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『弟切草』紹介/ストーリーを読むだけでない、「何度もループして新シナリオを探す」遊びを取り込んだアドベンチャーゲームの転換点

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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
マルチシナリオが流行った時代に生まれた「ピンクのしおり」という新たなスタンダード
『かまいたちの夜』が確立させる前の、独特の「アミダのような」シナリオ分岐
“サウンド”ノベルの名は伊達ではない、想像力を刺激する「ホラー」という題材



『弟切草』
・開発&発売:チュンソフト
・スーパーファミコン版:1992年3月7日発売
 プレイステーション向けフルリメイク版『蘇生篇』:1999年3月25日発売
・テキストアドベンチャー/サウンドノベル
・セーブスロット3個(オートセーブ)


※ 動画はWii Uバーチャルコンソール版です
 (Wii Uバーチャルコンソールは2023年3月28日(火)午前9時に終了します。)
  私が1周クリアまでかかった時間は約2.5時間、「完」到達まで約40時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(テーマが“復讐”だし、大抵誰か死んでるし)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(悲鳴を聞き間違えるシーンとか)
・寝取られ:△(双子が入れ替わっていたってのは寝取られ?)
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:◎(文字だけとは言え、猫の死体が頻繁に…)
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:○(文字だけとは言え、Gのシーンが…)
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:△(シナリオによっては裸を見てしまう描写はある)
・セックスシーン:×(ピンクのしおりでも、キスと謎の光に体をまさぐられるまで)


↓1↓

◇ マルチシナリオが流行った時代に生まれた「ピンクのしおり」という新たなスタンダード

 このゲームは『ドラゴンクエスト』シリーズの開発で有名だったチュンソフトが、1992年に自社パブリッシング第1弾として発売したゲームで、同社が提供する「サウンドノベル」シリーズの第1弾ソフトです。

 大別すれば「テキストアドベンチャー」のジャンルに当てはまると思うのですが、アドベンチャーゲームは元々「LOOK」などの単語を自分で考えて打ちこむ「コマンド入力式」のゲームでした。
 そこから、堀井雄二さんによる1984年の『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』や、1985年のファミコン版『ポートピア連続殺人事件』などによって、予めある「見る→ 部屋」「話す→ おじいさん」「取る→ 電話」といったカンジに選択肢を選ぶ「コマンド選択式」のゲームが生まれ、これが1980年代後半のスタンダードになります。『ファミコン探偵倶楽部』とか『神宮寺三郎』シリーズとかもこの形式ですし、コマンドの選び方に特徴はあるものの、後の『逆転裁判』や『レイトン教授』もこの系譜にあると言えますね(※1)

(※1:例えば『レイトン教授』はコマンドをすべてタッチペン1本に集約していて、人をタッチすると「話す」、背景をタッチすると「調べる」「取る」、靴アイコンをタッチすると「移動する」のコマンドを選んだのと同じ行動をする)

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<画像はWiiバーチャルコンソール版『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者(前後編)』より引用>


 「コマンド入力式」も「コマンド選択式」も、プレイヤーが主人公に「指示」を出して操作するゲームなのは変わりありません。その「指示」出しの方法を変えただけですね。

 『弟切草』はそこから更なる簡略化を図って「選ぶのは“指示”ではなく、小説の文章=ストーリー展開」として、選んだ選択肢によってストーリーが変わる「シナリオ分岐」のシステムを導入しました。
 このシステムは同社のサウンドノベルだけでなく、後の多くのアドベンチャーゲームに採用されています。このブログで紹介したゲームで言うと、『トガビトノセンリツ』も『デスマッチラブコメ』も『My Merry May』も『シンフォニック=レイン』も『白衣性愛情依存症』も『神田アリスも推理スル。』も『臨時終電』もこの系譜のゲームだと言えます。ラインナップに偏りがありすぎる……!

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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

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<写真はWii U版『D.M.L.C. デスマッチラブコメ』より引用>


 ですが、『弟切草』が世界初のノベルゲームというワケではありません。

 『弟切草』より4年前の1988年には、PC向けにシステムサコムが「ノベルウェア」というシリーズ群を発売していました。大人に向けた「読む電子小説」と謳われていたそうです。
 発売された7作品は、すべてプロジェクトEGGで今でも遊べるみたいですね。シリーズの中には「三択を選ぶだけで最後までいける難易度の低いもの」があったり、「選択肢によってグッドエンド/バッドエンドに分岐するもの」もあったりして、後のノベルゲームの元祖と言えなくもない、ですかね。

 また、海外のPC向けアドベンチャーゲームにも『ザ・キング・オブ・シカゴ』という「選択肢を選んでストーリーが分岐する」作品がありました。何度プレイしても同じ展開にはならないことをウリにして、その組み合わせは1億通りだとか。
 ただ、レビューなんかを見ると純粋なアドベンチャーゲームというより、シミュレーションゲームの要素が組み合わさっているみたいです。この作品も初出が1987年か1988年みたいなので、この時期は世界同時多発的に「アドベンチャーゲームの新たな可能性」が探られていて、そこからノベルゲーム的な仕組みが生まれたと考えられると思います。


 そもそもマルチシナリオ・マルチエンディング自体も、1980年代後半~1990年代前半に色んなジャンルのゲームで実験的に取り入れられた、一種の「トレンド」だったように思うんですね。

 ゲームにおけるマルチエンディングは、TRPGやゲームブックなどアナログのメディアでは取り入れやすかった技法だと思われます。1986年の『ドラゴンクエスト』1作目(エニックス)を「あの時代からマルチエンディングを採用していた」と評する人も稀に見かけるのですが、達成したクリア条件によってエンディングが微妙に変化するのは、如何にもゲームブック的だと思いますしね。

 1987年のアーケードゲーム『妖怪道中記』(ナムコ)は「遂に出た 初のマルチエンディング」と謳われていて(何の中での“初”なんだ……?)、最終面のプレイ内容によってエンディングが5つに分岐することをウリにしていました。普通にクリアするだけでも難しいのに、更に上のエンディングを目指してがんばれよというやりこみ要素的なマルチエンディングだったと思われます。


 ただ、『ドラクエ1』や『妖怪道中記』のマルチエンディングは、「一番いいエンディング」があって、その条件を満たしていないと「それより劣るエンディング」になるというカンジで―――『弟切草』的なマルチエンディングとはちょっとちがうと思うんですね。

 PC向けエロゲーの方に目を向けると、1985年の『天使たちの午後』(ジャスト)もストーリーを最後まで進めると「真のエンディング」に到達するけど、途中で終わってしまう「バッドエンド」が無数にあるという構造でした。
 それが1989年の『天使たちの午後III ~リボン~』になると、3人のヒロインと6つのエンディングがあるマルチエンディングをウリにしたゲームになっていました。その内のいくつかはバッドエンドでしたが、要は「真のエンディング」が1つではなくなっていたんですね。


 そして、1990年代になると『プリンセスメーカー』(1991年、ガイナックス)や『卒業 ~Graduation~』(1992年、ジャパンホームビデオ)といった育成シミュレーションゲームが登場します。育成結果によって異なる様々なエンディングを迎えることで何周でも遊びたくなる、周回プレイを狙ったマルチエンディングだったと言えますね。

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<画像はSteam版『プリンセスメーカー リファイン』より引用>

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<画像はセガサターン版『卒業S』より引用>


 また、同じ1992年末には「14人いるヒロインそれぞれとの個別エンディングがある」『同級生』が発売されます。14人いるヒロインはそれぞれが同格で、すべてのエンディングがトゥルーエンドとも言えるマルチエンディングになっていました(誰とも結ばれないバッドエンドもありますが)。
 この流れは1994年の『ときめきメモリアル』を経て、「恋愛シミュレーション」「恋愛アドベンチャー」のジャンルのスタンダードとなり、ヒロインの数だけエンディングがあるマルチエンディングが普通になっていきますね。

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<画像はFANZA版『同級生(オリジナル版)』より引用>


 この1990年前後という時期、例えばフリーシナリオを謳った『ロマンシング サ・ガ』(1992年、スクウェア)や、花嫁を選べる『ドラゴンクエストV』(1992年、エニックス)など、RPGもプレイヤーによってそれぞれちがう体験をする方向性へと進化していましたし。
 『ストリートファイターII』(1991年、カプコン)の、最初にプレイヤーキャラを8人の中から選び、それぞれ別のエンディングがあるというのもマルチエンディングと言えなくもないです。例えば、それ以前の1990年の『ダウンタウン熱血行進曲』(テクノスジャパン)なんかは1人プレイで熱血高校で優勝した時だけエンディングが見られるという形で、当時は「色んなキャラが選べてもエンディングは一種類」というゲームは多かったですからね。

(関連記事:何故ぼくはフローラを結婚相手に選んだのか~1992年にあったゲームの分水嶺


 というワケで、1992年3月に発売された『弟切草』は、「世界初のノベルゲーム」でもなければ「世界初のマルチシナリオ・マルチエンディングのゲーム」でもありません。むしろ、そうした要素を取り入れたゲームがたくさん出ていた「流行」の時代に、ある一つのアイディアを注入することで、そのジャンルのスタンダードを確立させたのだと言えます。


 その、ある一つのアイディアとは……


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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 1周目にはなかった「選択肢」が、2周目には追加されている―――
 つまりは、周回プレイによって「新たなシナリオが解放される」システムです。


 このシステム、『弟切草』が「世界初のマルチシナリオ・マルチエンディングのゲーム」だったら絶対に出てこない発想だと思うんですよ。1周目では見たいシナリオを読めない、不自由なシステムですもの。
 しかし、マルチエンディングのゲームと言われても、大体が全部のエンディングを見ないで終わりますよね? 『ザ・キング・オブ・シカゴ』のように「1億通りのルートがある」なんて言われても、最初から「全部は見られないな」と思っちゃうでしょう。

 『弟切草』の場合、最初のシナリオは大体みんないっしょ(エンディングは最後に分岐する)だけど、2周目をプレイすると新たなシナリオが解放されているので、プレイヤーは「1周目にはなかった選択肢」を選んでいけば自然と新しいシナリオに進めるようになっているのです。ある程度のところまでは、この方法で大体のシナリオは見るられると思います。

 要は、プレイヤーに最初は制限をかけて、徐々に新しいシナリオを解放することによって「どこに行ってイイか分からない」なんて事態を避けているのです。『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』や『ドラゴンクエストV』が取った手法に近いものがありますね。

(関連記事:自由度を捨てて、『ドラクエ』や『ゼルダ』が得た“遊びやすさ”


 作り手側のメリットとしても、一つには「1周クリアしたら終わり」で中古市場に売られてしまっていたアドベンチャーゲームの商品寿命を延ばすことが出来ました。
 そして、もう一つ……マルチシナリオでありながら「このシナリオが解放されるためには、こっちのシナリオを読んでいる必要がある」としたことで、“プレイヤーが読む順番”を作り手側がある程度コントロールできるようにしたんですね。これが、『弟切草』が後のノベルゲームに多大な影響を与えた部分だと言えます。

 チュンソフトのサウンドノベル第2弾『かまいたちの夜』は、最初のシナリオこそ推理小説的な「ミステリー」シナリオなのだけど、それをクリアすると同じ登場人物で「アクションサスペンス」になったり「オカルトホラー」になったりという新たなシナリオが現れます。
 最初からすべてのシナリオに進めるワケではなく、あくまで本筋は「ミステリー」で、それをクリアしたらオマケのように別のシナリオが遊べるようになる構造ですね。



 そして、更に……
 『弟切草』は、ノベルゲーム界隈だけでなく、日本のエンターテイメント業界全体に大きく影響を与えた画期的なシステムを生み出します。


 それが、

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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 「ピンクのしおり」です。

 ザックリと説明すると、「すべてのエンディング」を読むとセーブデータ選択画面のしおりがピンク色になり、ちょっとエッチな「ピンクのしおり」シナリオが解放されるというものです。

 「ちょっとエッチな…」と言っても、実際に読んでみると主人公がエロイことを常に考えているだけで官能小説的なものを期待すると肩透かしを食らうと思うのですが……当時の中高生は「全部のエンディングを見るとエロイ話が見られるらしいぞ」という噂話だけ聞いて、エンディング埋めに必死になったのです。


 マルチシナリオ・マルチエンディングが「たくさんあってもどうせ全部を見るワケではない」と思われていた時代(例えば同年の『同級生』は全部のエンディングを見たところで何もありませんでした)に、エロを餌にして「全部のエンディングを探す」遊びを全国の中高生に体験させたんですね。

 この流れは現在のノベルゲームにも受け継がれていて、多くのノベルゲームには「到達したエンディングのリスト」や「エンディングのスチルを一覧にながめる機能」などが実装されていることと思われます。


 そしてそして、更に―――『弟切草』のこの「ピンクのしおり」シナリオは、他の全部のシナリオを読んでいないと解放されないため、プレイヤーが「他のシナリオを既に読んでいることが前提」の描写が多々見られます。これは、最初からすべてのシナリオを選べてしまうマルチシナリオのゲームだったら出来ないことですよね。

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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 そこには「主人公が何度もこのゲームに挑戦している」というメタフィクションなネタが描かれていて、言ってしまえば何度も何度もループしている―――ループ系主人公の走りなんですね。


 「マルチシナリオ・マルチエンディング」のゲームだから、プレイヤーは何度も何度も同じ話を繰り返します。ゲームのプレイヤー=主人公とシンクロさせるゲームだと、主人公もまた何度も何度も同じ話を繰り返していることを自覚するため、ノベルゲームでは「ループ能力を持つ主人公」に行き着くのです。

 『ひぐらしのなく頃に』(2002年~)や『STEINS;GATE』(2009年)など、ゲームから様々なメディアへと展開していった大人気作品達も、『弟切草』と「ピンクのしおり」の系譜にあると言って過言ではないでしょう。つまり、彼らは「ピンクのしおり」チルドレンなんです!


・「マルチシナリオ」でありながら最初から全部のシナリオに進めるワケではなく、徐々に解放されるシステム
→ 「ピンクのしおり」という、すべてのエンディングを見るともらえる御褒美を用意していた
→ “すべてのエンディングを見た”ことが前提のシナリオ・エンディングがある
→ そのシナリオに到達するまでに何度もループしている主人公




 ただ、『弟切草』は「全部のエンディングを探して埋める」遊びを取り入れたパイオニアだと思う一方、その遊びがあることが前提の後の作品とちがっていて、ぶっちゃけエンディング埋めをしやすいシステムが整備されていないんですよね……
 フローチャートはもちろんなし、既読スキップもなければ、選択肢の前でセーブしてそこからやり直すということも出来ません(強制オートセーブのみ)。エンディングリストもないから、自分がどのエンディングを見たのかも自分で覚えていないとなりません。

 「ピンクのしおり」までは「自分がまだ選んでいない選択肢を選んでいく」ことでなんとか行けると思うのですが、実はそれ以降……「ピンクのしおり」解放によって現れる新たなエンディングも全部読むと現れる「完」を目指すとなると、同じ話を何回も何回も見る苦行となってしまいます。

 プレステリメイク版だと「完」到達が更に面倒になるらしいので、チュンソフト的には「完」はあくまで「もうこれ以上は何も出ません」という合図であって、彼らが想定していた「最終シナリオ」は「ピンクのしおり」シナリオ1周目までだったのかなと私は思っています。



↓2↓

◇ 『かまいたちの夜』が確立させる前の、独特の「アミダのような」シナリオ分岐

 前項に書いたように、『弟切草』のシステムが後のノベルゲーム・アドベンチャーゲームの大元になっているとは思うのですが、『弟切草』の売上はWikipediaによると「30万本以上」だそうです。一方、次作の『かまいたちの夜』の売上は(恐らくプレステ版と合算で)「125万本」とのことで、実は「後のノベルゲーム・アドベンチャーゲームに影響を与えた」のは『かまいたちの夜』の方だと言われているんですね。

 例えば、「シナリオの分岐方法」です。
 「マルチシナリオのアドベンチャーゲームってどうやってシナリオが分岐すると思う?」と聞かれると、恐らくほとんどの人は下図のようなものを想像すると思うんですね。


かまいたちルート分岐PNG2

 最初は毎回共通のシナリオから始まり、それまでの選択肢によって中盤以降は個別ルートへと分岐するイメージです。恋愛アドベンチャーゲームの「各ヒロインごとのシナリオ」への分岐が一番分かりやすいんじゃないかと思います。

 『かまいたちの夜』は、1周目で進めるのは「ミステリー」編だけですが、前項に書いたように周回することによって「サスペンスアクション」や「オカルトホラー」ルートが解放されて分岐していくようになります。このシナリオ分岐の雛型を作ったのは、恐らく『かまいたちの夜』じゃないかと思います。


