昨年の6月に発売された『世界のアソビ大全51』は、国内だけでも100万本以上を売り上げ、海外市場での数字を足すと300万本以上を売り上げてトリプルミリオン達成の大ヒットタイトルとなりました(任天堂の
決算説明資料を参照)。
どんなゲーム?という人に簡単に説明すると、世界中の定番のボードゲーム・カードゲームを収録して、その多くでオンライン対戦ができるという「ゲーム集」です。私も発売日に買って、紹介記事を書いているのでどうぞ。
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『世界のアソビ大全51』紹介/今の時代に合わせて13年ぶりに復活した定番ゲーム集!)
しかし、そんな『世界のアソビ大全51』の中で、味噌っかすのように扱われているゲームがあります。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> それが「ルドー」です。 「ルドー アソビ大全」で検索すると、「運ゲー」だの、「虚無ゲー」だの、「クソゲー」だの、ボロクソに書かれている記事ばかりが出てきます。「こんなにクソだと逆に面白い」みたいな酷い言い方をする記事も出てきて、そうした言説だけを見て、実際のゲームを碌に遊ばずに「ルドーってあれでしょ? クソゲーなんでしょ?」とバカにする風潮まで生まれています。
私はそれが悲しいです。
一度「バカにして良い対象」だとみんなが認定したら、よく考えずにせーのでバカにする風潮……ワイドショーもインターネットもイジメが起こっている学級もみんな一緒ですよ。
『スペランカー』は「主人公がすぐ死ぬクソゲー」、
ファミコン版『タッチ』は「原作無視のクソゲー」、
『ミシシッピー殺人事件』は「殺人事件が起こる前から主人公が死ぬからクソゲー」……
私はそうした“空気”に抗ってきました。
みんなが「クソゲー」だって言っているゲームでも、碌にゲームを理解できていない
バカが最初にそう言ったのを鵜呑みにして拡散されただけで、遊び方が分かると面白いゲームはたくさんあるんだよ―――と書いてきました。
「ルドー」もそうです。
「ルドー」を「運ゲー」なんて言う人は、このゲームの「面白さの肝」が分かっていないだけだと思うのです。それなのに、「ルドー」のことを「運ゲーだ」「虚無ゲーだ」「クソゲーだ」とみんなが袋叩きにしたせいで、昨年7月のアップデートでデフォルトのルールが修正されてしまいました。
ゲームのことをよく分かっていないインターネット群衆の声に、公式が屈してしまったのです。
だから私は、この悲しい事件を風化させないためにもこの記事を書いて記録しておこうと思います。
1.「ルドー」はどうして「運ゲー」と言われてしまっているのか
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> 「ルドー」について簡単に説明します。
サイコロを振って、自分のコマをゴールに向かって進める「すごろく」です。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> 大きな特徴を挙げると……
・
プレイヤーごとに「スタート地点」と「ゴール地点」がちがう(上のスクショで言えば、青の私は→のルートを進んでグルっと1周します)。
・それぞれのプレイヤーはコマを4つ持っていて、
4つのコマをすべてゴールまで進めたら勝ち
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用>・他プレイヤーのコマのいるマスにピッタリ止まると、
そのコマをスタート地点まで戻せる 分かりやすいのはこの辺りですかね。
系譜としては『バックギャモン』とかに近いのかなと思います。プレイヤーが4人いることで入り乱れて「誰が誰をスタート地点まで吹っ飛ばすのか」の一触即発状態になるのが面白く、この予測不能な攻防は『スマッシュブラザーズ』などのゲームに通じるものがあります。
いや、生まれた順序を考えれば逆か。
『スマッシュブラザーズ』は『ルドー』に通じるものがありますね。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> ここまでだったら「ちょっとエキセントリックなルールが加わったすごろく」でしょう。
