未経験者の方々に捧げる『ゼルダの伝説』シリーズのススメ(前編)
その際に、古典というか教科書的な存在として『スーパーマリオブラザーズ』『ドラゴンクエスト』『ゼルダの伝説』を例に出すことが度々あるのですが……他の2つに比べて『ゼルダの伝説』って、シリーズを1本も遊んだことがない人が多いんじゃないかと、ふと思いました。海外市場ではともかく日本市場ではね。
喩えば、2Dマリオ最新作の『Newスーパーマリオブラザーズ』は500万本オーバーの売上げで、ドラクエ最新作の『ドラゴンクエストIX』は300~400万本クラス。一方のゼルダで言えば最新作『夢幻の砂時計』が80~90万本辺りで、本編最新作の『トワイライトプリンセス』は50万本付近です。
シリーズ最高売上げで比較しても―――マリオは『スーパーマリオブラザーズ』の681万本、ドラクエは先ほど書いた『ドラゴンクエストIX』の400万本弱くらいで、ゼルダは初代の169万本だそうな。超超超一線級の『マリオ』『ドラクエ』『FF』『ポケモン』からは、ちょっと離された売上げなんですよね。
そういう理由で、『ゼルダの伝説』シリーズを全くプレイしたことがない人&プレイしたことがあるけれどどういうゲームなのかはイマイチ分かっていない人が多いんじゃないかと思いまして―――
僕なんかが偉そうに語れる身分ではないのですが、「ゼルダってのはこういうゲームなんですよ」という解説をそういう方々に向けて書いてみようかなと思うのです。
と考えたのも……きっかけは「RPGにレベルアップ制度は必要ですか?」という記事に頂いたコメントからです。興味深いコメントなので、引用させてもらいます。
<以下、引用>
-前略-
ちなみにスターオーシャンやテイルズなどでも、レベルさえ思い切り上げれば、本編のラスボスはプレーヤーが操作するキャラは攻撃ボタンを連打するだけで勝てるようになってます。バカでもエンディングは見れます、みたいな。
ともかく、ゼルダのようなアクションRPGだと、そういうのは無理じゃないですか。真正面から特攻して斬り付けるだけだと絶対にクリアできない(私はクリアできなかった)。
-後略-
</ここまで>
多分、『ゼルダ』が大好きな人は「えぇっ!」と驚いたと思うのです。
僕も最初読んだ時は驚きました。「ゼルダってそういうゲームじゃないよ!」と。
ですが、冷静になって考えてみると「なるほど。興味深い御意見だな」と思うようになりました。
『ゼルダの伝説』というゲームは誤解をされているのだなと、見えてきたのです。
歴史のお勉強をまず最初に。
初代『ゼルダの伝説』の発売は1986年2月21日、
初代『ドラゴンクエスト』の発売は1986年5月27日です。『ゼルダ』は『ドラクエ』よりも前に誕生したゲームなんですよ。
「だから何だよ!歴史とかマジうぜーよ!」と思うかも知れませんが、まーちょっと読んで下さい。
『ファイナルファンタジー』や『ポケットモンスター』は、『ドラゴンクエスト』のヒット以後に生まれたゲームです。上で挙げられている『スターオーシャン』や『テイルズオブ』もそうです。
だから、『ドラゴンクエスト』の文法がある程度は通用するのです。僕自身はやったことがない作品も含まれていますが、普通に考えればそうします。だって『ドラクエ』シリーズを楽しんだ人に「こっちも遊んでね!」と売り出したゲームですからね。
初期『ファイナルファンタジー』が如何に『ドラゴンクエスト』のアンチテーゼを目指していても、それはあくまで『ドラゴンクエスト』ありきのアンチテーゼなんですよ。
でも、『ゼルダの伝説』は『ドラゴンクエスト』以前からあったゲームです。
だから、『ドラゴンクエスト』の文法で遊んでもしっくり来ません。同じようなジャンルに思われるかも知れませんが、全然別のゲームデザインから生まれているんですよ。アンチテーゼですらありません。
野球とサッカーくらい別の種目なんですよ。ざっくり言うと“球技”だけどね、みたいな話。
このコメントを下さった人を否定したいワケじゃないですよ。こういう御意見こそ大事。
多分、こういう誤解をしている人って沢山いると思うんですよ。
