※ この記事はテレビアニメ『SHIROBAKO』第19話「釣れますか?」までのネタバレ を含みます。閲覧にはご注意下さい。 第5弾です!
漫画版・小説版の記事も含めれば第6弾とも言えます!
『SHIROBAKO』第1~2話に登場する元ネタ解説 『SHIROBAKO』第4~6話に登場する元ネタ解説 『SHIROBAKO』第7~10話に登場する元ネタ解説 『SHIROBAKO』第11~14話に登場する元ネタ解説 アニメにつながる彼女達の人生!『SHIROBAKO』漫画版&小説版 いよいよ『SHIROBAKO』も終盤戦ですね。
今回、多分ここが区切りだなと思ったので5話を一まとめにしました。今回はそれほど解説が必要な元ネタも多くなかったので助かりましたが、『SHIROBAKO』は全24話だからラスト5話……このラスト5話も一まとめに出来ればイイんですけど、はてさて。
毎回の決まり文句となりつつありますが、今回も私には分からない&間違っている解説がありましたら、
分かる人・思いついた人がコメント欄ででもお教えくださるとありがたい です。
◇ 第15話「こんな絵でいいんですか?」 ○ 『きんぎょゆらゆらニュース』 山田がかつて演出をやっていたアニメ?
元ネタは恐らく
『きんぎょ注意報!』 (
公式サイト )だと思うんですけど……
『きんぎょ注意報!』は猫部ねこ先生の漫画を原作に、テレビアニメは1991年~1992年に放送されました。田舎の中学校に都会からお嬢様が転校してきたところから始まるギャグ漫画で、空飛ぶ金魚などの動物が多数登場していました。シリーズディレクターは佐藤順一さんで、演出陣を見ると幾原邦彦さんや五十嵐卓哉さんなど後に監督として大活躍する面々もいらっしゃいますね。
自分はほとんど観たことないので、「寝坊だけで1話持たせた回」というのはどのことか……そもそも山田さんの年齢(40歳前後くらい?)からすると、1991年に演出家だったかというのは微妙だと思うんですね。ひょっとしたら他に元ネタがあるんですかね。誰か思いつく人がいらしたら教えてください。
○ 『戦闘精霊コラーゲン』 ○ 『閃光のシュツットガルト』 舞茸しめじがピンチヒッターを務めて立て直したアニメ……と、安藤さんが言っていました。
諸説言われているみたいですが……私はこれ、
元ネタはない と思っています。
「監督が逃げた」とか「メインライターが降りた」という作品ですからね。これが元ネタだって言っちゃうと風評被害になりかねませんし、「元ネタがないようなタイトル」にしたんじゃないかと思われます。それでも世の中にはたくさんのアニメがあるので「元ネタはコレじゃないか?」と言われてしまうんでしょうが。
○ 浜崎五郎 『第三飛行少女隊』の音楽担当。見た目が作曲家らしくないからか、木下監督がマネージャーの方に挨拶してしまった人です。モデルは恐らく
「浜口史郎」さん です。『SHIROBAKO』でも音楽を担当されていますし、『花咲くいろは』『TARI TARI』と言ったP.AWORKS作品や、『おおきく振りかぶって』『ガールズ&パンツァー』などの水島監督の作品でも音楽を担当されていました。
画像検索してみると一目瞭然ですが、ルックスもとてもよく似せて描かれています(笑)。
◇ 第16話「ちゃぶ台返し」 ○ エンゼル体操 絵麻が屋上で「肩に効く」としてやっていた体操ですが……1978年に発売された「ムキムキマンのエンゼル体操」とは名前が一緒なだけで、同じ動きではないみたいですね。なので元ネタがあるワケじゃないと思います。
自分は知らなかったんですけど、
水島努監督の作品には「奇妙なオリジナル体操」が入っていることが多い という伝統があるんですってね。自分は観ていないんで分かりませんでしたが、『侵略!イカ娘』や『ガールズ&パンツァー』にもそういう「奇妙なオリジナル体操」が入っていたそうです。
そして、もう一つ……
こちらはかつて語ったことのある話!
『TARI TARI』の時に「これは定番なのか……?」と書いたあの動き は、「伝統」だったんですね!
