日本人は「ゲームが上手くなりたい」と思っていないのでは?
さて、そんなクラブニンテンドーのアンケートには気になる項目があるのです。
「あなたはゲーム初心者ですか?中級者ですか?熟練者ですか?」
一言一句覚えているワケではないので、ニュアンスとしてこういう質問だったくらいに思ってもらえると助かります。「ゲーム人口の拡大」を謳って新規ユーザー獲得に注力し、その一方で「昔ながらのユーザーを軽視するワケではない」と主張している任天堂としては、その商品を買っている人のゲーム歴というのが大事な情報なんでしょうね
さて、この三択の質問―――アナタならどれを選びますか?
日本のゲーム市場では、オンライン対戦がキラーコンテンツにはならない。
これは仮説です。「ひょっとしたらそうなんじゃないか?」くらいの説。
言っても、手軽なオンライン対戦を実現した『マリオカートDS』は300万本売れていますし、『ウイニングイレブン』シリーズがPS3で好調だったのはオンライン対戦があったからかも知れません。今現在Xbox360が売れているのは『テイルズ』『インアン』といった和製RPGの力が大きいのですが、その裏側に「Xbox360はオンライン機能が充実しているから」という支えがないとも言い切れません。
ですが、ニンテンドーDSのWi-Fi対応ソフトのWi-Fi接続率は、ほとんどが2割台だったり、オンライン対戦を追加しただけのソフトは売上げ苦戦していたり、それこそ先ほどの裏返しでXbox360はオフラインのゲームを充実させるまで不振だったり―――
『脳トレ』ブームだとか、『モンハン』ブームだとかに比べると、オンライン対戦が大きく日本市場を動かしたワケでもないのも確か。「離れた人と対戦できるなんて今のゲームは凄いね」と思いつつ、だからといって自分がソレをやろうとはしない状況があるんじゃないでしょうか。
それは何故か?
日本人は「ゲームが上手くなりたい」とは思わないからではないか。
これも仮説です。一つ目の仮説の根拠として、二つ目の仮説を立ち上げるというのはどうなんでしょう(笑)。でも―――「日本のゲーム市場は特殊である」と言われる要因のほとんどって、この二つ目の仮説で説明が付いてしまう気がするんですよ。
ちょっと前の話。
Wiiで『シレン3』が出た頃だから今年の6月くらいでしょうか。僕が敬愛する伊集院光氏がラジオで『シレン3』のことを語っていて、「前作を好きすぎた自分からすると別に要らないんだけど、今のニーズに合わせて追加された要素があるのは仕方ないんだろうなぁ」と挙げていた要素に“ムービー”と“オンラインによるランキングシステム”がありました。
これ、意外だったんですよ。
僕は『シレン3』をやっていないんで何となくの情報なんですが、どうやら「何階まで潜ったか」というランキングをオンラインで集計して発表してくれる新要素があったみたいなんですよね。伊集院さんはこれが好きじゃなかった、と。
「俺は日本で一番『シレン』が上手いつもりだったんだけど、ランキングにされてしまうと自分が実は大したことがなかったことが分かってしまう」
伊集院さんはゲームのオンライン機能についてはかなり肯定的な人だと思っていたんですけど―――どっちかというと「友達同士との協力プレイや競い合い」が好きで、「自分がどれくらいの実力なのか」が分かるランキングシステムはあまり好きじゃなかったんだと。
そこで、かなり昔の話を思い出しました。
『ストII』ブームだった92年ごろ、僕が何回対戦してもちっとも適わない格闘ゲームの上手い友達がいたんですよ。子どもの頃は「ゲームが上手い」はそれなりのステータスですから、僕はソイツのことを尊敬していたのですが―――ある日、ソイツと遊んでいてフラッと立ち寄ったゲームセンターで、「ちょっとやってみようかな」と彼が『ストIIダッシュターボ』かなんかをプレイして、向かいっ側にいる知らない兄ちゃんにボッコボコにやられたことがあったのです。
僕が手も足も出ない友達が、ゲームセンターでは普通にボッコボコにされるレベルで、恐らくその知らない兄ちゃんも全国屈指の猛者というワケでもなくもっと上手い人がいるのでしょう―――そう考えると、家に帰ってきてから僕が必死になって『ストII』練習しているのって何なんだろうって虚しくなってしまったのです。
涼宮ハルヒが野球場で「私は何万人の中の一人でしかないんだ」と痛感したのと同じようなことを、僕は小学5年生の時にゲームセンターで感じたのです。「自分がどんなにゲームを練習しても、何百万人の中の一人でしかないんだな」と。
友達同士の中で競い合って「一番」を目指すくらいならば努力のしがいもあるんだけど、日本で一番とか世界で一番とかは遠すぎる―――「アナタは日本で98万2374番目にこのゲームが上手いですね」と言われても、頑張ろうという気が起こらなくなってしまうのです。
もちろん、「そんな状況だからこそ、もっと上手くなってやる!と思えるんじゃねえか」と言う人も沢山いるのは分かります。それこそ格闘ゲームブームはそうした人達が支えていたんでしょうね。でも、そう思えない人もいるのです。
