10年前の64DD構想が、今の任天堂ソフトに繋がっている
94年(スーファミ)に任天堂ハードを離れて2006年(DS&Wii)で任天堂ハードに戻ってきた僕のような人間が、他にもいるんじゃないかと思い、そうした人にとっては新鮮な話かもなーと思って今日はこの話にしました。

これは今から10年前の98年1月に発行された別冊宝島「このゲームがすごい!任天堂編」です。巻頭では当時の最新ハードだったNINTENDO64の紹介をしつつ、メインはファミコン・スーファミ・ゲームボーイのソフトの想い出を色々な人が語っているという本です。確か、同時期に「プレステ偏」も出ていたような。
当時は任天堂ハードを持っていなかった僕ですが、3D全盛の時代に「スーファミとかの2Dの時代が楽しかったよなぁ~」と振り返る意味もあって購入したのを覚えています。あの頃の自分はまさに懐古主義でした。
【98年1月頃のゲーム業界】
・プレステ絶頂期
・64は発売から1年半が経過も苦戦中(この年の11月に『時オカ』発売で息を吹き返す)
・スクウェアが任天堂と絶縁し、プレステでこの世の春を謳歌(97年は『FF7』『FFT』『サガフロ』『チョコボ』の年)
・一方で任天堂はゲームボーイで『ポケモン』大ブレイク
・『ドラクエ』をプレステで出すエニックスは、『ドラクエモンスターズ』をゲームボーイで出すなど両陣営との関係を保つ(どちらも発表されただけで、実際の発売はまだ)
こんなカンジ。
据置では“敗者”のイメージがついていた任天堂ですが、誰も予想しなかった超絶ヒットを『ポケモン』が飛ばしたことによってゲームボーイにもソフトが集まりつつありました。この本の中でも「エニックスってのはモノポリーやりたくない相手だね」みたいなネタがあったり、「スクウェアのソフトは任天堂では出ません」みたいなネタもあったり。
あの当時にタイムスリップして「スクウェアとエニックスは合併するんだよ!」「FF3のリメイクが任天堂ハードでミリオン売るんだよ!」と言っても、誰も信じてくれないでしょうねー。10年一昔とは、まさにこのことか。まぁ、ソレを言うと「任天堂機でメガドライブのソフトが遊べるんだよ!」が一番の驚きでしょうけど。
んで、ここからが本題。
この本の冒頭には宮本茂さんのインタビューが掲載されていて―――「スーファミでは得られなかった新しい遊びを(64で)提供する」話として、64DD構想が語られているのです。これを10年経った今、読み返すと非常に面白い。だってほら、2008年の僕は「64DD」がモノの見事にコケたことを知っているワケですから。
64DD-Wikipedia
64DD研究所
もちろん僕は64DDはおろか64にすら触ったことがない人間なんで、「後から知った」ことがほとんどなんですけど。Wikipediaを見る限り、本体を発売していたワケではなく、「ランドネット」サービスの端末としてレンタルされていたみたいですね。
「実際の加入者はおよそ1万人程度であったといわれている。」という話はインパクトありますね。「1万5千人」という説もありますけど、いずれにせよビジネスとしては失敗だったとしか思えません。思えません、なのですが―――
「64DDによって、ユーザーが個々に、自分だけのゲームデータを書き換えをするということ。それにどんな可能性が生まれるかといえば、大きく三つのポイントがあります。それは「育成」「交換」「追加」といった楽しさです。
<中略>
いわば「ゲームをカスタマイズする楽しさ」というわけです。」
これは上述した本に掲載されている98年の宮本さんの発言。
当時の僕は「ふーん……」くらいのリアクションで「そんなことよりゲーマーはRPGがやりたいんじゃない?」と斜に構えて読んでいたのですが……
2008年の僕が、この文の“64DD”の部分を“ニンテンドーWi-Fiコネクション”とか“WiiConnect24”に置き換えてしまうとアラ不思議!DSやWiiの説明をしているのと変わらなかったりするのです。
分かりやすい例は、Wiiの内蔵ソフト『似顔絵チャンネル』で作れる「Mii」。
