『ワールドトリガー』1~19巻が面白い!/バトル漫画の緊張感とスポーツ漫画の人間ドラマを融合したハイブリッドエンターテイメント!

<画像は『ワールドトリガー』3巻21話「三雲修3」より引用>
【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
・普段は「敵チーム」でも、侵略者と戦う時は「味方チーム」になる“日本代表”感
・「超強い主人公」と「超弱い主人公」のW主人公
・3Dゲーム世代による「地形を活かしたチーム戦」
【紙の本】
【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
※ この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。
・シリアス展開:△(人が死ぬ展開は実はほとんどない。さらわれたりはするけど)
・恥をかく&嘲笑シーン:○(序盤の修には多少共感性羞恥を感じるかも)
・寝取られ:?(まだ分からない……)
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:○(生身ではなく戦闘体なんだけどバシバシちょん切れる)
・人が食われるグロ描写:△(正確には食われているのではなく捕獲なんだけど)
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×
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◇ 普段は「敵チーム」でも、侵略者と戦う時は「味方チーム」になる“日本代表”感
バレンタインに既刊全巻をプレゼントしてもらった『ワールドトリガー』、あまりに面白くてあっという間に最新刊まで読み終えて、すぐにまた1巻から読み始めて2周目もあっという間に読み終えたくらいハマりました!
「こんな有名作品を今更紹介されても、オマエ以外は全員知っとるわ」と言いたくなる人もいるかも知れませんが、どんなことでも知らない人はいるのだから一から説明しようがウチのコンセプトなので、まだ読んだことがないという人のためになるべくネタバレしないように紹介しようと思います。
この作品は2013年から週刊少年ジャンプで連載されたバトル漫画で、2014年~2016年にはテレビアニメ化もされました。その後、原作は作者の体調不良のために長期休載に入りますが、2018年の秋に連載再開→12月からはジャンプスクエアに移籍して月刊連載となりました。
19巻まで読んだところ、まだまだ話は続きそうなので、葦原先生には体調にお気をつけてどんなに時間がかかっても構わないから焦らずに完結まで描き切って欲しいなと思いました。
ストーリーは、異世界への「門」から侵略してくる「近界民(ネイバー)」と、ネイバーの技術を応用してそれに立ち向かう防衛機関「ボーダー」との戦いを描いています。主人公達が「私達の世界を守る」側のボーダーで、それを脅かす敵がネイバーと認識して読み始めてイイと思います。
「侵略者」と「防衛者」の戦いを描いた作品と言えば、『ウルトラマン』とか『エヴァンゲリオン』とか最近では『進撃の巨人』とかたくさんあると思うのですが……それらの作品とちょっとちがう独特なところは、この『ワールドトリガー』は「防衛者」たるボーダーの隊員同士の戦いも頻繁に描くところにあります。
それは「隊員同士がしょっちゅう揉めている」というワケではなく(そういうこともあるけど)、ボーダー内に「隊員同士でチームを組んで模擬戦を行うシステム」が出来ているからなんですね。

<画像は『ワールドトリガー』3巻22話「玉狛支部2」より引用>
しかし、もちろんネイバーが侵略してきた際には全ボーダー隊員が協力してネイバーと戦うことになります。ボーダー同士の戦いでは主人公達の「敵」として出てきたキャラが、ネイバーとの戦いでは「頼れる味方」になったり、逆にネイバーとの戦いで「頼れる味方」だったキャラと、ボーダー内でのランク戦でまた「敵」として戦ったりもするのです。

<画像は『ワールドトリガー』2巻14話「三輪隊」より引用>
例えば、主人公:遊真が最初に戦ったA級隊員である米屋先輩(よねやセンパイね、お米を売っているワケではない)――――

<画像は『ワールドトリガー』4巻29話「嵐山隊3」より引用>
嵐山隊と戦ったA級1位チームの出水先輩――――

<画像は『ワールドトリガー』5巻40話「空閑遊真8」より引用>
修にケンカを売って、遊真をブチギレさせた緑川――――
それぞれ別のシーンに出てきた「敵」キャラと言えるのですが……