本来ならば『ゼルダ』シリーズを物凄く楽しめる人が、このように「アレでしょ?『ゼルダ』って『ドラクエ』みたいなゲームでしょ?」と食わず嫌いをしているかも知れない―――だからこそ、『ゼルダ』というゲームがどういうゲームなのか語ってみようじゃないかと思うのですよ。
1時限目.『ゼルダの伝説』に似ているのは『スーパーマリオブラザーズ』である
この記事は『ゼルダの伝説』の予備知識が全くない人にも読んでもらいたい記事なので、物凄く基本的なところから語り始めようと思います。
『ゼルダの伝説』シリーズを開発・発売しているのは任天堂です。
※ ただし、『ふしぎの木の実』『ふしぎのぼうし』はカプコン開発
なので任天堂の機種でしか遊べません。逆に言うと、バーチャルボーイと64DDを除く全ての任天堂機種に『ゼルダ』シリーズは発売されています。それだけ任天堂が大事にしているソフトなんです。
初代『ゼルダの伝説』のプロデューサー・ディレクターは宮本茂さん。マリオシリーズの作者でもある人ですね。
なので、『ゼルダの伝説』は『スーパーマリオブラザーズ』に非常によく似たゲームになっています。少なくとも『ドラゴンクエスト』よりは『スーパーマリオブラザーズ』に似ていると思いますよ。
先ほど引用させてもらったコメントを受けて、“敵キャラ”について語りますと……
『スーパーマリオブラザーズ』の敵キャラ―――喩えば、トゲゾーは踏んづけることが出来ませんし、メットにファイアーボールは効きませんよね。それぞれの敵キャラに個性があって、弱点があって、それに応じた戦い方をしなくてはなりません。
「ハンマーブロスは下から叩けば倒せる」と思っていたら、平地で佇んでいるハンマーブロスが出てきて絶望したりとかね。
『ゼルダの伝説』の敵キャラも一緒です―――剣が効く敵、弓矢が効く敵、爆弾が効く敵。様々な敵キャラが出てくるのです。ストーリーが進めば剣が強化されることもあるのだけど、剣が効かない敵には剣は効きません。
この敵にはこっちの武器が効くのでは?これとこれを組み合わせれば楽に倒せるのでは?と考えるのが楽しいゲームなのです。
もっと言うと、『ゼルダ』シリーズには“絶対に倒せない敵”がいますしね。『スーパーマリオ』シリーズにもテレサとかドッスンとか倒せない敵キャラが沢山いるのと同様に、『ゼルダ』の敵キャラはどっちかと言うと“障害物”なんですよ。
だから、エンカウントもしませんし、倒さずにも進めますし(倒さないと進めないところももちろんありますけど)、倒したところでレベルが上がるワケでもありませんし、敵の強さが<弱い←→強い>という一つの列に並んでもいません。『ドラゴンクエスト』とは“敵キャラ”の概念が違うんですよ。
なので、『ゼルダの伝説』シリーズは『マリオ』シリーズが好きな人にこそオススメします。
剣を持って魔王を倒して世界を救うみたいな外枠だけを見ると「マリオよりもドラクエに近いのでは?」と思うかも知れませんが、中身は全然ドラクエではありませんし、「ドラクエの戦闘をアクションにしたゲーム」と思って手を出すと失敗すると思います。
個人的には、「マリオを複雑にしたのがゼルダ」だと思っています。
宮本さんは「マリオとゼルダの差は成長の有無にある」と仰っているそうですね。マリオが一時的な“パワーアップ”しかしないのに対して、ゼルダの主人公リンクは道中で手に入れた武器・道具を蓄積させて“成長”しますからね。
攻撃手段・行動手段が増える分だけ、『ゼルダ』は『マリオ』よりも複雑。
その分、アクションのシビアさはないですけどね。マリオが「アクション:頭脳=8:2」くらいだとしたら、ゼルダは「アクション:頭脳=3:7」くらい?もちろん作品にも依るんですけど。
まとめ:『ゼルダの伝説』シリーズは、『スーパーマリオ』シリーズが好きで「もうちょっと複雑なゲームも遊んでみたいなぁ」という人には是非是非オススメ!
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2時限目.シリーズ沢山あるけど、どれからやればイイの?