 では、『弟切草』のシナリオ分岐はどうだったのかというと……
 かなり簡略化したものですが、こんなカンジです。


弟切草ルート分岐PNG

 ごっちゃごちゃ過ぎる……

 まずスタート位置がランダムで決まり、最後の分岐以降は「○○編」で固定されるものの、それまではそれぞれのシナリオを行ったり来たりする複雑な分岐をしています。
 プレステに移植された際、『かまいたちの夜』にはフローチャート機能が追加されたのですが、こちらの『弟切草』にはフローチャートを作れなかったのも仕方ありませんね。そもそもそういう作りをしていないのですから。


 なので、『弟切草』―――
 マルチシナリオのノベルゲームとしてはかなり特殊なことに、終盤まではどのシナリオを進んでも「同じような展開」をしていくんですね。
 例えば、館に着いた後、必ずロビーで「水槽」と「鎧」を見る、その後2階から物音がしたので階段を登って2階に行く途中に「鎧」が消えていることに気付く、2階に上がるとドアが半開きの部屋があるので中に入ると「○○○」がいる、驚いて1階に逃げるも停電が起きて動けなくなる(停電のタイミングはシナリオによって微妙に異なる)、灯りがついてから再度2階に行くが「○○○」がいなくなっていて日記帳だけが残っている―――こうした流れは、どのシナリオでも共通です。ただ、ストーリー展開は共通なんですが、地の文やヒロインとの会話、選択肢などが別物になっているんですね。


 どうしてそんなことになっているかというと、「○○シナリオ」を行ったり来たりする構造上、例えば最初にもし「水槽」を見ていなかったら後半に「水槽」が出てくるシナリオに入った時唐突に思えてしまうなど……どのシナリオに帰結してもイイように、どこを通っても同じ伏線を張るようになっているのです。

 そのため、プレイヤーの進み方によっては、「あれだけ意味ありげに描かれた水槽の存在が、後半まったく触れられない」みたいに謎を残したまま終わってしまうことも多々あります。
 次作『かまいたちの夜』の制作に携わった小説家の我孫子武丸さんは、『弟切草』の悪い点としてそこを挙げたそうです(中村光一氏のインタビューより)。そのため、『かまいたちの夜』では「○○編」ごとに完全に分岐する手法を取って、それが後のノベルゲームのスタンダードとして確立されるのですが……


 私は『弟切草』の、ジャンル黎明期ゆえに「整備されていない」カンジが結構好きなんですよねぇ……

 『ドラクエIII』が完成形を確立させる前の、『I』や『II』が好きだ―――みたいなカンジで、スタンダードにならなかったが故に後の時代に遊んでも「他にはない作品」として新鮮に遊べる魅力があると思うんですね。
 謎が謎として残るとか、話の整合性が合わないのも、「ホラー」としての不気味さに一役買っていると思いますし。毎回ちがった組み立てになるのは、それこそ『ザ・キング・オブ・シカゴ』の1億通りに通じるものがあるし、「ローグライク小説」というカンジがしますし。


 まぁ、『弟切草』を3ヶ月プレイしていると、「既読スキップ」や「途中セーブ&ロード」のある今の普通のノベルゲームが遊びたい!と思ってくるところはありますが……(笑)。個人的には『かまいたちの夜』より、こっちの方が好きなのです。



↓3↓

◇ “サウンド”ノベルの名は伊達ではない、想像力を刺激する「ホラー」という題材

 システム面の話ばかり続けてしまったので、ストーリーや演出面についても触れましょう。


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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 恋人である奈美と車を運転して帰る道で、“あなた”はひょんなことから謎の洋館に迷い込んでしまいます。その洋館に人の姿はないのだけど、奇妙なことが次々と起こり、実は“復讐”のために自分達がこの洋館に誘い込まれていたことが分かる―――といったカンジの「ホラー」作品です。

 進むシナリオによって「オカルトホラー」なこともあれば、「サスペンスホラー」にもなりますね。何周もしていると、同じパターンばかり見るようになるし、主人公達もフマジメな行動を取るしで、なんだか「コメディ」に見えてくるところもあります。


 このゲームを開発していた時期は、チュンソフトは『ドラゴンクエストV』の開発をしている時期でもあったため、少ないスタッフでも作れるゲームとして「文章」と「音」で表現する作品にしようとしたそうです。ただ、それだと発表会の時に問屋から「こんなのじゃ売れないよ」と酷評されたために、背景の「絵」が付いたそうなのですが……

 そのため、このゲームにおいては「絵」はオマケであって、「音」が主役なんですね。ファミコンからスーパーファミコンに進化していく中で、ほとんどのメーカーが「拡大、縮小、回転機能」のようなグラフィックにばかり注目している中、リアルなサンプリング音を使った面白いゲームを作れないだろうかと考えた結果、「ホラー」になったみたいなんですね。


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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 このゲームは緊迫した場面以外はBGMが流れないのですが、小さく時計の音がしていたり、ドアの閉まる音がしたり、誰かの歩く音がしたり、「音」の不気味さを活かしたシーンが多々描かれます。グラフィックが簡素な背景だけな分、「文章」によって想像した世界に「音」がバシッと入ってくるんですね。


 また、このゲームの開発当初はワンプレイがそれなりに長いゲームだったのが、2時間前後で読み終わる話を何度も読ませる形にして、途中で終わるバッドエンドは敢えて作らないようにしたそうです。この「バッドエンド=ゲームオーバー」がない上に、「どうやったら先に進めるか分からない」という詰みも生まない仕様は、ゲームの歴史の中でもかなり異質なものだと思えます。
 これは一説によると、途中からシナリオ作成に入った小説家の長坂秀佳さんによるアイディアと言われているのですが、プロデューサーの中村光一さんも「ドラゴンクエストすら難しくて遊べない人でも遊べるように」と考えて企画が始まったようなので、チーム全体が「こういう方向性で」と意思を統一した結果なのかなと思えます。



 ホラーゲームと言えば、プレイステーションの時代に『バイオハザード』(1996年、カプコン)なんかが大ヒットして「アクションアドベンチャー」のジャンルの一つのようになりましたが……
 スーパーファミコンの時代は、『夜光虫』(1995年、アテナ)、『学校であった怖い話』(1995年、バンプレスト)、『魔女たちの眠り』(1995年、パック・イン・ビデオ)、『百物語~ほんとにあった怖い話~』(1995年、ハドソン、PCエンジンのゲーム)といったカンジに、ホラーゲーム=ノベルゲームの時代だったんですよね。この時代のゲーム機の表現レベルでは、「プレイヤーの想像力に訴える」方がホラーを表現できたからなのかなぁと思います(※2)

(※2:スーパーファミコンにも『クロックタワー』(1995年、ヒューマン)のようなホラーアクションゲームはありましたし、ファミコンの時代にも『スウィートホーム』(1989年、カプコン)のようにホラーRPGは存在していたのだけど)


 そういう意味では、「ノベルゲーム」にとっても、「マルチシナリオ・マルチエンディングのゲーム」にとっても、「ホラーゲーム」にとっても、一つの時代を切り開いたゲームなのは間違いないと思います。今の時代の感覚だと遊びづらさは否めませんが、手に取る機会がありましたら、「ピンクのしおり」まででも是非プレイして欲しいです。



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はスーパーファミコン版『弟切草』より引用>

 このゲーム、「新たに出現した選択肢」を選んでいけば自然と新しいシナリオに進めるようになっていると思うのですが……スーパーファミコン版は「自分が過去に選んだ選択肢」を教えてもらえません。なので、私は自分でメモを取って、自分なりのフローチャートみたいなものを作りながらプレイしました。

 思いっきりネタバレなので、閲覧は自己責任で。

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-クリックで拡大-


 これは「ピンクのしおり」出現までで、「完」までやったメモは容量がデカすぎるせいか画像データで保存しようとするとiPadのアプリが落ちてしまうのでアップできませんでした(笑)。


 もちろんこのメモを利用してもらっても構わないのですが、私は「こうやってメモを取りながらゲームの構造を把握していくのが楽しい」って思える人にこそ『弟切草』をオススメしたいです。性格的にメモ取りながらゲームするの面倒くさい、全部頭で覚えてれば問題ないじゃんって人も多いと思うのですが、流石にこの分岐を頭で覚えるのは難しいでしょうからね。

 また、この私が書いたメモとか、攻略サイトとかを見ながらプレイしても、複雑な分岐と似たような展開に早々に飽きてしまいかねないので……やっぱり「メモを取ること自体を楽しめる人」に薦めたいなと思います。
 「ピンクのしおり」以降の「完」を目指すとなると、今のインターネットにはどうやら攻略サイトが存在しないみたいですしね(ジオシティーズの閉鎖なんかで古参のゲーム攻略サイトが消滅してしまった模様)(おかげで「完」到達はすげえ大変でした……)。


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『RPGタイム!~ライトの伝説~』紹介/ゲームとプレイヤーへの愛が詰め込まれた極上の“接待”体験

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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
小学生のノートで作られた大冒険は、“つくえの上”だけで行われる
次々に新しいゲームがやってくるけど、「友達がクリアできる」ように考えられている
王道すぎるほどに王道! でも、そこが熱いストーリーと見たことのない演出達


『RPGタイム!~ライトの伝説~』
・開発:デスクワークス/発売:アニプレックス
公式サイト
XboxOne・Series X|S版+WindowsPC版:2022年3月10日発売
 Nintendo Switch用ソフト:DL版は2022年8月18日、パッケージ版は10月13日発売
 プレイステーション4用ソフト:2022年8月18日発売
 Steam版:2022年9月13日発売
・アドベンチャーゲーム+様々なミニゲーム
・セーブスロット1個(オートセーブ)


※ PVはXboxOne・Series X|S版+WindowsPC版発売時のものです
  私がクリアまでかかった時間は約9.5時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 小学生のノートで作られた大冒険は、“つくえの上”だけで行われる
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 2018年のBitSummit Volume 6で展示されて大きな注目を浴びていたゲームが、今年ようやく様々な機種で発売されて遊べるようになりました! 2018年って4年も前なの、嘘でしょ!?

 ゲーム内容は、小学校のクラスメイトであるケンタくんがノートに描いて(+様々な工作をして)手作りした「RPG」をいっしょに遊ぶというものです。なので、タイトルは『RPGタイム』ですが、プレイ感覚は「ケンタくんが思い描くRPGの物語を体験する」(アクション)アドベンチャーゲームかなと思います。


 小学校にはゲーム機とか市販のカードゲームやボードゲームは持ちこめないため、ノートやプリントの裏に落書きして「自作のゲーム」とか「すごろく」を作っていた子がクラスに一人や二人いたんじゃないかと思います。私も「すごろく」は作っていたなぁ。
 ケンタくんもそういうこどもの一人で、それを遊ばせてくれるんですね。ただし、私が小学生の頃に作っていた「すごろく」なんかとは比較できないくらい、クオリティもボリュームもトンデモないぞ!

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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 この描きこみの細かさを見よ!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 スクショではなかなか伝わらないかも知れませんが、このノートに描かれた鉛筆画のキャラクター達はヌルヌルと動くんですよ!
 「ノートに描かれたキャラがどうして動くんだ」って? それはきっと、小学生であるプレイヤー(=私)には動いて見えるってことなのかなと。


 この絵達は、開発者の一人である南場ナムさんが1枚ずつ手描きしていったもので、ゲーム全体を通して何万枚も手描きの鉛筆画を描いたらしいんですね。そりゃ開発に10年もかかりますよ!

 元々このゲームは、HAL大阪という専門学校の「ゲーム制作学科」で出会った藤井トムさんと南場ナムさんが卒業制作で作ったゲーム『バトルクエスト』が原型になっています。このソフトは学校から推薦され、「日本ゲーム大賞2007 アマチュア部門」で大賞を受賞しました。

 上のページでは数枚のスクショしか確認できませんが、『RPGタイム!』のプロトタイプとなっているのはよく分かりますし、受賞後の制作者コメントで「こうして作り上げていった机の上の世界観は、まだまだ発展途上で、手を加えれば加えるだけ面白いものになっていく確信があり、またどこかで続きを作っていける日を思って、更にアイディアを膨らませています。」と仰っていたんですね。


 その後、藤井さんも南場さんも別のゲーム会社で働くことになります。
 藤井さんはSCEでPS3のダウンロードゲーム『rain』(2013年)のリードプランナーなどを務めていたのですが、この時期のSCEは小粒なダウンロードゲームの新規タイトルをリリースしていたため、後に『RPGタイム!』になるこの作品も作れないかとSCEに入ったそうなんですね。
 しかし、残念ながら採用にまでは至らず、この頃になると世界中でインディーゲームが注目を集めるようになります。そこで「じゃあ、自分達だけで作るか」と2012年頃に開発を始め、藤井さんも南場さんも務めていた会社を辞めて―――というのが2014年辺りだそうです。

 学生時代に作ったゲームの「完成版」を諦めきれずに、再び相棒と手を組んで、全てを投げうってでも10年かけて完成させた―――もうこの過程だけで映画化できるでしょ!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 また、「ノートに描かれたRPGを冒険する」設定なのは、グラフィックが鉛筆画なだけでなく、鉛筆で何かを描き加えたり、消しゴムで道が消されたりといった演出にも使われているのがすごくイイんですよ。「友達がノートで作ったRPG」だからこその、見たことのない演出がずっと続くのです。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ボス戦はターン制で、「勇者の剣=鉛筆」で好きなところを斬りつけるのだけど、勇者の剣は鉛筆で出来ているため、「さっきの攻撃をした跡」が黒い線でずっと残るの芸が細かくて好きです。何気に「さっきはどこを攻撃したか」を勘違いしない効果もありますし。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 更にケンタくんのすごいところは、ノートの中の世界に留まらず「教室に持ってこられるもの」を総動員して演出に使ってくるところです。上履き、電卓、スティックのり、紙飛行機などなど、世代を問わず「小学校時代に使っていたもの」が次々と登場するのが懐かしい!


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 これは、私が小学生の頃にはなかった……けど。
 ケンタくんは流石に作曲までは出来ないので、ケンタくんが好きなゲーム(架空)のBGMを、シーンに合わせて再生しているという設定です。
 こういうところにもちゃんと設定が作られているのすごいですよね。ケンタくんも『ライトの伝説』の設定を細かく作るタイプの作者ですが、『RPGタイム!~ライトの伝説~』を作った御二人もかなり設定を細かく作るタイプとみました!


 こんな風に「ノートの中」から飛び出した描写は多々ありますが、ゲームはケンタくんのつくえの上で展開していきます。
 あくまで「放課後、家に帰るまでの間にケンタくんの作ったノートRPGを遊ばせてもらう」体験なので、例えば「ケンタくんの家に行って続きを遊ぶ」みたいな展開にはなりません。この辺もシチュエーションコメディっぽくて、すごく好きなところです(もちろん次回作とかなら、場所が変わっていたりしてもイイと思いますが)。


↓2↓

◇ 次々に新しいゲームがやってくるけど、「友達がクリアできる」ように考えられている
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 では、このゲームが一体どう進行していくのかというと……
 基本パートは、十字キー・方向キーなどで「勇者」を動かしたり、重要なところを調べたりする「アドベンチャーゲーム」だと思います。
 敵との戦闘はストーリーの中で必ず戦う「イベント戦」だけで、通常のRPGのように「ランダムエンカウント」や「シンボルエンカウント」でザコ戦が始まることはありません。経験値やレベルの要素も一応ありますが、恐らくステージクリア時にのみレベルが上がるシステムだと思われます。

 もちろん、「RPGとアドベンチャーゲームの差は何か?」は人それぞれ意見が分かれそうなところですけどね……『ドラクエ』も『ポートピア』も「フラグを立ててストーリーを進めるゲーム」と言えますし。ケンタくんはこのゲームを「RPG」だと思って作っているし、開発者の御二人も「RPG」らしく作ろうと考えていたみたいですし。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 そして、このゲーム最大の特徴は……
 プレイヤーを飽きさせないよう、ストーリー展開に合わせて様々なミニゲームが始まるところです。突然、野球が始まったり。



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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ファミコン風のドット絵(を鉛筆で描いた)ゲームが始まったり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ○×ゲームで対決したり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 音ゲーが始まったり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 迷路が始まったり。



 ここに挙げた例はほんの一例で、これ以降も次から次へと新しいミニゲームが出てくるし、アドベンチャーパートもシチュエーションが凝っていて毎回ちがう展開をしていきます。言葉通り、ページをめくるたびに「新しい遊び」が始まるんですね。


 そして、そういった「ゲームの途中でミニゲームをプレイさせられるゲーム」にありがちな、初めて操作するミニゲームなのにやたら難しくて先に進めなくなってしまうことを避けるため、ケンタくんは「救済措置」をかなり用意しているんですね。
 ネタバレになるので何とは言わないのですが、終盤のミニゲームでムチャクチャ操作が難しいものがあって「うわー、どうしてこんな山場でこんな難しいミニゲームやらせるんだよー」と思ったところがありました。でも、どうやらこの異様に難しいミニゲーム……クリアしなくても話が進むみたいだったんですね。敵に惨敗したけど、そのままストーリーが進みました。

 ケンタくんみたいにアナログのゲームを手作りしたり、RPGツクール系のゲームで自作したものを友達に遊んでもらったり、逆に遊ばせてもらったりした経験がある人は分かると思うのですが……
 友達に自分の作ったゲームを遊んでもらって一番つらいのは、難しすぎて後半のステージを見ることなく諦められちゃうことなんですよ。だから、とりあえず誰でも突破できるくらいに難易度を引くくしたり、詰まっているところにはヒントを出したりしちゃうんですよね。ケンタくんは更に、「ガチで難しいところはクリアしなくても先に進める」ようにしてくれているという。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 「簡単すぎてゲームオーバーにならない」ゲームではありません。私のスクショを見てもらっても(左上の傷口みたいなマーク。海外では、正の字の替わりに数を数えるときに使う)、結構な回数ゲームオーバーになっていることが分かると思います。
 ですが、コンティニューはすぐ手前から復活ですし、「解き方が分からない」ことがないようにゲームオーバー時に任意でヒントをもらうことも出来ます。


 小学生のケンタくんが、プレイヤーである「あなた」に最後まで遊んでほしいととことん接待してくれるんですね。
 世の中のほとんどのゲームが、「絶対に楽にはクリアさせてやらないぞ!」とプレイヤーを苦しませる難易度にしてきているのに比べると……小学生の方がよっぽど「プレイヤーが楽しんでくれること」を想像してゲームを作っているように思えるぞ! ゲームを作っている大人達は、小学生のときの気持ちをどこに置いてきてしまったんだ!!



