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800円の最高傑作『わりと本格的 絵心教室 前期』紹介

『わりと本格的 絵心教室 前期』
 ニンテンドーDSi用/絵画レッスン
 任天堂/Headstrong Games
 2009.11.18発売
 800円(DSiショップ専売)
 公式サイト

 【自分が『絵心教室』で描いた絵・倉庫

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任天堂 2006-12-02
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 2005年の『エレクトロプランクトン』以降、
 ニンテンドーDSの『脳トレ』やWiiの『Wii Fit』などで一大ブームを作った“Touch!Generations”。

 『脳トレ』や『Wii Fit』が何だったのかというと、自分は「きっかけを作るゲーム」だったと思っています。
 「頭を使うのって楽しいんだ」「体を動かすのって楽しいんだ」と気付かせてくれるゲームであって、実際オフィシャルな広告展開では「頭が良くなるゲーム」とか「痩せるゲーム」なんて文言は使われませんでしたし。ゲーム内でも「普段から脳を使うことを意識しましょう」「運動に慣れたらWii Fit以外でも運動しましょう!」と言われるなど、“ゲームで培った経験をゲーム外に活かしましょう”とメッセージを贈られるゲームでした。

 しかし、『脳トレ』や『Wii Fit』がしてくれたのはそこまでだったのです。
 「きっかけ」は作ってくれたけど、そこから先の楽しみは「自分で探してね」というところで終わってしまうのです。それが悪かったとまでは言いませんが、一過性のブームで終わってしまった一因だったのかなと今なら思います。


 『絵心教室』は違います。
 このゲーム―――『脳トレ』や『Wii Fit』と同様に、「絵を描くのってこうすればイイんだ!」「絵を描くのって楽しいんだ!」と教えてくれる「きっかけを作るゲーム」の要素がある一方で。

 その後も、「手軽に絵を描き続けられる」ように持ち運び出来る画材として、(DSiが現役な限り)半永久的に活躍してくれるお絵描きソフトになってくれるのです。
 800円で、ですよ。筆とアクリル絵具と画用紙を数枚買ってきたら、あっという間に超えてしまう価格でこれが実現されているのですよ。



↓ 以下、感想はクリックで。




○ 3つの『絵心教室』、どれを買えばイイ?
 ちなみに、『絵心教室』と名のつくゲームは3本出ています。

・『わりと本格的 絵心教室 前期』(DSiウェア/800円)…レッスン1~6までを収録
・『わりと本格的 絵心教室 後期』(DSiウェア/800円)…レッスン7~10までを収録
・『絵心教室DS』(パッケージソフト/定価2800円)…レッスン1~10までを収録



 自分はその内の1つ、『前期』だけを購入したのですが―――
 ぶっちゃけどれか1本買えば十分だと思います。僕の場合は『前期』だけで十分でした。

 というのも……このゲームの「レッスン」は、言ってしまえば他のゲームの「チュートリアル」モードとか「トレーニング」モードなんですよ。ゲームの機能や絵を描くコツを教えてくれるところまでで終了、本番は「フリーペイント」モードの方で、この「フリーペイント」は3本とも同じ中身なんです。だから、基本的にはどれか1本あれば十分。
 もちろん「もっとコツを知りたい!」と思った人は、『後期』も後から買えばイイんですけど……最初から全部の「レッスン」をやろうとすると億劫になってしまいますしね。


 ついでにもう一つ。自分の好みで言えばパッケージソフト版よりもDSiウェア版の方がオススメ。
 DSiウェア版はDSiカメラ内のアルバムと連動して、「アルバム内の写真をモチーフに出来る」「描いた絵をアルバムに保存出来る→SDカードに移行可能」の2つが出来ます。
 パッケージ版もDSi&DSiLLならばカメラが使えるんですけど、DSiカメラ内のアルバムの写真が使えるワケではなく、その場で撮らなきゃならないみたいなんですね(公式サイトより)。「他の用途のために撮っていた写真が使える」のと「モチーフ用に撮った写真のみ使える」のとでは、前者の方が幅が広がると思うんです。なので、自分はDSiウェア版をオススメします。

 まぁ、パッケージ版には「描きかけの絵を3つまでセーブ可能」「額の種類がDSiウェア版の2倍」という良さもあるので、必ずしもパッケージ版が劣っているというワケでもないんですけどね。




 ちなみに、「初代DSorDS Liteしか持っていないんだけど、『絵心教室』やってみたいからパッケージ版を買おう」って人がいたら、悪いことは言わないから3DSが出るまで待ちなさい。3DSならばDSiウェアもプレイできるそうですから。

 ハッキリ言ってカメラ機能がないと面白さが激減するゲームだと思います。
 カメラ機能があるおかげで、「どんなものをモチーフにしてでも絵が描ける」のが楽しいんですよ。
 街並みを描きたければ街に出てパシャリ、動物を描きたければ動物園に行ってパシャリ、裸を描きたければ脱衣フィギュアを買ってきてパシャリ(笑)。被写体は立体物でなくても、アニメの絵でも、雑誌の写真でも、PCの画面だってイイワケです。目に見えるものは全て絵に描けてしまう―――カメラがあることで選択肢が無限に増えて、半永久的にに遊べるゲームになるのです。




○ これぞ任天堂イズム!な「レッスン」
 「レッスン」モードの目的は2つ。
 このゲームの機能を教えてくれること+絵を描くコツを教えてくれること。

 自分の描いた「レッスン」用の絵はこちら
 一番最初のレッスンは「鉛筆」機能だけです。いきなり全部の画材を使わせるワケではなく、必要最低限の機能だけで「絵を描くコツ」を教えてくれる―――というのは、任天堂イズムですよね。『ゼルダ』だって、最初は剣すら持っていないところから始まりますしね。