アナタが持っている機種ので、OK。
「WiiもDSも持っていない!Xbox360では出ないの!?」と言う人がいましたら、Xbox360で『ゼルダ』が出ることは99%ありえないので、押し入れの中からゲームボーイかファミコンかスーパーファミコンを出してくるとイイと思いますよ。最近の任天堂機があるならそれに越したことはないですけど。
シリーズが沢山出ているからと言って、初代から手を出す必要はありません。
よく「1作目からやらないなんてけしからん!」みたいなことを言う人がいるんですけど、そういう人には「けしからなくて結構」「私はアナタに感心してもらいたくてゲームをするワケではありません」と答えておきましょう。
『ゼルダ』に限らず全てのシリーズに言えることなんですけど―――80年代のゲームは80年代のユーザーに向けて作られたゲームですし、最近のゲームは最近のユーザーに向けて作られたゲームですし。2009年を生きている人が80年代にヒットしたゲームを楽しめるかって話ですよ。
もちろん例外になる“時代を越える名作”は沢山ありますけど、新しいシリーズに手を出す時に昔の作品から手を出さなきゃならないなんて決まりはありません。
『ゼルダ』の話に戻します。
基本的にはシリーズのストーリーは繋がっていませんし(設定は繋がっているけれど知らなければ気にならない程度です)、そもそも『ゼルダ』はストーリーを楽しむゲームではありません。
『夢をみる島』のようにストーリーが素晴らしい作品も中にはありますけど……あくまで主役はゲーム内容であって、ストーリーは添え物だと思っているファンが『ゼルダ』の場合は大半かと思います。
んでんで。
シリーズ未経験者の方々に、興味湧いてきたからどれか一作から始めてみようかな♪と思ってもらいたくてこの記事を書いているのですが―――そういう人は恐らく、「評判の良い作品からやりたいなぁ」と思うんじゃないでしょうか。
でも、『ゼルダ』シリーズって「初めてやったゼルダを最高傑作とする」人が多いシリーズなんですよ。僕も最初に遊んだのが『神々のトライフォース』なのでこれが最高傑作だと思っているのだけど、初代から入った人は初代を最高傑作とする人が多いし、『時のオカリナ』から入った人は『時のオカリナ』を最高傑作とする人が多いし。あんまし参考にならないんですよ。
だからまー、「持っている機種」で「なるべくなら最近の」で―――
あとは「携帯機か据置機か」とか「2Dか3Dか」とかの好みとか、「絵柄」の好みとかで選んだ方が良いかもしれませんね。
『トワイライトプリンセス』は自分も物凄く楽しんだゲームですけど、敵キャラがリアルでグロかったりするので(蜘蛛とか目ン玉とか)、女のコや小さい子にはなかなか勧めづらいと思っています。逆に『ふしぎのぼうし』は絵本のような世界観なので、リアル嗜好の人には勧めづらいかも。
まとめ:どれから手を出しても構わない!
2時限目の補習.“本編”ってどの作品のことを言うの?
「どの作品から手を出しても構わない」と書いた数行後に書くのもアレなんですけど……
『ゼルダ』シリーズというのは、”本編”と“外伝”に分かれていてそれを目安にするのもイイんじゃないかと思ったので書いておきます。
“本編”とは―――
任天堂の最新の据置機種で発売する王道作品で、全て一から世界観を築いて作られる作品です(厳密には長い歴史がそれぞれ繋がってはいるのですが)。現在では特に任天堂のエース格が集結して作ることが多く、任天堂内でも最大規模で動いているプロジェクトだそうです。
スクウェアにおける『ファイナルファンタジー』のナンバリングタイトルみたいなものですね。
“外伝”とは―――
その“本編”で描かれた世界観を使って作られる派生作品で、開発が少人数だったり、システムが挑戦的なものだったりするそうです。ということで、ちょっと以前に書いたリストに再登場してもらいましょう。
● 『ゼルダの伝説』(ディスクシステム/86年)→『リンクの冒険』(ディスクシステム/87年)
● 『神々のトライフォース』(スーファミ/91年)→『夢をみる島』(ゲームボーイ/93年)
● 『時のオカリナ』(64/98年)→『ムジュラの仮面』(64/00年)
● 『風のタクト』(ゲームキューブ/02年)→『夢幻の砂時計』(DS/07年)『大地の汽笛』(DS/09年)
● 『トワイライトプリンセス』(ゲームキューブ&Wii/06年)→『ボウガントレーニング』(Wii/08年)
※ この他に『ふしぎの木の実』『ふしぎのぼうし』『4つの剣』『4つの剣+』がある
それぞれの行の一番左が“本編”『ゼルダ』で、右がそこから派生している“外伝”になります。
“外伝”は挑戦的というか実験的な作品が多く、『リンクの冒険』『リンクのボウガントレーニング』などはジャンル自体違います。『ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエストソード』くらい違うと思っておけばイイ……かなぁ。
しかし、人員と予算を最大限にかけた王道作品たる“本編”よりも、「新しいことをやってみよう」とチャレンジした“外伝”の方が面白いということもあるので。“外伝”である『夢をみる島』『ムジュラの仮面』『夢幻の砂時計』も、「シリーズ最高傑作」と挙げる人は少なくないですね。
なので、“本編”からでも“外伝”からでも好きな作品から手を出してみるとイイと思いますよ。
『リンクの冒険』『リンクのボウガントレーニング』はジャンルが違うので「これがあの噂のゼルダか!」と思われてもアレなんですけど、“世界観を知る”ということは出来ますからね。
まとめ:任天堂の最新の据置機種で発売する王道作品が“本編”
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○ とりあえずの3行まとめ
・『ゼルダ』は、『ドラクエ』よりも『マリオ』っぽい作品
・シリーズのどの作品からでもどうぞ
・“本編”と“外伝”があるけど、未経験者の方々はどれからでもどうぞ
長くなってしまったので今日はココまで。
ゲーム内容には全く触れていないし、「2時限目で授業終了」というまさかの展開で終わらせてしまうのも面白い気がするのですが……今日の話で「興味湧いた!やってみよう!」と思える人はほとんどいないと思うので(笑)、次回に続きます。
(関連記事:『ゼルダの伝説』シリーズの主人公は誰?という問題)
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| ゲーム雑記 | 17:49 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑























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