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『RPGタイム!~ライトの伝説~』紹介/ゲームとプレイヤーへの愛が詰め込まれた極上の“接待”体験

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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
小学生のノートで作られた大冒険は、“つくえの上”だけで行われる
次々に新しいゲームがやってくるけど、「友達がクリアできる」ように考えられている
王道すぎるほどに王道! でも、そこが熱いストーリーと見たことのない演出達


『RPGタイム!~ライトの伝説~』
・開発:デスクワークス/発売:アニプレックス
公式サイト
XboxOne・Series X|S版+WindowsPC版:2022年3月10日発売
 Nintendo Switch用ソフト:DL版は2022年8月18日、パッケージ版は10月13日発売
 プレイステーション4用ソフト:2022年8月18日発売
 Steam版:2022年9月13日発売
・アドベンチャーゲーム+様々なミニゲーム
・セーブスロット1個(オートセーブ)


※ PVはXboxOne・Series X|S版+WindowsPC版発売時のものです
  私がクリアまでかかった時間は約9.5時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 小学生のノートで作られた大冒険は、“つくえの上”だけで行われる
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 2018年のBitSummit Volume 6で展示されて大きな注目を浴びていたゲームが、今年ようやく様々な機種で発売されて遊べるようになりました! 2018年って4年も前なの、嘘でしょ!?

 ゲーム内容は、小学校のクラスメイトであるケンタくんがノートに描いて(+様々な工作をして)手作りした「RPG」をいっしょに遊ぶというものです。なので、タイトルは『RPGタイム』ですが、プレイ感覚は「ケンタくんが思い描くRPGの物語を体験する」(アクション)アドベンチャーゲームかなと思います。


 小学校にはゲーム機とか市販のカードゲームやボードゲームは持ちこめないため、ノートやプリントの裏に落書きして「自作のゲーム」とか「すごろく」を作っていた子がクラスに一人や二人いたんじゃないかと思います。私も「すごろく」は作っていたなぁ。
 ケンタくんもそういうこどもの一人で、それを遊ばせてくれるんですね。ただし、私が小学生の頃に作っていた「すごろく」なんかとは比較できないくらい、クオリティもボリュームもトンデモないぞ!

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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 この描きこみの細かさを見よ!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 スクショではなかなか伝わらないかも知れませんが、このノートに描かれた鉛筆画のキャラクター達はヌルヌルと動くんですよ!
 「ノートに描かれたキャラがどうして動くんだ」って? それはきっと、小学生であるプレイヤー(=私)には動いて見えるってことなのかなと。


 この絵達は、開発者の一人である南場ナムさんが1枚ずつ手描きしていったもので、ゲーム全体を通して何万枚も手描きの鉛筆画を描いたらしいんですね。そりゃ開発に10年もかかりますよ!

 元々このゲームは、HAL大阪という専門学校の「ゲーム制作学科」で出会った藤井トムさんと南場ナムさんが卒業制作で作ったゲーム『バトルクエスト』が原型になっています。このソフトは学校から推薦され、「日本ゲーム大賞2007 アマチュア部門」で大賞を受賞しました。

 上のページでは数枚のスクショしか確認できませんが、『RPGタイム!』のプロトタイプとなっているのはよく分かりますし、受賞後の制作者コメントで「こうして作り上げていった机の上の世界観は、まだまだ発展途上で、手を加えれば加えるだけ面白いものになっていく確信があり、またどこかで続きを作っていける日を思って、更にアイディアを膨らませています。」と仰っていたんですね。


 その後、藤井さんも南場さんも別のゲーム会社で働くことになります。
 藤井さんはSCEでPS3のダウンロードゲーム『rain』(2013年)のリードプランナーなどを務めていたのですが、この時期のSCEは小粒なダウンロードゲームの新規タイトルをリリースしていたため、後に『RPGタイム!』になるこの作品も作れないかとSCEに入ったそうなんですね。
 しかし、残念ながら採用にまでは至らず、この頃になると世界中でインディーゲームが注目を集めるようになります。そこで「じゃあ、自分達だけで作るか」と2012年頃に開発を始め、藤井さんも南場さんも務めていた会社を辞めて―――というのが2014年辺りだそうです。