 まぁ、そんな優しさに満ちたこのゲームでも、「格闘ゲームの必殺技コマンドのようなものを入力するところ」はなかなか認識してもらえなくて苦戦しました……アクションゲーム苦手な人はあそこで詰まっちゃいそうなんで、もうちょっと判定を緩くしてくれてもイイのにと思いました。


↓3↓

◇ 王道すぎるほどに王道! でも、そこが熱いストーリーと見たことのない演出達
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 ストーリーは、王国の姫が魔王デスゴッドにさらわれ、勇者が姫を助けるために追いかけていくというもの。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 街で情報収集をしたり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 迷いの森を進んだり。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 怪しげな洋館を探索したり……

 「RPGによくある王道展開」を突き進んでいきます。
 これは、ケンタくんが思い描いた「RPGの体験」をノートの中に落とし込んだものなので、奇をてらわずに、パロディとかでもなく、まっすぐに「王道RPGのストーリー」を描いてくれるんですね。これは「小学生が作ったノートRPG」だからこそで、大人がこれを作ろうとしたらちょっと照れてしまうというか、ひとひねりしがちだと思うんです。でも、ちゃんと「小学生が作ったゲーム」として王道を貫いているのすごくイイんですよ。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 冒険者学校で出会う仲間達も、ベタだけど(だからこそ)魅力的なキャラだったなぁ。私の推しは、生物学者のウイーダちゃんです。



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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 とまぁ、大まかなストーリーラインは「王道中の王道」なんですが、それが描かれるのは「小学生のノートの中」で、最初の項で書いたようにケンタくんがいろんなものを使って演出してきます。
 例えば、「お化け屋敷っぽい洋館」ではカーテンを閉めて、ちょっと部屋を暗くするなどこのゲームならではの演出をしてくるんですね。


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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 『スーパーマリオブラザーズ3』のように、ステージをクリアするたびにレイ姫から手紙が届くのですが……ボール紙に描かれた絵に下からライトを当てて「ホログラム」と言い張っているところ、むっちゃ好きです。



 「熱い王道ストーリー」と「見たことのないこのゲームならではの演出」が組み合わさることで、「見たことのない王道ストーリー」になっているのが凄いのです。終盤の展開は震えまくりでした……あんなに王道の話なのに、まったく古臭く感じないのだから。




 RPGというよりアドベンチャーゲームなので、全体的なプレイ時間はそれほど長くないし、リプレイ性もほとんどありません。「放課後、下校時刻までにノートRPGをクリアしなくちゃならない」というゲームの性質上、一度クリアした場所に戻ったり、ミニゲームだけを遊んだりも出来ません。その辺はちょっと惜しいよな……と思ったのですが、

 このゲーム、「アップデート」の予定があるそうなんですね。


 内容は不明ですが、「クリア後に面白かったところをやり直せる」みたいな機能が付いたら嬉しいです!


 また、過去のインタビューで開発者の藤井さんはこう仰っていたんですよ。

<以下、引用>
──今回は小学生のけんたくんが作ったRPGを遊ぶという内容ですが、たとえば別のパターンなども考えておられるのでしょうか。

藤井「別のパターンも欲しいという話は、チームでもしていました。今回のゲームマスターである少年は、言ってしまえば優等生なんですよ。作っている物量が物量なのですぐには無理なのですが、女の子がゲームマスターとして進行してくれたり、いじめっ子や先生がゲームマスターになったりと、DLCなどで違うバリエーションも展開できたらと思っています。ですが、まずは本編を1本作ることが先決ですね。」

</ここまで>
※ 強調など一部引用者が手を加えました

 同じゲームを、ケンタくん以外の人ががゲームマスターになって遊ばせてくれるDLC!
 もちろんこの時点で語られたのは「完成した後の願望」みたいな話だと思うのですが、もう既にゲームをクリアしてしまった人に向けて2周目・3周目を遊びたくなるようなアップデートをしてくれるなら……これはかなり面白そう!



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『RPGタイム!~ライトの伝説~』より引用>

 先人達の作ったゲームが大好きで、更にはゲームを遊んでくれる人達も大好きだというケンタくんと開発者の方々の想いが詰め込まれた作品でした。「ゲームの腕」には自信がなくても、「ゲームが好きだ」とか「最近はあまりできていないけどゲームが好きだった」という想いがある人には是非オススメです!

 何十時間とかかるゲームではないので、週末とか連休の日に一気にクリアするみたいな遊び方もできるでしょうし。


 私はNintendo Switchのダウンロード版で遊びましたが、9月13日にはSteam版が発売され、10月13日にはNintendo Switchのパッケージ版が発売予定です。色々な人が手に取りやすい環境が揃っていくと思うので、是非是非オススメです!


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『Slay the Spire』紹介/何度でも、1からカードを集めていくのは楽しい!

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
単に「カードで戦う」だけではない、「デッキを作る」のが楽しいんだ
この戦闘システムだからこそ面白くなる、「敵」と「主人公」のバリエーション
一生遊べるローグライク+カードゲームの、ヤバすぎる融合


『Slay the Spire』
・開発:MegaCrit/発売(Steam版以外):Humble Bundle、(Nintendo Switchパッケージ版)フライハイワークス/日本語訳(Steam版以外):Kakehashi Games
Steam版:2019年1月24日発売
 Nintendo Switch用ソフト:2019年6月6日発売
 プレイステーション4用ソフト:2019年6月18日発売
 Xbox One/Series X|S用ソフト:2019年8月14日発売
 iOS版:2020年6月13日配信開始
 AndroidOS版:2021年1月22日発売
・デッキ構築型カードゲーム+ローグライク
・セーブスロット3個(オートセーブ)

※ PVはNintendo Switch版のIndie Worldのものです
  私が最初のエンディングまでかかった時間は約06時間、
  真のラスボス撃破までかかった時間は約75時間でした(1キャラのみ)
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 単に「カードで戦う」だけではない、「デッキを作る」のが楽しいんだ

 『Slay the Spire』は、アメリカ人のAnthony Giovannetti氏とCasey Yano氏の2人がゲームデザインをして開発したインディーゲームです。
 2017年11月にSteamのアーリーアクセスが始まり、1年以上ユーザーからのフィードバックを募った後、2019年1月に正式リリースされました。その後にコンシューマーにも移植され、日本では2019年6月にNintendo SwitchとPS4、2019年8月にXboxOneで発売されました。2020年1月にはアップデートで4人目の主人公が追加された後、2020年6月にはiOSで、2021年1月にはAndroidOSで配信開始されました。

 要約すると、全機種で遊べるんだから「そのゲーム機は持っていないから遊べないなー」なんて言い訳ができないってことですね。遊べ!


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 どういうゲームなのかを簡単に説明すると……
 コマンドバトルRPGの「コマンド」が、「カード」になって配られて、その中から選んでいくというゲームです。「攻撃」も「防御」も「バフ」も「デバフ」も、カードで行われます。



 この説明を見て、「ファミコンのドラゴンボールじゃん!」と思った人はきっともうアラフォーです。開発者のインタビューを読んだところ、恐らくは影響は受けていないと思われます。

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<画像はファミリーコンピュータ用ソフト『ドラゴンボール 大魔王復活』より引用>

 ファミコンの『ドラゴンボール』って1作目はアクションゲームでしたが、2作目からは「カードを使って戦うRPG」路線に進むんですよね。その話もなかなか面白いので、いつかまた書いてみたいです。

・1988年8月12日『ドラゴンボール 大魔王復活』
・1989年10月27日『ドラゴンボール3 悟空伝』
・1990年10月27日『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』
・1991年8月10日『ドラゴンボールZ II 激神フリーザ!!』
・1992年8月7日『ドラゴンボールZ III 烈戦人造人間』
・1993年8月6日『ドラゴンボールZ外伝 サイヤ人絶滅計画』

 ファミスタ並に毎年出ていたファミコンの『ドラゴンボール』ゲーム……配られたカードをCPUとせーので出し合い、☆の数が多い方がそのカードに書かれた漢字の攻撃(など)が出来るシステムでした。

 「どうしてRPGとカードを融合したの?」というと、元々RPGはサイコロを振るボードゲームから始まっているため、そのランダム要素の部分を「カード」に置き換えたのだと思いますが……バンダイは1988年6月から「カードダス」という自動販売機で販売されるカードを展開していて、1988年11月からは『ドラゴンボール』のカードダスも発売されて大人気だったことと無関係ではないと思います。

 ただ、「ドラゴンボールのカードダス」と「ドラゴンボールのゲーム」で共通するのは裏面のデザインくらいで、カードダスとゲームが連動することもなければ、遊び方も全然ちがったはずです。そもそもカードダスは「集めること」が目的であって、対戦して「遊ぶこと」はオマケみたいなものでしたからね。


 コンピューターゲームの話題から一旦離れ、アナログのカードゲームの話をすると……カードを「集めて」、それを持ち寄って「対戦して遊ぶ」文化を作ったのは『マジック:ザ・ギャザリング』と言われています。アメリカで販売開始されたのは1993年、日本で発売されるようになったのは1996年だそうです。
 トレーディングカードゲーム(TCG)と呼ばれるこのジャンルは日本でも人気になり、『ポケモンカードゲーム』『遊戯王OCG』『デュエル・マスターズ』『 カードファイト!! ヴァンガード』などなど様々な商品が生まれました。

 
 『Slay the Spire』の開発者の一人Anthony Giovannetti氏は幼少期から『マジック:ザ・ギャザリング』をプレイしていたそうですが、『Slay the Spire』に最も影響を与えたアナログゲームとして『ドミニオン』の名前を挙げています。アメリカでは2008年、日本では2009年に発売されたボードゲームです。



 『ドミニオン』は、TCGの「カードを集めて自分なりのデッキを作る」楽しさを落としこんだようなボードゲームで……スタートは全員同じ10枚のデッキから始まり、全員共通のカードから欲しいカードを購入・取得して、自分なりのデッキを作って、最終的に高ポイントを目指していくゲームなんですね。TCGで言えば、ゲームが始まる前の下準備の部分をゲームにしているというか。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 『Slay the Spire』もそうなんです。
 戦闘の部分だけを見ると、ファミコンの『ドラゴンボール』のようなゲームに見えるかも知れませんが、ファミコンの『ドラゴンボール』で配られる手札は完全にランダムです。デッキ構築の概念はありません。

 『Slay the Spire』は、(選んだ主人公ごとに)毎回同じデッキで始まり、ザコ戦・ボス戦に勝つごとに報酬として取得するカードを選び、それを1枚ずつデッキに加えてデッキを強化していきます。戦闘時に配られるカードは基本的にこのデッキの中のものだけなので、カードの組み合わせを考えながらデッキを作っていくのが楽しいし、悩ましいゲームなんです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 例えば、この「触媒」というカード―――
 敵が毎ターン10喰らう毒を持っていたら、それを20喰らう毒にしてしまうムチャクチャ強力なカードなのですが。喜び勇んで最初にこのカードを入手したは良かったけれど、そもそもの「相手を毒にするカード」がその後に1枚も入手できなくて何の役にも立たないなんてことも余裕でありえるゲームなのです。


 「このカード」単品では何の役にも立たないけど、「このカード」と「そのカード」と「あのカード」を組み合わせるとものすごい強さになる―――のに、最後に必要な「あのカード」が入手できない!! そうしたジレンマがあるからこそ、狙い通りのカードが揃ったときの喜びは他に代えがたいものがある、それがこの「デッキ構築型カードゲーム」の魅力だと思います。


 この記事の最初に載せたIndie WorldのPVは2018年末に公開されたものなのですが、「ローグライク+カードゲーム」という組み合わせについて朴さんが「あまり聞かない組み合わせですね」と言っているんですね。
 しかし、『Slay the Spire』が大ヒットしたこともあり、現在では『Slay the Spire』系と言われる「ローグライク+カードゲーム」はインディーゲームでごまんと出るようになりました。『ドラクエ』がヒットしたらファミコンにRPGが溢れたとか、『ストII』がヒットしたらアーケードに格ゲーが溢れたみたいな話で、『Slay the Spire』は一つのジャンルを作ってしまったと言っても過言ではないのです。


↓2↓

◇ この戦闘システムだからこそ面白くなる、「敵」と「主人公」のバリエーション
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 もうちょっと細かくゲームシステムを解説していきましょう。
 1ターンでプレイヤー側が使えるカードは、左下の「エネルギー」の数だけです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』の画面に手を加えたものです>

 スクショで言うと、「3/3」と書いてあるのがエネルギー。
 そして、カードの左上に書いてあるのが、そのカードの「コスト」です。

 この場合は1ターンに「コスト3」まで使えるので、「ストライク」+「ストライク」+「防御」とか、「灼熱の一撃」+「ストライク」とかの組み合わせが出来ますね。もちろんエネルギーを全部使わなくても構いませんが、使わなかったエネルギーを次のターンに持ち越す、みたいなことは通常は出来ません(それが可能になるレリックもあるけど、レアなので基本は手に入らないものとして説明します)


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』の画面に手を加えたものです>

 そして、『Slay the Spire』最大の発明とも言えるのが、敵がこのターンに取る行動が分かる「インテントシステム」です。敵の上に表示されているアイコンによって、このターン、この敵は「バフ(パワーアップ)」をすることが分かります。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 例えば、こちらの画面の場合……左の敵は「6ダメージの攻撃」をしてきて、右の敵は「バフ(パワーアップ)」をすることが予め分かります。こちらが受けるダメージは「6」と分かっているので、防御カードなどを使って「ブロックを6以上」得ればこのターンはノーダメージで乗り切れますし、残りのエネルギーは攻撃に使うことができます。

 つまり、敵の行動が予め分かっていることで、余計なダメージを喰らうのを抑え、効率よく敵にダメージを与えられるように考える戦略性が強まったんですね。
 ファミコンの『ドラゴンボール 大魔王復活』のように「敵が出すカードが分からない」と、取っておいた必殺技カードがムダになってしまうみたいな「運」の要素が強かったんですが、『Slay the Spire』はこのシステムのおかげで「運」よりも「戦略性」が強いと感じます。


 このシステムはすごい「思い切っている」というか……
 カードゲームやボードゲームだと「対等の条件での対戦」にしなければならないため、それをCPUと遊べるゲームにしようと考えたならこういう「プレイヤー側だけ一方的に有利になるシステム」って生まれてこないと思うんです。「カードで戦うローグライクRPG」を考えた時、「じゃあ対人戦も出来るようにしよう」とどちらにも公平なシステムにしがちだと思うんですね。

 でも、この『Slay the Spire』は1人用専用のゲームとして特化して作ったため、プレイヤー側にとって有利な「ちょっとズルイ」このシステムとか、壊れ性能のアイテム(レリック)とか、組み合わさると鬼のように強くなるピーキーなカードが結構あるんですね。
 このゲームを「対戦もできるゲームにしよう」としていたら採用できなかったであろうそれらも、1人用専用のゲームなら「ちょっとズルイ」くらいの方がお得感があって許される―――