<テレビアニメ『花咲くいろは』第4話より引用> メールの返信をどうするべきか、大股開きで悩んでいるところを見られて誤魔化す緒花。
<テレビアニメ『TARI TARI』第3話より引用> 大智の部屋に入ったら下着姿の女性がいたので、慌てて誤魔化すウィーン。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 肩に効くエンゼル体操をしている絵麻。
どのキャラも、「屈伸」からの「うさぎ跳び」をしています。 「伝統」ということは、他のP.A.WORKSオリジナル作品にもあったのかなぁ……『true tears』は「屈伸」は覚えているんですけど「うさぎ跳び」していましたっけ。『グラスリップ』は全く覚えていません。
○ バッティングフォーム もはや「アニメの元ネタを解説する」記事でも何でもありませんが(笑)。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 4人がバッティングセンターに行くシーンの構え、どうも「実在の有名野球選手の構え」をモデルにしているみたいなんですね。自分だけでは自信がなかったので、一応ネットでの反応を見たところ……
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 宮森さんは「イチロー」の構えみたいです。この手の動きだけですけど。
イチロー選手 は、本名:鈴木一朗さんで現役のメジャーリーガーです。
愛工大名電高校から1991年ドラフト4位でオリックス・ブルーウェーブに入団、1994年から登録名を「イチロー」に変更、「振り子打法」によって日本プロ野球史上初の200本安打を達成しました。そこから7年連続の首位打者(最も打率の高い選手)のタイトルを獲得。
2001年からはアメリカのメジャーリーグ、シアトル・マリナーズに移籍、10年連続200本安打という偉業を達成します。2012年の途中からニューヨーク・ヤンキースに移籍、2015年からはマイアミ・マーリンズに移籍しました。また、2006年と2009年にはWBCに出場し、日本代表の2度の世界一に貢献しました。
記録にも記憶にも残るスーパースターで、世界に誇る偉大なヒットメーカーです。
ちなみにイチロー選手は左打ちです。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 絵麻は「落合博満」さんの構えみたいですね。
落合博満さん は現在は中日ドラゴンズのGMです。
社会人野球チーム東芝府中から1978年ドラフト3位でロッテオリオンズに入団、25歳でのプロ野球入りながら、1982年のシーズンには三冠王(首位打者、ホームラン王、打点王)、5度の首位打者に3度の三冠王という凄まじい成績を挙げます。中日ドラゴンズ、読売ジャイアンツ、日本ハムファイターズと渡り歩き、1998年にプロ野球選手を引退。
2004年からは中日ドラゴンズの監督に就任し、8年間で4度のリーグ優勝と1度の日本一、8年連続Aクラスという好成績を収めます。
独自の野球哲学や歯に衣着せぬ発言なども独特で、「オレ流」とも形容される唯一無二の存在です。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 井口さんは「王貞治」さんの構えっぽいですね。
王貞治さん は台湾国籍で日本出身の元プロ野球選手・監督で、現在は福岡ソフトバンクホークス球団取締役会長だそうです。
早稲田実業学校高等部から1959年に読売ジャイアンツに入団、荒川博コーチの元で「一本足打法」を会得、1962年から13年連続ホームラン王に輝き、通算でも15回のホームラン王のタイトルを獲得、868本のホームランは現在も世界記録とされています。5度の首位打者に2度の三冠王、長嶋茂雄さんとともに「ON」として人気を博し、巨人の9年連続日本一に貢献、初めての国民栄誉賞受賞者で、監督としても巨人とダイエー・ソフトバンクで4度のリーグ優勝と2度の日本一を達成、第1回WBCにおいても日本代表監督としてチームを優勝に導きました。
列挙するだけでも大変(笑)。
これだけのとてつもない経歴の人間でありながら人格者であり、誰からも愛されて尊敬される国民的ヒーローと言って良いでしょう。
ちなみに、王さんも左打ちです。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 小笠原さんは「小笠原道大」選手の構えみたいです。