 学生時代に作ったゲームの「完成版」を諦めきれずに、再び相棒と手を組んで、全てを投げうってでも10年かけて完成させた―――もうこの過程だけで映画化できるでしょ!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 また、「ノートに描かれたRPGを冒険する」設定なのは、グラフィックが鉛筆画なだけでなく、鉛筆で何かを描き加えたり、消しゴムで道が消されたりといった演出にも使われているのがすごくイイんですよ。「友達がノートで作ったRPG」だからこその、見たことのない演出がずっと続くのです。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ボス戦はターン制で、「勇者の剣=鉛筆」で好きなところを斬りつけるのだけど、勇者の剣は鉛筆で出来ているため、「さっきの攻撃をした跡」が黒い線でずっと残るの芸が細かくて好きです。何気に「さっきはどこを攻撃したか」を勘違いしない効果もありますし。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 更にケンタくんのすごいところは、ノートの中の世界に留まらず「教室に持ってこられるもの」を総動員して演出に使ってくるところです。上履き、電卓、スティックのり、紙飛行機などなど、世代を問わず「小学校時代に使っていたもの」が次々と登場するのが懐かしい!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 これは、私が小学生の頃にはなかった……けど。
 ケンタくんは流石に作曲までは出来ないので、ケンタくんが好きなゲーム(架空)のBGMを、シーンに合わせて再生しているという設定です。
 こういうところにもちゃんと設定が作られているのすごいですよね。ケンタくんも『ライトの伝説』の設定を細かく作るタイプの作者ですが、『RPGタイム!~ライトの伝説~』を作った御二人もかなり設定を細かく作るタイプとみました!


 こんな風に「ノートの中」から飛び出した描写は多々ありますが、ゲームはケンタくんのつくえの上で展開していきます。
 あくまで「放課後、家に帰るまでの間にケンタくんの作ったノートRPGを遊ばせてもらう」体験なので、例えば「ケンタくんの家に行って続きを遊ぶ」みたいな展開にはなりません。この辺もシチュエーションコメディっぽくて、すごく好きなところです(もちろん次回作とかなら、場所が変わっていたりしてもイイと思いますが)。


↓2↓

◇ 次々に新しいゲームがやってくるけど、「友達がクリアできる」ように考えられている
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 では、このゲームが一体どう進行していくのかというと……
 基本パートは、十字キー・方向キーなどで「勇者」を動かしたり、重要なところを調べたりする「アドベンチャーゲーム」だと思います。
 敵との戦闘はストーリーの中で必ず戦う「イベント戦」だけで、通常のRPGのように「ランダムエンカウント」や「シンボルエンカウント」でザコ戦が始まることはありません。経験値やレベルの要素も一応ありますが、恐らくステージクリア時にのみレベルが上がるシステムだと思われます。

 もちろん、「RPGとアドベンチャーゲームの差は何か?」は人それぞれ意見が分かれそうなところですけどね……『ドラクエ』も『ポートピア』も「フラグを立ててストーリーを進めるゲーム」と言えますし。ケンタくんはこのゲームを「RPG」だと思って作っているし、開発者の御二人も「RPG」らしく作ろうと考えていたみたいですし。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 そして、このゲーム最大の特徴は……
 プレイヤーを飽きさせないよう、ストーリー展開に合わせて様々なミニゲームが始まるところです。突然、野球が始まったり。



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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ファミコン風のドット絵(を鉛筆で描いた)ゲームが始まったり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ○×ゲームで対決したり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 音ゲーが始まったり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 迷路が始まったり。



 ここに挙げた例はほんの一例で、これ以降も次から次へと新しいミニゲームが出てくるし、アドベンチャーパートもシチュエーションが凝っていて毎回ちがう展開をしていきます。言葉通り、ページをめくるたびに「新しい遊び」が始まるんですね。


 そして、そういった「ゲームの途中でミニゲームをプレイさせられるゲーム」にありがちな、初めて操作するミニゲームなのにやたら難しくて先に進めなくなってしまうことを避けるため、ケンタくんは「救済措置」をかなり用意しているんですね。
 ネタバレになるので何とは言わないのですが、終盤のミニゲームでムチャクチャ操作が難しいものがあって「うわー、どうしてこんな山場でこんな難しいミニゲームやらせるんだよー」と思ったところがありました。でも、どうやらこの異様に難しいミニゲーム……クリアしなくても話が進むみたいだったんですね。敵に惨敗したけど、そのままストーリーが進みました。

 ケンタくんみたいにアナログのゲームを手作りしたり、RPGツクール系のゲームで自作したものを友達に遊んでもらったり、逆に遊ばせてもらったりした経験がある人は分かると思うのですが……
 友達に自分の作ったゲームを遊んでもらって一番つらいのは、難しすぎて後半のステージを見ることなく諦められちゃうことなんですよ。だから、とりあえず誰でも突破できるくらいに難易度を引くくしたり、詰まっているところにはヒントを出したりしちゃうんですよね。ケンタくんは更に、「ガチで難しいところはクリアしなくても先に進める」ようにしてくれているという。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 「簡単すぎてゲームオーバーにならない」ゲームではありません。私のスクショを見てもらっても(左上の傷口みたいなマーク。海外では、正の字の替わりに数を数えるときに使う)、結構な回数ゲームオーバーになっていることが分かると思います。
 ですが、コンティニューはすぐ手前から復活ですし、「解き方が分からない」ことがないようにゲームオーバー時に任意でヒントをもらうことも出来ます。


 小学生のケンタくんが、プレイヤーである「あなた」に最後まで遊んでほしいととことん接待してくれるんですね。
 世の中のほとんどのゲームが、「絶対に楽にはクリアさせてやらないぞ!」とプレイヤーを苦しませる難易度にしてきているのに比べると……小学生の方がよっぽど「プレイヤーが楽しんでくれること」を想像してゲームを作っているように思えるぞ! ゲームを作っている大人達は、小学生のときの気持ちをどこに置いてきてしまったんだ!!