<画像は『ワールドトリガー』7巻58話「大規模侵攻8」より引用>
ネイバーとの防衛戦では、「頼れる味方」として3人で組んで戦ってくれるのです。
「敵だったキャラが味方に」というのはバトル漫画の王道ですが、この作品はネイバーとの戦いが終わればまたそれぞれのチームに戻って「敵チーム」になるので―――サッカーとか野球とかで、普段はそれぞれ別のチームの選手として戦っている選手達が、W杯とかの国際大会で海外の強豪と戦う時だけ「日本代表」として集まって戦う感覚に近いと思います。
「ジュビロのエース」と「アントラーズのエース」が日本代表ではツートップなんだから頼もしいぜ!みたいな感覚で、A級7位のアタッカー米屋先輩とA級1位のシューター出水先輩が組んでくれるんだから頼もしいぜ!みたいな。
元々この『ワールドトリガー』という作品、「次の作品はスポーツ漫画でいくかー」と企画していたものが、編集さんから「もっと好きなことを描いた方がイイ」と言われて、考えていたスポーツ漫画の要素を取り入れたSFものとして再企画されたそうなので……スポーツ漫画っぽいテイストもかなり強いんですね。
連載開始前に「100人くらいのキャラクターを考えた」とか、そのキャラクター1人1人に細かい設定があるとか、このキャラは普段はこの学校に通ってこっちのキャラと同じクラスだとか、このキャラとこのキャラはイトコなので呼び方がちがうとか―――作品の中には出てこない部分まで設定を作りこむことによって「世界」を作り上げている手法は、例えば『おおきく振りかぶって』とか『少女ファイト』みたいなスポーツ漫画で見られる手法で、それをバトル漫画に落とし込んでいるんですね。
さっきの米屋先輩と出水先輩は、実は高校では同じクラスという設定のため(データブック参照、本編でも1コマだけ一緒に昼飯食べているっぽいコマがある)、お互い「弾バカ」「槍バカ」と軽口を言い合う関係だったりするという。一応言っておきますけど、この2人は別に主人公でもメインキャラでもない「100人くらいいるキャラの1人」ですからね。

<画像は『ワールドトリガー』13巻オマケページより引用>
コミックスのオマケページでは、各チームが作戦室をどう使っているのかという細かい設定も披露されていて面白いです(ページの一部しか撮影できず、太刀川さん見切れちゃってゴメンナサイ)。主人公でもなければ、メインキャラでもないキャラであっても、そのキャラが生きているバックボーンをちゃんと感じさせるのがこの漫画の好きなところです。

<画像は『ワールドトリガー』3巻24話「本部トップ部隊」より引用>
好きなキャラはたくさんいるのだけど、敢えて1人だけ私の推しキャラを挙げるなら「小南(こなみ)先輩」です。美人で勉強もできてお嬢様学校に通っているというのに、すぐ人に騙される表情豊かなチョロかわ先輩。

<画像は『ワールドトリガー』10巻81話「大規模侵攻24」より引用>
でも、ひとたび戦闘体になると、髪型がロング→ ショートに変わって、無茶苦茶強くて頼れる先輩になるのが格好いいのです。ギャップのある女性ってイイよね。あと、この服と体型がエロすぎる。
まぁ、エロイかどうかは置いといて……ボーダーという「ネイバーと戦う10代中心の若者が集まる組織」を舞台にしているため、先輩・後輩の関係性がちゃんと描かれるのがスポーツ漫画というか部活漫画っぽいなと思います。みんな年上にはちゃんと「先輩」って付けて呼ぶところとか、後輩を連れてご飯食べに行く場面とか、すごい好きです。
ということで、スポーツ(観戦)が好きな人や、スポーツ漫画が好きな人は、この作品にハマる素養があるんじゃないかと思います。
↓2↓
◇ 「超強い主人公」と「超弱い主人公」のW主人公
ということで、『ワールドトリガー』最大の特徴は「予め100人くらいキャラを考えていた」ことによって、主人公以外のキャラもスポーツ漫画のようにしっかりと生きていてしっかりと活躍するところにあると思います。しばらく主人公達が登場しない展開が続くこともありますが、それでも全然面白いですもんね。
しかし、じゃあこの作品の主人公に魅力がないかと言われたらそんなことはないし、「100人全員が主人公」というワケでもありません。「100人もキャラを考えていた」とは言え、やっぱりこの作品は「空閑遊真」と「三雲修」の2人の主人公が中心にいるから面白いと思うんですね(作者としては、「雨取千佳」と「迅悠一」も加えた4人が主人公と考えているそうです)。