 なので、このゲームは『マジック:ザ・ギャザリング』や『ドミニオン』の影響を受けているとは言え、遊んでいて一番近い感覚は「クロンダイク」や「スパイダー」などの一人遊び『ソリティア』だと思いました。あの中毒性はそのままに、もっともっとスリリングにして、戦略性を強めたカンジです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 そして、このゲームがしっかり面白いのは、「革新的なゲームシステム」を発明しただけでなく、「それを活かした敵」をしっかり作って配置しているところなんですね。何となくで作られた敵なんてほとんどいません。

 例えば、上の2枚のスクショは、最序盤から登場する敵「狂信者」なんですが……コイツは毎ターン攻撃力が「少しずつ上昇していく」特徴を持っています。
 最初の一撃は「6ダメージ」なので、1ダメ覚悟で「5ブロック」で残りのエネルギーを攻撃に回せるのだけど。次の攻撃は「9ダメージ」に上がるので、ノーダメージで乗り切るには防御×2で「10ブロック」必要になり、攻撃1枚しか出来なくなってしまいます。更に次のターンは「12ダメージ」になるので、防御×2の「10ブロック」でも防ぎきれなくなるという。

 ターン数をかければかけるほど敵が強くなっていくので、少々のダメージ覚悟でもスピード勝負でさっさと倒さなくちゃならない―――と、最序盤に教えてくれるのです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 こちらの敵は序盤の強敵枠「エリート」で登場する「セントリー」です。使用不可のカード「めまい」をこちらのデッキにねじ込んでくるという特徴があります。
 高威力の「攻撃」を喰らうよりかは楽だーと思っていると、こちらの手札が「めまい」だらけになってマトモな行動が取れなくなって―――このゲーム、デッキの中に「要らないカード」があると、必要な「防御」等のカードが手札に入らずにボコボコにぶん殴られると序盤で教えてくれるんですね。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 こちらは序盤のボスの1人「ヘクサゴースト」で、1ターンごとに周りの炎が点火していき、全て着火した6ターン目に高威力の大技をぶち込んでくるという敵です。敵が強力な攻撃を控えているのが視覚的にも分かりやすいのが、スーファミ時代の『FF』みたいで好きです。

 デッキ作りが中途半端で、コイツと戦うまでに「6ターン回ってくる前に決着をつけられる攻撃力」も「高威力の攻撃に耐えられる防御力」も用意できていないと落第を喰らってゲームオーバー→ 最初からやり直しという序盤の壁のイメージがあります。



 とりあえず序盤の敵3つ紹介しましたが、もちろん敵の数は何十体といて、ゲームが進めば進むほどピーキーな能力を持ったヤツが出てきます。ボスやエリートは章ごとに「3体の中からランダムで1体」が登場するので、毎回のプレイ感覚が変わるのも良いところですね。「○○倒せるデッキが出来た!」→ 「○○出ねえ!」ということも多々あります(笑)。


 また、プレイヤーが選べる「主人公」も最終的に4キャラから選ぶことが出来て、それぞれに初期&入手できるカードが違います。

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 1人目は戦士タイプの「アイアンクラッド」。
 筋力を上げる方法が豊富で攻撃力が高くなる上に、初期アイテム(レリック)で戦闘終了ごとにHP6回復してくれるので少々のダメージを気にしなくて良いキャラです。脳筋のように見えるけど、「バフ(パワーアップ)」と「デバフ(敵の能力ダウン)」が大事ですね。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 2人目は殺し屋タイプの「サイレント」。
 防御無視の毒デッキを作るか、大量のナイフで敵をめった刺しにするナイフデッキを作るか……搦め手で敵を倒すキャラなので、好みは分かれるみたいです。私はこのキャラで真のラスボス倒したので愛着あるけど、型にハマらなかった時のどうしようもなさも否応なく痛感しました。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 3人目はロボ「ディフェクト」。
 「毎ターン終了時に、攻撃や防御などの効果を発動してくれる」オーブをセットしておけるのが特徴です。オーブのセットや強化に時間がかかるため、短いターンで決着をつけなくちゃならない相手が苦手……だけど、型にハマった時の無敵感は脳汁が出まくります。

 初期からいる主人公の3人目なだけあって、上級者向けというか「システムからして別ゲーじゃねえか!」と思わせるキャラです。


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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 アプデで追加された4人目は盲目の苦行者「ウォッチャー」。
 「スタンス」という、このキャラ独自のシステムがあって、「与えるダメージ・喰らうダメージが共に2倍になる」憤怒のスタンスに切り替え&戻しながら戦うキャラです。
 熟練者からすると「壊れ性能すぎて逆につまんない」らしいのだけど、私レベルのプレイヤーにはよく分からない……後から追加されたキャラなこともあって、コイツの弱点を突ける敵キャラがいないみたいなことなのかな。



 ということで、主人公サイドも相当にピーキーで、「このシステムを使ったらこんな遊びが作れそう」と考えられたキャラ達になっています。4人の主人公の誰で始めるのかで、別のゲームを遊んでいるみたいな感覚になりますからね。

 なので、前項で述べた“『Slay the Spire』系と言われる「ローグライク+カードゲーム」はインディーゲームでごまんと出ている”って話もよく分かるんですよね。この優れたテンプレを使い、でもカードの中身を変えるだけで全くの別ゲーになるので、「俺の考えた最強に面白いSlay the Spire」を作りたくなるんでしょう。
 『ドラクエ』以後にファミコンにRPGが溢れたとか、『ストII』以後にアーケードに格ゲーが溢れたのと同じで、「俺の考えた最強に面白い○○を作りたい」と思わせる余地こそが、そこにジャンルが生まれる土壌になるのだと思います。


↓3↓

◇ 一生遊べるローグライク+カードゲームの、ヤバすぎる融合
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 このゲームのマップは毎回「ランダムで作られたマップ」が与えられます。
 スタート地点を選び、分岐を選びながら上に向かって、一番上まで到達すると「その章のボス」との対戦となります。

 「敵」はザコ戦で、戦闘になるためダメージを喰らう可能性は高いですが、勝利すると報酬として「お金」と「カード」をデッキに加えることができます。どの敵が出てくるかは、ある程度のプールはありますがランダムで、報酬のカードはランダムで選ばれた3枚の中から1枚を選ぶ形です。
 「エリート」はザコよりも強力な敵との戦闘で、かなり強いですが、勝利すると報酬として「お金」と「カード」と「レリック」というアイテムをもらうことが出来ます。どのエリートが出てくるかは章ごとに3つの中からランダムで選ばれて、報酬の「レリック」はランダムで決まります。

 「休憩」は貴重な回復場所ですが、回復ではなく「鍛冶」をすることで持っている「カード」を強化することも出来ます。「鍛冶」をするために、なるべく回復をしなくて済むようにザコ戦でのダメージを減らせるかどうかがこのゲームのポイントとなります。
 「宝箱」は「レリック」というアイテムがもらえる場所で、どのルートを通っても各章で1つ入手できます。どの「レリック」がもらえるかはランダムです。
 「商人」は、貯めたお金で「カード」「レリック」「ポーション」を購入することが出来て、お金を払えば要らないカードの除去もしてもらえます。店に並ぶラインナップはランダムです。

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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 「未知」はランダムイベントですが、「敵」「商店」「宝箱」が出ることもあります。


 ということで……このゲームは、どの「敵」が出現するかも、どの「カード」を入手できるかも、どの「アイテム」を入手できるかも、どの「イベント」が起こるかも、ランダムで決まります。


 元々「カードゲーム」自体がランダム要素の強い遊びですけど、「カードゲームにおけるランダム要素」と「ローグライクゲームにおけるランダム要素」の共通点を見抜き、この2つを融合して生まれたのが『Slay the Spire』と言えるんですね。

 「ローグライクゲームとは何ぞや?」という話は、今年に入ってから『トルネコの大冒険』の記事に書いているのでそちらを読んでください。

(関連記事:『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』紹介/「日本人の口に合わせた」ローグライクの誕生


 Anthony氏が影響を受けた「ローグライクゲーム」は、『Rogue』や『トルネコ』ではなく、『Dead Cells』や『FTL: Faster Than Light』らしいのですが……
 同時期に『トルネコ』もプレイしていた私からすると、確かに『トルネコ』でいう「今回はどのアイテムを拾うのかというランダム性」と「拾ったアイテムの中から何を残すのかという戦略性」は、「カードゲームのデッキを構築する楽しさ」に通じるものがありました。こういう事態に備えてこのアイテムは残そう、こっちのアイテムがあるならもうコレは要らないだろう、みたいな。

 また、死んだら終わりで最初からやり直しの「ローグライクゲーム」は、毎回毎回手札を配り直すアナログゲームに近いところがあると思うんですね。麻雀なんかも「運の要素」と「考えて上達する戦略性の要素」のバランスが絶妙なので、「クソ! アガれなかった、でも次こそは!」と思わされてしまうの、すごく「ローグライクゲーム」っぽいですし。


 だから、(真のラスボス撃破までを考えるなら)決して簡単なゲームではありませんし、私も一時期はクリアを諦めかけましたけど……「今日こそはクリア出来るんじゃないか」と思って毎日起動して、気付いたらものすごい時間が溶けているゲームなんですね。

 私は死ぬほど積みゲーがあるので1キャラでクリアしたところで引き上げましたが、全キャラクリアを目指したらその4倍は遊べるでしょうし、更に高難度にする「登塔レベル(Steam版はアセンション)」は20レベルまであるそうです。
 更には通常とはちがう遊び方を世界中の人達と同時に遊ぶことができる「デイリーチャレンジ」や、好きなように設定をイジって遊べる「カスタムモード」なんかもあります。「カスタムモード」は設定によっては超ヌルゲーになるので、本編が難しすぎてクリア出来ないって人はこちらを遊ぶのも手です(実績とかは解除されないと思いますが)。

 マジで、遊ぼうと思ったら一生遊べてしまうゲームで、何百時間もプレイしている人がいるのも分かります。これで定価2570円ってどんなコストパフォーマンスなんだ!!



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『Slay the Spire』より引用>

 「カードゲーム」が題材のゲームですが、完全に一人用のゲームですから、「ソリティア」のような一人遊びのゲームを延々と遊んでしまうような人にこそ是非オススメです!

 「カードゲーム詳しくない」とか、「ローグライク詳しくない」とかは、まったく気にしなくて良いと思います。これはその2つから生まれた「全く新しいジャンルのゲーム」ですからね。むしろ、『Slay the Spire』系のゲームがたくさん生まれている今だからこそ、本家とも言える『Slay the Spire』をプレイしておきましょう! 沼へようこそ!


 ちなみに、私がプレイしたNintendo Switch版はタッチパネルでの操作にも対応していました。ですが、スマホ版の評判と同様に、カードを選んだときの反応があまり直感的ではなくて、慣れるまでは大変そうです。


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『ノゾムキミノミライ』紹介/神様になるのは1回だけで良かったよぉ~

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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
美少女といっしょに暮らすワンルームの生活、パンツはすぐ見慣れるぞ!
育成によって「彼女の未来」が変わるけど、周回プレイが楽しい設計にはなっていない
メモなしでEDコンプは難しいので、ここに攻略情報を書き残しておきます


『ノゾムキミノミライ』
・発売:qureate
公式サイト
 Nintendo Switch用ソフト:2022年5月19日発売
・育成シミュレーションゲーム
・セーブスロット10個、チャプターの区切りごとにセーブ可能

  私が1周クリアにかかった時間は約1.5時間、
  全エンディング制覇にかかった時間は約10時間でした(特典コンプはしていません)
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください


【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:◎(バッドエンドはなかなかキツかった……)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(「恥をかいたこと」を思い出すシーンがある)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:◎(パンツが見えることがスケベなのか?と思えてくる)
・セックスシーン:×

↓1↓

◇ 美少女といっしょに暮らすワンルームの生活、パンツはすぐ見慣れるぞ!
 このゲームは、『デュエルプリンセス』で一躍有名になったqureateによる(現時点では)Nintendo Switch専用の完全新作ゲームです。

 qureateはNintendo Switchにたくさんのゲームを配信していて、最初の頃は「エロありのPCゲームをエロを抜いてコンシューマーに移植している」作品が多かったため、全部が全部そう見えるかも知れませんが……最近はNintendo Switch版が先に出て、後からPC版が出るものが多く、更に18禁要素を特に加えない移植も増えています。

○ 18禁パッチありSteam版→ Nintendo Switch版に移植
 ・『NekoMiko -ねこみこ-』
 ・『NinNinDays』
 ・『TroubleDays -とらぶるでいず-』
 ・『くっころでいず』

○ Nintendo Switch版→ 18禁パッチありSteam版に移植
 ・『異世界酒場のセクステット』Vol.1~3
 ・『愛怒流でいず』
 ・『NinNinDays2』

○ Nintendo Switch版→ 18禁要素なしPC版に移植
 ・『プリズンプリンセス』
 ・『廃深』
 ・『デュエルプリンセス』


 「ということは、『ノゾムキミノミライ』も待っていれば18禁付きのPC版が出るのでは!? それまで待とうかな! 」なんて考えてしまう人もいるかも知れませんが……
 qureateの18禁付きゲームは、『NinNinDays』以降だとタイトルの最後が『Days』や『でいず』で統一されているんです(『異世界酒場のセクステット』はサブタイトルが『Days』です)。タイトルからそれが分かるようにしてあるように思えるので……

 なので……これは私の推測ですけど。
 『ノゾムキミノミライ』も待っていればPC版が出るかも知れませんが、18禁要素は特に足されないんじゃないかと思います。


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 このゲームは、就職活動中の女子大生:臼井咲千(うすいさち)の部屋の座敷童となり、彼女を導くことによって「20種類のエンディング」へと進ませるマルチエンディングのゲームとなっています。ジャンルとしては、『プリンセスメーカー』とかの育成シミュレーションですね。

 タイトルが一見覚えづらいかも知れませんが、『ノゾキミノミライ』と表記すれば分かりやすいですよ!



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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 個人的にポイントが高いと思ったのが、「1人暮らしの部屋」のディティールです。
 超美麗なグラフィックとまで言いませんが、照明のスイッチとか、エアコンのコンセントとか、ゲームにまったく関係のない背景もしっかり作られているのに感心します。「この部屋にヒロインが暮らしている」実在感がちゃんとあるんですね。トイレや浴室もちゃんとあります(それらの部屋にはプレイヤーは入れませんが)。


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 細かいところですが、テレビとブルーレイレコーダーと思われるものにもしっかりと電源コードが繋がっています。ゲーム本編には一切絡まないし、こうやって裏に回りこんで粗探しをする私みたいな人間しか見ないところも作り込んであるのがヨシ!


