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やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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その漫画、右で終わってる?左で終わってる?

 ニュースサイトさんを読んでいて、小手川ゆあ先生の新作が単行本になったことを初めて知りました。「好きな漫画家を5人挙げて」と言われれば間違いなく小手川先生の名前を入れるほどのファンなのに、新作が出ることすら知りませんでしたよ……
 全ての漫画雑誌を追いかけるのをやめて単行本派になって、時間的には楽になったのですが。こうした情報が入らなくなってしまったのは、凄く痛いよなぁとつくづく―――

 とりあえずAmazonで注文、注文。
 そんなこんなで今日は珍しく漫画のお話ですが………漫画雑誌を貪るように読んでいた頃には何とも思っていなかったことが、自分で漫画を描くようになって気付いたのだけど、その頃には時間的に漫画雑誌を追いかけられなくなっていたという皮肉なお話です。

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 ひょっとしたら、漫画描きにとっては常識なことかも知れませんが……
 漫画を描き始めて2年ちょっとの自分にとっては、描き始めてから知ったことが沢山あります。


 突然ですけど、『ドラゴンボール』って1話何ページだったか知ってますか?
 ひょっとしたら誤差がある回や時期によっても違うのかも知れませんが、「『ドラゴンボール』は1話15ページ」だということを何故だか小学生の頃の自分は鮮明に記憶していました。恐らく「他の漫画よりも『ドラゴンボール』は短い」ということを「『ドラゴンボール』は他の漫画よりも面白いから短くても許されるんだ」といったカンジに、幼いながらに変換して覚えていたんじゃないかと思います。

 ちなみに、僕がジャンプ感想サイトをやっていた数年前……ほとんどの漫画は1話19ページでした。もちろん巻頭カラーや大増ページの作品もあって、連載開始直後の『デスノート』なんて毎週のように大増23ページとかだったんですけどね。デフォルトは大体19ページだったのです。
 更にちなみに、『ハンターハンター』は連載途中から15ページになりました。うん、これ以上は何も言いません。


 15ページ・19ページ・23ページ……並べてみれば分かりやすいですが、全て奇数ですよね(コレに加えて“4の倍数-1”という要素もあるのですが、別の話なので省略します)。ほとんどの漫画は左ページから始まるので、奇数ページということは最後のページも左のページになります。

 僕は小学生の頃からのジャンプっ子だったのでそれを不思議とも思ったことがないのですが、実は、他の雑誌で見てみると……最後のページが右ページの作品の方が多いんですよね。
 僕はもう何年も漫画雑誌を読んでいないので、手持ちの単行本で最後のページが左右のどちらかを調べてみると……


【小学館】
 『テレキネシス』(ビッグコミックスピリッツ)……右ページ
 『金魚屋古書店』(IKKI)……右ページ
 『ルナハイツ』(ビッグコミックスペリオール)……右ページ
 『モンキーターン』(少年サンデー)……左ページ
 『ARMS』(少年サンデー)……右ページ
 『吼えろペン』(サンデーGX)……右ページ
【講談社】
 『バガボンド』(モーニング)……右ページ
 『おおきく振りかぶって』(アフタヌーン)……右ページ
 『少女ファイト』(イブニング)……右ページ
 『極東学園天国』(ヤングマガジン)……右ページ
 『Jドリーム 完全燃焼編』(少年マガジン)……左ページ
【秋田書店】
 『舞-乙HiME』(少年チャンピオン)……右ページ
 『聖痕のクェイサー』(チャンピオンRED)……右ページ
【角川書店】
 『クロスボーンガンダム 鋼鉄の七人』(ガンダムエース)……右ページ
 『ライン』(少年エース)……右ページ
【メディアワークス】
 『よつばと!』(電撃大王)……右ページ
 『DARK EDGE』(電撃コミックガオ!)……左ページ
【スクウェア・エニックス】
 『鋼の錬金術師』(少年ガンガン)……右ページ
 『WORKING!!』(ヤングガンガン)……右ページ
【集英社】
 『武装錬金』(少年ジャンプ)……左ページ
 『死刑囚042』(ヤングジャンプ)……右ページ
 『リアル』(ヤングジャンプ)……左ページ
 『ONE OUTS』(ビジネスジャンプ)……左ページ
 『イエスタデイをうたって』(ビジネスジャンプ)……右ページ