小笠原繋がりだと……
小笠原道大選手 はNTT関東から1996年ドラフト3位で日本ハムファイターズに入団、骨折した指でホームランを打ったことから付いた愛称は「ガッツ」、また「ミスター・フルスイング」とも呼ばれる豪快な打撃フォームにも関わらず高打率を誇るアベレージヒッターで2度の首位打者に輝いています。
2007年からは読売ジャイアンツに移籍、低迷期に入っていた球団を復活させる主軸として活躍しました。2014年からは中日ドラゴンズに移籍、左の代打の切り札として活躍しています。
○ ピッチングフォーム こちらにも元ネタがあるようです。
私は当初「バッティングフォームは有名選手、ピッチングフォームは有名野球アニメをモデルにしているのでは」と思ったのですが、どうも“フォームが特徴的な投げ方”を二次元・三次元問わずにモデルにしているみたいですね。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 宮森さんは多分、
「トルネード投法」 。
1990年から近鉄バファローズで活躍し、後にロサンゼルス・ドジャースなどのメジャーリーグのチームで大活躍したことで「日本人選手のメジャーリーグ挑戦のパイオニア」と呼ばれた野茂英雄さんの特徴的な投げ方です。打者に背中を見せるほど体を捻ることで球威が増す上にリリースポイントが見づらくなって打者としては非常に打ちづらいのだけれど、足腰の強さと高いバランス感覚を必要とします。
野茂さんの活躍は社会現象になったほどだったので、多くの野球漫画でもこの投げ方を真似しているキャラは登場していましたね。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 絵麻は多分
「大リーグボール2号」 です。
Twitterに自分は「サンダーバキュームボール」じゃないかと書いたのですが、後でネットで画像検索してみたところ、「サンダーバキュームボール」は左手をもっと上まで上げるみたいなんですね。なので、「大リーグボール2号」だろう。
「大リーグボール2号」は、野球漫画『巨人の星』で星飛雄馬の魔球の一つです。
原理を書くとネタバレになってしまうので避けますが、
「消える魔球」 として日本の野球漫画史上でも最も有名な魔球だと思います。しかし、多分……このバッティングセンターで投げても、消えませんよねきっと(笑)。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 井口さんは多分
「マサカリ投法」 ですね。
1968年から東京オリオンズ→ロッテオリオンズで活躍した村田兆治さんの投げ方で、豪快に上から投げ下ろすことでストレートとフォークの切れが増したそうです。現在はプロ野球選手を引退して60歳も超えているのですが、2年前に135km/hという球速を記録した生きるレジェンド。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 小笠原さんが投げているのは恐らく
「ドリームボール」 です。
野球漫画『野球狂の詩』に登場する水原勇気の投げる変化球で、日本プロ野球史上初の女性選手だった彼女はこの変化球を武器にプロ野球を戦います。左投げのアンダースローからボウリングのようなフォームで投げられ、ホップした後にスクリューボールのように落ちるのが特徴だそうです。
何故、小笠原さんは「ドリームボール」を投げたのか――― 『イデオン』の地球とバッフ・クランの関係が遠藤さんと下柳さんの対立に喩えられていたように、ここで小笠原さんが投げるボールが「ドリームボール」なのも意味があると思います。
水原勇気というキャラは、『野球狂の詩』の中で日本プロ野球史上初めての女性選手として登場します。つまり、
「自分以外は全員男」の中でたった一人「女性」の力で立ち向かう話 なんです。これは、監督やプロデューサーなど「自分以外は全員男」の中でたった一人「女性」の力で立ち向かった小笠原さんの構図に重なっているんですね。
なので、この回の小笠原さんは、あくまで男性社会の感覚の監督やナベPに「お酒を飲めば誰でも気分転換になるとは思わないでください」と怒り、宮森さんや絵麻を誘って女性陣だけでバッティングセンターに向かったのでしょう。
○ 『KILL BRIDAL5』 <テレビアニメ『SHIROBAKO』第16話より引用> 若き日の小笠原さんが失意の中で観た駅のポスター。
