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『Slay the Spire』紹介/何度でも、1からカードを集めていくのは楽しい!

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
単に「カードで戦う」だけではない、「デッキを作る」のが楽しいんだ
この戦闘システムだからこそ面白くなる、「敵」と「主人公」のバリエーション
一生遊べるローグライク+カードゲームの、ヤバすぎる融合


『Slay the Spire』
・開発:MegaCrit/発売(Steam版以外):Humble Bundle、(Nintendo Switchパッケージ版)フライハイワークス/日本語訳(Steam版以外):Kakehashi Games
Steam版:2019年1月24日発売
 Nintendo Switch用ソフト:2019年6月6日発売
 プレイステーション4用ソフト:2019年6月18日発売
 Xbox One/Series X|S用ソフト:2019年8月14日発売
 iOS版:2020年6月13日配信開始
 AndroidOS版:2021年1月22日発売
・デッキ構築型カードゲーム+ローグライク
・セーブスロット3個(オートセーブ)

※ PVはNintendo Switch版のIndie Worldのものです
  私が最初のエンディングまでかかった時間は約06時間、
  真のラスボス撃破までかかった時間は約75時間でした(1キャラのみ)
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 単に「カードで戦う」だけではない、「デッキを作る」のが楽しいんだ

 『Slay the Spire』は、アメリカ人のAnthony Giovannetti氏とCasey Yano氏の2人がゲームデザインをして開発したインディーゲームです。
 2017年11月にSteamのアーリーアクセスが始まり、1年以上ユーザーからのフィードバックを募った後、2019年1月に正式リリースされました。その後にコンシューマーにも移植され、日本では2019年6月にNintendo SwitchとPS4、2019年8月にXboxOneで発売されました。2020年1月にはアップデートで4人目の主人公が追加された後、2020年6月にはiOSで、2021年1月にはAndroidOSで配信開始されました。

 要約すると、全機種で遊べるんだから「そのゲーム機は持っていないから遊べないなー」なんて言い訳ができないってことですね。遊べ!


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 どういうゲームなのかを簡単に説明すると……
 コマンドバトルRPGの「コマンド」が、「カード」になって配られて、その中から選んでいくというゲームです。「攻撃」も「防御」も「バフ」も「デバフ」も、カードで行われます。



 この説明を見て、「ファミコンのドラゴンボールじゃん!」と思った人はきっともうアラフォーです。開発者のインタビューを読んだところ、恐らくは影響は受けていないと思われます。

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<画像はファミリーコンピュータ用ソフト『ドラゴンボール 大魔王復活』より引用>

 ファミコンの『ドラゴンボール』って1作目はアクションゲームでしたが、2作目からは「カードを使って戦うRPG」路線に進むんですよね。その話もなかなか面白いので、いつかまた書いてみたいです。

・1988年8月12日『ドラゴンボール 大魔王復活』
・1989年10月27日『ドラゴンボール3 悟空伝』
・1990年10月27日『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』
・1991年8月10日『ドラゴンボールZ II 激神フリーザ!!』
・1992年8月7日『ドラゴンボールZ III 烈戦人造人間』
・1993年8月6日『ドラゴンボールZ外伝 サイヤ人絶滅計画』

 ファミスタ並に毎年出ていたファミコンの『ドラゴンボール』ゲーム……配られたカードをCPUとせーので出し合い、☆の数が多い方がそのカードに書かれた漢字の攻撃(など)が出来るシステムでした。

 「どうしてRPGとカードを融合したの?」というと、元々RPGはサイコロを振るボードゲームから始まっているため、そのランダム要素の部分を「カード」に置き換えたのだと思いますが……バンダイは1988年6月から「カードダス」という自動販売機で販売されるカードを展開していて、1988年11月からは『ドラゴンボール』のカードダスも発売されて大人気だったことと無関係ではないと思います。

 ただ、「ドラゴンボールのカードダス」と「ドラゴンボールのゲーム」で共通するのは裏面のデザインくらいで、カードダスとゲームが連動することもなければ、遊び方も全然ちがったはずです。そもそもカードダスは「集めること」が目的であって、対戦して「遊ぶこと」はオマケみたいなものでしたからね。