 うーん……持っている漫画が偏っていすぎて、あまり参考になりませんね。
 サンデーとマガジンのサンプルが古過ぎる(笑)。もし手持ちの単行本か雑誌がありますよーという方がいらしたら、気軽にコメント欄まで情報提供お願いします。

 調査前の勝手な予想では「集英社は左ページ」「他は右ページ」なんじゃないかと考えていたのですが、作品によって様々ですね。甲斐谷先生は少年ジャンプ出身だからこそ『ONE OUTS』が少年ジャンプ同様に左ページで終わるのかと思いきや、同じく少年ジャンプ出身の井上雄彦先生は『バガボンド』が右ページ・『リアル』(『スラムダンク』も)は左ページとなっているので……漫画家さんによって厳密に違うというワケでもないみたい。
 とりあえず……でもまぁ、集英社以外の雑誌では圧倒的に右ページのラストが多いのは確かみたい。少なくともここ数年では。


 もちろんケースバイケースで使い分けているのだと思うのですが、ほとんどの作品がどちらのページで終わるか決まっているということは編集部と事前に打ち合わせてあるのでしょうね。でないと雑誌のページ数が余ってしまったりする事態が起こりかねませんし。

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 そもそも、そんなこと調べて何の得があるの?と思う人も多いでしょう。
 僕も漫画を描く前は「あー、雑誌ごとに違うんだ。面白いな」くらいの認識でした。

 ただ―――自分が漫画を描くようになって、19ページの作品と20ページの作品は大きく違うということを痛感したのです。

 19ページと20ページの最大の違い―――それは、1ページ多いことです。


 ………
 ………『どきどき魔女神判』風にツッコむのなら、「それは車が走ってますよと報告するようなものだ」というところなんですけど。そういうことではないのですよ。

 漫画描きにとって「1ページ多い」ということは、「2ページの半分のページ分多いよね」という意味ではないのです。

 つまりは、「めくり」の数の差なんです。
 19ページの漫画の場合は9回ページをめくるのですが、20ページの漫画の場合は10回ページをめくらせることが出来る―――これは大きな違いです。


 読む速度に個人差のある漫画というメディアにおいて、「めくり」はどんな読み手にとっても「ページをめくる」時間を要する瞬間であります。なので、この「めくり」によって漫画家は「間」や「場面転換」や「めくってびっくりサプライズ」などを演出するのです。
 それはストーリー漫画でもギャグ漫画でも一緒で(4コマ漫画とか1ページ漫画は除く)、この「めくり」を意識しない漫画家なんていないと言っても過言ではないほどです。この「めくり」の数がまず違う。


 また、「めくり」の後のページで終われるのも構成にとって大きな違いですよね。
 最後のめくりでドカンと大オチだとか決めゴマだとかを描いてササッと終われてしまう―――逆に左ページで終わる場合は、最後にめくった後に「見開き」を使えるという利点があります。こうした“終わり方”から逆算してページの配分を考えていけば、当然ながら物語の構成は変わってしまうんですよね。

 漫画描きにとってはどちらにもメリット・デメリットがあるものの、回によって自由にページ数を決められるワケでもないので、偶数ページ/奇数ページを固定して話を考えている……ってなところでしょうか。
 これはページ数が決まっている“雑誌”という媒体だからこその話なので、もし未来の漫画業界がWEBのようなデジタル媒体に移ってしまったならば、臨機応変なカタチになるかも知れませんね。


 個人的には、“読む側”としては最後が右ページの方が印象に残りやすいんですけど―――漫画雑誌をザッピングして読んでいた頃、「あ、最初に○○読もう」と目当ての漫画から読み始めると、その前に載っている作品のラストが右ッ側に載っていて「あー!!ネタバレてもうたー!」と苦しんだ経験が多々(笑)
 なので、右ページが最後のページになるけれど、次の作品との間に1ページしきりがある雑誌が理想ですかね。それだとページ数がやたら多くなってしまいますが……