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 そして、部屋のいたるところにはAボタンを押せるところがあり、これを押しておくとヒロインの咲千ちゃんが導かれるようにその行動を取るようになります。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 咲千ちゃんに様々な行動を取らせることによって彼女のパラメータが増減して、そのパラメータによって最終的なエンディングが決まるのですが……その話は次の項に回すとして、単純に様々な行動を取る咲千ちゃんの仕草が可愛くて、片っ端からやらせてみたくなるんですね。

 カーソルが邪魔で咲千ちゃんの可愛い姿がよく見えないという場合は、Bボタンを押せばUIを一時的に消すことが出来ます(最初はその機能に気付かなかったので、ひょっとしたら1周クリア後の特典かも)。


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 ヒロインである臼井咲千ちゃんのキャラクターデザインは、森沢晴行さんが担当されています。『高円寺女子サッカー』や『ドリームクラブ』、アニメ『輪廻のラグランジェ』などを手がけた方ですね。2Dイラストも可愛いし、3Dのモデリングもイイカンジです。

 咲千ちゃんのCV.は高田憂希さんです。『NEW GAME!』の涼風青葉、『やがて君になる』の小糸侑(アニメ版)、『三ツ星カラーズ』の結衣などのバリバリ主役級を演じてきた売れっ子声優さんです。なので、PC版が出ても18禁要素は足されないと思うんですね(笑)



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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 プレイヤーはこの部屋の座敷童として、一人称視点で自由に動くことが出来ます。
 左スティックで移動、右スティックでカメラ操作、ZL・ZRボタンでカメラの高さを切り替えることが可能なので、彼女が歩くのをローアングルにして待ち構えるなんてことも簡単に出来ます。

 個人的には、「一番低いカメラアングル」の時に更に低くしようとすると「一番高いカメラアングル」に一気に上がるのが直感的ではないと思ったかな……


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 咲千ちゃんは一人暮らしの様子がノゾキミされているなんて知らないので、一つ一つの仕草が無防備なんですね。皆さんの目で確かめて欲しいのでここにはスクショを載せませんが、立ったり座ったりするたびにパンチラするし、少し動くたびに巨乳が揺れまくります。

 チャプターが進むと、「むふふ本」や「マッサージ器」などのちょっとアレなアイテムを使うように指示できるので、それらを使わせてリアクションを見るのも楽しいですね。



 ただ、あまりに簡単にパンツが見られるので、秒で飽きます。

 勝手にパンツをノゾキミしておきながら「秒で飽きる」とか言われて、咲千ちゃんからするとふざけんなという話でしょうが……パンチラって最初に見れた時は嬉しいけど、「1秒」見ようが「10分」見ようがずっとパンツじゃないですか。「10分」見てたら中が透けてくるとかないじゃないですか。


 このゲーム全体に言えることなんですが、「最初の1回」は楽しくて片っ端からAボタンを押して咲千ちゃんにいろんなことをやらせたくなる一方、「2回目」以降も特に変わらないので飽きちゃうんです。要は、周回プレイがあまり楽しくない―――というか。


 エンディングは20種類あるのだけど、途中のシナリオは分岐とかしないので変わり映えがせず、20周プレイするのはかなりの作業となっちゃいますね。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 その「周回プレイが楽しくない」象徴なのが、着せ替え要素です。
 チャプター2以降で、咲千ちゃんを洗面所に行かせると「服」「髪型」「下着」を自由に着せ替えることが出来ます。下着の種類だけ多いのは、服や髪型とちがって「テクスチャを変える」だけでバリエーションが用意できるからでしょうね。

 「服」「髪型」「下着」は、20種類あるエンディングの内の特定のものを取れば増えていくので……「何だよ、周回プレイが楽しくなる要素あるじゃん」と思われるかもですが、この着せ替えはチャプターごとにリセットされてしまうんです。チャプターごとに咲千ちゃんを洗面所に向かわせないと、またデフォルトのパジャマに戻ってしまうんですね。

 限られた時間で、「メモ」を集めて、「パラメータ」を上げていかなくちゃならないゲームで、そのタイムロスは大きいので……終盤「狙ったエンディングの条件は満たしたのでやることがなくなって5分放置するしかない」時くらいにしか着せ替えは使いませんでした。
 また、その状況だとパラメータが少しでも上がると狙ったエンディングにならないため、一切の行動を選べません。「この服でこんな行動を取らせたい」みたいなことが出来ないんですね。


 あと、せっかく「着せ替え要素」を入れているのに、ストーリー進行で絶対に手に入る「リクルートスーツ」以外の服は、難易度の高いエンディングに到達しないと取れないようになっているのも勿体ないと思います。
 こういうのは、「簡単なエンディング」「中くらいの難しさのエンディング」「高い難易度のエンディング」と段階的に手に入るようにした方がイイんじゃないかなぁ。RPGで言えば、ラスボスを倒したら面白い武器が手に入ったけど、それを使うべき敵がもういねえよ!みたいなやつです。

 制作者サイドからすると、20種類のエンディングを制覇した後も楽しめるように「コンプ後のお楽しみ」として考えたのかも知れませんが……遊ぶ側からすると、20周もしたらもう二度とプレイしたくないくらいに飽きているので、今更そんなものが手に入っても困るというか。

↓2↓

◇ 育成によって「彼女の未来」が変わるけど、周回プレイが楽しい設計にはなっていない
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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 このゲームのチャプターは1~10までで、それぞれのチャプターに制限時間が決まっています。「咲千ちゃんに何をさせるか」という行動予約は3つまで出来ますが、これは「1チャプターに3つしか行動させられない」のではなく、予約が出来るのが3つまでなだけで「制限時間いっぱい限界まで行動させることが出来る」のです。


 咲千ちゃんに何か行動を取らせると、「着替え」以外は咲千ちゃんのパラメータが増減します。
 「勉強」なら知力が上がり、「整理整頓」だと生活環境と自尊心が上がる―――みたいなカンジで。中にはマイナスになるものもあって、「筋トレ」は体力が大幅に上がる代わりに自尊心が少し下がります。実はこれも結構重要ですね。

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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 そして、当然このパラメータは「エンディングの条件」に関係します。
 チャプター1の終了後以降、「エンディングの条件」リストは自由に確認できるようになるのですが……スクショを見てもらえば分かる通り、条件は結構厳しいです。5つの項目で「21の範囲」の中に数字を収めなくちゃいけないんですね。オーバーもダメ。だから、パラメータが下がる行動も大事なのです。

 そのため、「どの行動を取ったらどのパラメータが上がるのか・下がるのか」をメモっておかないとエンディングのコンプリートは不可能だと思います。
 可愛い女の子に好きな行動を取らせて眺めるゲームなのは最初の1周目だけで、2周目以降はこの枠内に数字を収めるために延々と同じことをやらせていくゲームになっちゃうんですね。私達にとっても「作業ゲー」ですが、咲千ちゃんはもっと苦行だろこれ!




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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 そして、もう1つ―――
 エンディングの条件には「5つのパラメータを特定の数字の枠内に収める」だけでなく、「各チャプターで部屋に落ちているメモを拾っておく」必要もあります。両方の条件を満たしていないとダメなんです。エンディングによって必要なメモは2~3で、落ちているチャプターと場所は決まっています。ランダム要素はありません。

 そのため、終盤になって「パラメータ的にはこのエンディングが狙えるのに、メモを拾っていない!」ということになりがち。制限時間があるため、メモばっか拾っているとパラメータが上がっていないということにもなりかねませんからね。なので、「このチャプターに落ちているどの位置のメモがどのエンディングに必要なのか」をメモっておくとグッと楽になります。


 ということで、このゲーム―――エンディングコンプを目指すと、メモ必須のガチ目の育成シミュレーションになっちゃうんですよ。逆に、メモがあるとムチャクチャ効率的にゲームが進むので時間が余りまくり、かといって制限時間を飛ばすことは出来ないので、制限時間が終わるまで放置して(咲千ちゃんじゃなくて私が)本を読み始めたりするほど。


 んでね、「20種類のエンディング」があるなら「最初から最後まで20周プレイしなくちゃならない」のかというと、そうではないと思うじゃないですか。
 ゲーマーとしては、なるべく短時間でこのゲームを攻略したいから、終盤まで「必要なメモ」と「共通のパラメータ」で留めておいてセーブしておいて、何度もそこからロードして効率よくエンディングを取っていきたいって考えると思うんですね。例えば、最後のチャプター10から何度もロードして「今回は体力と女子力を上げて2番目のエンディングを狙おう」「今回は知力と自尊心を上げて3番目のエンディングを狙おう」とする、みたいに。

 そうやって私は、実質5~6周のプレイで20種類のエンディングを制覇したのですが―――


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<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 何と、この方法だと「クリア特典」が埋まらないんですね。
 埋まっていないのは運動器具3種類と、特殊モーション3種類です。

 ネットの情報と、自分のプレイ内容を照らし合わせてみたところ……クリア特典には「特定エンディングを見る」だけでなく、「クリア回数」が「1回」「2回」「5回」「10回」「15回」「20回」の時にもらえるものがあって、この回数はロードを使わずに「最初から最後まで20周プレイしなくちゃならない」そうなんですね。

 なので、私みたいに終盤のセーブデータを使って効率よくエンディングを埋めた人は、「10回」「15回」「20回」のクリア特典が埋まらないのです。
 そうしてエンディングをコンプしちゃっているともう二度と手に入らないなんて説があったので、流石にそれは噓やろと、エンディングコンプ後にもう「5周」ロードを使わずにクリアしました。ほぼ棒立ちで5周放置プレイをした結果、クリア特典「10回」のものは入手できませんでした。つまり、1回でも「同じセーブデータ」からエンディング埋めをしてしまった人は、絶対に「クリア特典コンプ」は不可能になるんですねー。


 仕様なのかバグなのか微妙なところ(全エンディング制覇のタイミングで「complete」と表示されたので十中八九バグだと思います)で、現状だと「クリア特典コンプ」のためにはガチで20周プレイしなくちゃならないってことなんですが……20周も遊べるような設計にはなっていないですよ!

 エンディングは確かに20種類ありますが、ちがうのはエンディングだけで途中のシナリオが分岐とかはしないし、イベントが起きたりもしません。終盤のパラメータ調整を除けば、ほぼ同じようにメモを拾って、同じようにパラメータを上げる同じ行動を取らせるプレイになります。道中に変化がほとんどないのです。
 周回プレイで増えるのは運動器具と、着替えアイテムくらいかなあ。その「着替え」が仕様のせいで使いづらいというのは前項に書いた通りです。


 例えば、「パラメータを上げると特殊なイベントが起こる」仕様とかなら、「知力を上げまくった今回だけいつもとちがうことが起こったぞ」と思えただろうし。
 例えば、「チャプターの始めに(時間を使わずに)着せ替えができる」仕様だったら、「いろんな服を着せていろんなプレイをさせてみよう」と思えただろうけど。


 現状の仕様で、20周プレイさせようというのは無茶すぎ。
 20種類のエンディングは1枚絵があったり、「このパラメータでこの職業に就くのかー」という面白さがあったりするので、私は肯定的に捉えています。一番難しいであろう19番目のエンディングに到達した時は感動しました。でも、そこに至るまでの道が作業的すぎで、薄味すぎて、20周プレイするのは人には薦められません。

 それでもどうしても「ガチで20周プレイさせたいんだ!」と制作者サイドが仰るなら、1周を短めにしてコンプを簡単にして欲しかったです。せっかく「コンプ後にも遊べる要素」を入れたんだから、コンプまでのプレイ時間は短くても「ボリューム少なすぎ」とは言われないでしょ。
 むしろ、今みたいに「コンプには膨大な時間がかかるけど、何もやれることがないからずっと放置しておかなきゃならない」方が薄味すぎて「ボリュームが少なすぎ」って言われると思いますよ……

↓3↓

◇ メモなしでEDコンプは難しいので、ここに攻略情報を書き残しておきます
 私はこのゲーム、「何も考えずにノープランでこのゲームを遊んだ1周目」「ひたすらメモを取った2周目」「そのメモを活かして効率よくエンディングを埋め始めた3周目」あたりまでは楽しかったです。このゲームの面白さの半分くらいは「メモを取ること」にあると思います。


 ただ、世代なのか嗜好なのか、「ゲームをしながらメモを取る」のがイヤだ・面倒くさい・そんなのは8bitの時代のゲームだろって人もたくさんいることも経験上分かっています。私にとっては超面白い「メモを取るゲーム」が、オススメした相手には「めんどくさー」と全然ハマらなかった経験は何度もありましたからね。

 なので、メモ取るの面倒くさいよって人のために、「咲千ちゃんに取らせた行動でどのパラメータが増減するのか」と「エンディング達成のために必要なパラメータと、メモが落ちているチャプターと場所」をここにまとめておきます。

 メモ取るのが楽しいよ派の人は、読み飛ばしてくださいな。


<行動によって変化するパラメータ一覧>

【ベッド周り】
・くつろぐ(チャプター1から)
 + 生活環境+15
 - 知力-5
・筋トレ(チャプター1から)
 + 体力+15
 - 自尊心-5
・マッサージ器(チャプター7から)
 + 自尊心+15
 - 女子力-5

【テーブル周り】
・タブレット(チャプター1から)
 + 自尊心+8
・勉強(チャプター1から)
 + 知力+8
・鏡(チャプター2から)
 + 生活環境+4
 + 女子力+4
・アルバム(チャプター5から)
 + 生活環境+4
 + 自尊心+4
・キャンディ(チャプター5から)
 + 生活環境+4
 + 女子力+4
・せんべい(チャプター6から?)
 + 自尊心+15
 - 女子力-5
・バナナ(チャプター7から)
 + 知力+4
 + 女子力+4
・缶詰(チャプター8から)
 + 生活環境+4
 + 自尊心+4

【本棚】
・参考書(チャプター1から)
 + 知力+4
 + 体力+4
・図鑑(チャプター2から)
 + 生活環境+4
 + 体力+4
・小説(チャプター3から)
 + 女子力+4
 + 自尊心+4
・漫画(チャプター4から)
 + 自尊心+15
 - 生活環境-5
・クイズ本(チャプター6から)
 + 生活環境+4
 + 知力+4
・むふふ本(チャプター8から)
 + 女子力+15
 - 知力-5

【テレビ周り】
・整理整頓(チャプター4から)
 + 生活環境+4
 + 自尊心+4

【キッチン周り】
・冷蔵庫(チャプター3から)
 + 生活環境+4
 + 自尊心+4
・料理(チャプター5から)
 + 知力+6
 + 女子力+6
・闇鍋(チャプター6から?)
 + 生活環境+6
 + 体力+6
 + 自尊心+6
・おやつ(チャプター9から)
 + 知力+4
 + 体力+4
 + 自尊心+4
・ドリンク(特定ED到達後チャプター1から)
 いずれかのパラメータを、+20か-20出来る

【その他】
・シャワー(チャプター4から)
 + 女子力+8
・お手洗い(チャプター6から)
 + 生活環境+6
 + 女子力+6
・運動(ロデオマシーン)(2周目チャプター1から)
 + 体力+10
 + 女子力+10
・運動(サンドバッグ)(6周目チャプター1から)
 + 体力+10
 + 自尊心+10


 全ての行動が最初から選べるワケではなくて、チャプターが進むごとに選べる行動が増えていきます。それは周回プレイをした時もそうで、毎回必ず選べる行動が最小限のところから始まります。運動器具は周回回数によって種類が増えていきますが、前項で述べたように私は3つ目以降は出せなくなってしまったため未確認です。
 「料理」と「闇鍋」や、運動器具のように、チャプターごとにどちらか決められた方しか選べないという行動もあります。また、「バナナ」や「お手洗い」のようにチャプターごとに1回しか選べない(多分)ものもあります。

 「生活環境」は「咲千ちゃんにとって快適な環境」、「自尊心」は「咲千ちゃんの承認欲求を満たすもの」ってカンジですかね。この行動によってどのパラメータが上がるのかを眺めるのもなかなか楽しいです。「せんべい」だと女子力が下がって、「キャンディ」だと女子力が上がるとか。「むふふ本」は女子力が大幅に上がるけど、知力が下がるとか。

 効率的な攻略を考えると、2周目以降に手に入る運動器具が強力で、それ以外のパラメータをどうやって埋めていくのかってプレイになるかなと思います。私はどうしても知力が足りなくなりがちだったので、ひたすら勉強させていたなぁ…
 「ドリンク」はご先祖様が「それ本当に大丈夫なやつか?」と言っていたので、私は使わなかったのですが、他のサイトとかを見ると使っても特にペナルティ的なものはなかったっぽい? だとしたら、どうしてご先祖そんなこと言ったの……


<エンディング分岐条件>

1.
 生活環境 20~40
 知力 20~40
 体力 20~40
 女子力 20~40
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター2のトイレ前
 メモ2:チャプター7のクローゼット横

2.
 生活環境 20~40
 知力 20~40
 体力 40~60
 女子力 40~60
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター3の玄関
 メモ2:チャプター6の扇風機横

3.
 生活環境 20~40
 知力 40~60
 体力 20~40
 女子力 20~40
 自尊心 40~60

 メモ1:チャプター4の玄関
 メモ2:チャプター7の扉横(内側)

4.
 生活環境 20~40
 知力 40~60
 体力 20~40
 女子力 40~60
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター5の運動器具横
 メモ2:チャプター6の化粧台下

5.
 生活環境 40~60
 知力 20~40
 体力 40~60
 女子力 20~40
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター2の扉横(外側)
 メモ2:チャプター5の化粧台下

6.
 生活環境 60~80
 知力 20~40
 体力 20~40
 女子力 20~40
 自尊心 60~80

 メモ1:チャプター3の化粧台下
 メモ2:チャプター6のテレビ下

7.
 生活環境 60~80
 知力 60~80
 体力 20~40
 女子力 20~40
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター4の化粧台下
 メモ2:チャプター7のライト下

8.
 生活環境 20~40
 知力 20~40
 体力 60~80
 女子力 60~80
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター5の扉横(内側)
 メモ2:チャプター6のクッション横

9.
 生活環境 20~40
 知力 20~40
 体力 60~80
 女子力 20~40
 自尊心 60~80

 メモ1:チャプター2の扇風機横
 メモ2:チャプター8のベッド奥(ベッド側)
 メモ3:チャプター6の運動器具横

10.
 生活環境 20~40
 知力 60~80
 体力 20~40
 女子力 60~80
 自尊心 20~40

 メモ1:チャプター5のクローゼット横
 メモ2:チャプター6のベッド奥
 メモ3:チャプター6の扉横(外側)