 コンピューターゲームの話題から一旦離れ、アナログのカードゲームの話をすると……カードを「集めて」、それを持ち寄って「対戦して遊ぶ」文化を作ったのは『マジック:ザ・ギャザリング』と言われています。アメリカで販売開始されたのは1993年、日本で発売されるようになったのは1996年だそうです。
 トレーディングカードゲーム(TCG)と呼ばれるこのジャンルは日本でも人気になり、『ポケモンカードゲーム』『遊戯王OCG』『デュエル・マスターズ』『 カードファイト!! ヴァンガード』などなど様々な商品が生まれました。

 
 『Slay the Spire』の開発者の一人Anthony Giovannetti氏は幼少期から『マジック:ザ・ギャザリング』をプレイしていたそうですが、『Slay the Spire』に最も影響を与えたアナログゲームとして『ドミニオン』の名前を挙げています。アメリカでは2008年、日本では2009年に発売されたボードゲームです。



 『ドミニオン』は、TCGの「カードを集めて自分なりのデッキを作る」楽しさを落としこんだようなボードゲームで……スタートは全員同じ10枚のデッキから始まり、全員共通のカードから欲しいカードを購入・取得して、自分なりのデッキを作って、最終的に高ポイントを目指していくゲームなんですね。TCGで言えば、ゲームが始まる前の下準備の部分をゲームにしているというか。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 『Slay the Spire』もそうなんです。
 戦闘の部分だけを見ると、ファミコンの『ドラゴンボール』のようなゲームに見えるかも知れませんが、ファミコンの『ドラゴンボール』で配られる手札は完全にランダムです。デッキ構築の概念はありません。

 『Slay the Spire』は、(選んだ主人公ごとに)毎回同じデッキで始まり、ザコ戦・ボス戦に勝つごとに報酬として取得するカードを選び、それを1枚ずつデッキに加えてデッキを強化していきます。戦闘時に配られるカードは基本的にこのデッキの中のものだけなので、カードの組み合わせを考えながらデッキを作っていくのが楽しいし、悩ましいゲームなんです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 例えば、この「触媒」というカード―――
 敵が毎ターン10喰らう毒を持っていたら、それを20喰らう毒にしてしまうムチャクチャ強力なカードなのですが。喜び勇んで最初にこのカードを入手したは良かったけれど、そもそもの「相手を毒にするカード」がその後に1枚も入手できなくて何の役にも立たないなんてことも余裕でありえるゲームなのです。


 「このカード」単品では何の役にも立たないけど、「このカード」と「そのカード」と「あのカード」を組み合わせるとものすごい強さになる―――のに、最後に必要な「あのカード」が入手できない!! そうしたジレンマがあるからこそ、狙い通りのカードが揃ったときの喜びは他に代えがたいものがある、それがこの「デッキ構築型カードゲーム」の魅力だと思います。


 この記事の最初に載せたIndie WorldのPVは2018年末に公開されたものなのですが、「ローグライク+カードゲーム」という組み合わせについて朴さんが「あまり聞かない組み合わせですね」と言っているんですね。
 しかし、『Slay the Spire』が大ヒットしたこともあり、現在では『Slay the Spire』系と言われる「ローグライク+カードゲーム」はインディーゲームでごまんと出るようになりました。『ドラクエ』がヒットしたらファミコンにRPGが溢れたとか、『ストII』がヒットしたらアーケードに格ゲーが溢れたみたいな話で、『Slay the Spire』は一つのジャンルを作ってしまったと言っても過言ではないのです。


↓2↓

◇ この戦闘システムだからこそ面白くなる、「敵」と「主人公」のバリエーション
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 もうちょっと細かくゲームシステムを解説していきましょう。
 1ターンでプレイヤー側が使えるカードは、左下の「エネルギー」の数だけです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』の画面に手を加えたものです>

 スクショで言うと、「3/3」と書いてあるのがエネルギー。
 そして、カードの左上に書いてあるのが、そのカードの「コスト」です。

 この場合は1ターンに「コスト3」まで使えるので、「ストライク」+「ストライク」+「防御」とか、「灼熱の一撃」+「ストライク」とかの組み合わせが出来ますね。もちろんエネルギーを全部使わなくても構いませんが、使わなかったエネルギーを次のターンに持ち越す、みたいなことは通常は出来ません(それが可能になるレリックもあるけど、レアなので基本は手に入らないものとして説明します)