元ネタは恐らく
『キル・ビル』 です。
2003年に第1作が、2004年に第2作が公開されたクエンティン・タランティーノ監督のバイオレンス・アクションムービーです。妊娠中の子どもと夫を殺された女暗殺者が復讐の旅に出るストーリーで、「戦う女として」武装することを小笠原さんに決意させたということなのでしょう。
◇ 第17話「私どこにいるんでしょうか…」 ○ 『合格機動隊』 <テレビアニメ『SHIROBAKO』第17話より引用> 『第三飛行少女隊』が情報解禁された雑誌の広告にあった作品名ですが……
あれ……この『SHIROBAKO』の世界には既に『望遠機動隊』があったような……
元ネタは恐らく
『攻殻機動隊』 だと思われます。
『攻殻機動隊』の解説は5話で書いているんで、そちらをどうぞ。 『ダンツィヒ回廊のエカテリーナ』は10話で宮森が効果音の収録に協力しちゃった作品で、『俺様のハーレムが少しずつ崩壊しているかもしれないけどたぶん気のせいかもしれない』は4話でしずかがオーディションを受けた作品ですね。あのオーディション原稿には「(仮)」が付いていたけど外れているので、あの「(仮)」は本当に「(仮)」だったみたい。
○ マンフェス 『第三飛行少女隊』のPVを流すイベントで、「マンガフェスティバル」の略だそうです。「8月13日から」という茶沢の台詞があるので、
「コミックマーケット」 (
公式サイト )が元ネタだと思われます。
通称「コミケ」、毎年8月と12月に行われる世界最大規模の同人誌即売会で、現在は東京ビッグサイトで行われています。同人サークルが同人誌やグッズの頒布を行うだけではなく、企業が参加してグッズを頒布したりPVを流したりもしています。『SHIROBAKO』のPVも、コミケで流れていたみたいですね。
漫画・アニメ好きにとっては大メジャーイベントなので、ヲタクを題材にした漫画・アニメにはこれをモデルにしたイベントに行く回が頻繁にあるのですが……アニメだと微妙に名前をもじっていたり、名前が出ないようにしていたりしている作品がほとんどですね多分。
○ 『ミムジーとロロ』のPV <テレビアニメ『SHIROBAKO』第17話より引用> ミムジーとロロがPVに付いて説明してくれる「架空のPV」。
VIDEO まんまこれ(笑)。
今見ると、これも4話までのカットが使われているみたいですね。何気なく見ていたPVですけど、作るのには確かに余計な労力が必要だし、最初にお披露目する映像だから手抜きも出来ないし―――大変なんだなぁと思いました。
◇ 第18話「俺をはめやがったな!」 ○ アフレコスタジオのポスター <テレビアニメ『SHIROBAKO』第18話より引用> 右は『えくそだすっ!』だけど、左は……というと。
実はこのポスター……14話のオーディションシーンにも出ていたんですけど、14話の元ネタ解説を書いた時には気付かなくてスルーしちゃっていたんです。ということで、ハイ。14話で出てきたシーンはこちら。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第14話より引用> 『Another』 (
公式サイト )じゃないか!
P.A.WORKS&水島努監督作品ということで、ガッツリ描かれちゃっていますね。
解説は14話で書いたのでそちらをどうぞ。 ○ 大倉正弘 ○ 『ちょうりつうちゅうぐん』? ○ 『ゲキトバーツー』? 名前は17話から登場していましたし、『ゲキトバーツー』は17話にしか出てきていない作品名ですが、メインとして登場するのは18話なのでこちらで。
モデルは多分
「小倉宏昌」さん です。
何故なら19話のEDクレジットに名前が載っているからです(笑)。
小倉宏昌さんは1987年の
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』 で初めて美術監督を担当し、『アップルシード』『機動警察パトレイバー the Movie』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』などなどの作品の美術監督を務められた人です。現在はIG小倉工房(
公式サイト )の代表取締役です。
『ちょうりつうちゅうぐん』の元ネタは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で、『町立宇宙軍』ってところですかね。規模がものすごく小さくなった!
