『けいおん!』の更に向こうへ。『ハナヤマタ』第1話が素晴らしかった!
※ このブログの管理人は原作未読ですし、原作の展開を知りたくない人は他にもいらっしゃるでしょうから、コメント欄やリプライで原作のネタバレを教えてくれるのはやめてくださいね。
アニメは第1話で残り全部の話数の面白さが保証されるワケではないので、第1話時点で「このアニメは面白い!みんなにもオススメ!」みたいなことはあまり書かないようにしてきたのですが……『ハナヤマタ』の第1話に関しては、もうこれは記事を書く義務が自分にはあるだろうレベルだったので書かせていただきます。
テレビ東京とテレビ大阪の第1話放送はもう終わってしまいましたが、テレビ愛知、AT-Xでの放送はこれからで。7月11日からニコニコ動画で「最新話1週間無料」配信、7月14日からバンダイチャンネルで「最新話1週間無料&月額会員は見放題サービス」配信、同じく7月14日からdアニメストアでも「月額会員は見放題サービス」が配信されるそうです。
今日の記事は第1話のネタバレ全開で書くつもりなので、気になってくださった方はこの記事を読むのを後回しにして第1話を観てから読むことをオススメします!
さて、どうして私がここまでこの作品に入れ込むのか―――
私はアニメが終わるまで原作は読まない主義なので、原作漫画はまだ読んでいません。第1話を観終わったタイミングで、キンドルで全巻セールをやっていたのでキンドルで出ている分は既に全巻買っているんですけど(キンドルではまだ4巻が出ていないんですねぇ。こういうところがキンドルはネックだ)、読むのはアニメが終わってからにするつもりなのです。



なので、これが「同じ芳文社の漫画」として原作からそうなのか。
もしくは、「同じシリーズ構成の吉田玲子さん」がアニメから意識してそうしたのかは分かりませんが……
思いっきり、『けいおん!』の第1話を意識した第1話になっていたのです。
「いや、それは流石に考えすぎだろう」とか「ヲタクはすぐに過去作品との比較であーだこーだ言うからウザイんだ」と思う人もいらっしゃるかも知れません。『けいおん!』の1期はもう5年前なので、最近アニメを観始めたから『けいおん!』は知らないという人もいらっしゃるでしょうしね。でも、考えすぎではないと思います。

<『ハナヤマタ』第1話より引用>

<『けいおん!』第1話より引用>
だって、全く同じシーンがあるんですもの。
『けいおん!』の主人公:平沢唯も、『ハナヤマタ』の主人公:関谷なるも、「特に得意なことも目指していることもなく淡々と日常を生きていて、いつか変わりたいと漠然と思っていた」という点ではほぼ一緒の境遇の主人公なんです。『けいおん!』という物語はそんな境遇の主人公でも、「すぐ見つかるから……私にも出来ることが、夢中になれることが、大切な……大切な……大切な場所が!」という物語でした。
しかし、関谷なるは“平沢唯”にはなれないのです。
『けいおん!』の第1話は高校1年生、まだメンバーが揃っていない軽音楽部が主人公:平沢唯を“4人目のメンバー”として引き込み、実際あの時点でのバンドは「あんまり上手くないですね!」「さっきの演奏聴いてたら私にも出来るかもって思えてきた!」と言われるような始末でした。あのバンドはそこから始まるストーリーだったのです。
『ハナヤマタ』の第1話は中学2年生、ヤヤのバンドは既に完成されていて「オーディションを受けようかって」という話も出ているほど。なるも「すっごくキラキラしてた!」と言うほどの上手さで、当然なるが入り込むような隙はありません。このバンドのストーリーはもう既に始まっちゃっているんです。なるとは関係のないところで。
関谷なるは、入学当初「文芸部の部室に向かった」けど新しい扉を開けられずに帰ってきてしまった……というエピソードも語られていました。
平沢唯は「私にも夢中になれることが見つかるから……!」と言ったけれど、関谷なるには見つからなかったのです。一人で、子どもの頃と同じような本を読むことくらいしかしたいことがないのです。ずっと変わらない日常。
“平沢唯”にはなれなかった主人公が始める物語―――それが『ハナヤマタ』なのです。
『けいおん!』は、平沢唯が軽音部を訪れた時点で、部室はあって、ムギちゃんのティーセットがあって、自分が入ればメンバーが揃う“一人足りないバンド”が既にあって、主人公:平沢唯は「何となく受動的に」バンドを始めていきました。その緩さが『けいおん!』の魅力だったし、そうして「何となく」始めたものでも夢中になれればイイじゃないかというのが『けいおん!』でしたが。
そんな風に“整った環境”で、“恵まれた学生生活”を誰もが送れるワケではありません。
『ハナヤマタ』の「よさこい部」は、部室もまだなく、屋上で一人ハナが練習しているだけで、勧誘してもみんなに無視されている状況です。「あんなのには関わらない方がイイ」とまで言われているくらいです。だから、ちゃんと主人公が「自分の意思で能動的に」始めなくちゃならないのです。