11.
 バンドエンドその1。
 他のエンディングの条件を満たさずに、かつどれかのパラメータが31以上

12.
 生活環境 60~80
 知力 60~80
 体力 40~60
 女子力 80~100
 自尊心 40~60

 メモ1:チャプター4のテレビ下
 メモ2:チャプター9の扉横
 メモ3:チャプター5の玄関

13.
 生活環境 60~80
 知力 40~60
 体力 60~80
 女子力 40~60
 自尊心 80~100

 メモ1:チャプター3のライト下
 メモ2:チャプター9のクローゼット横
 メモ3:チャプター7の玄関

14.
 生活環境 40~60
 知力 40~60
 体力 80~100
 女子力 60~80
 自尊心 60~80

 メモ1:チャプター4のクッション横
 メモ2:チャプター9のベッド奥(ベッド側)
 メモ3:チャプター8の扉横(内側)

15.
 生活環境 60~80
 知力 60~80
 体力 60~80
 女子力 60~80
 自尊心 60~80

 メモ1:チャプター5のベッド奥
 メモ2:チャプター9のベッド奥(チェスト側)

16.
 生活環境 40~60
 知力 40~60
 体力 40~60
 女子力 60~80
 自尊心 60~80

 メモ1:チャプター2のベッド奥
 メモ2:チャプター7のテレビ下

17.
 生活環境 40~60
 知力 60~80
 体力 60~80
 女子力 40~60
 自尊心 40~60

 メモ1:チャプター5のテレビ下
 メモ2:チャプター8のライト下

18.
 生活環境 60~80
 知力 40~60
 体力 40~60
 女子力 40~60
 自尊心 40~60

 メモ1:チャプター4の窓横
 メモ2:チャプター8のクッション横

19.
 生活環境 100以上
 知力 100以上
 体力 100以上
 女子力 100以上
 自尊心 100以上

 メモ1:チャプター3のベッド奥
 メモ2:チャプター8のベッド奥(チェスト側)
 メモ3:チャプター4のトイレ前

20.
 バンドエンドその2。
 他のエンディングの条件を満たさずに、すべてのパラメータが30以下。


 どのエンディングがどういう未来(職業)になるのかはみなさんの目で確かめてください! 「なるほど、この職業はこのパラメータが高い(と制作者は思っている)のか」が結構面白かったので。それぞれのエンディングには1枚絵もあるし、意外なものもあるしで気合入っているなーと思いました。

 セーブ&ロードを繰り返して効率よくエンディングを埋めていくには、パラメータを「40」にピッタリ収めるのが大事になるのですが……前項に書いたように、それだとクリア特典がコンプできないので、現状だと毎回チャプター1からやり直すしかありませんね。アプデで修正されたりするのかなぁ。一応、任天堂からのアンケートには「これ不具合じゃないの?」と書いておきました。



◆ で、結局どういう人にオススメ?
2022052700452500_s.jpg
<画像はNintendo Switch用ソフト『ノゾムキミノミライ』より引用>

 現状の仕様だと「クリア特典コンプ」が死ぬほど面倒くさいし、どうしても2周目以降は作業感が強くなってしまうので……コンプリートとかに特にこだわらず、とりあえず1周楽しめればイイやとポンとこの値段(定価1980円)を払える人にオススメかなーと思います。

 個人的には、「クリア特典コンプ」は出来なかったけど「全エンディング制覇」はやって良かったと思っているし、最後の19番のエンディングは感動しました。咲千ちゃんのデザインが好みだったら値段分の元は取れるんじゃないかと思います。

 私は巨乳よりヒンヌー派なので、もし次回作があるのならおっぱいの大きさを変えられると嬉しいです。もしくは、女のコを2人にして、その女のコ2人がイチャイチャ日常を過ごしているのを眺められるゲームにして欲しいです!(最後に書くことソレ?)


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≫ EDIT

『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』紹介/ズタボロになっても少年少女は前に進む!これが最先端の青春群像劇だ!

proseka-1.png
<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
『バンドリ』の型を踏襲して、セガの力で更に進化した青春群像劇の新たなスタンダード
『バンドリ』の先を目指した『D4DJ』と、『バンドリ』とは別方向に広げた『プロセカ』
よりブラッシュアップされた、「痛み」を伴う少年少女一人一人のストーリー


『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』
・配信:セガ、開発:Colorful Palette
公式サイト
 iOS版:2020年9月30日配信開始
 Android版:2020年9月30日配信開始
・リズムゲーム&アドベンチャーゲーム
・オートセーブ

 メインストーリーと2020年5月8日現在までに開催されたイベントストーリーを全て読んだ感想です。

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:○(10代の少年少女のリアルな「悩み」を描くため)
・恥をかく&嘲笑シーン:△(「(司の)声がデカくて恥ずかしい」みたいな場面はあるけど)
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:△(「仲良し」止まりで、後は二次創作でどうぞ)
・BL要素:△(「信頼」「尊敬」止まり、後は二次創作でどうぞ)
・ラッキースケベ:×(この世界に性欲は存在しない)
・セックスシーン:×(この世界に性欲は存在しない)

↓1↓

◇ 『バンドリ』の型を踏襲して、セガの力で更に進化した青春群像劇の新たなスタンダード
 このゲームは2020年から配信されているスマホ用ゲームで、特に10代の若者達からの圧倒的な支持を受けて、2021年秋にLINEが行った「高校生がハマっているスマホゲーム」の調査で男女ともに2位に入っていたほどです。

 私は「若者の間で流行っているらしいぞ」とは知りつつも、ボカロには詳しくないためずっとスルーしていたのですが……ショートアニメ『ぷちセカ』が始まるから原作ゲームについても調べたところ、「いやいや、これは俺がプレイしなきゃ絶対にダメなヤツじゃん!」と思い、2022年の元日からプレイを開始しました。
 ちょうどメインストーリー(最初のストーリー)が、ランクに関係なく読めるキャンペーンをやっている時期だったため……とりあえずこれだけでも読んでみるかーと軽い気持ちで始めたら、あまりに面白くて過去のイベントストーリーも遡って全部読んだくらいにハマってしまったのです。なので、まだプレイしていない人にも興味を持ってもらえるように紹介できたらなと、この記事を書きます。


 長々と文章を読ませる前に……新しくスマホゲーを始める際に、恐らくみなさんが一番気にされるであろうことから書いておきます。このゲームは、ストーリーを追うだけなら無課金でも問題なく遊べます。
 ランキング上位を目指すとか、課金でしか手に入らない3D衣装を手に入れたいとかなら、課金必須とは思いますが……私が一番推したい「ストーリー」に関しては無課金でも(ガチャで手に入るキャラのサイドストーリーを除けば)フルで楽しめますし、イベントストーリーを解放するのは1日20~30分くらいのプレイを続けていれば出来ると思います。

 要は、お金も時間もかけなくても十二分に楽しめる「ハードルの低いゲーム」なんですね。私、いろんなスマホゲーをプレイしてきましたけど、結局最後は「時間」をかけないとストーリーを追うことすら出来ないゲームが大半で挫折してきました。今でも続けられているのが『バンドリ』と『プロセカ』くらいなのは、そのハードルが特に低いからです。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 さて、ここからがゲームの紹介です。
 「そもそも初音ミクって誰? 初めて聞いたんだけど」という人のために、そこから説明しましょう。

 まず、2004年―――ヤマハが「VOCALOID(ボーカロイド)」と呼ばれる音声合成技術を作り、その技術を使ったパソコン用ソフトが色んな会社から発売されました。ヤマハ自身も後に自社ブランドから「VOCALOID(ボーカロイド)」のソフトを発売するようにはなりますが、当初は「ヤマハの技術を使ったソフトを複数企業が発売する」という形だったんですね。

 そして、その内の一社が「クリプトン・フューチャー・メディア」でした。ここの会社はパッケージにキャラクターイラストを用いて「あなたの作った曲を、このキャラクターに歌わせよう」という商品を発売していきました。2004年11月「MEIKO」、2006年2月「KAITO」、2007年8月「初音ミク」、2007年12月「鏡音リン・レン」、2009年1月「巡音ルカ」―――

 特に「初音ミク」発売後は、ちょうどニコニコ動画が生まれた直後のタイミングだったこともあり、「初音ミクに自作の曲を歌わせること」、「そこに自作のイラストを付けてMVを作ること」、はたまた「そうして人気になった曲を、別の人が歌ってみて動画にしてアップすること」など様々な創作活動が盛り上がることになります。こうして生まれたジャンルが「ボカロ曲」で、現在ではボカロPからメジャーシーンへと進んだミュージシャンも少なくありません。


 その人気っぷりから早い段階でリズムゲーム化もされていて、2009年からはPSP用に『初音ミク -Project DIVA-』シリーズが始まり、2012年からはニンテンドー3DS用で『初音ミク Project mirai』シリーズが始まりました。発売はどちらもセガからで、この時期は「今セガで一番有名なキャラは初音ミク」なんて言う人までいたほどです。




 しかし、ちょうどこの時期あたりから、スマホの普及によってリズムゲームの主戦場はスマホに移っていきます。
 2013年『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』、2015年『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』、2017年『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』と、メディアミックスを活かしたIPによるリズムゲームが次々に生まれて人気になりました。基本無料の運営型のスマホゲームは「継続的な曲の追加」が可能で、リズムゲームと相性がよかったんですね。

 セガとクリプトンもまた「初音ミク達でスマホゲームを作りたい」と考えつつもなかなか成功とはいかなかったところ、当時絶好調の『バンドリ!ガールズバンドパーティ!(以下バンドリ)』を開発していたCraft Eggに声をかけて企画が始まります。Craft Eggはこのゲームの開発のために新子会社Colorful Paletteを作り、その代表取締役社長は『バンドリ』ゲーム版のプロデューサーだった人なので……


 つまり、このゲーム―――
 かつて『バンドリ』のゲーム版を立ち上げた人達による“精神的続編”だったんですね。そういうこともあってか、ゲームとしての「型」もものすごく『バンドリ』のそれを踏襲しています。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 メインとなるのはもちろん初音ミク達ボーカロイドのキャラ……ではありません。

 このゲームオリジナルとなる、渋谷に住む20人の高校生が、4人ずつ5つのユニットに分かれて物語は展開していきます。
 最初のメインストーリーは5つのユニットそれぞれで展開していきますが、10日ペースで追加されていくイベントストーリーでは別のユニットとの交流が描かれますし、キャラクター設定もそうした関係性を見越した配置になっています。例えば、「MORE MORE JUMP!の花里みのり」と「Vivid BAD SQUADの小豆沢こはね」は同じクラスの仲良しだったり、「ワンダーランズ×ショウタイムの天馬司」と「Leo/needの天馬咲希」が兄妹だったり。

 そして、そのイベントストーリーではメインとなるキャラクターが毎回変わるため、誇張ではなく20人全員が交代で主人公をやっていく青春群像劇になっているんですね。詳しくは後述しますが、初音ミク達は彼女らの背中を押してサポートする「先輩ポジション」として登場します(初音ミク達がメインとなるイベストもごくまれにありますが)。

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>


 ということで、ほぼ『バンドリ』なんですよ。
 『バンドリ』は新宿近辺に住む25人の女子高生が、5人ずつ5つのバンドに分かれて物語が展開していきました(現在は、そこに10人が追加されて35人になっています)。
 最初のバンドストーリーは5つのバンドそれぞれで展開していきますが、10日ペースで追加されていくイベントストーリーでは別のバンドとの交流が描かれますし、キャラクター設定もそうした関係性を見越した配置になっています。例えば、「Pastel✽Palettesの白鷺千聖」と「ハロー、ハッピーワールドの松原花音」は同じクラスの親友だったり、「Afterglowの宇田川巴」と「Roseliaの宇田川あこ」が姉妹だったり。

 そして、そのイベントストーリーではメインとなるキャラクターが毎回変わるため、誇張ではなく25人全員が交代で主人公をやっていく青春群像劇になっていたんですね。

 ただ、『バンドリ』はメディアミックスから始まっているゲーム版なため、それ以前から展開されていた小説・漫画・アニメで主人公だった「戸山香澄」がどうしてもゲーム版でも主人公のように扱われることが多かったですけど……
 『プロセカ』の場合、一応タイトル画面では「星乃一歌」ちゃんが映ってはいるんだけど、特別に一歌ちゃんだけが主人公のように扱われることはほとんどないように思えます。それはきっと、このゲームの看板となるキャラとして「初音ミク」が存在してくれているからかなぁと思います。


 青春群像劇として『バンドリ』が大好きで現在も遊び続けている私は、この型を継承して、更にブラッシュアップされた作品はないのかなぁとずっと思っていました。その期待をしていた『D4DJ』でも、「形」は似ているけど、群像劇としての1人1人の物語と横のつながりがイマイチで結局やめてしまったのですが……

 それが『プロセカ』だったのです。
 IPは変わったけど、『バンドリ』を作っていた人達による、『バンドリ』の型を継承した作品―――私が夢に見た作品が若者達の間で大ヒットしていたのに、「ボカロあんま分からないからなー」とスルーしていたのです。良かった、このタイミングで気付いて!



 でも、『バンドリ』と全部一緒だったら「バンドリやってればイイじゃん」という話になってしまいます。『バンドリ』の3年後に始まったスマホゲーなので、もちろん進化した部分があって……

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 それが、「キャラクターが3DCGで作られて動きまくるライブシーン」です(※1)
 『バンドリ』にも一部の曲で「MVライブ」があるのですが、あちらはアニメの映像をリズムゲームに合わせて流しているだけなのに対して、『プロセカ』の場合は「自分が編成したキャラ」が「自分が設定した衣装」を着て動きまくります。アイドルアイドルしたMORE MORE JUMP!の踊りを志歩ちゃんや彰人に踊らせたり、楽器なんか触ったことがなさそうなキャラもLeo/needの曲をプレイすれば楽器を演奏し始めます(それがイヤな人は、「キャラ編成」とは別の「曲ごとのオリジナルメンバー」が画面に映るようにもできます)。

(※1:すべての曲で3DCGが動くワケではなくて、曲によっては2DMVが流れるものや、ジャケット画だけが表示される簡易的なものがあります)

 ↓ こちらが『バンドリ』のリズムゲーム画面です。
 見比べると、やっぱり画面のインパクトがちがいますね……

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<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>


 とは言え、『バンドリ』が3DCGに消極的なだけで(ダンスをするアイドル題材ゲームではなくバンド題材ゲームのため、3Dにする労力の割にメリットは小さいと思う)(その『バンドリ』も来年のアップデートで3DCG化すると予告されましたが)今のスマホゲームで「女のコが3DCGで表現されていて着せ替えが出来る」ものなんて珍しくないでしょう。

 じゃあ、そうしたものが普通に出来るようになった今のスマホゲームで、3DCGを何に使うのかが他のゲームとの差別化にあたると思うんですね。公式が3DMVをYouTubeで観られるようにしてくれているので、いくつかお気に入りを載せておきます。実際のゲームだとこれを背景にリズムゲームが遊べます。




 まずは、5人のキャラ(曲によっては2人~6人)が別々の動きをして、立ち位置もカメラワークも激しく入れ替わります。特に「ワンダーランズ×ショウタイム」は遊園地のショーを行うユニットなだけあって、見てるだけでめっちゃ楽しい。対照的に「Leo/need」はバンドなので動き自体は激しくないのですが、楽器を弾いているモーションやカメラワークなんかに特徴があって、3DCGが動くからこそユニットごとの特色がしっかり出ているのが好きなところです。






 また、ボカロ曲のカバーの場合、「元のMVの世界観を再現」するMVになっているところも好きです。上が「Vivid BAD SQUAD」の杏こはが一緒に歌っている「劣等上等」MVで、下が2018年に投稿された元のMVです。原作のポーズを杏ちゃんがやるとこ、イイ……

 『プロセカ』で初めて知った曲も、元のMVを見ると「こうなってたのかー!」と感動することが多いですね。






 お気に入りのMVはたくさんあるのでどれを載せるか悩んだのだけど、「少女レイ」の「原作MVのイラストを書き割りにしている」カンジが最高すぎるのでこれも載せておきます。MVだと衣装もちゃんとセーラー服をベースなものにしてあるのが芸が細かい。



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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 3Dの衣装は課金要素にもなっています。ガチャで手に入る☆4キャラに付いてくる(『バンドリ』とちがって☆3以下のキャラには衣装が付いてこないのは残念…)他、毎月ごとに切り替わる「課金で手に入ったクリスタル(有償石)」でしか引き換えられないものと、毎月課金して入れるプレミアムミッションパスの報酬になっています。

 プレミアムミッションパスは、1ヶ月1960円と安くはないのですが……有償石1800個がその場でもらえて、更に最大5000個までゲームを遊べば遊ぶほどに無償石がもらえるので、衣装のことを差し引いてもむっちゃお得なんですよね。まぁ、報酬全部受け取ろうとすると1日20~30分のプレイじゃ足りなくなるから、私は毎月は入れませんけど(かわいい衣装の月だけ入るつもり)。


 率先して課金したいワケじゃないんですけど、『バンドリ』とか課金要素がガチャしかないので「これちゃんと黒字になってるのかなぁ……」と心配してたところもありますし、長くゲームの運営を続けてもらうためにも衣装への課金は賛成です! 『バンドリ』も3D衣装を実装したらプレミアムミッションパスやって!