『ゲキトバーツー』の元ネタは
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』 ですかね……字面は似ていないんですけど。
○ あおやま ○ 佐賀森さん 「佐賀森さん」は大倉さんの師匠で、「あおやま」さんはそこで大倉さんと一緒にやっていた仲間で、渥美さんは「あおやま」さんの弟子―――という関係らしいですね。「佐賀森さん」は19話に登場します。
小倉宏昌さんの経歴を見てみると、小林七郎さんが設立した小林プロダクションに1977年に入社して、1983年に退社後、1987年に『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で初めての美術監督を担当ということなので……
「佐賀森さん」のポジションは小林七郎さん で(名前は全然違うのでモデルとはちょっと違うと思いますが)、「あおやま」さんのポジションは小林プロダクション出身の「秋山健太郎」さんですかね。
「秋山健太郎」さん は小林プロダクション出身の美術監督で、2008年に「studio Pablo」(
公式サイ ト)を設立しました。
代表作は『輪るピングドラム』『惡の華』『selector infected WIXOSS』などなど。たまたま現在dアニメストアの「見放題」で『輪るピングドラム』を観ている自分にとってはタイムリーな御名前でした。
年代を見る限り、秋山さんが小林プロダクションに入った時点で小倉さんは小林プロダクションには在籍していなかったみたいですね。大倉さんの「あおやまが俺について言っていることは全部嘘」というのは、本人がいないところで大倉さんの話が伝説的に尾ひれが付いて広まっていたってことですかね。
◇ 第19話「釣れますか?」 ○ 池谷ひろし 矢野さんが『第三飛行少女隊』の5話のヘルプに誘った演出家。
こちらはモデルがいるんですかね……
名前が非常によく似ている池畠博史さんという演出家さんはいらっしゃるのですが、非常に仕事量が多く、年齢もまだまだ若い人なのでモデルではなさそう。流石に「仕事をあまりしない演出家」ともなると、名前は分からないので……誰かピンと来た人がいらしたら教えてください。
――2月26日23時追記―― コメント欄にて、「池谷ひろし」さんのモデルは「池端隆史」さんじゃないかという情報をいただきました。これは!まず間違いないでしょう!何故なら……以前、『SHIROBAKO』の水島努監督&横手美智子さんのコンビは『げんしけん』コンビだと書いたことがありましたが、水島さんが『げんしけん』の監督をやったのはスピンオフの『くじびきアンバランス』と『二代目』で、初代の監督は池端隆史さんなんですよ。 その初代にも演出家として水島さんが参加されていますし、一緒に仕事をすることも多いです。また、池端さんは『髭のおじちゃんの散歩日記』というブログ を開設していますし、仕事をしないかどうかは知りませんが(笑)、散歩が趣味みたいですからね。 情報ありがとうございました。 ○ 武蔵野動画 『SHIROBAKO』世界にかつてあったアニメ制作会社。
武蔵野動画が倒産した後、その中のスタッフが色々な会社を作り、武蔵野アニメーションもその一つだそうです。モデルとかは……あるのか。こういうケースは珍しくないでしょうし、
「よくある話」として描いている と思うんですけどどうなんだろう。
有名どころで言うと、サンライズやマッドハウスが独立していった旧
虫プロダクション とかがありますね。それこそ丸川社長のモデルは虫プロから独立してマッドハウスを設立したメンバーの一人である丸山正雄さんじゃないかという説もありますし……一応解説しておきますか。
虫プロダクションは1961年に手塚治虫さんが設立したアニメ専門のプロダクションです。手塚治虫先生の漫画原作のアニメ『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』や、それ以外の『ムーミン』や『あしたのジョー』など数々の作品を手がけ、日本のテレビアニメの礎を築いた一つの会社と言えます。
手塚先生の社長からの退任、労働問題、経営悪化などが続き、1973年に倒産―――現在の虫プロダクションは1977年に旧虫プロの労働組合が中心となって設立した別の会社です。
○ 『デカメロン物語』 <テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> えっと……名前の響きからして
『アンデルセン物語』 が元ネタですかね。
『アンデルセン物語』は1968年に公開された東映動画製作のアニメ映画で、1971年には虫プロダクション制作でテレビアニメも放送されました。
年代的にも制作スタジオ的にも、虫プロ制作のテレビ版の方がモデルですかね。ストーリーを見たところ映画版とテレビ版はアンデルセン作の童話をモチーフにしている以外に共通点はない別物みたいですね。
○ 『新造人間ガチョーン』 ○ 『ほねっこハチベエ』 <テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> 来たぜ、ポスター地獄!
