ゲーム機から“後方互換”が外される理由
この記事では「旧世代の機種のゲームが遊べる機能」という意味です。PS2で初代プレステのソフトが遊べるとか、ゲームボーイアドバンス(GBA)でゲームボーイのソフトが遊べるとか、そういう意味で“後方互換”という言葉を使っています。
「PS3を売れるようにするためにはPS2互換機能を復活するべきか」
ここ数ヶ月いろんなところで議論になっていたのをよく目にしましたし、数少ない僕の友人も「PS3でPS2遊べるように戻れば買うのになー」と言っていました。その前にネットとHDTVを用意した方が良いよとは思いましたけど、これまでPS2を支持してきた人にとっては「ネットワーク」とか「フルハイビジョン」といったものよりも「持っているPS2ソフトが遊べるか」どうかの方が重要なのかも知れませんね。
それはさておき。
PS3と同じように“後方互換”を外したゲーム機が昨年末に発売されました。
言うまでもなく、ニンテンドーDSiのことです。
「電池持続時間が短くなっている」「価格が上がった」と並ぶ不満点に「GBAスロットが廃止された」があったと思いますし、僕もそれはどうなのかなーとDSiそのものに否定的だったのですが―――「社長が訊く」を読む限り、GBAスロットの廃止は早い段階で決まっていたみたいなんですよね。
いや、もっと言うと「DSiはDS LiteからGBAスロットを外して内部メモリを搭載することが最初から決まっていたハード」のような印象を受けました。あくまで僕がインタビューを読んで受けた印象ですけどね。
DSソフトのダブルスロットをギリギリまで粘って外したというエピソードはあるのに、GBAスロットの話は最初から触れられていませんから。
しかしまぁ、それも分からんでもなくて……
極端な話、任天堂からしてみればDSiにGBAスロットを付けるメリットは少ないんですものね。
何故なら、現在ほとんど全てのGBAソフトは新品ではなく中古販売にシフトしてしまっているのだから、中古のソフトがどれだけ売れてもメーカー(ハードメーカーにもソフトメーカーにも)にとっての利益にはならず、従ってDSiにGBAスロットを付けても目に見えた利益にはならないんですよね。
DSが発売になった頃はもちろん、DS Liteが発売になった頃にもまだGBAソフトの新品は動いていましたが、2006年11月の『FF6』を最後にGBAソフトは発売されていません(国内は。北米とかだとまた事情が違うかも)。
DSiにそうした機能が付くのか、もしくは“DSの次”の機種に持ち越しになるのかは分かりませんが―――メーカーにとって利益にならない「中古のソフトが動かせる機能」よりかは、バーチャルコンソールのように「旧作ソフトをダウンロード販売する機能」を付ける方がメーカーの利益になるんだよなぁと思いました。
もちろん今のはメーカーの利益の話であって。
喩えば大量のGBAソフトを持ち続けているユーザーとか、中古ソフトの販売を収入源にしているゲーム屋さんなんかにとっては、「そう簡単に旧機種を切り捨てて良いのかよ」と言いたくなるのも当然だと思います。
僕もWiiのバーチャルコンソールのシステムを聞いた時、「手持ちのスーファミソフトが遊べるワケじゃないんだ」とガッカリした記憶がありますもの。逆に言うと、これまで入手できなかったソフトが遊べるようになるので、一長一短ではあるんですけどね。
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【ゲーム機に“後方互換”を付ける理由】
・ゲーム機の発売直後はソフトが少ないので、旧機種のソフトも遊べるようにして補うため
・旧機種のソフト市場の勢いを弱めないため
新しいゲーム機の発売というのは、言ってしまえば「これまでのハードを支持してきた人を切り捨てる」ことであって。ファミコンしか持っていない人はスーファミのソフトを遊べないワケですから、「スーファミ本体買うお金ないからゲームやめようっと」という人を大量に生み出すリスクを背負っているんですよね。
“後方互換”はそのリスクを薄める作用があって。
喩えば“後方互換”最大の成功例とも言えるプレステ→PS2への移行を振り返ると、PS2が発売された2000年のベストセールスは初代プレステの『ドラクエ7』『FF9』なんですよね。プレステのソフトも遊べるからという理由でPS2本体が買われることもあれば、PS2本体でも遊べるからという理由でプレステソフトが買われることもあった、と。
裏を返せば、そうした“新しいゲーム機への移行時期”でなければメリットは少ないんですよね。
DSiの話に戻すと、DS発売から4年が経過してソフトはごまんと揃っていて、逆にGBAソフトの市場は縮小しきっているワケです(『リズム天国』みたいな例外もありますけど)。GBAスロットを外したDSiを主力商品にしたくなる気持ちも分からなくはないですね。新品ゲームの売れる時期が決まっている限り(=中古ゲーム市場が存在する限り?)、この傾向は続くんじゃないかなぁと思います。
ん……ということは、喩えば現在Wiiで購入したバーチャルコンソールやWiiウェアのソフトを、“Wiiの次”に移して遊ぶことは出来ないというコトか??だとしたら、“Wiiの次”は華麗にスッ転ぶような気も……
閑話休題。
「PS3にPS2互換機能を戻すべきか」という話で言えば、技術的な問題とかコスト的な問題がまず最初にあって。その次に市場的な話で言えば、“後方互換”機能が最も大切な時期は既に終わっているとも言えるんですよね。
“後方互換”を付ける理由の1つ目である「ゲーム機の発売直後はソフトが少ないので、旧機種のソフトも遊べるようにして補うため」は、PS3にもソフトが揃ってきているので必要がないでしょう。
もう1つの理由である「旧機種のソフト市場の勢いを弱めないため」は意見が分かれるところですね。
2008年の売上げで言えば『スパロボZ』や『ペルソナ4』のようにPS2ソフトはまだまだ売れているのだけれど、「だからこそPS3本体ではなくPS2本体が買われている」とか「PS3で遊べればPS2ソフトの売上げはもっと伸びた」と言えることも出来て―――でも、その状況も今年・来年と徐々に縮小していくでしょうし。
技術的に出来るのかとか、コスト的にやるメリットがあるのかとか、容量はどうなのかとか、そういうことがよく分からない僕の発言なんですけど……PS2互換を復活させる時は、PS2ソフトのダウンロード販売を始める時かなぁと予想します。その方がメーカーにとってもメリットが出てきますし。
そんなことを妄想していくと、やっぱりそろそろ情報が出てきそうな“PSPの次”がポイントになるのかなーと思いました。
自室にHDTVがない(そして今後も買うことはないだろう)僕にとっては、PS3よりも“PSPの次”の方が気になります。PSPソフトが遊べる“後方互換”、プレステソフトのダウンロード販売は引継ぎ、PS2ソフトのダウンロード販売もPS3と同時に始めれば、互換機としては凄いことになりそうですね(当然、新機種のソフトも出るだろうし)。
問題は、ソニー全体の経営がキツイ現在に新機種発売なんてするのだろうかということでしょうか。日本国内ではまだまだPSPが元気だけど、海外ではPSPソフトが厳しいという話もありますし、起死回生を狙うか現状維持でしのぐかの判断に注目ですね。
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| ゲーム雑記 | 18:02 | comments:28 | trackbacks:1 | TOP↑
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