<画像は『ワールドトリガー』2巻8話「木虎藍2」より引用>
主人公の1人は「空閑 遊真(くが ゆうま)」。
幼少期からの戦闘経験と、柔軟な発想もさることながら、超貴重な黒トリガーを持っていることで「超強いタイプの主人公」です。
『ワールドトリガー』という作品は、「主人公だけが特別な力を持っている」のではなく「ネイバーの技術を使って作られた武器をみんなで使って戦う」ことが最初のコンセプトらしく―――ボーダー隊員が使う武器は基本的には「誰にでも使える武器の中から自分が選んだものを使っている」という設定です。
『ゼルダの伝説』のマスターソードはリンクにしか使えないから「主人公だけが特別な力を持っている」だけど、『Splatoon』の武器は「誰にでも使える武器の中から自分が選んだものを使っている」みたいなことですね(ランクによって使ってイイ武器が違ったりもしていますが)。
ただし、それは量産できるノーマルトリガーの場合は、という話で……
複製も量産もできない貴重な黒トリガーは使用者との相性が良くなければ起動できず、遊真の持つ黒トリガーは(恐らく)遊真にしか起動できない専用機なんですね。なので、作中でも最強クラスの強さのキャラという。
「背は小さいけれど無茶苦茶TUEEEEEEE」という主人公は、『ドラゴンボール』の孫悟空に代表されるように少年漫画の王道と言えるのですが……
遊真の黒トリガーは「普段は使ってはいけない」という事情があるため(詳しくは原作を読んでね!)、その能力を封印しているカンジは『ダイの大冒険』のダイの方が近いのかもと思います。そうすると、レプリカがゴメちゃんか。

<画像は『ワールドトリガー』1巻4話「三雲修2」より引用>
という流れで説明すると、遊真がダイだとしたら、もう1人の主人公:ポップのポジションとも言えるのが「三雲 修(みくも おさむ)」です。超強い遊真に対して、大して強くない「読者目線のキャラ」と言えるのですが……
いや、ホントすごい。
「大して強くない」レベルの話ではないです。
ポップとか、その辺の「才能はなくても活躍するキャラ」と比較してはなりません。