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』の画面に手を加えたものです>

 そして、『Slay the Spire』最大の発明とも言えるのが、敵がこのターンに取る行動が分かる「インテントシステム」です。敵の上に表示されているアイコンによって、このターン、この敵は「バフ(パワーアップ)」をすることが分かります。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 例えば、こちらの画面の場合……左の敵は「6ダメージの攻撃」をしてきて、右の敵は「バフ(パワーアップ)」をすることが予め分かります。こちらが受けるダメージは「6」と分かっているので、防御カードなどを使って「ブロックを6以上」得ればこのターンはノーダメージで乗り切れますし、残りのエネルギーは攻撃に使うことができます。

 つまり、敵の行動が予め分かっていることで、余計なダメージを喰らうのを抑え、効率よく敵にダメージを与えられるように考える戦略性が強まったんですね。
 ファミコンの『ドラゴンボール 大魔王復活』のように「敵が出すカードが分からない」と、取っておいた必殺技カードがムダになってしまうみたいな「運」の要素が強かったんですが、『Slay the Spire』はこのシステムのおかげで「運」よりも「戦略性」が強いと感じます。


 このシステムはすごい「思い切っている」というか……
 カードゲームやボードゲームだと「対等の条件での対戦」にしなければならないため、それをCPUと遊べるゲームにしようと考えたならこういう「プレイヤー側だけ一方的に有利になるシステム」って生まれてこないと思うんです。「カードで戦うローグライクRPG」を考えた時、「じゃあ対人戦も出来るようにしよう」とどちらにも公平なシステムにしがちだと思うんですね。

 でも、この『Slay the Spire』は1人用専用のゲームとして特化して作ったため、プレイヤー側にとって有利な「ちょっとズルイ」このシステムとか、壊れ性能のアイテム(レリック)とか、組み合わさると鬼のように強くなるピーキーなカードが結構あるんですね。
 このゲームを「対戦もできるゲームにしよう」としていたら採用できなかったであろうそれらも、1人用専用のゲームなら「ちょっとズルイ」くらいの方がお得感があって許される―――


 なので、このゲームは『マジック:ザ・ギャザリング』や『ドミニオン』の影響を受けているとは言え、遊んでいて一番近い感覚は「クロンダイク」や「スパイダー」などの一人遊び『ソリティア』だと思いました。あの中毒性はそのままに、もっともっとスリリングにして、戦略性を強めたカンジです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 そして、このゲームがしっかり面白いのは、「革新的なゲームシステム」を発明しただけでなく、「それを活かした敵」をしっかり作って配置しているところなんですね。何となくで作られた敵なんてほとんどいません。

 例えば、上の2枚のスクショは、最序盤から登場する敵「狂信者」なんですが……コイツは毎ターン攻撃力が「少しずつ上昇していく」特徴を持っています。
 最初の一撃は「6ダメージ」なので、1ダメ覚悟で「5ブロック」で残りのエネルギーを攻撃に回せるのだけど。次の攻撃は「9ダメージ」に上がるので、ノーダメージで乗り切るには防御×2で「10ブロック」必要になり、攻撃1枚しか出来なくなってしまいます。更に次のターンは「12ダメージ」になるので、防御×2の「10ブロック」でも防ぎきれなくなるという。

 ターン数をかければかけるほど敵が強くなっていくので、少々のダメージ覚悟でもスピード勝負でさっさと倒さなくちゃならない―――と、最序盤に教えてくれるのです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 こちらの敵は序盤の強敵枠「エリート」で登場する「セントリー」です。使用不可のカード「めまい」をこちらのデッキにねじ込んでくるという特徴があります。
 高威力の「攻撃」を喰らうよりかは楽だーと思っていると、こちらの手札が「めまい」だらけになってマトモな行動が取れなくなって―――このゲーム、デッキの中に「要らないカード」があると、必要な「防御」等のカードが手札に入らずにボコボコにぶん殴られると序盤で教えてくれるんですね。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 こちらは序盤のボスの1人「ヘクサゴースト」で、1ターンごとに周りの炎が点火していき、全て着火した6ターン目に高威力の大技をぶち込んでくるという敵です。敵が強力な攻撃を控えているのが視覚的にも分かりやすいのが、スーファミ時代の『FF』みたいで好きです。

 デッキ作りが中途半端で、コイツと戦うまでに「6ターン回ってくる前に決着をつけられる攻撃力」も「高威力の攻撃に耐えられる防御力」も用意できていないと落第を喰らってゲームオーバー→ 最初からやり直しという序盤の壁のイメージがあります。