インターネットに巣食う蛮族の方々も、ここまでだったら「虚無ゲーだ!」「クソゲーだ!」と怒りださないと思います。
ここから説明するルールこそが、「ルドー」に対して蛮族の皆様が許せない部分であり、私が「ルドー」を最高に面白いゲームだと思う部分なのです。 それは……
「6が強すぎ」ルールです。
このゲームでは
サイコロで6を出した時にだけで取れる特別な行動があります。
・サイコロをもう1回振ることができる
・スタート地点にいるコマを、スタート地点から出すことができる この「6を出せば、スタート地点にいるコマをスタート地点から出すことができる」ルールが曲者で、逆に言うと
6を出さなければスタート地点からコマを動かすことが出来なかったんですね。1つ目のコマがゴールした後に2つ目のコマを出撃させたい時や、他プレイヤーから吹っ飛ばされてスタート地点に戻されてしまった時も、6を出さないと出撃すらできなかったのです。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> (全部のコマがスタート地点かゴール地点にいるなどして)動かせるコマがない時にサイコロを振って6が出ないと、延々と「パス」し続けるしかありません。他のみんなが次々にコマを進めているのに、自分だけスタート地点から動かせない―――そのことで「ルドー」は「サイコロで6が出せるかどうかの運ゲー」「6が出るまで延々とサイコロを振り続ける虚無ゲー」なんて批判を受けました。
そして、そんな声に屈して
昨年7月のアップデートで、デフォルトのルールでは「動かせるコマがない時は、サイコロを振らなくても出撃できる」ように変更されてしまったのです。
それでは「ルドー」の面白さが1ミリも残っていないじゃないか……
私達は、なので「スタートダイス1個」のルールに変更してフレンド部屋で遊んでいますが。ルドーフレンドのいない人が、このゲームの野良でオンライン対戦をやろうとすると、アプデ後の「6を出さなくても出撃できてしまう」ルドーしか遊べないんですよ! これこそが「運ゲー」「虚無ゲー」だと言うのに!
2.「6を出さないと出撃すらできない」からこその戦略性 例えば、「スペランカーはすぐ死ぬからクソゲー」という言説のどこが間違いかと言えば、
「それはオマエが下手糞だからだ」に尽きるんですね。
上手い人(=どうすれば自キャラが死んでしまうのかを理解している人)が操作すれば死なずにスイスイ進めるし、
最初の頃はすぐに死なせてしまっていたのを、徐々に上手くなるに連れて自在に動かせるようになるのが面白いゲームなんです。「スペランカーはすぐ死ぬからクソゲー」と言っている人は、そのゲームの入口にも立っていません。
サッカーに対して、「ボールを手で持ったら反則と言われたからクソスポーツだ」と文句を言うようなものです。その前提で遊ぶゲームなのに、それすらも分からない人間に『スペランカー』を語る資格はないでしょう!
「ルドー」もそうです。
アプデ前の仕様に対して「6が出るまで延々とサイコロを振り続ける虚無ゲー」と言われても、
「それはアナタが下手糞だからですね」としか言いようがありません。そうならないように立ち回るのが面白いゲームだったんですよ、「ルドー」って。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> 例えば、上のスクショ―――
青いコマの私が「6」を出しました。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> ここで私が取れる行動の選択肢は2つ―――
1つ目は、およそ4分の3のところまで進めている「先行しているコマ」を更に進めてゴールを目指すこと。6マスも進めた上にもう1回サイコロが振れるのだから、ゴールが一気に近くなります。
2つ目は、1つ目のコマがゴールする前から予め2つ目のコマを出撃させておくこと。こうすることによって、1つ目のコマがゴールした後に「2つ目のコマが出撃できないので、6が出るまで延々とサイコロを振り続ける」なんて事態を避けられるんですね。