ユーザーが個々にプレイヤーキャラをデザインしてそれをゲームに使えるだけではなく、Wiiフレンドに送ったり、『Miiコンテストチャンネル』に投稿したり投稿されたMiiを持ち帰ったり出来て、広場にいるMiiが増えていくとそのMiiが観客席などに登場する仕組みになっているという。
「それって言うほどゲームが変わっているワケじゃなくない?」とは思いますし、あんまり変わりすぎても芯がブレてしまうので抑えているところもあるんでしょうが……
『はじめてのWii』の「あのMiiをさがせ!」は思いっきりゲームが別物になってしまう究極の形。自分で作ったMii+似顔絵パレードにいるMiiが登場するため、自分ではMiiを追加していなくてもフレンドが作ったMiiが大量に増えていて別ゲームになっていることがあります。忘れた頃にチョコチョコッと遊ぶと、非常に面白い。
『Miiコンテストチャンネル』も、自分が起動していなくても「Mii職人」が流行り廃りの中で新作Miiを作っていて、今度はその方向をみんながマネして―――みたいな動きがあるので、久々に起動すると「こんなMiiがあるのか!」と驚くことがあります。
ちなみに最近驚いたのはコレ↓

このMiiの作者さんはこの手のMiiを沢山投稿していて、もはや作品と呼べるほど。どんどんブラッシュアップされていて度肝を抜かれますよ。もちろん、こうしたMiiも気に入ったものがあったら持ち帰って、Mii対応ソフトで使うことが出来ます。
自分でMiiを作る才能がなくても、『Miiコンテストチャンネル』で職人が作った有名人Miiを持ち帰えればイイという。『Wii Music』で小泉純一郎・安倍晋三・福田康夫・麻生太郎の4人でバンドを組ませることも可能(笑)。
実を言うと、64DDにも「Mii」のようなものを作る「タレントスタジオ」というソフトがあったのですが、64DD自体が普及しなかったために成功したとは言えず(上述した64DD研究所さんの「ソフト概要」ページに詳しい説明もあります)。
その構想が10年経って「家族で遊ぶゲーム機」「インターネットに24時間繋がるゲーム機」であるWiiに標準搭載されることによって、初めて成功したと言えると思うのです。
・社長が訊く Wiiプロジェクト『Wii Sports』編・第2回
・開発スタッフが語る『似顔絵チャンネル』の話
・開発スタッフが語る『Miiコンテストチャンネル』の話
Miiが世界中で受けたこともあって、他陣営(PS3やXbox360)にもアバター機能が搭載されるという話ですが―――
Miiが「育成」「交換」「追加」という64DDの思想を受け継いでいるという視点から考えると、単に“プレイヤーキャラに似た顔を作れる”だけで意味あるのかなーと思ったりもします。本当の意味は、結果として「追加」されることにあると思うので。もし関係者さんが偶然にもここを読んでいたのなら、そこをパクるとイイと思うよと書いておきます(笑)
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「Mii」に関してはWii本体の根幹にある大掛かりな話ですが……実を言うと、DS&Wiiの個々のソフトにも結構この64DD構想が引き継がれているというか。無線LAN搭載のゲーム機とブロードバンドの普及によって、ようやく実現できたと言える部分があります。
64DDには「友達が作ったコースを交換して遊ぶ」といった方向性があったのですが、それを「友達の家に持ち寄る」だけでなく「インターネットを通じて日本中の人のところにも届く」ことが出来るようになったことに意味があるというか。
数日前に僕は「日本人は「ゲームが上手くなりたい」と思っていないのでは?」という記事を書き、オンライン対戦で「上級者と戦える」ことを喜ばない人も沢山いると主張しました。
しかし、64DD構想から繋がっている「育成」「交換」「追加」という遊び方で言えば、上級者の存在がインターネットを通して初心者にも恩恵を与えている例が沢山あるんですよね。
典型例を挙げるならば、『大合奏バンドブラザーズDX』―――
“職人”と称される人々が耳コピなどで譜面を作成し、それをインターネットを通して投稿。送られた任天堂側が審査を行い(実際に審査を行っているのは専門家)、審査を通った曲が次々とデータベースに追加され、それをユーザーが100曲までダウンロードできるという仕組みになっています。
