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『はじめてのゼルダの伝説』案を考える

 長く続いているシリーズ作品に途中から入れるか問題。

 『ドラクエ9』のTVCMに出ていた女のコが「1から8までやっていないのにいきなり9からで大丈夫か不安だった」みたいなことを言っていましたよね。『ドラクエ』は作品によってそれぞれが独立したストーリーですし、「初めてRPGを遊ぶ人」に考慮した作品なので「9作目からでも大丈夫」だと思うのですが……それでもやはりタイトルに『9』という数字が付いているだけで尻込みしてしまう人はいるみたいです。

 自分も昔『FF』について同じようなことを言われました。「10本も出ていて今更手を出せない」と。



 しかし逆に、この記事に取り上げる『ゼルダの伝説』シリーズなんかは、『ゼルダの伝説 ○○○○』という副題しかついていないために、「どれから手を出してイイのか分からない」という話をよく聞きます。タイトルだけではどれが本編だか分かりませんものね。
 沢山出ているシリーズソフトはそれだけで尻込みされてしまうんだろうなーとしみじみ。




 ならば、いっそのこと「初めての人が遊ぶゼルダ」というものを出せばイイんじゃないだろうか。というところから今日の記事を書きます。

 まー、こんな記事を書いても天下の任天堂に採用されることは100%ないと思いますけど、こういう話は『ゼルダ』に限らずに色んな娯楽に当てはまる話ですし、各自で脳内変換して読んでもらえると幸いです。




案1.定価0円のダウンロード販売ソフト
 自分はかつて『ゼルダ』は『マリオ』に似たゲームだと書いたことがあるんですが、『ゼルダ』と『マリオ』を分ける決定的な差があります。それは「遊んだことのある人数」の差です。売上げ本数もさることながら、『ゼルダ』って口コミではあまり広がらないタイプのゲームだと思うんです。

 『スーパーマリオ』の大ブームの頃、友達の家に集まって「1機交替なー」とプレイしていたことがあります。『スーパーマリオ』を持っていない人、ファミコン自体を持っていない人でも、『スーパーマリオ』を遊んでいたんです。600万本オーバーの国内販売数も凄いですけど、遊んだことのある人数は600万人どころではありません。

 この手の売れ方って『Wii Sports』とかにも通じますよね。

(関連記事:『トモダチコレクション』が売れた理由から目を背けてはならない


 翻って『ゼルダの伝説』。
 『ゼルダ』は当然ながら交替でプレイが出来ませんよね。だから当然、接待プレイにも使われず、「買ったことのない人は遊んだことがない」典型的なゲームなんです。実はコレ、重要なポイントだと思います。


 なので、実際に遊んでみたら『ゼルダ』にドハマリするような人でも「どんなゲームか分からないし……」と敬遠している可能性は大きいのです。ウチのブログでも『ゼルダ』の名前を連呼したせいで、「そんなにオススメされたからと遊んでみたら面白かったです!」と言われることが何度かありました。「何度か」ですけど(笑)。

 だから、無料のダウンロードソフトで配布しちゃえばイイと思うんです、『はじめてのゼルダ』を。
 なるべく多くの人にプレイして欲しいから、Wiiウェア・DSiウェア・3DSウェア(仮称)で同時配布とかね。そうするとグラフィックはDSに合わせなきゃならなくなるのかしら……その場合はDSiウェアを除いてもイイか。自宅にネットがない人には、3DSの「いつの間に通信」「すれ違い通信」を使ってバラ蒔いていけばイイと思うよ!



 「今の時点でゼルダに興味ない人は、無料でも遊ばないんじゃない?」と思われるかも知れませんが……DSiウェアのランキングは無料ソフトが上位独占なんですよ。『どこでもWiiの間』でさえも!
 今はもうやっていませんが、Wiiウェアの無料体験版が行われていた頃にはWiiウェアのランキングも上位を独占していました。


 無料というだけでとりあえずダウンロードされるんですよ。
 その内の何割かの人がプレイして、何割かの人が「面白いじゃん!」と思ってもらえれば、『ゼルダ』の新作パッケージソフトが出た時に「こないだやってみたけど面白かったなー」となるかも知れないじゃないですか!



案2.体験版に非ず、1つのダンジョンをクリアさせるべし
 ここまで読むと「それ、任天堂以外はフツーに体験版として出していることだよね」と思う人がいると思います。僕も自分で自分にツッコミました(笑)。

 でも、例えば『ゼルダの伝説 Skyward Sword体験版』が配信出来たとしても(Wiiのフラッシュメモリの容量じゃムリでしょうけどね)、既に『ゼルダ』に興味がある人しか手を出さないと思うんです。『はじめてのゼルダの伝説』として、今まで触れたことのない人間に触れさせることに意味があると思うんです。