 まぁ、そんな優しさに満ちたこのゲームでも、「格闘ゲームの必殺技コマンドのようなものを入力するところ」はなかなか認識してもらえなくて苦戦しました……アクションゲーム苦手な人はあそこで詰まっちゃいそうなんで、もうちょっと判定を緩くしてくれてもイイのにと思いました。


↓3↓

◇ 王道すぎるほどに王道! でも、そこが熱いストーリーと見たことのない演出達
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ストーリーは、王国の姫が魔王デスゴッドにさらわれ、勇者が姫を助けるために追いかけていくというもの。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 街で情報収集をしたり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 迷いの森を進んだり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 怪しげな洋館を探索したり……

 「RPGによくある王道展開」を突き進んでいきます。
 これは、ケンタくんが思い描いた「RPGの体験」をノートの中に落とし込んだものなので、奇をてらわずに、パロディとかでもなく、まっすぐに「王道RPGのストーリー」を描いてくれるんですね。これは「小学生が作ったノートRPG」だからこそで、大人がこれを作ろうとしたらちょっと照れてしまうというか、ひとひねりしがちだと思うんです。でも、ちゃんと「小学生が作ったゲーム」として王道を貫いているのすごくイイんですよ。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 冒険者学校で出会う仲間達も、ベタだけど(だからこそ)魅力的なキャラだったなぁ。私の推しは、生物学者のウイーダちゃんです。



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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 とまぁ、大まかなストーリーラインは「王道中の王道」なんですが、それが描かれるのは「小学生のノートの中」で、最初の項で書いたようにケンタくんがいろんなものを使って演出してきます。
 例えば、「お化け屋敷っぽい洋館」ではカーテンを閉めて、ちょっと部屋を暗くするなどこのゲームならではの演出をしてくるんですね。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 『スーパーマリオブラザーズ3』のように、ステージをクリアするたびにレイ姫から手紙が届くのですが……ボール紙に描かれた絵に下からライトを当てて「ホログラム」と言い張っているところ、むっちゃ好きです。



 「熱い王道ストーリー」と「見たことのないこのゲームならではの演出」が組み合わさることで、「見たことのない王道ストーリー」になっているのが凄いのです。終盤の展開は震えまくりでした……あんなに王道の話なのに、まったく古臭く感じないのだから。




 RPGというよりアドベンチャーゲームなので、全体的なプレイ時間はそれほど長くないし、リプレイ性もほとんどありません。「放課後、下校時刻までにノートRPGをクリアしなくちゃならない」というゲームの性質上、一度クリアした場所に戻ったり、ミニゲームだけを遊んだりも出来ません。その辺はちょっと惜しいよな……と思ったのですが、

 このゲーム、「アップデート」の予定があるそうなんですね。


 内容は不明ですが、「クリア後に面白かったところをやり直せる」みたいな機能が付いたら嬉しいです!


 また、過去のインタビューで開発者の藤井さんはこう仰っていたんですよ。

<以下、引用>
──今回は小学生のけんたくんが作ったRPGを遊ぶという内容ですが、たとえば別のパターンなども考えておられるのでしょうか。

藤井「別のパターンも欲しいという話は、チームでもしていました。今回のゲームマスターである少年は、言ってしまえば優等生なんですよ。作っている物量が物量なのですぐには無理なのですが、女の子がゲームマスターとして進行してくれたり、いじめっ子や先生がゲームマスターになったりと、DLCなどで違うバリエーションも展開できたらと思っています。ですが、まずは本編を1本作ることが先決ですね。」

</ここまで>
※ 強調など一部引用者が手を加えました

 同じゲームを、ケンタくん以外の人ががゲームマスターになって遊ばせてくれるDLC!
 もちろんこの時点で語られたのは「完成した後の願望」みたいな話だと思うのですが、もう既にゲームをクリアしてしまった人に向けて2周目・3周目を遊びたくなるようなアップデートをしてくれるなら……これはかなり面白そう!



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 先人達の作ったゲームが大好きで、更にはゲームを遊んでくれる人達も大好きだというケンタくんと開発者の方々の想いが詰め込まれた作品でした。「ゲームの腕」には自信がなくても、「ゲームが好きだ」とか「最近はあまりできていないけどゲームが好きだった」という想いがある人には是非オススメです!

 何十時間とかかるゲームではないので、週末とか連休の日に一気にクリアするみたいな遊び方もできるでしょうし。


 私はNintendo Switchのダウンロード版で遊びましたが、9月13日にはSteam版が発売され、10月13日にはNintendo Switchのパッケージ版が発売予定です。色々な人が手に取りやすい環境が揃っていくと思うので、是非是非オススメです!


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