つまり、「さっさとゴールを目指す」か、「ゴールした後のことを考える」か。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> また、「他プレイヤーのコマのいるマスにピッタリ止まると、そのコマをスタート地点まで戻せる」ルールがあるため、
他プレイヤーのコマがどこにいるのかも考慮しなければなりません。「ルドー」は後ろに攻撃できないため、背後を取られると一方的に「スタート地点に戻されるリスク」を背負います。
1つ目のコマをその場に留めた場合、緑の人が次に「1」を出せば、4分の3まで進めたコマをスタート地点まで戻されてしまいますし、モタモタしているとその後ろにいるピンクや黄色が追い付いてきて背後を取られてしまいます。
かといって、2つ目のコマを出したとしても背後に黄色のコマと緑のコマがいるため、出撃したところですぐに吹っ飛ばされる可能性もあります。それだったら、その後に「2つ目のコマが出撃できないので、6が出るまで延々とサイコロを振り続ける」ことになっても構わないから1つ目のコマをさっさとゴールさせた方がイイかも知れない……
つまり、
めったに「6」が出ないからこそ、「6」が出た時にどう行動するべきかを悩むのが面白いゲームなんです。
確率的に考えれば、6面ダイスで「6」が出る確率は6分の1です。
1つ目のコマが出撃して1周してゴールするまでには、1回か2回は「6」が出るものと思われます。そこで「2つ目のコマを出撃させる」のではなく、「1つ目のコマを更に進める」を選んだのなら、そりゃその後に「2つ目のコマが出撃できないので、6が出るまで延々とサイコロを振り続ける」ことになっても仕方がないでしょう。
選んだのは、アナタだ。 「いや、1周してゴールする前に吹っ飛ばされてスタート地点に戻されたんだ。それでまた6が出るまでサイコロを振らなきゃいけないなんて、虚無ゲーでしかないだろう」と思った人がいるかも知れません。アナタの言っていることは大部分に正しいです。ただ、
だからこそこのゲームは「吹っ飛ばされてスタート地点に戻される」のが恐ろしいゲームなんですよ。
スタート地点に戻されるだけでなく、そこから「6」が出るまで振り続けなくちゃいけない―――誰かに吹っ飛ばされたら、ものすごいターン数をドブに捨ててしまうため、
さっき私が「1つ目のコマを動かすか、2つ目のコマを出撃させるか」で悩んだような葛藤が生まれるんです。少しでも「誰かに吹っ飛ばされるリスクの少ない方」を考える戦略性が生まれるんです(もちろん相手を吹っ飛ばした時の爽快感も高くなる)。
なのに、それが分かっていないインターネット蛮族の御方々が「6が出るまで延々とサイコロを振り続ける虚無ゲー」なんて叩いたせいで、
任天堂も日和って「動かせるコマがなかったらサイコロを振らなくても出撃してイイよ」とアプデしてしまいました。これによって、「吹っ飛ばされることで受けるダメージ」は減り、相手のコマを吹っ飛ばす爽快感は弱まり、少しでも「誰かに吹っ飛ばされるリスクの少ない方」を考える戦略性も薄れました。
<画像はNintendo Switch用ソフト『世界のアソビ大全51』より引用> さっきのこのケース―――
アプデ後の仕様だと2の「予め2つ目のコマを出撃させる」必要がなくなるので、
ただ先行している1つ目のコマを何も考えずに前に進めるだけのゲームになっちゃったんですね。
しかも、何が悲しいって……このアプデをしたことで、それまで「ルドー」を「運ゲーだ」「虚無ゲーだ」「クソゲーだ」と言っていた人達が「ルドーやるじゃん」と見返してくれたりはしていません。ぶっちゃけ誰もアプデ後に遊んでくれていないから、アプデで仕様が変わったことすら気付いていないことでしょう。
その仕様変更の直撃を受けたのは、それまでの「ルドー」を「戦略性に富んだ面白いゲームだ」と楽しんでいた人達なんですよ!! インターネット蛮族の人達が燃やした村や畑からは、もう作物は取れなくなって、人が住める土地ではなくなってしまいました……蛮族の方々はまた次に略奪する村を探して旅立つからそんなこと気にしないのでしょうが、この土地を愛して定住していた人々だけが焼け野原に立ち尽くすしかなくなるのです。これを嘆かなくて、私達はいつ涙を流すというのですか!