<画像は『ワールドトリガー』3巻23話「玉狛支部3」より引用>
無茶苦茶弱い。ビックリするくらい弱い。
ひょっとしてネームドキャラの中でも最弱なのでは……と思ったけど、いや、流石にボーダー隊員でない担任の先生とかよりは強いか。
ハハーン?なるほど、実力はないけど頭を使って戦うタイプなのね。メガネだし!
……と思ったら、そうでもないのです。他のチームの人達だってしっかり考えて戦うため、修だけが「天才」とか「頭が切れる」みたいなこともありません。メガネをかけていなくても頭の良い人はいるのです!
普通の漫画だったら誰か一人くらい修の才能を見抜いて「彼はきっと伸びるよ」みたいに言わせると思うのですが、それすらもありません。現時点で強くはない、今後伸びていきそうな才能もない、特別に頭が切れるワケでも、とりたてて人望が厚いワケでもありません。「超弱いタイプの主人公」の中でも、ここまで徹底して「凡人」として描かれる主人公は珍しいと思います。
でも、ちゃんとカッコイイんですよ。
ステータスを数値化したら全項目が最低値に近いようなキャラでも、「主人公だから」という理由で活躍させてもらえるようなご都合主義でなくても、ちゃんと読んでいる人に「こんな人間になりたい」と思わせるキャラクターになっているのが凄いです。実際、人気投票なんかでも1位になるんだから、ジャンプの読者にもそれが伝わっているという。
それは、この『ワールドトリガー』が個人の強さだけがモノを言う「個人戦」ではなく、1人1人が役割を担うことが大事な「チーム戦」だからというのが大きいと思うのですが……それは次の項目で。
「超強い遊真」と「超弱い修」の2人が主人公―――というのが、この作品の魅力であって、もしこれが片方しかいなかったらこんなに万人受けする作品にならなかったと思うんですね。
「遊真」しかいなかったら「主人公だけが特別扱いされる俺TUEEEEEE漫画」みたいに言われたかも知れないし、「修」しかいなかったら「主人公があまりに弱くてカタルシスが感じられない」みたいに言われたかも知れません。作品の中でもこの2人は名コンビだと思いますが、作品を読む人達にとってもこの2人は互いの弱点を補い合う名コンビだなぁと思います。
↓3↓
◇ 3Dゲーム世代による「地形を活かしたチーム戦」
ちょっと話が横道にそれますが、この記事をどうぞ。
【新連載】「とある魔術の禁書目録」は”格ゲー”世代? 鎌池和馬が語るゲーム史がラノベ作家に与えた影響【ゲーム世代の作家たち】(電ファミニコゲーマーより)
『とある魔術の禁書目録』などで知られるライトノベル作家:鎌池和馬先生へのインタビュー記事なのですが、ゲームが「漫画や小説」に与えた影響についての鎌池先生の分析がすさまじいので一読あれ。
例えば、TRPGや『ドラゴンクエスト』以後のRPGの世代は「世界」をきっちり作ろうとするのだけど。
ポリゴンで3D空間を作るプレステ世代になると、『Dの食卓』や『バイオハザード』など「一つの洋館」や「一つの町」を舞台にした作品が多くなるため、そうした世代の作家が作る作品は「一つの町を舞台にした箱庭的な作品」が多いのではないか―――とか(実際、『とある』シリーズは学園都市という一つの町を舞台にした作品ですよね)。
そこから考えると、広大な世界の一部に降り立つMMORPGの世代が「異世界転生もの(異世界転移もの)」を作っているんじゃないかとか。ソーシャルゲームの世代からは、キャラクター周りの断片的な情報だけで楽しめるものが生まれるんじゃないか―――とか、色々考えられるのですが。
『ワールドトリガー』に話を戻すと、この作品の作者である葦原先生は『スカイリム』などの洋ゲーが好きだとインタビューで答えているくらいかなりのゲーム好きだそうです。
んで、このジャンルが好きかどうかはインタビューでは確認できなかったのですが、『ワールドトリガー』の「地形を活かしたチーム戦」というのは、FPSとかTPSのような「オンライン対戦3Dアクション(シューティング)」の世代の発想と思うんですね。今で言えば、『Splatoon』みたいなジャンルのゲームです(『ワールドトリガー』の連載開始は2013年なので、当然『Splatoon』より前ですけどね)。
ネイバーが攻めてきたときの防衛戦はもちろん「町」が戦場になるワケですが……ボーダー隊員同士の模擬戦になる「ランク戦」も、ネイバーが攻めてきた時のための準備を兼ねているめ、「町」の様々な場所を再現したステージの中から選ぶことになります。

<画像は『ワールドトリガー』10巻87話「玉狛第2 2」より引用>
「市街地」「河川敷」「工業地区」などのステージを選んで模擬戦を行うのは如何にもゲーム的ですし、そうして選んだステージの地形を活かして戦うのは「3D空間を活かしたゲーム」の世代の発想だなぁと思うのです。
「3D空間を活かしたゲーム」というのがピンと来ない人もいると思うので超簡潔に説明すると、ゲームが3Dになって変わったのって「高さ」の概念が加わったところなんですね。FPSやTPSといった「オンライン対戦3Dアクション(シューティング)」は、ゲームが「高さ」を表現できるようになったことで発展していったジャンルなんです。

<画像は『ワールドトリガー』2巻14話「三輪隊」より引用>
例えば、「高台」からスナイパーが狙撃するとか、逆に「高い建物を壁にして」四方八方からの攻撃を防ぐとか。地形を活かした戦い方が重要になってくるのです。