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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 そして、このゲームの「3DCGを何に使うのか」の真骨頂が「バーチャルライブ」です。“他のリズムゲームにはない新しい体験”を目指して作られたモードで、特許を出願しているそうです。簡単に言うと、プレイヤーが観客視点で自由に視点と位置を動かしながらライブを見ることが出来るというものです。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 開催されるのはバレンタインなどのイベント日や、キャラクターの誕生日などの特別な日、そして10日周期に切り替わる「イベント」と「イベント」の間の1日で―――プレイヤーはこの時間に合わせてゲームを起動して会場に入場しないとなりません。

 『PSO』のように待ち合いスペースがあって、見知らぬ人とチャットしたりスタンプを送ったりできる他、ライブ中は「バーチャルコインを使ってスパチャ的なメッセージ等を送る」ことが出来て他のプレイヤーのそれも表示されます。「見知らぬ誰かと同じライブを観ている」感覚が表現されているんですね。

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>


 「イベント」と「イベント」の間に行われるバーチャルライブは、その前の「イベント」のストーリーを受けた「後日譚」のようになっていて、MC部分も見過ごせませんし、イベントストーリーに出てきた新曲が披露されたりもします。

 これ、長年『バンドリ』を遊んでいて思っていたことなんですけど、例えば「○○のために新曲を作ろう」というストーリーでもアドベンチャーパートでそれが披露されることはなかったんですね。アドベンチャーパートってプレイヤーによってメッセージを読むスピードがちがうし、人によってはボイスが再生し終わる前にポンポンと次に進んじゃうでしょうし、「演出として新曲を見せる」ことに向いていないんですね。
 (今もそうかは知りませんが、私がプレイしていた頃の)『デレステ』はアドベンチャーパートの後にリズムゲームパートが入ったりもしましたが、アレはアレで時間がない時にストーリーだけ読もうってのは向いていないし。だから、『バンドリ』の場合、「今このコ達が作った曲はリズムゲームのラインナップに追加しといたから各自好きなように遊べばイイよ」としてきました。

 『プロセカ』の場合は、そうした新曲が「イベント後のバーチャルライブ」で披露されて、それを見知らぬプレイヤーといっしょに見ることが出来るんですね。ストーリーの演出としてこれはデカイ!! 『バンドリ』ではアニメ版でしか出来なかったことを、『プロセカ』では10日に1回ペースで出来るんですよ!

 ちなみに「バーチャルライブはイベントストーリーの後日譚」なので、終わってしまった過去のイベントのバーチャルライブも、そのイベントストーリーを読了すれば一人で観られます。イベントストーリー同様、アーカイブ視聴だとクリスタルがもらえませんが、私のように1年半遅れで始めた人にはありがたい……



 ということで、単に「キャラクターを3DCGで表現する」ようになっただけでなく、そうでなければ出来なかったことをたくさんやっているんですね。これは明らかに『バンドリ』よりも進化した部分だし、Craft Egg(Colorful Palette)単体では不可能で、セガとセガを中心に集まった協力会社の力が大きいと思います。3D衣装だけでも月8着とか新規に作っているらしいし。

 座組としては、セガ、Colorful Palette、3Dモデリングは株式会社ディッジ(制作実績)、3DMVはマーザ・アニメーションプラネット株式会社(制作実績)の4社が中心みたいですね。

 セガとマーザは『初音ミク-Project DIVA-』から初音ミクのゲームを作っていて、そのノウハウが活きているという話ですし―――よく「セガはいつだって10年早いんだ」と言われることが多いですし、私もよく書いてきたのですが、このゲームに関しては10年前に蒔いた種が今まさに満開の花を咲かせていると言ってイイと思うんですね。


 セガが初音ミクのゲームを10年作り続けたのと、Craft Egg(Colorful Palette)が『バンドリ』で培ったものが融合して出来た―――それが『プロセカ』なのです!


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◇ 『バンドリ』の先を目指した『D4DJ』と、『バンドリ』とは別方向に広げた『プロセカ』
 1つのゲームを紹介する際に、他のゲームと比較して「あちらに比べてこちらはここが優れてる」みたいに書くのはあまり行儀が良くないことかも知れません。そう思う人も多いんじゃないかと思います。
 ただ、私はゲームは「無」から生まれるワケではないのだから、「源流となる作品」や「ライバルとなった作品」についても言及するべきだと思っているんですね。だから、『トルネコの大冒険』の紹介をする際には『ローグ』や『死の迷宮』の話を書くし、『ファイアーエムブレム』の紹介をする際には『大戦略』や『First Queen』の話も書いてきました。

 だから、この記事も目を逸らさずに書こうと思います。


 2017年3月に配信開始された『バンドリ!ガールズバンドパーティ!(以下バンドリ)』は、運営元がブシロードで、開発元がCraft Eggでした。
 2020年9月に配信開始されたこの『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下プロセカ)』は、運営元がセガになり、開発元はCraft Eggから子会社として設立されたColorful Paletteです。要は、『バンドリ』の開発元が作った新作スマホゲームが『プロセカ』なんですね。

 一方、『バンドリ』の運営元のブシロードも、ポスト『バンドリ』として新しいスマホゲームを2020年10月に配信開始していました。それがこのブログでも当時度々紹介していた『D4DJ Groovy Mix(以下D4DJ)』です。要は、『バンドリ』の運営元が作った新作スマホゲームが『D4DJ』で、『バンドリ』の開発元と運営元が同時期に「同じような『バンドリ』の精神的続編」を配信開始していたのです。

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<画像はiOS版『D4DJ Groovy Mix』より引用>


 というワケで、この2作品―――どうしても比較して語られがちですし、語らないのも不自然だと思うんですね。だってどちらも、『バンドリ』の型を踏襲した作品なんですもの。

 『D4DJ』は中野近辺に住む24人の女子高生・女子大生が、4人ずつ6つのDJユニットに分かれて物語が始まりました。
 最初のユニットストーリーは6つのユニットそれぞれで展開していきますが、10日ペースで追加されていくイベントストーリーでは別のユニットとの交流が描かれますし、キャラクター設定もそうした関係性を見越した配置になって……たかなぁ? 例えば、「Happy Around!の渡月麗」と「Lyrical Lilyの春日春奈」は茶道仲間だったり、「Peaky P-keyの犬寄しのぶ」と「燐舞曲の月見山渚」がイトコだったり、微妙に距離が遠いな!

 そして、イベントストーリーではメインとなるキャラクターが毎回変わるため、誇張ではなく24人全員が交代で主人公をやっていく青春群像劇になっていた……かなぁ、あれ。


 ただ、『バンドリ』、『D4DJ』、『プロセカ』とプレイしてきた私からすると……『D4DJ』と『プロセカ』は、狙っているターゲット層も、展開のしかたも対照的すぎて、出来上がったゲームだけ見て「似てる」と語るのもちがう気がしたんですね。

 例えばキャスティング―――
 『D4DJ』の声優さんは、分かりやすく「ライブが出来る人」が集められています。



 『バンドリ』はスタート時の5バンドの内、2バンドは「リアルに楽器を弾いてライブをする」バンド、3バンドは「リアルライブはしないけど知名度のある声優さんが集まった」バンドに分かれていました。
 スマホゲームって声優さん目当てに始める&好きな声優さんのキャラをガチャで入手しようとする人が一定数いるので、この判断は間違っていなかったと思うのですが……蓋を開けてみたら「リアルに楽器を弾いてライブをする」Roseliaが一番人気になるし、リアルライブが出来ない3バンドのファンが不満を抱くカンジになっちゃったんですね。

 そういうこともあってか、『D4DJ』は6ユニット全部がリアルライブできるように、ライブ経験が豊富な「他のブシロードコンテンツでステージ経験のある人」や「元アイドル」の人達が多くキャスティングされていました。
 実際、正式にゲームが始まるよりも1年以上前からまずリアルライブから始まり(2019年7月)、CDが出て(2020年1月)、最後にゲームとアニメが始まった(2020年10月)んですね。メディアミックスありきの作品だったんです。




 『プロセカ』の場合は、メディアミックス展開は後回しだったというか……リアルイベントがなかったワケじゃないのですが、本格的なライブは「初音ミクがしてきたような3DCGのライブ」が2022年1月、アニメもショートアニメ『ぷちセカ』が2022年1月からと、ゲーム配信開始から1年以上後に展開されているものが多いんですね。CD化もゲームから半年以上が経過した2021年6月からの展開でした。

 キャスティングも「歌唱力」こそ重視されているものの、ライブは「3DCGのライブ」なのでバンドユニットのLeo/needだからといって声優さんがリアルに楽器を弾いたりはしません(※2)

(※2:ベース担当の日野森志歩の声優さんは、『バンドリ』でもリアルライブでベースを弾いている中島由貴さんなんだけど……他の3人は特にその楽器を弾くワケではないと思います。)



 『D4DJ』の場合、リアルライブの展開を中核に置いていたためターゲット層も『バンドリ』より少し上を考えていたんじゃないかと思われます。『バンドリ』は最初の25人が全員女子高生だったのに対して、『D4DJ』は6つのユニットの内2つは女子大生のユニットなんですね。
 飲酒のシーンやクラブハウスでの夜のシーンも描かれますし、最近行われているリアルイベント「D4DJ_DJTIME+LOUNGE」は23時まで行われているので、とてもじゃないですが未成年をターゲットにしたイベントじゃないですよね。

 これは、10代で『バンドリ』を楽しんでいた層も年月を経て大学生になって、20代になっていくという「バンドリの先」を見越していたんじゃないかと思います。

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<画像はiOS版『D4DJ Groovy Mix』より引用>


 それに対して、『プロセカ』はどうかと言うと―――
 冒頭に書いたように、10代の若者からの圧倒的な支持を受けているそうです。そのターゲット層は一見すると『バンドリ』と被っているのでレッドオーシャンじゃないかと思われるかもですが、一説によると「今の『プロセカ』のアクティブユーザー数は全盛期の『バンドリ』の倍」とのことで、単純に『バンドリ』からプレイヤーを引っ張ってきちゃったワケでもないみたいなんですね。

 つまり、同じ10代の若者をターゲットにしていても、『バンドリ』をプレイしていなかった人達を『プロセカ』は取り込んだってことだと思うんですね。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 その要因の一つは、「男性キャラ」の起用です。

 『バンドリ』にも『D4DJ』にもメインキャラには男性キャラはいなくて、プレイアブルのキャラ(=ガチャで仲間になるキャラ)は全員女子です。
 アニメ・ゲームの分野では恐らくは2000年代中盤あたりから、「男性向けは女子キャラしか登場しない」「女性向けは男子キャラしか登場しない」と棲み分けが出来ていったと思います(※3)。『艦これ』には男子の艦娘は出ないし、『刀剣乱舞』には女子の刀剣男子は出ませんからね。
 人気ゲームの続編『THE IDOLM@STER 2』が2010年に「男性キャラを登場させる」と発表して炎上したことがあったみたいに(今となっては遠い思い出みたいな話だけど…)、「女のコがたくさん出るコンテンツに男性キャラを出すこと」は一歩間違えると大変なことになるんですね。なので、ブシロードの木谷会長は「出していい男性キャラは父親と、二次性徴前の男児まで」と言っていました。『バンドリ』も『D4DJ』も、年頃の男子は一切出てきません。

(※3:もちろん、女子キャラしか登場しないアニメ・ゲームを女性が嗜むみたいなことはありましたが、一般的なターゲットとしてね)


 ですが、『プロセカ』は最初からメインキャラに男子を入れることが決まっていたそうです。というのも、そもそもクリプトンの「VOCALOID(ボーカロイド)」キャラに、KAITOと鏡音レンという男性キャラが2人いるんですね。彼らが登場するのにメインキャラに男子を入れないのは、ストーリー的にも楽曲的にも無理がある―――

 そういうこともあってか、「男子キャラ」と「女子キャラ」、絶対に公式では“恋愛関係”には見せないようにするぞという細心の注意を払われています。普通だったらいいムードでフラグが立ちそうな場面でもそういうことにはならないし、男女で話すことによる「照れ」みたいな場面もありません。「男子」と「女子」が良い意味でフラットな関係の世界なんですね。


 んで、ですね。
 『プロセカ』がどうして“『バンドリ』をプレイしていなかった人達”を取り込めたかというと―――カッコいいイケメンキャラを入れたから女性ユーザーが獲得できた、みたいな雑なことが言いたいワケではありません。もちろんそういう女性プレイヤーもいるだろうと思うのですが、それ以上に。


 関係性の幅が「女×女」しかなかった『バンドリ』とちがい、そこに「男×女」と「男×男」が加わったことが大きいと思うんですね。

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<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>

 「バンドリは関係性のコンテンツ」と言われています。
 25人(現在は35人)の魅力的なキャラクターを置いているだけじゃなくて、それぞれのキャラクター同士の関係性を魅力的に描いているんですね。幼馴染、姉妹、クラスメイト、バイト仲間、ライバル……それらの関係も、「軽口を叩きあったり」「大好きだったり」「いつも敵対心を剥き出しにしたり」多種多様に渡ります。

 5周年記念サイトで公開されたイラスト達が、5年間で描かれた「キャラ同士のシーン」だったのが象徴的だと思います。



 『プロセカ』は、その「型」を踏襲したまま男子キャラを加えたので、どうなったかと言うと……

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 「兄妹」「姉弟」関係が描けるようになったんですよ!
 「妹がいる兄主人公の作品」も「兄がいる妹主人公の作品」も世の中にはたくさんあります。ですが、この『バンドリ』の群像劇の型を使えば、兄も妹も主人公になりますから、「兄から見た妹」の話も、「妹から見た兄」の話もどちらも描けるんですね。

 例えば、この天馬兄弟―――
 兄の司視点だと、「病弱で入院しがちだった妹を元気づけるため、自分が胸を張ってスターになろうとする姿を見せ続けた」というムチャクチャ良い話なんだけど。
 妹の咲希視点だと、友達からは「咲希のお兄さん、いい人なんだけど声がデカくて変なことばっか言うから恥ずかしい」みたいに言われているんですね。

 視点によって、「その人」の新たな側面が見える―――『バンドリ』の「型」ならそれが描けるし、『プロセカ』はそれをとことん活かしています。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 彰人はメインストーリーの最初は敵役的に描かれることもあってあまり好きになれなかったのだけど、ユニットの話とは別のところで姉に振り回される姿を見るようになってからは「かわいいとこあるじゃん」と好きになっていきました。高校1年生男子なりに精一杯カッコつけてるのに、夕飯だからと姉の部屋まで呼びに行ったり、朝起こすように頼まれたりするの可愛すぎる。



 ただ、繰り返しになりますが、『プロセカ』は男女のキャラが両方出るからといって「恋愛関係」には見えないようにムチャクチャ気を遣って描かれています。

 『プロセカ』とは全然関係ない作品の思い出話をして申し訳ないのですが……『響け!ユーフォニアム』のアニメ1期が放送された頃に似たようなことがありました。女子がたくさん出てくる吹奏楽部を舞台にしたアニメだったため、「女×女」の関係性を魅力的に描くライトな百合作品として受け止めて私は楽しんでいたのですが、その作品にはヒロインの幼馴染の男子がいたため「男×女」として楽しんでいる人もいたんですね。
 んで、「女×女」作品として楽しんでいる人と、「男×女」作品として楽しんでいる人が、軽い衝突をすることがあって……実際、原作のその後の展開は「男×女」作品の色が強くなっていくので、「女×女」作品として楽しんでいた私はどんどん疎外感でハマれなくなってしまいました。

 「女×女」も「男×女」もある作品だと、「男×女」こそが正解公式カップリングみたいに扱われてしまうことがあって―――なので、『バンドリ』や『D4DJ』だけでなく、『ラブライブ』なんかでも不自然なほどに男性キャラが出てこないのですが。


 という中、「女×女」も「男×男」も「男×女」もある『プロセカ』は、なのでどの組み合わせも「恋愛関係」ではなく、「友情」や「家族愛」として徹底して描くようにしています。この世界には「恋愛感情」も「性欲」も存在しないと描いていて、そこから先はみなさんの二次創作でご自由に―――としているのです。