<『ハナヤマタ』第1話より引用>
だから、ちゃんと走って追いかける。
なるが抱えていた「待ち続けても何の意味もない」「自分には夢中になれるものはないし、輝けるような存在ではない」「子どもの頃から抱えていた想いはさっさと捨てて大人にならなければならない」といったネガティブな葛藤を、ハナが片っ端からポジティブなものに裏っ返していくのも心地よい。
私は『けいおん!』が大好きでしたから、『けいおん!』以後のアニメを「平沢唯になれなかった者の物語」として語ったことは何度かあります。特に『かなめも』の中町かなは「平沢唯になれなかった主人公」だったという話は、自分にとって「アニメについての話をブログに書く」ことの意味を教えてくれた話でした。
(関連記事:『けいおん!』は“仲間”を描き、『かなめも』は“孤独”を描いた)
『かなめも』は、『けいおん!』のようにキラキラした青春の時間が訪れなくてもイイじゃないか―――というアニメでした。その結末はとても優しかったし、『かなめも』も大好きなアニメでした。
『ハナヤマタ』はそこから更に一歩進めます。
文芸部に入ることも出来ず、親友はバンド活動で輝き、何もない自分は子どもの頃と同じような本ばかり読んでいる―――「キラキラした青春の時間が訪れない」主人公:関谷なるに、ハナは言うのです。
「なんだかよく分からないですけど……!
人は、誰でも頑張れば輝けると思うので……!だから、待っててください!絶対に!迎えに行きますから!」
物語はここから始まります。
“平沢唯”になれなかった関谷なるが、主人公として輝くための物語が。
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○ 余談
『けいおん!』との比較ばかり語っちゃいましたけど、花火だったり夕日だったり「光」と「それが生む影」の映像の美しさも良かったですし。江ノ島を舞台にした漫画・アニメはたくさんありますけど、「住宅地の路地裏を通っていく江ノ電」を演出として使っているのは“FUMIKIRI理論”提唱者としては気になりますし。やたらと手でスカートをガードする仕草にフェチ心をくすぐられますし。

<『ハナヤマタ』第1話より引用>

<『ハナヤマタ』第1話より引用>
ちなみに“FUMIKIRI理論”についてもちょっと触れておくと……
『けいおん!』の第1話でも踏切のシーンが1回あるのですが(12話と対になっている)、『ハナヤマタ』の第1話では踏切が3回も出てきます(+オープニングにも出ている)。
そして、その3回ともちゃんと演出意図を込めて描かれていて―――1度目は、なるはヤヤちゃんに連れられて「あちら側」に渡り。2度目は、なるは「あちら側」にいるハナを見つけて一人で渡り。3度目は、「あちら側」にいるヤヤちゃんにハナが衝突した後、ハナは踏切を無視して「こちら側」に飛んでいく。
「こちら側」が、なるのように“輝けない”側の人間のいる場所で。「あちら側」が、ヤヤちゃんやハナのように“輝いている”側の人間のいる場所として描かれていて。それを飛び越す力とは……というところに物語の推進力を持っていきているという。
隅から隅まで見所満載の第1話でした。
主人公:なるの葛藤をここまでしっかり描いてくれたのなら、ハナやヤヤちゃんの話だって一筋縄ではいかないのだろうし、なるが「タミお姉ちゃん」と呼ぶ女のコとの擬似姉妹っぷりにも期待しています!
『けいおん!』のムギちゃん家の豪邸は最後まで描かれなかったけど、こちらのタミお姉ちゃん家の豪邸は最初に描かれているというのも興味深いところ。ありゃ別世界のお姫様だし、なるが憧れるワケだ。
2週目以降がどうなるのかは責任取れませんけど、とにかくまぁ第1話はホント良かったです!ネットの無料配信も始まるので、第1話だけでも観てください!
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