こうと思っているのですが。
『NO MORE HEROES』が国内2~3万本というのは、当時のWiiのユーザー層を考えれば仕方がないと思うのですが。『ハッピーダンスコレクション』が国内5000本というのはシャレにならない深刻さじゃないかと―――Wiiのユーザー層に向けて作ったソフトで、評判も物凄く良かったのに、5000本って。
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