<画像は『ワールドトリガー』3巻22話「玉狛支部2」より引用>
そのため、チーム編成も「近距離に強いアタッカー」「中距離に強いガンナー/シューター」「遠距離に強いスナイパー」、更に「彼らに情報を送るオペレーター」とポジションが分かれていて。それぞれに役割がちがっていて、必ずしも「1対1が強い方が勝つ」ワケじゃないんです。
これが「ゲームの世代によって描かれる漫画・小説が変化する」説とつながっていて―――
格闘ゲームの世代は、やっぱり「1対1」を重視する作品が多かったと思うんですね。なるべく平地で、地形の有利不利がないところで、向き合って「さぁ!勝負だ!」みたいな。『とある魔術の禁書目録』もそうですし、SNKの格闘ゲームが大好きだと公言していた和月先生の『るろうに剣心』とかもそうですよね。
そうした作品に対して「もっと地形を活かしたバトルが観たい」といった批判も一時期はすごく多かったと思うのですが、今にして思うとそれは「漫画として劣っている」というより「格闘ゲームの文法を踏襲している」だけだったのかもと思いますね。『スマブラ』を「終点・アイテムなし・1on1」で戦って勝つ奴が強い、みたいな美学。
それに対してFPS・TPS世代(と勝手に言っちゃっていますが)の『ワールドトリガー』は、地形も使うし、チームで連携して「2対1」「3対1」といった数的優位の状況を作ることが良しとされています。強い敵には何人かがかりで戦ったりもします。『モンスターハンター』とかだって複数プレイヤーで共闘して巨大なモンスターと戦うように、「1対1」でなければ卑怯だという格闘ゲーム世代とはバトルの捉え方がちがうんですね。

<画像は『ワールドトリガー』7巻56話「風間隊」より引用>
第1の項目で紹介したことも、第2の項目で紹介したことも、すべてはこの「チーム戦で戦うバトル漫画」というところにつながっていて―――「100人くらいキャラがいる」という話も、ボーダー隊員は「○○隊」といったチームごとに4~5人はいるため、どうしたって多人数が必要なんですよね。それが分かっているから、最初から100人くらいのキャラを考えておいたという。
また、主人公の1人である三雲修が超弱くても活躍できるのも「チーム戦」だからであって、「1対1」では誰にも勝てない弱さであっても、味方を活かす活躍があるんですね。
「こんなに超弱い主人公はそうはいない」と書きましたが、実はチーム戦のスポーツ漫画ならそれもありえる話で……例えば『スラムダンク』の桜木花道なんかはバスケットボール選手としては素人で、自分の得点数はものすごく少ないのですが、リバウンドという「外れたシュートのボールを拾う」ことでチームメイトの得点につなげていたんですね。性格は正反対だし、身体能力だけは高かった桜木花道とちがって身体能力も低いのですが、「主人公としての立ち位置」を考えると三雲修は桜木花道タイプの主人公だったのかもって思います。空閑遊真が流川楓ですね。とすると、迅さんがゴリ……?
ということで、この『ワールドトリガー』は「バトル漫画でありながらスポーツ漫画の魅力を持っている作品」だと思うのです。

<画像は『ワールドトリガー』2巻8話「木虎藍2」より引用>
そんな「スポーツ漫画のようなバトル漫画」を実現させている発明として、この作品特有の「戦っている時の体は、生身ではない」という設定があります。
戦闘体がどんなにダメージを喰らっても生身には影響がなく、戦闘体で首をちょん切られても生身に戻るだけだったり、戦闘体で腕や脚がもげてもそのまま戦い続けたりします。この戦闘体は数日あれば作り直せる“作りもの”なのですが、首が跳ね飛ばされる姿や、腕や脚が欠損した状態で戦っている姿は、人によってはショッキングに見えてしまうかも知れないのが注意です。
ただ、このおかげで「スポーツ感覚で戦えるバトル漫画」が実現出来ているんですね。
「銃の撃ち合いなのに血が出ないゲーム」な『Splatoon』とかにやっぱり通じるものがある気がします。
◇ 結局、どういう人にオススメ?

<画像は『ワールドトリガー』11巻94話「空閑遊真11」より引用>
バトル漫画が好きな人にも、スポーツ漫画が好きな人にもオススメできる万人向け作品ですが……「たくさんのキャラクターが出てくる作品」の宿命として、キャラが出揃うまでのスタートダッシュがどうしても弱くなってしまうところがあって、例えばコミックス1巻だけ買って面白さが伝わる作品ではないと思うんですね。
「最低でも10巻まで読んでくれ!」と言いたいけど、流石にそれは今から買って読むかを悩んでいる人にはハードルが高そうなので(笑)、とりあえず5~6巻までは読む気があるという人には是非オススメです。そこまで読めば、恐らく合うか合わないかが分かると思いますから!
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