考察:「百合」か「女のコ同士の友情」か
最近の自分は「百合=女性同士の恋愛を描いた作品」よりも、「女のコ同士がイチャイチャしているだけの作品で百合妄想をする」方が好きなのかも知れないと気付いてしまいました。“公式”に与えられた百合よりも、“妄想”による百合の方が、自分の好き勝手できるじゃないか!と。
例えば、『ハナヤマタ』で描かれているものは「百合」というよりは「女のコ同士の友情」ですから、「なる×ヤヤ」だろうが「ハナ×なる」だろうが「ハナ×ヤヤ」だろうが好きなように妄想できますし、そういう“幅”が用意されていると思うのです。
これは『けいおん!』の時にも言われていたし、『ごちうさ』なんかでもそうだと思います。「唯×梓よりも律×梓の方が好きだ」とか、「シャロはリゼよりも千夜との方が夫婦みたいでイイ」とか、「登場人物の数×登場人物の数」の分だけ百合妄想の組み合わせが広がって好きなように楽しめたと思うのです。
しかし、同じ芳文社原作のアニメでも『桜Trick』だったらそうはいきません。
あの作品で描かれているのは「友達」を超えた「特別な関係」で、「春香×優」という組み合わせが“公式”から提示されてしまっている以上、“妄想”で他の組み合わせを作るのが申し訳ない気持ちになってしまうのです。
以前に、「“公式”で女のコ同士にくっつかれたらイヤだ」と言った新規の百合好きが、古参の百合好きから叩かれた―――ということが話題になりましたけど……今の自分はその叩かれている側の気持ちがよく分かりますし、生粋の百合好きの人達からは「オマエなんかは百合好きじゃない!百合好きを名乗るな!」と怒られるんでしょうし。
この話は、「ハーレムアニメで好きなヒロインと主人公が結ばれたら嬉しいのか」問題にも通じる話かも知れません。“公式”から正解を提示されたいワケじゃないんだよという感覚。
(関連記事:「百合好き」と「百合キャラ好き」は似て非なる)
(関連記事:「貴方の好きなヒロイン」には、主人公とくっついて欲しいですか?)
さて、実はここからが本題です。
この“「百合」か「女のコ同士の友情」か”問題を考えていて、一つ思いだしたゲームがあったのです。2011年にニンテンドーDS用ソフトとして発売された『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』というゲームです。
私はこのゲームは買っていなかったのですが、開発者のブログで「恋愛要素」について面白い話がされていたのです。
<以下、引用>
また、恋愛要素については問題点もあり、
・主人公キャラは女性。
これを男プレイヤーが操り、男性キャラとくっつくというのは気持ちが悪い。
・女性プレイヤーでも、いい男が居ないと思う場合がある。
<中略>
いろいろ考えを出し合って...
・暖かい、ほのぼのした終わり方、かつ、恋愛要素の代用として△△さんと一緒に仕事をするようになるエンド
・2ショットの絵が出るエンド。
これなら、男女どっちもいけそうだ。
・男プレイヤーなら、女性キャラと仲良くなるエンディングを目指せる。
・女性でも、かっこいい女性と組むような終わり方っていいと思う。
・ああ、この2人は、この後一緒に暮らしていくんだな、ぐらいの、プレイヤーがその後を勝手に想像出来る終わり方。
ここで吉池氏が食いつく。
このアイデアはよいですね!
友情エンド、恋愛エンド、2ショットエンド、百合エンド、色んな言われ方をされると思いますが(笑)
恋愛以外の組み合わせもあるんだよ、ということで万人に受け入れられると思います。
名付けて「あの人と一緒エンド」!