 とりあえず序盤の敵3つ紹介しましたが、もちろん敵の数は何十体といて、ゲームが進めば進むほどピーキーな能力を持ったヤツが出てきます。ボスやエリートは章ごとに「3体の中からランダムで1体」が登場するので、毎回のプレイ感覚が変わるのも良いところですね。「○○倒せるデッキが出来た!」→ 「○○出ねえ!」ということも多々あります(笑)。


 また、プレイヤーが選べる「主人公」も最終的に4キャラから選ぶことが出来て、それぞれに初期&入手できるカードが違います。

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 1人目は戦士タイプの「アイアンクラッド」。
 筋力を上げる方法が豊富で攻撃力が高くなる上に、初期アイテム(レリック)で戦闘終了ごとにHP6回復してくれるので少々のダメージを気にしなくて良いキャラです。脳筋のように見えるけど、「バフ(パワーアップ)」と「デバフ(敵の能力ダウン)」が大事ですね。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 2人目は殺し屋タイプの「サイレント」。
 防御無視の毒デッキを作るか、大量のナイフで敵をめった刺しにするナイフデッキを作るか……搦め手で敵を倒すキャラなので、好みは分かれるみたいです。私はこのキャラで真のラスボス倒したので愛着あるけど、型にハマらなかった時のどうしようもなさも否応なく痛感しました。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 3人目はロボ「ディフェクト」。
 「毎ターン終了時に、攻撃や防御などの効果を発動してくれる」オーブをセットしておけるのが特徴です。オーブのセットや強化に時間がかかるため、短いターンで決着をつけなくちゃならない相手が苦手……だけど、型にハマった時の無敵感は脳汁が出まくります。

 初期からいる主人公の3人目なだけあって、上級者向けというか「システムからして別ゲーじゃねえか!」と思わせるキャラです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 アプデで追加された4人目は盲目の苦行者「ウォッチャー」。
 「スタンス」という、このキャラ独自のシステムがあって、「与えるダメージ・喰らうダメージが共に2倍になる」憤怒のスタンスに切り替え&戻しながら戦うキャラです。
 熟練者からすると「壊れ性能すぎて逆につまんない」らしいのだけど、私レベルのプレイヤーにはよく分からない……後から追加されたキャラなこともあって、コイツの弱点を突ける敵キャラがいないみたいなことなのかな。



 ということで、主人公サイドも相当にピーキーで、「このシステムを使ったらこんな遊びが作れそう」と考えられたキャラ達になっています。4人の主人公の誰で始めるのかで、別のゲームを遊んでいるみたいな感覚になりますからね。

 なので、前項で述べた“『Slay the Spire』系と言われる「ローグライク+カードゲーム」はインディーゲームでごまんと出ている”って話もよく分かるんですよね。この優れたテンプレを使い、でもカードの中身を変えるだけで全くの別ゲーになるので、「俺の考えた最強に面白いSlay the Spire」を作りたくなるんでしょう。
 『ドラクエ』以後にファミコンにRPGが溢れたとか、『ストII』以後にアーケードに格ゲーが溢れたのと同じで、「俺の考えた最強に面白い○○を作りたい」と思わせる余地こそが、そこにジャンルが生まれる土壌になるのだと思います。


↓3↓

◇ 一生遊べるローグライク+カードゲームの、ヤバすぎる融合
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 このゲームのマップは毎回「ランダムで作られたマップ」が与えられます。
 スタート地点を選び、分岐を選びながら上に向かって、一番上まで到達すると「その章のボス」との対戦となります。

 「敵」はザコ戦で、戦闘になるためダメージを喰らう可能性は高いですが、勝利すると報酬として「お金」と「カード」をデッキに加えることができます。どの敵が出てくるかは、ある程度のプールはありますがランダムで、報酬のカードはランダムで選ばれた3枚の中から1枚を選ぶ形です。
 「エリート」はザコよりも強力な敵との戦闘で、かなり強いですが、勝利すると報酬として「お金」と「カード」と「レリック」というアイテムをもらうことが出来ます。どのエリートが出てくるかは章ごとに3つの中からランダムで選ばれて、報酬の「レリック」はランダムで決まります。