 “描く側”からすると、1ページでも少ない方が作画が楽です(笑)。

| 漫画読み雑記 | 21:06 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>情報提供

もちろん全巻の全話を確認したわけではありませんが・・・・・あくまで参考までに。
ちなみに1コタイトルを捏造してあります。

GUN SLINGER GIRL・・・DC:右
ヨコハマ買い出し紀行・・・アフタヌーンKC:右
無限の住人・・・アフタヌーンKC:右
ハツカネズミの時間・・・アフタヌーンKC:まちまち
ヒストリエ・・・アフタヌーンKC:右
砲神エグザクソン・・・アフタヌーンKC:右
未来町内会・・・KC:右
しぐ☆るい・・・チャンピオンREDコミックス:右
ひぐらしのなく頃に解 目明し編・・・GWC:まちまち
ぱにぽに・・・GFC:右
ハヤテのごとく!・・・少年サンデーコミックス:右
ワイルダネス・・・サンデーGXコミックス:右
ジオブリーダーズ・・・ヤングキングコミックス:右
それでも町は廻っている・・・ヤングキングコミックス:右
アニメがお仕事!・・・ヤングキングコミックス:右
ローゼンメイデン・・・バーズコミックス:右
大東京トイボックス・・・バーズコミックス:右

右が圧倒的。アフタが多めなのは仕様です。(「面白い作品が多い」という仕様。)

>ハンター
どうやら正式に復活の告知が来たようです。
自分の目で見るまで絶対に信じませんが。

| ∞ddd | 2007/09/07 23:30 | URL | ≫ EDIT

ジョジョ3部の、オインゴ・ボインゴの回の4話は、4話とも、
見開きで始まって見開きで終わってた。(20ページ)

| k | 2007/09/08 20:42 | URL |

>∞dddさん
 情報提供サンクスです!

 アフタヌーンは右の印象が強くて、右ページでラスト&左ページで妙なコミックス広告というイメージでしたが……『ハツカネズミ』のように例外もあるんですね。ひょっとしたら冬目先生の特徴なのか、今度コミックス読む時に気をつけてみようと思います。
 そうか……ひょっとしたら、左ページのコミックス広告は保険の意味もあるのかも知れませんね。

 というか、結構「まちまち」という作品もあるんですね。僕がチェックした作品も3話くらいしか確認していないので、含まれているのかも……

>ハンター
 らしいですね。とりあえず24巻が出るのは確定情報みたいなので嬉しいです。
 25巻がいつ出るのかはともかく(笑)

>kさん
 た、確かに……!僕はコミックス持っていないんですが、その回が見開きになっていた記憶があります!それだけインパクトがあったということなのか。

 ジャンプでも、昔は右ページ始まりの漫画がたまにあった気がするんですよ。最近はほとんど見かけなくなりましたが……
 そういや、漫画内に入る広告もなくなりましたよね。アレがあるとネームも作りづらいからかサッパリなくなりましたが(ちょうど黄金期の終わり辺りから)、あの欄を単行本でどう埋めてくるのか楽しみにしていたことがあります。

| やまなし | 2007/09/08 21:05 | URL | ≫ EDIT

集英社が基本奇数ページなのは
投稿作品を他の出版社に出させないための縛りみたいなもの、というのを聞きました。
1ページ多くても少なくても集英社は受け付けない。
有名な専属契約システムの一部って感じですかね。

| kk | 2007/09/09 00:20 | URL |

>1ページ多くても少なくても集英社は受け付けない。

コミックビームの奥村氏が描いてたけど、新人が投稿でページ数を守るのは必須。
いちばん悪いのはページオーバー。載せるページがないから。
まだ、ページが少ない方が良い、とか。

| k | 2007/09/09 10:40 | URL |

>kkさん
 なるほど!
 ちょっと曖昧な記憶なんですけど、確かにジャンプの投稿作品の条件は「ページ数厳守」だったような気もします。ジャンプ自体が手元にないんで確認は出来ませんが……ちなみに、他の出版社は「○ページ以内」とか「○ページ前後」、「ページ数無制限」なんかもあります。結構緩いんですよね。
 「ページ数ピッタシに合わせる能力も大事だけど、面白い作品を作る能力の方が大事」とQ&Aで言っていた雑誌もあります。

 なので…もちろん一説に過ぎないのでしょうけど、真実でも不思議はない説ですね。
 でも……他の出版社が「ページ数に緩い」んじゃ、集英社だけ厳しくても意味はないんですけどね(笑)

>kさん
 その辺りの考え方は、漫画賞によっても様々みたいですね。
 僕が最初に投稿した賞は「少ない分には構わない」という規定でした。実際のところ、ページ数は少ない方が構成が難しくなりますからね。「○ページ前後」という賞は逆に奇数ページでも偶数ページでも面白い方で描けよということで、規定ページ数にまとめる力よりも飛びぬけたもの重視ということなのかな。