</ここまで>
私は当時このアイディアを「上手い!」と思ったんです。
このゲームは「可愛らしい女性主人公のゲーム」ですから、「恋愛要素を入れて欲しい」という要望に応えようとすると「男性キャラとくっ付く」ことになってしまい「他の女性キャラは単なるモブ」になりかねません。
しかし、「異性のキャラとくっつく恋愛エンド」に限定せず「同性・異性関係なくくっ付く“あの人と一緒エンド”」にすれば――――異性キャラとくっ付けば恋愛エンド、同性キャラとくっ付けば友情エンドor百合エンドと、プレイヤーによって様々な受け取り方をしてもらえるんじゃないかと。
これって今年に入って(悪い意味で)話題になった『トモダチコレクション』の同性婚問題にも通じる話かもなーなんて今になれば思うのですが。
しかし、このアイディア……
誰だか忘れましたけど、Twitterで自分のタイムラインを見ていたら激昂している人がいたんです。「百合を匂わせているのが許せない」「みんなが百合を喜ぶと思うな」「買うつもりだったゲームだけどもう絶対に買わない」と。
私はすごく驚いたんです。
あの開発者ブログの文面からは「みんな百合大好きなんでしょー。百合エンド入れたから喜んでねー」なんて意図は全く感じませんでしたし、むしろ「百合が好きな人は百合として受け取れる」「百合が嫌いな人は友情として受け取れるし、異性ともくっ付ける」という“幅”を用意してくれたと思ったんですが。
「百合」が嫌いな人は、「百合を匂わす」とか「百合エンドという解釈の出来るエンディングパターンがある」というだけで許せないものなのか――――と。
これ考えると、『トモダチコレクション』で同性婚が入らなかった理由も分からなくもないですよね……仮にオンオフを出来るようにしても、「機能としてある」だけで許せない人はいるもんなんだなと。
話を戻します。
なので……『けいおん!』だったり、『ごちうさ』だったり、『ハナヤマタ』だったり、「女のコ達の青春日常アニメ」って“公式”からは「百合」という言葉は使わないようにしているんですよね。
私のように「女のコが二人いればそれはもう百合です」という百合脳な人間からすれば、『けいおん!』の「梓→唯」も、『ごちうさ』の「チノ→ココア」も、『ハナヤマタ』の「ヤヤ→なる」も、全て「キマシタワー!」とガチな「恋愛」に思えるのだけど。百合が嫌いな人には、これは「恋愛」ではなくてあくまで「友情」とか「憧れ」とか「家族愛」なんですよと言い張れるギリギリの範囲内に留めてあると思うのです。
『ゆるゆり』の茜とか、『のんのんびより』の蛍はアウト。
アレは言い訳のしようもなく「百合」だと思います。「百合」というか何と言うか……(笑)。
まぁ……なので、一言で「日常系アニメ」とくくっても、『ごちうさ』と『桜Trick』ではその辺のスタンスは180度真反対だと思いますし。「日常系アニメ=ゆるい百合アニメ」と表現している人もいるんですけど、「百合」と受け取るのは視聴者がそう受け取っているだけであって、“公式”からは「あくまでこれは友情です」と言い張られている作品の方が多いんじゃないかなぁと思います。
「百合」が嫌いな人には「これは百合ではないです!」と言い張って、「百合」が好きな自分のような人間には「そこから先の妄想はご自由に!」と提示してくれているというか。
(関連記事:成長する日常系アニメが好きだ)
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○ 余談
レビュー見てたら、とても面白そうだな……『ノーラと刻の工房』……
デジタル積みゲーがたくさんあるのに、欲しくなってきた……
それはさておき。
最近では、(『桜Trick』は例外として)『けいおん!』とか『ごちうさ』みたいな「女のコだらけでイチャイチャするアニメ」よりも、「男性キャラも登場してしっかり恋愛をテーマにして描こうとするアニメ」の方がガチな「同性を好きになってしまっている女性キャラ」は登場しているように思えます。『たまこまーけっと』もそうだし、『グラスリップ』もそうだし。
「百合」も恋愛の一形態なのだから、男キャラも登場する恋愛をテーマにした作品を考えたら自然と「同性を好きになってしまっている女性キャラ」が入ったということなんですかね。なのでまぁ、同じメインスタッフでも『けいおん!』と『たまこまーけっと』では方向性が真反対だというのが面白いところ。
自分は「女しかいないから百合」よりも「男が存在しても百合」の方が好みなんですけど。百合作品ではないと思って観始めているから、「心の準備がっ!!!」と焦ってしまいます(笑)。
実際、百合作品以外だと、「同性を好きになってしまっている女性キャラ」って報われないキャラの方が多いので……「わーい!ガチ百合だー!」と純粋に喜べるというよりかは、「どうして幸せにしてあげないんだよ!」と切なくなる気持ちの方が強くなってしまいますからね。
そう考えるとやっぱり「女のコだらけでイチャイチャするアニメ」って、「不幸なキャラを作らない」ためによく考えられているんだなーと。
とりあえず今季の私はタミお姉ちゃんに期待しています。
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| ヒンヌー | 17:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
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