『新造人間ガチョーン』の元ネタは、1973年~1974年に放送された
『新造人間キャシャーン』 だと思われます。
東京MXのサイト に似たような構図の絵が(笑)。自我を持って世界を征服しようとする戦闘ロボット軍団と、それに対抗する新造人間キャシャーンとの戦いを描いたSFヒーローアニメです。制作はタツノコプロ。
1993年にはリメイク作品となるOVA版、2004年には実写映画、2008年には新作アニメが作られたそうです。
『ほねっこハチベエ』の元ネタは、ちょっと分かりませんでした……
『ジャングル黒べえ』は既に『アマゾン赤べこ』があるから(
1話の解説 参照)違うと思うのですが、フォントは似ているようにも思うんですね……
――2月26日23時追記―― 『ほねっこハチベエ』の元ネタは『けろっこデメタン』 ではないかという情報をいただきました。全く知らないアニメだったのですが、画像検索してみて出てくる画像 のポーズが一緒(笑)。これは間違いないでしょう。センスあるパロディですねぇ。 『けろっこデメタン』は1973年に放送されたタツノコプロ制作のアニメで、Wikipedeiaでストーリーを読む限りはカエルの世界での権力闘争や身分を越えた恋などを描いた作品だったみたい……この絵柄からは想像できなかった意外なストーリーだ。 情報、ありがとうございました。 ○ 東城秀樹 ○ キャンディガールズ <テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> こちらは武蔵野動画に貼ってあった当時のアイドルのポスターです。
「東城秀樹」さんのモデルは、
「西城秀樹」さん だと思われます。
1972年「恋する季節」で歌手デビュー、1973年「情熱の嵐」でオリコントップ10入り、「ちぎれた愛」でオリコン1位を獲得し、名実ともにトップアイドルとなります。1979年の「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」は世代を超えて歌い継がれていく名曲となりました。
郷ひろみさん・野口五郎さんとともに1970年代を代表するアイドル「新御三家」と呼ばれ、西城さんは「ワイルドさ」や「セクシーさ」の象徴でした。
「キャンディガールズ」のモデルは、1970年代に活躍した
「キャンディーズ」 だと思われます。伊藤蘭さん、田中好子さん、藤村美樹さんによる3人組ユニットで、3人はそれぞれ「ラン」「スー」「ミキ」の愛称で親しまれました。
『8時だョ!全員集合』にレギュラー出演をし、1973年に「あなたに夢中」で歌手デビュー、1975年の「年下の男の子」がヒットして、それ以降は「春一番」「暑中お見舞い申し上げます」などのヒット曲を次々とリリース、1976年デビューのピンク・レディーとともに70年代を代表する女性アイドルユニットとなりました。
人気絶頂時の1977年に「普通の女の子に戻りたい」という言葉とともに解散を宣言し、1978年の最後のシングル「微笑がえし」で初のオリコン1位を獲得します。
解散後、伊藤蘭さんは女優として芸能界に復帰し、水谷豊さんと結婚されました。田中好子さんも女優として芸能界で活躍されていましたが、2011年に若くして乳がんで亡くなられています。藤村美樹さんは1983年に期間限定でソロ歌手として曲を出したこともありましたが、その後は芸能活動は行われていないみたいです。
○ チャッキー ○ ピート ○ ポピー ○ リッキー ○ ブラス ○ ジョージ ○ バディ ○ ビル ○ エミー ○ ベソベソ <テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> 『山はりねずみ アンデスチャッキー』のキャラクター達です。
『アンデスチャッキー』の元ネタは『山ねずみロッキーチャック』なので、ここに登場するキャラクターはみんな『ロッキーチャック』にモデルのキャラがいるのかな……と思ったのですが、モデルのいるキャラとそうでもないキャラがいるみたい?漫画版の解説を書いた際にお世話になった
『ロッキーチャック』のファンサイト を参考に書かせてもらいます。
『ロッキーチャック』は
dアニメストアの「見放題」に入っている 作品なのですが、全52話もあるので流石に気楽には観られませんね……
また、このシーンに出てくるチャッキーとポピー以外のキャラクターは、1970年代の武蔵野動画で働いていた人々とシンクロさせてあるみたいです。EDクレジットで判明するCV.と合わせることでどの人がどれかは分かるようになっているので、それも合わせて解説させていただきます。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> はりねずみが、このアニメの主人公チャッキーです。
モデルは恐らく
ロッキーチャック (
ファンサイト )。シャツ(?)がスカーフに変わっていますが、赤いものを身につけているという共通点があります。
熊は、ピート。
モデルは
バスター (
ファンサイト )というキャラですかね。名前は似ていないし、大きさも違うのだけど、身に付けている服が似ています。