 賞によっては雑誌ごとのものだけでなく出版社ごとというものもありますので、こちらの場合はどの雑誌に載せても構わないようにページ数の制限を緩めて幅広い作品を集めるカタチが多いんじゃないかと思います。

 コミックビームは読んだことがないので想像なんですが、投稿作品を必ず雑誌に掲載するタイプの賞はより厳密にページ数を規定しているんじゃないですかね。ページ数を変動させやすい雑誌と、そうでない雑誌という違いもあるでしょうし。

| やまなし | 2007/09/09 20:34 | URL | ≫ EDIT

そういや大昔に連載中のドラゴンボールを読んでたときに、「うわっ短い!」って思ったときがありました。
たしか8ページだったと思います。
でも当時幼かったので、ページを8回捲ったのを間違って記憶してるだけかも・・・

| af-o | 2007/09/10 11:32 | URL | ≫ EDIT

2年ほど前からマガジンは1話が偶数ページに変更になりました。
ネギま!の作者さんの日記によれば

>マガジンの連載漫画の”デフォルトページ数”が減ります。基本偶数で、
>ネギまの場合は18ページになります。(現在は19ページ)
>これは、奇数ページだと間の広告などが増え、無駄に本誌が厚くなるので、
>スリム化のための処置みたいです。エコ時代に相応しいですね。

とのことです。

| ああああ | 2007/09/10 15:49 | URL |

>af-oさん
 8ページはちょっと記憶がないですね……
 増えることはあってもページ数が少なくなる作家さんではないので、「内容が全然進んでいない」ことで勘違いしたんじゃないのかと推測します……ちなみに同時期に連載されていた『ターちゃん』は7ページでした(格闘路線に進んでからは増えたけど)

>貴様に名乗るHNなど~さん
 なんとっ!!これは凄い情報ですね。
 2年前か……僕は既にマガジンを読んでいない時期なのですが、それ以前の4~5年前は本当に雑誌が分厚くて、なのに3作品くらい休載しているということが多々あって(笑)。スリム化のための変更というのは、マガジンに限って言えば納得です。
 ジャンプならその分連載を終わらせれば良いじゃんという発想になるんでしょうけど……どちらがイイとは言えませんね。

 雑誌によっては右ページがラストで左ページにその作品の特集ページを入れたりするので、必ずしも「広告を減らす」目的だけではないのでしょうが……誌面の作りやすさという点では、右ページの方が臨機応変に対応できそうな気がします。実際、講談社のほかの雑誌はもっと以前から右ページだったりするのですからね。

 そう考えると、奇数ページを貫くジャンプは(最近読んでないので変わっていたらスミマセンですが)独自路線を進むんだなぁと思います。

| やまなし | 2007/09/10 18:05 | URL | ≫ EDIT

ドラゴンボールの完全版では話を無駄なく繋ぐためにページの配置が1ページずつずらされている回もありますね。
見開きを全く使わないドラゴンボールだからこそできたことでしょう(扉絵の位置が固定されているone pieceでも可能でしょうが)。
逆に「間」が計算されているハンターではやってほしくないです。

「8ページ」を見て思い出しましたが、最近の「ベルセルク」で同じ印象を受けました。見開きが非常に多い上に掛声一つで終わる回もあったぐらいですから。

| レト | 2008/11/12 16:22 | URL | ≫ EDIT

>レトさん

>ドラゴンボールの完全版では話を無駄なく繋ぐためにページの配置が1ページずつずらされている回もありますね。
 え、えええええ!?
 僕は(通常版が全巻あるので)完全版を読んだことがなくて知らなかったのですが、それって作者からするとイヤじゃないかなぁ……『ハンター』に限らず全ての漫画は「間」を考えて構成してあると思いますし、見開きがズレたりめくりのタイミングが変わったりというのは、作品の本質そのものが変わってしまうような……

 まぁ、実物を見るとまた印象は変わるのかも知れませんけど。
 そもそも『ドラゴンボール』は通常版の時点でトビラ絵が後ろに来ていたりしますしね。謎。

| やまなし(管理人) | 2008/11/12 23:50 | URL | ≫ EDIT















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