 なので、最新作の体験版ではなく、完全独立したソフトとして配信した方がイイんじゃないかなと。
 容量を抑えるために2D仕様でグラフィックはスーファミレベルでイイと思いますし、収録されている内容はダンジョン1つ分、使用アイテムも2~3コくらいで、新たにダンジョンを作るのが厳しいなら過去作品からの流用でも構いません。とにかく「初めてゼルダを遊ぶ人」に、「自分でもゼルダ遊べるんだ」「自分でもクリアまで行けるんだ」と思わせることが重要だと思うんです。


 ぶっちゃけた話、『トワイライトプリンセス』を最初のダンジョンまで辿り着けずに詰んでしまったという人の話は沢山見ました。ダンジョン攻略が楽しいゲームなのに、その入り口まで行けない人が沢山いたんです。

 なので、純粋にダンジョンだけを収録して、そのソフトだけで独立して「クリアまで楽しめる」のが理想だと思うんです。体験版として出して、盛り上がってきたところで「ハイ!続きは製品版を買ってね!」だと『ゼルダ』の良さは伝わらないと思いますもの。




案3.とにかく「ゼルダの文法」を学ばせる
 この記事を書くキッカケになったのは、Twitterにて「実はゼルダって独特の“お約束”が多いよね」と言われたからでした。例えば、「灯の付いていない燭台」が複数置いてあった場合、カンテラで火をつけると隠し扉が開く――――みたいなことって、『ゼルダ』ファンなら常識なんですけど、知らない人は知らないワケです。


 こういう超基本的な仕掛けは、パッケージソフトの新作の序盤に収録すると「チュートリアル長ぇ……」となってしまいがち。『トワイライトプリンセス』でも「最初の村がダルイ」という意見も多かったですもの。それなら、開き直って「チュートリアル代わりに基本的な文法を体験出来るソフト」を出しちゃえばイイと思うんです。

 出来れば、向こう10年くらいずっと「初めてゼルダを遊ぶ人はこれからどうぞー」と配信し続けられるものにしたいですね。


 『ゼルダ』の魅力って……細かく達成感が得られるところにあると思うんです。
・ダンジョンに入る。いきなり扉が開かない、でも敵を全部やっつけたら開いた。やった!
・次の部屋に行く。分かれ道、左には鍵穴のある扉しかない、右に行ったら鍵があった。やった!
・届かないところにスイッチがある。仕方ないので放っておく。その後にブーメラン取って戻ってきたら、遠くのスイッチも押せた。やった!



 なので、「世界を救う壮大なパッケージソフト」として売り出すだけじゃなく、「短い時間でコンパクトに遊べるダウンロードソフト」としての道もあってイイんじゃないかと思うのです。もちろん本編としてではなく、初心者に向けた外伝としてですけど。


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 おさらい。

0.誰が見ても「初心者用」「初めての人が楽しめる」と分かるタイトルにする
1.なるべく多くの人に触って欲しいので、0円で配布する
2.「冒頭部分だけ遊ばせる」のではなく、ちゃんと「クリアの達成感」を味わわせる
3.「ゼルダってこういうものなんだ」が分かるようにする

4.これを遊んだ人がお金を払ってパッケージソフトの新作を買ってくれるようにするのが真の目的




 もちろん、こんなことはどこにでも出来ることじゃないですよね。
 「商品に自信がある」「未来に向けて先行投資できる」と2つの条件が揃っていなければなりません。無料でソフトをばら撒くんですから、それだけでは元が取れませんものね。
 でも、「これ1本を出しておけば、後々に商品を売る時に有利になる」と長い目で見ればメリットはありますし、『ゼルダの伝説』はその恩恵を受けられる数少ないシリーズだと思うんですよ。根っこの部分はスーファミ版『神々のトライフォース』以降変わっていないワケですし。1本遊ぶと、2本目からのハードルがグンと下がるシリーズだと思うんです。



 別に自分は特別なことを言っているワケじゃなくて……
 「如何に最初の1歩目のハードルを下げるか」というのは、色んな分野で昔から行われていることですよね。それこそ「GREEで検索、無料です」のCMもそうですよね、下の方に小さく「一部有料です」と書いてあって「ズルイ…」と思うのですけど(笑)。

 で、これから重要なのは、「その1歩目でどのくらいの満足度がベストなのか」ということなんだと思います。
 例えば漫画の「第1話は試し読みで無料ですよ!」とか言われても、「第1話だけだと面白いかなんて分かんないし…」って思っちゃいますよね。逆に無料部分だけでお腹いっぱいになると、「わざわざお金払って買わなくてイイか」になっちゃいます。厳密には無料ではないですけど深夜アニメなんかは、お金を払ってくれる顧客は極一部ですものね。



 ゲームの話に戻すと……
 それこそ「友達の家で遊んだスーパーマリオ」なんかは、限りなくベストの「1歩目」だったと思うんです。友達と一緒に遊ぶから自然と溶け込み、でも自分の家には持ち帰れないから欲しくなってしまう。『Wii Sports』も『トモダチコレクション』も同じような「1歩目」があったと思うんです。


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| ゲーム雑記 | 18:24 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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