CV.は監督である森宮三郎と同じです。
丸川が「武蔵野動画がなくなってもまたみんなでアニメを作りたい」と言うと、「俺も呼んでくれ」と賛同していました。この森宮さんにもモデルがいそうな気もするんですけど……誰でしょう。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> もう一匹のはりねずみがポピーです。このアニメのヒロイン。
モデルは
ポリー (
ファンサイト )だと思われます。頭に飾りを付けているだけじゃなくて、黄色いフサフサのある位置が一緒です。
馬はリッキーです。
ファンサイトを見ても馬のキャラクターはいないみたいですし、似たような服を着ているキャラを探しても見つかりませんでした。
CV.は色彩設計の百瀬勇と同じです。「小諸に帰ろうかと思っている」という台詞があるように、その後に小諸に帰って小諸スタジオの社長になって『SHIROBAKO』第3話に登場します。車でハードディスクを運んできてくれた人ね。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> コックみたいな帽子を被った鳥はブラス。
こちらもちょっとモデルが分かりませんでした。名前と目つきの悪さからすると、ブラッキー(
ファンサイト )が怪しいかなと思うのですが……服が違うのが気になります。
CV.は美術監督の佐賀森幸次と同じです。
「アニメの背景を、観た人の魂を揺さぶるようなものにしたい」と言っていました。
鶏はジョージ。このキャラもちょっとモデルがいるのかどうか……
CV.は美術の大倉正弘と同じです。言うまでもなく、『第三飛行少女隊』で宮森が背景を頼んだ人です。ここで佐賀森さんへの弟子入りを志願していました。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> ウサギはバディ。名前は似ていないけど、服の色が似ている
ピーター (
ファンサイト )がモデルと言ってイイでしょう。ロッキーチャックやポリーに続くレギュラーキャラみたいです。
CV.は制作デスクの丸川正人と同じです。
「武蔵野動画がなくなっても、このメンバーでまたアニメが作りたい」「そして絶対に今作っているアニメを超えるアニメを作りたい」と語っていました。それが後の武蔵野アニメーションになるのでしょうし、そしてコレ……「またこの5人でアニメを作りたい」と語っていた第1話の宮森達にシンクロさせてあるんですね。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> 黒い犬はビル。これもモデルはいないみたい?
CV.はキャラクターデザインの杉江茂と同じです。現在も武蔵野アニメーションで現役のアニメーターを続けている杉江さんです。丸川の意見に賛同していました。
猫はエミー。
CV.は「動画のあのコ」と同じですね。髪型から察するに後に杉江さんの奥さんになる人だと思われます。杉江と一緒に丸川についていくと言っていました。『SHIROBAKO』12話で宮森に「『アンデスチャッキー』の動画を描いていた」と言っていましたね。
<テレビアニメ『SHIROBAKO』第19話より引用> カエルはベソベソ。
カエルのキャラは『ロッキーチャック』にもステッキー(
ファンサイト )というキャラがいますが、モデルかどうかは微妙なような。
CV.は宮森さんと同じでした。
吹雪が止んだ後にやってくるキャラなので、アニメが完成した後に「テレビの前でそれを観ている視聴者」や「そこから刺激を受けた次世代のアニメの作り手達」という象徴なのだと思います。まさに宮森さんのポジション。
この情熱がアニメに夢を見られなくなりつつあった宮森さんに届くというシーンで、泣き顔の前に宮森さんの泣き声がかすかに聞こえるところが最高でした。
この回の前半で「(宮森は)入って1年半も経つのにまだこの仕事に夢見てるんだ」という平岡の台詞があって。でも、アレだけ打ちのめされた宮森さんは夢を見失いかけていて。そこに、
40年前に夢を見ていた若者が40年経ってもまだ夢を持ってアニメ作っている姿を見せる ことで、再び宮森さんがアニメへの情熱を取り戻すという展開だったんですね―――熱すぎる展開!
19話は本当に大好きな回で、宮森さんの泣き声が聞こえるシーンは何回見てもこちらも涙してしまいます。ただ「アニメを作るのって大変なんですよ」と愚痴るだけのアニメじゃないんです。
必死に生きることを全力で肯定してくれるからこそ、この作品は心を打つのだし、私はこの作品が大好きなのです。 よほどのことがない限りは、元ネタ解説は次でラストだと思います。
残り5話―――惜しいけれど、大好きだったアニメがどう着地をしてくれるのかを楽しみに待ちたいと思います。ずかちゃんはどうなってしまうのか!
――追記―― (
第20話~最終話の元ネタ解説はこちら )
VIPな5まとめっさん(11/28)
ああああ(11/27)
やまなしレイ(管理人)(11/15)
ああああ(11/12)
やまなしレイ(管理人)(11/10)
ああああ(11/09)
やまなしレイ(管理人)(11/07)