 「休憩」は貴重な回復場所ですが、回復ではなく「鍛冶」をすることで持っている「カード」を強化することも出来ます。「鍛冶」をするために、なるべく回復をしなくて済むようにザコ戦でのダメージを減らせるかどうかがこのゲームのポイントとなります。
 「宝箱」は「レリック」というアイテムがもらえる場所で、どのルートを通っても各章で1つ入手できます。どの「レリック」がもらえるかはランダムです。
 「商人」は、貯めたお金で「カード」「レリック」「ポーション」を購入することが出来て、お金を払えば要らないカードの除去もしてもらえます。店に並ぶラインナップはランダムです。

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 「未知」はランダムイベントですが、「敵」「商店」「宝箱」が出ることもあります。


 ということで……このゲームは、どの「敵」が出現するかも、どの「カード」を入手できるかも、どの「アイテム」を入手できるかも、どの「イベント」が起こるかも、ランダムで決まります。


 元々「カードゲーム」自体がランダム要素の強い遊びですけど、「カードゲームにおけるランダム要素」と「ローグライクゲームにおけるランダム要素」の共通点を見抜き、この2つを融合して生まれたのが『Slay the Spire』と言えるんですね。

 「ローグライクゲームとは何ぞや?」という話は、今年に入ってから『トルネコの大冒険』の記事に書いているのでそちらを読んでください。

(関連記事:『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』紹介/「日本人の口に合わせた」ローグライクの誕生


 Anthony氏が影響を受けた「ローグライクゲーム」は、『Rogue』や『トルネコ』ではなく、『Dead Cells』や『FTL: Faster Than Light』らしいのですが……
 同時期に『トルネコ』もプレイしていた私からすると、確かに『トルネコ』でいう「今回はどのアイテムを拾うのかというランダム性」と「拾ったアイテムの中から何を残すのかという戦略性」は、「カードゲームのデッキを構築する楽しさ」に通じるものがありました。こういう事態に備えてこのアイテムは残そう、こっちのアイテムがあるならもうコレは要らないだろう、みたいな。

 また、死んだら終わりで最初からやり直しの「ローグライクゲーム」は、毎回毎回手札を配り直すアナログゲームに近いところがあると思うんですね。麻雀なんかも「運の要素」と「考えて上達する戦略性の要素」のバランスが絶妙なので、「クソ! アガれなかった、でも次こそは!」と思わされてしまうの、すごく「ローグライクゲーム」っぽいですし。


 だから、(真のラスボス撃破までを考えるなら)決して簡単なゲームではありませんし、私も一時期はクリアを諦めかけましたけど……「今日こそはクリア出来るんじゃないか」と思って毎日起動して、気付いたらものすごい時間が溶けているゲームなんですね。

 私は死ぬほど積みゲーがあるので1キャラでクリアしたところで引き上げましたが、全キャラクリアを目指したらその4倍は遊べるでしょうし、更に高難度にする「登塔レベル(Steam版はアセンション)」は20レベルまであるそうです。
 更には通常とはちがう遊び方を世界中の人達と同時に遊ぶことができる「デイリーチャレンジ」や、好きなように設定をイジって遊べる「カスタムモード」なんかもあります。「カスタムモード」は設定によっては超ヌルゲーになるので、本編が難しすぎてクリア出来ないって人はこちらを遊ぶのも手です(実績とかは解除されないと思いますが)。

 マジで、遊ぼうと思ったら一生遊べてしまうゲームで、何百時間もプレイしている人がいるのも分かります。これで定価2570円ってどんなコストパフォーマンスなんだ!!



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 「カードゲーム」が題材のゲームですが、完全に一人用のゲームですから、「ソリティア」のような一人遊びのゲームを延々と遊んでしまうような人にこそ是非オススメです!

 「カードゲーム詳しくない」とか、「ローグライク詳しくない」とかは、まったく気にしなくて良いと思います。これはその2つから生まれた「全く新しいジャンルのゲーム」ですからね。むしろ、『Slay the Spire』系のゲームがたくさん生まれている今だからこそ、本家とも言える『Slay the Spire』をプレイしておきましょう! 沼へようこそ!


 ちなみに、私がプレイしたNintendo Switch版はタッチパネルでの操作にも対応していました。ですが、スマホ版の評判と同様に、カードを選んだときの反応があまり直感的ではなくて、慣れるまでは大変そうです。


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