3.「6を出せた人」が本当に有利なゲームなのか? そもそもこのゲーム、本当に「6を出せるかどうかの運ゲー」なのでしょうか?
そりゃもちろん「1回サイコロを振って6を出せたら勝ち」だったら運ゲーでしょうけど、100万回サイコロを振ればどの人も同じくらいの回数で6が出るんじゃないかと思うのです。サイコロってそういうものだし。
つまり、「どのタイミングで6が出るか」が人によって違うだけで、「その6が出た時の状況判断」をどうするかというゲームだと思うんですね。 ということで、生配信で開催した「ルドー地上最強決定戦」のアーカイブを見返して、
全てのプレイヤーの出したサイコロの目を集計してみました。副反応で休んでいる間、ヒマだからってこんなことしてたのか。
「6を出せた確率」が人によってそんなに違うのか?
「6を出せた確率が高い人」が勝つのか?
そこを見ていきます。
順位が高い順に並べてみたので、たくさん数字は羅列してありますが「6が出た確率」だけ見比べてみれもらえれば分かりやすいと思います。
<1位:やまなし>・1を出した回数:10 (13.88%)
・2を出した回数:9 (12.5%)
・3を出した回数:10 (13.88%)
・4を出した回数:14 (19.44%)
・5を出した回数:11 (15.27%)
・6を出した回数:18
(25%) 合計:72回
<2位:アラリックさん>・1を出した回数:16 (13.22%)
・2を出した回数:24 (19.83%)
・3を出した回数:19 (15.70%)
・4を出した回数:23 (19.00%)
・5を出した回数:21 (17.35%)
・6を出した回数:18
(14.87%) 合計:121回
<3位:コイネンさん>・1を出した回数:25 (16.89%)
・2を出した回数:22 (14.86%)
・3を出した回数:28 (18.91%)
・4を出した回数:18 (12.16%)
・5を出した回数:26 (17.56%)
・6を出した回数:29
(19.59%) 合計:148回
<4位:チーフさん>・1を出した回数:25 (18.51%)
・2を出した回数:24 (17.77%)
・3を出した回数:26 (19.25%)
・4を出した回数:26 (19.25%)
・5を出した回数:18 (13.33%)
・6を出した回数:16
(11.85%) 合計:135回
あれ?? 「サイコロを振って6が出る確率」は16.666%なんで、全員大体それくらいの確率になると思ったのですが……1位の私が25%で「4回に1回は6を出している」計算で、4位のチーフさんは11.85%ですから「8~9回に1回しか6を出せていない」計算になります。私の半分以下の確率です。
というか、2位のアラリックさんと3位のコイネンさんが逆なだけで、
後は「6を出せた確率が高い人ほど上位に来ている」ことが分かりますね。 まさか……
ここまで長々と書いてきたのだけど、
ひょっとして「ルドー」って「運ゲー」なのでは…… いや、待ってください!
確かに「6を出した確率の高かった人」が上位に来ました。しかしですね、それを「運ゲー」の一言で片付けてイイんですか!? 「6を出せる確率が、人によって倍以上ちがう」なんて不自然じゃありませんか!?
これは明らかにムジュンしています!! というのも……この『世界のアソビ大全51』の「ルドー」に限って言うと、「ボタンを押してから離すタイミング」である程度サイコロの目が固定されているみたいで、
上手くいくと連続で「6」が出るんですね。それじゃ「4回に1回」どころか毎回「6」出せるんじゃないかというとそうでもないので、微妙にタイミングが揺らいでいるんじゃないかと私は踏んでいるのですが……
なので、私は「6を出せるタイミング」を探って、その結果「25%」という高確率で「6」を出せて、「ルドー地上最強」になったのです。つまり、
「ルドー」は「運ゲー」ではありません! 「サイコロの目を狙って振れた人が勝つゲーム」なんです! それもどうかと思う!




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