「俺、自分で譜面とか作れねえし……」という人でも、「俺はバシバシ作っちゃうよー!」という“職人”のおかげで豊富なラインナップを楽しめるという。さっきまとめWiki見たら、ユーザー投稿曲が2650とかなってました……もちろん違う作者が同じ曲を作って被っているものも多いんでしょうけど、“職人”って凄いですね。これは『Miiコンテストチャンネル』にも言えることですけど。
そういう意味で、僕が期待をしているのがDSの『メイドイン俺』。
任天堂カンファレンスで発表された『メイドインワリオ』のスピンオフ作品で、「5秒のプチゲーム」を自分で作成できるみたいです(画面写真はこちら)。Wi-Fi対応かどうかはまだ発表されていませんが、これまでの例を考えれば「自分で作ったプチゲームを投稿できる」「それをダウンロードして遊べる」という機能は対応してきて当然なんじゃないかと予想しています。
まー、その場合は「卑猥な表現」「差別表現」をチェックしなきゃならないので、審査する人が必要なんですけどね。『バンブラDX』でやってくれているのだからコチラにも期待したいです。『メイドインワリオ』は元々50~100万本クラスのタイトルですし、『バンブラ』以上に裾野は広いでしょうからね。
この他にも、『スマブラX』のステージエディットや観戦機能も「育成」「交換」「追加」に通じるものがありますし、数多くのDSソフトにある「追加要素をダウンロード」も立派に「追加」ですよね。64DDでも『F-ZERO X』の新コースをディスクで拡張という手法が取られているなど、人気ソフトの「追加要素」を売っていくというアイディアは当時からあったのかも知れませんね(DSの追加要素は、現在のところ全て無料ではありますが)。
そう言えば、『Wii Music』で作った「ミュージッククリップ」を友達に送れるとかも「育成」「交換」「追加」ですね。投稿された「ミュージッククリップ」をみんなで眺められるWiiチャンネルなんかがあれば最高だったんですけど、その辺は「ニコ動でも見てよ」ということなんかなー。
関係ないけど、ウチの父親が「あの音楽のヤツ凄いよね~」とボソッと言ってました。CM見たのか!悩んで悩んで買わないことを息子が決めた途端に貴様は!!
今回の記事を書くにあたって、軽くですが64DDのことを調べ直しました。
商業的には全く持って成功とは言えなかったのでしょうが、僕が思っていた以上に64DDから生まれたアイディア・ソフトというものが多かったことに驚きました。上で『メイドイン俺』について書きましたが、『メイドインワリオ』も64DDから生まれたソフトだったとか。今や任天堂が誇るキラータイトルに成長した『どうぶつの森』も、64DDの大容量保存領域を活かすゲームとして考案されたそうですし(結局はカセット内にフラッシュメモリを搭載することで対応することに)。
逆に言うと、64DDの頃に悔しい思いをしたスタッフが今でも任天堂でソフトを作り続けているということが大きいんでしょうね。『タレントスタジオ』の頃に新人だった山下さんが『Wii Sports』『Miiコンテストチャンネル』のディレクターを務めていたことなんかは象徴的な話で。
ディスクシステム、サテラビュー、64DD―――
(ディスクシステムをこの中に入れるのは抵抗あるんですけど……)成功したとは言えない野心的な試みが、今の任天堂に繋がっているのは間違いない話で、裏を返せば「必ずしも成功する商品ばかりを出すワケではない」のが任天堂の良さでもあるんでしょうね。DSiは果たしてどっちでしょう。
そして、バーチャルボーイの構想を活かした新商品はいつ出るんでしょう(笑)。
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| ゲーム雑記 | 17:55 | comments:2 | trackbacks:1 | TOP↑































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