格闘ゲームブームもそうですし、それより前の高橋名人・毛利名人なんかのシューティングゲームブームもそうなんですが―――「上手い人のプレイを見て学ぶ」ブームのジャンルは物凄く盛り上がった一方で、現在ではマニア向けなジャンルと呼ばれるようになってしまいました。
FPSが日本では流行らない理由にも、ちょっとカスっているかも知れませんね。
ちょっと前に野安ゆきお氏のブログにて「アジア諸国でのテレビゲームの大会」の記事が取り上げられていて、日本でそうした大会が一般に認知されないのは何なのかと自分も考えてみたのですが―――「ゲームへの偏見」とかよりも何よりも、日本の“ゲームが大好きな人”の多くが「別にそこまでゲームが上手くなりたいとは思っていない」からなんじゃないかと思ったのです。
もちろん心の根っこの部分には、上手くなりたい気持ちは誰にだってあるでしょう。
でも、そこに到達するまでに何十時間、何百時間もかけなければならないのだとしたら―――それどころか、かけたとしても到達できないのだとしたら―――その時間で、時間さえかければ誰にでもクリアが可能な和製RPGをプレイしようって人が多かったのは当然じゃないかと思うのです。
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そう言えば、『クイズマジックアカデミーDS』についても。友達同士で対戦するのは楽しかったけど、知らない人と対戦すると答えを覚えまくっている人もいるだろうしオンライン対戦はやらない―――なんて意見を読んだことがありました。
まぁ、メモ取ったりしている人は上位組くらいしかいないと思いますし、このゲームは自分の実力によって「○○組」と8つに分けられて同じような実力の人と対戦するもので……「自分よりも物凄くレベルが高い人」とは対戦しなくても済むように考えられているのですが。
喩えば僕の場合、最初は好調でポンポンと組が上がって最上級の「ドラゴン組」まで行ったんですけど、あまりのレベルの高さにあっさり1コ下の「フェニックス組」まで落ちてしまったのです。「ドラゴン組」はレベルが高すぎて楽しくなかったからこれはこれで良かったと思おうとしていたのですが、やっぱりそれまで順調に上がっていた成績が一旦下がり始めると気持ちが切れてしまうもので、今度は「フェニックス組」からも落ちてしまいました。
この、いわゆる“自分と同じ実力の人と対戦する”システムって―――成績が上がっている間は楽しいのですが、ある地点から壁が立ちふさがって、「今の順位から落ちないようにする戦い」に変わってしまうんですよね。
で、ある日気付くワケです―――あれ?電源さえ入れなければ順位が落ちることもないんじゃない?って(笑)。なので、「フェニックス組」から落っこちてからはしばらく電源入れてませんでした(その後「フェニックス組」に戻ってからはモチベーションが戻ってはきましたが)。
ここで、冒頭の質問をもう一度。
「あなたはゲーム初心者ですか?中級者ですか?熟練者ですか?」
僕は物心ついた頃からゲームをやっていますし(途中ブランクはあったけど)20年来のゲーム好きですが、「熟練者」とか「上級者」だとかは選べません。このブログでも再三「僕はゲームが下手だから」と書いてきました。だから、いつも僕は「中級者」を選ぶのです。
多分……そういう人は少なくないんじゃないかなぁ。
DSからゲームを始めたような人間じゃないから「初心者」ではないけれど、そんなに上手くないから「熟練者」でもない。消去法で「中級者」にしておこう、って人。
もし、日本のゲーム市場を支えている大半が自称「中級者」だった場合……
「みんながみんなゲームが上手くなりたいはずだ」「全国の競合と対戦したいはずだ」という論理で作られているゲームが売れなかったとしても、それは仕方がないことだと思うのです。消費者のニーズを読みきれていないだけの話ですからね。
でも、本当にそうかは分からないから現在の日本のゲームは「オンライン対戦」機能も充実させながら、「オンライン対戦」が好きではない人のためにも「オンライン協力プレイ」や「データ配信」「データ共有」も充実させているという現状。
『バンブラDX』のネット接続率が6割を超えているという話からも、(少なくともDSユーザーは)「データ配信」「データ共有」のためにネットに接続する傾向があるとも言えますしねー。先日の任天堂カンファレンスで発表された『メイドイン俺』や『トモダチコレクション』も、その方向のソフトでしょう。今はそれぞれ「ゲーム」と「オンライン」の関係を模索している時期なのかも。
さてさて、そう考えると注目は11月20日発売の『街へいこうよ どうぶつの森』の売上げですかね。
DS版の売上げは400万本オーバー。携帯機向けのコンテンツでしょうからそこに匹敵するのは不可能ですが、Wiiの『スマブラX』『マリオカートWii』といった「オンライン対戦」の代名詞とも言えるソフトの売上げ(どちらも150万~200万の間くらい)と比べてどうなのかが興味深いです。
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