 この“段階を経て画材・機能が増えていく”+“徐々に難しい絵にチャレンジしていく”の二段構えによって、「このゲームの使い方」「絵の描き方」を同時に学べるのです。
 最初のリンゴを描いている頃は、「波」のレッスンなんて「ムリムリ!こんなん俺には描けないよ!」と思っていたのだけど―――先生の手順をマネして描いていると、案外描けてしまうものなんですよ。レッスンは一手一手マネできるようになっていますし。この辺の達成感の味合わせ方は、ゲームならでは・任天堂ならでは・“Touch!Generations”ならではだなぁと。


 ただし、注意が必要なことが二点あります。
 この『前期』だけだと、絵具の混ぜ方までは教えてくれません。
 どうやらそのレッスンは『後期』に入っているみたいなんですよね。もちろん「フリーペイント」では自分で絵具を混ぜなきゃならないので、自分は自己流で何とかやっていますし、それで何とかなると思うんですけど。「教えてもらわないことは不安だ!」って人は要注意。

 もう1コ、この『絵心教室』シリーズには人物画のレッスンはありません。
 絵を描いたことがない人が「自分も絵を描けるようになりたい!」と思う欲求の大きな部分を占めるのが、「人を描きたい」というところだと思います。それがリアル絵だろうが、デフォルメ絵だろうが、萌え絵だろうが。でも、「人間を描く」のって色んな要素が絡んでくるので、そのレッスンを入れようとするとそれだけで独立した1本のゲームになってしまうんじゃないかと思います。

 それと、このゲームの開発はイギリスの会社ですしね。漫画文化の日本とはちょっと違う。
 どこかの日本のメーカーが、後追いで『アニメ絵DS』とか出してくれませんかねえ。




○ 片付け要らず!持ち運び可能!な画材「フリーペイント」
 さて、本番はこちら。
 「俺っち、元から絵を描ける人間だからレッスンなんか要らねえや!」という人は、こちらから始めることも可能ですよ。

 自分がフリーペイントで描いた絵はこちら
 DSiカメラ、グリッド機能、写真内の色をピックアップする機能により、根気さえあればどんな写真だって絵に描けてしまうのですよ!


 このゲームの面白いところは、“デジタルなお絵描きソフト”の方向には進んでいないところです。
 PC用のお絵描きソフトならば当たり前のように入っている機能――――例えば、「一手戻す」とか「スポイトで色を抽出する」とか「レイヤーを分ける」とかがこの『絵心教室』にはありません。『うごくメモ帳』には入っているので、DSのスペックの問題でもないんです。


 この理由は開発者のインタビューを読むと分かるんですけど、デジタルではないアナログの絵だと「一手戻す」なんてことは出来ませんものね。もし『絵心教室』に「一手戻す」があって、『絵心教室』で初めて絵を描いたって人がいたら、「一手戻す」がないアナログの絵は描けないことになってしまいます。だから、「一手戻す」などの機能を入れなかったのでしょう。

 「スポイトで色を抽出する」機能も同様で――
 PC用のソフトならば「この色が欲しい」とクリックするだけでその色が使えるようになるのですが、『絵心教室』は「この色とそっくりな色を自分で作って下さい」と絵具を混ぜなきゃならないんです。だってアナログではそうだから。これも『絵心教室』ならではの思想ですよね。自分はデジタルでしか色を塗ったことのない人間だったのですが、このゲームを通して「アナログでも塗れるんじゃねえの?」と思えるようになったくらいですもの。



 しかし、アナログの画材は出費がかかりますし、置き場所も必要ですし、準備・後片付けが必要です。
 『絵心教室』は「ちょっと10分空いたから、描きかけの絵を進めようかな」とササッと描いて、電車が来たら中断、みたいなことが出来るのです。すげーよ21世紀!絵の描けない劣等感にまみれていた自分の10代の頃に、こんなゲームがあったらなぁと思います。




○ 総評
 すごいゲームだと思います。
 「こんなん800円で売ったら他のゲームをやるヒマなくなっちゃうじゃん。バカなの任天堂?」と心配になるくらい、自分にとっては夢のような&永遠に遊べてしまうゲームだと思います。

 絵を描くことが楽しい人、絵を描きたいけど描いたことがない人、には是非オススメの1本です。
 まー、絵を描くことに興味がない人には1ミリもオススメしませんし、これをやってみたら「絵を描くのってこんなに面倒なのか!やってられねえ!!」って思われるかも知れませんけど(笑)。コツを知って、手間をかければ、どんな絵だって描けるんだということを証明したゲームだと思いますよ。


 もちろん細かい不満点がないワケではなくて、「筆はもう1段階細いのが欲しかった」とか「スポイトの精度が酷くね?」とか言い出したらキリがないんですけど。絵を描いてくると、それも踏まえて「こんな画材で絵を描くなんて俺SUGEEEE」モードに入るんで(笑)。大した問題ではないのです。


 また、このゲームが1本あることでDSiカメラの価値もグンと上がって。
 「あ、この風景、『絵心教室』で描くために撮っておこうかな」とか「紅葉の季節になったらDSiで写真撮っておこう」とか、それまで何気なく過ごしていた全ての風景が絵のモチーフに見えてきて。毎日がちょっとだけ楽しくなるという。


 ちなみに、Wiiの『みんなのニンテンドーチャンネル』や店舗のDSステーションなどで、パッケージ版『絵心教室DS』の体験版が配布されていますんで。気になる方はまずそれをやってみるのがイイかもです。
 ただ、製品版はレッスン1の鉛筆画から丁寧に教えてくれるのですが、体験版はなるべく色んな機能を使わせようという特殊レッスンなので初心者には難易度が高いかも。体験版で上手く描けなくても仕方ないんで、その辺は気にしないで!!


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