 その結果、毎日のようにTwitterに『プロセカ』の百合(女×女)漫画やイラストが流れてくるという。実際「女×女」目当てで始めた私も、どのキャラも好きになった結果、「男×男」も「男×女」の関係性も好きになったので……その逆も、例えばイケメンキャラ目当てに始めた女のコが百合に目覚めるみたいなこともあるんじゃないかと思います。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 「コイツ、百合の話しかしねーな……」と思われてそうなので、もう一つシナリオ面での『プロセカ』と『D4DJ』の分かりやすいちがいを書いておきます。

 『プロセカ』は「親」がキーキャラクターとして登場するんですね。
 「尊敬する父、目標とする父」として描かれる杏ちゃんのお父さん、とある事情で「絶対に話したくないし顔も合わせたくない父」になった絵名のお父さん、「自分を縛りつける父」だった冬弥のお父さん、「自慢の娘であって欲しいと盲目になるあまり、その娘が壊れていることに気付いていない」まふゆのお母さん等々……関係性は様々ですが、親が出てくる話がかなり多いんですね。

 というのも、10代の若者の等身大の悩みを描こうとしたら「親との関係」って避けては通れないと思うんですよ。中高生の大半は親といっしょに暮らしているでしょうから。それが良好なのか険悪なのかは家庭によるでしょうが、様々な親子関係を描くことで10代の若者が共感できるようになっているんですね。

 『バンドリ』でも、友希那さんのお父さんや蘭ちゃんのお父さんが登場するし、それが高校生の彼女らの悩みに直結していたのだけど……『プロセカ』は更にそれを広げて、親が出てくるキャラが多くなりましたし、LIVE 2Dやボイスのある親キャラも多いです。気合の入り方が凄い。


 一方、『D4DJ』は「親」不在の話なんですよ。
 りんくちゃんの親は海外にいるし、真秀ちゃんは親代わりに弟・妹の面倒を見ているし、むにちゃんの親はあんま帰ってこないし……設定上「親がいない」ワケではないのですが、親が話に出てくるのは「Lyrical Lily」の話くらいだったような気がします。代わりに、レジェンドポジションは「しのぶ・渚の祖父」なんですね。

 というのも……『D4DJ』のメインターゲットは30代、ひょっとしたら40代と思われるので、どっちかというと「このキャラ達の親世代」なんですよ。キャラクター達を「娘」のように見ると想定すると、『プロセカ』みたいに「親と険悪になる話」とか「親が娘の心を壊してしまう話」とかは受け入れがたいと思うので、敢えて「親」が出てこないのかなぁと思います。
 『プロセカ』に比べてストーリーが重くないのも、「かわいい娘に悲惨な目にあって欲しくない!」ってことなんでしょう。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 リズムゲーム部分も比較しましょう。
 『プロセカ』のノーツは「水色がタップ」「緑がホールド・スライド」「赤がフリック」と、色も種類も『バンドリ』といっしょです。ちがうのは「ノーツの横幅が譜面によって変わること」と「黄色ノーツがスキル発動ではなく、スコアアップになったこと」くらいです。『バンドリ』とほぼ同じ感覚でプレイできますし、リズムゲームとしてはかなりスタンダードだと思います。

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<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>


 『D4DJ』が『バンドリ』との差別化を図って、ノーツの種類を増やして、更に「譜面が止まるノーツ」や「譜面が巻き戻るノーツ」なんかを入れていたのとは対照的だと思います。『バンドリ』と同じ感覚で遊べる『プロセカ』と、『バンドリ』をやりこんだ人もまた一から習得し直さなくちゃならなくなった『D4DJ』―――

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<画像はiOS版『D4DJ Groovy Mix』より引用>

 ただ、『プロセカ』にも不満点があって、黄色ノーツは「タップ」も「スライド」も「フリック」も黄色で表示されるため、咄嗟に「フリック」と気付かないでMISSになることもあります。3DMVを背景にしていると視認性も悪くなるし……(かと言って、設定で簡易背景にするのも勿体ないし)。
 その辺の設定変更が出来ないかなと思ったのですが、リズムゲームには割とよく実装されている「ノーツデザインの変更」が『プロセカ』では出来ないんですね。たくさんある楽曲の中から「お気に入り」に絞ったり、50音順に表示したりという、リズムゲームには当たり前にありそうな機能も意外になかったりします。この辺は今後のアプデに期待しましょう。



 楽曲について。
 『バンドリ』はオリジナル曲だけでなくアニメソングやボカロ曲のカバーを入れたことで成功しました。
 『D4DJ』はそこから更に発展させて「全ての音楽を再生する」のコンセプトで、1970年代から最新のアニソン、J-POPのカバー、ゲームBGM、テレビ番組のインスト、カバーにこだわらず原曲などなど多種多様な楽曲を採用したんですね。もちろんボカロ曲もカバー・原曲ともにありました。このコンセプトは本当すごかったと思います。

 『プロセカ』はカバー楽曲は基本的にボカロ曲のみです。
 Wikipedia情報によると、5月5日時点で189曲が収録されていて、書き下ろしのオリジナル曲が63曲、カバー楽曲が81曲、ボカロキャラのみが歌唱する曲が42曲、インスト曲が3曲だそうです。オリジナル曲・カバー楽曲共に、高校生のキャラとボカロキャラがいっしょになって歌うものがほとんどで、ボーカルチェンジでボカロキャラのみにすることも可能です。

 ボカロP出身の人が作った「うっせぇわ」や「夜に駆ける」のカバーや、セガの音ゲーの曲なんかも入っていますが、それは特別なコラボみたいなもので、基本的にはカバー楽曲はボカロ曲のみですね。だから正直、「リズムゲームの楽曲のラインナップ」としては『バンドリ』や『D4DJ』に比べて弱いよなーと始める前は思っていたんですが。

 『プロセカ』のすごいところは、ボカロP出身の人達が手がけた書き下ろしのオリジナル曲だと思うんですね。敬称略で、DECO*27、kemu、Eve、じん、Orangestar、みきとP、バルーン等々……ボカロだけでなく、現在ではアーティストへの楽曲提供など様々な活躍をしている方々が入れ替わり立ち替わり、オリジナル曲を書き下ろしています。


 『バンドリ』のオリジナル曲は基本的にはElements Gardenが、『D4DJ』のオリジナル曲はユニットごとに特色を出すように別々のプロデューサーが担当しているのですが……プロジェクトが長期化するとどうしても「似たようなテイストの曲」が多くなって、よく言えばユニットごとの個性が残って、悪く言えばマンネリ化してしまっていると実感します。

 その辺を打破するために、『バンドリ』は最近「アーティストタイアップ」という形で、普段作っているのとはちがう人に頼んでオリジナル曲を作ってもらうってことをやっているのですが……『プロセカ』はそれを全部のオリジナル曲でやっているんですね。なので、同じユニットでも新しい曲が出るごとにテイストが全然ちがうという。


 更に、細かい話ではありますが『プロセカ』の場合、カバー曲は必ずしも「ユニット全員」で歌うワケではなく、4人中2人+ボーカロイドキャラで歌うということもあります。
 『バンドリ』にも、「ロメオ」でのこころちゃんと薫さんみたいにメインボーカル以外のキャラがしっかり歌う曲が稀にありますが、基本的にはメインボーカル以外のキャラが歌う部分は少ないんですね。でも、メインボーカル以外のキャラにもファンがいて、もっと推しに歌って欲しいとか、「このキャラとこのキャラの組み合わせで歌って欲しい」みたいな要望もあったと思うんです。

 なので、『プロセカ』は柔軟に、曲ごとにセンターポジション以外のキャラもメインとして歌う曲が結構あるんですね。特に男女混合ユニットは「男子のみ」「女子のみ」に分かれて歌う曲は多いです。





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<画像はiOS版『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』より引用>
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<画像はiOS版『D4DJ Groovy Mix』より引用>
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 プレイしている期間が違うので、単純な数字だけ見て比較はできないのですが……

 難易度に関しては、『プロセカ』始めた当初は『バンドリ』に比べて「ちょっと判定が厳しくないか」と思うところがあったのですが……冷静に考えてみると、私『バンドリ』でも別に簡単にフルコン獲れるワケじゃなくて、難易度HARDでも1曲のフルコンに400回かけたりもしたので。HARDやEXPERTの難易度は『バンドリ』も『D4DJ』も『プロセカ』もあまり変わらないんじゃないかと思います。

 ただ、『プロセカ』はEXPERTの上に、最初から「MASTER」があるんですね。
 『バンドリ』のSPECIALは必ずしも「EXPERTより上の難易度」ではなくて、過去に実装された曲を新たな譜面で遊ばせる「追加の難易度」なんですが……『プロセカ』は一律として全曲に「EXPERTより上の難易度」があるのです。

 「ゲームは簡単なほど良い」と思っている私には信じられない領域なんですが、『プロセカ』は最初から難易度5つ設定したことで、高難度のリズムゲームを遊びたいガチ勢がたくさん入ってきたそうなんですね。世の中にはすげえ人がたくさんいるもんだ……



 『バンドリ』や『D4DJ』との比較で外せない話がありました。これは『バンドリ』の方も今後採用していきたい流れがあるみたいなんですが、『プロセカ』はやっぱり「ボカロを中心としたインターネットの創作」全般を題材としたゲームなので……ユーザー参加型のコンテストもガンガンやっているんですね。


 ボカロの楽曲を作って応募してもらって、それがゲーム内に採用されたり。



 Twitterに三面図を描いて投稿してもらい、それが3D衣装として実装されたり。


 「ユーザーとの距離の近さ」「ユーザー自身がこのコンテンツに参加している気分になれる」のが、『プロセカ』の特徴だと思いますね。


↓3↓

◇ よりブラッシュアップされた、「痛み」を伴う少年少女一人一人のストーリー
 ここからはストーリーの話です。
 ネタバレをする気はないですが、「基本設定」とか「どこが面白いポイントか」とかは書いていきます。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 このゲームのストーリーは、5つのユニットに分かれたメインストーリーから始まります。「Leo/need」「MORE MORE JUMP!」「Vivid BAD SQUAD」「ワンダーランズ×ショウタイム」「25時、ナイトコードで。」の5つで、“バーチャル・シンガー”の欄は5つのユニットの話の途中経過を「初音ミク達の視点」から描く補助的な話ですね。

 『バンドリ』の「型」で、20人が5つのユニットに分かれて全員が主人公と書きましたが―――それでは「初音ミク達」はどうやって話に絡むかというと。この20人は、想いから生まれた「untitled」の曲を再生することで、その想いから生まれた「現実とはちがうセカイ」に行くことが出来るようになります。そして、そこには「初音ミク達ボーカロイドのキャラ」がいるという。

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 ボーカロイドのキャラ達は「先輩ポジション」として、20人の主人公達の相談に乗ったり、逆に「現実の世界」に興味を持ったりもします。彼女らは生身で「現実の世界」に来ることは出来ませんが、主人公達のスマホ等を媒介にこちらを見ることが出来ます。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>


 んで、重要なのはここからです。
 想いから生まれる「現実とはちがうセカイ」は誰の想いから生まれたかによって形が異なるため、「Leo/need」「MORE MORE JUMP!」「Vivid BAD SQUAD」「ワンダーランズ×ショウタイム」「25時、ナイトコードで。」の5つのユニットによって全然ちがうセカイが生まれていて、それぞれのセカイにいる「初音ミク達」も別人なんですね。性格も見た目も全然違いますし、記憶等も共有していません。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 バンドユニット「Leo/need」のキャラ達が生み出したのは、学校を舞台にした「教室のセカイ」で、初音ミクは制服をアレンジしたような服を着ていて「学校の先輩」のように振る舞います。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 アイドルユニット「MORE MORE JUMP!」のキャラ達が生み出したのは、アイドルのステージのような「ステージのセカイ」で、初音ミクは元気いっぱいの明るい「アイドル」として登場します。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 ストリートユニット「Vivid BAD SQUAD」のキャラ達が生み出したのは、路地裏とMEIKOのカフェによる「ストリートのセカイ」で、初音ミクは大人びた雰囲気の「お姉さん」として登場します。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 ショーユニット「ワンダーランズ×ショウタイム」のキャラが生み出したのは、遊園地とその舞台のような「ワンダーランドのセカイ」で、初音ミクは超ハイテンションでぶっ飛んだ言動と行動が特徴の「ムードメーカー」です。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 音楽サークル「25時、ナイトコードで。」のキャラが生み出したのは、何もないだだっ広い空間だけの「誰もいないセカイ」で、初音ミクは感情表現が苦手な「物静かな少女」として登場します。


 これは、「初音ミク」という同じキャラでも、作曲者によって、作られた曲によって、まるで別人のような歌い方になる―――という部分を形にしているのだと思います。開発者のインタビューによると、最初期は1曲ごとに生まれるセカイがちがうという案もあったそうなんですが、流石にそれは無茶なので「既存のボカロ曲を5つのジャンルに分けてそれぞれにセカイを用意する」形にしたみたいです。


 登場するボーカロイドのキャラは、「初音ミク」、「鏡音リン」、「鏡音レン」、「巡音ルカ」、「MEIKO」、「KAITO」の6人です。要はクリプトンのキャラ6人で、他社のボーカロイドキャラは登場しませんし、作中に「VOCALOID(ボーカロイド)」という言葉も出てきません。「VOCALOID(ボーカロイド)」はヤマハの技術のため、その言葉を使おうとすると権利的な問題が発生するからじゃないかと思うのですが……
 実装されている曲には「GUMI」(株式会社インターネットのキャラ)が歌っているものもあるんですよね。ひょっとして、『プロセカ』が何年も続いたら他社のキャラも出て来たりする……??


 ということで、『プロセカ』のメインキャラは20人と言いましたが、5つのユニットにボーカロイドのキャラが6人ずついるので20+6×5=50人いることになるんですね。あまり出番はないけど、どこのセカイにも属さないニュートラルな初音ミク達もいるから全部で56人か(※4)

(※4:2022年5月8日現在、「25時、ナイトコードで。」のセカイには鏡音レンとKAITOは登場していないけど、これは「女性のみのユニット」に「男性ボーカロイドの声」をいっしょに歌わせる技術的な問題の解決に時間がかかったからだそうで、今後は登場するんじゃないかと思われます)


【Leo/need】
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 ここからは個別のユニットごとのストーリーを紹介していきます。
 「幼馴染4人で結成されたバンドユニット」でかつ、「等身大の普通の女子高生たちを描く」ことがコンセプトなので―――『バンドリ』でいうAfterglow枠ですね。ただ、これは『プロセカ』全体に言えることなんですが、特にメインストーリーの序盤は『バンドリ』より重い、「痛み」を伴う話が多いです。

 『バンドリ』のPoppin'PartyやAfterglowの話を想像して読み始めるとまず驚くのが、「イジメ」だったり「クラスの中でハブられる」だったりが描かれているところです。でも、実際問題「10代の若者が現実で直面している悩み」はこういうことですよね。


 私は正直、最初はこのストーリーがどこに向かっているのか分からず、センターポジションの一歌ちゃんも「焼きそばパンが好き」以外の特徴がないコだよなーと思って読んでいたのですが……メインストーリー後のイベントストーリーを読んでいくと、彼女達自身が「どこに向かうのか」と向き合うようになって、物語の最初は「何も出来なかった」一歌ちゃんも成長していくので段々好きになっていきました。


【MORE MORE JUMP!】
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 アイドルを目指す少女:花里みのりと、既にアイドルを経験しながらも挫折した3人の少女が同じ学校で出会う―――と、アイドル業界の「光」と「闇」を描いているユニットなので、『バンドリ』でいうPastel*Palettes枠ですね。

 実際、『バンドリ』と『プロセカ』両方の立ち上げを行った近藤プロデューサーによると、「既存のアイドルものよりも踏み込んでリアルなものを描きたい」とPastel*Palettesの物語は出来たそうで、MORE MORE JUMP!は更にそこから踏み込んだものを目指したみたいです。
 両方を読んでいる自分からすると、「ファンからアレだけ無能無能と言われていたPastel*Palettesの事務所が、実はいろんなものから守ってくれていたんだなぁ!」と気付かせてくれる―――Pastel*Palettes以上の苦境に立ち向かっていく話だと思いました。彩ちゃんとちがって、みのりちゃんは事務所に所属すら出来ていないし。

 経験値も知名度も能力もない、でも、絶対に折れない鋼のメンタルを持った主人公が、高い能力を持った仲間達を引っ張っていく―――紛れもない、花里みのりは丸山彩の系譜の主人公で、Pastel*Palettesの話が好きな人には是非MORE MORE JUMP!の話も読んで欲しいし、MORE MORE JUMP!の話が好きな人にはPastel*Palettesの話も読んで欲しい!


【Vivid BAD SQUAD】
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 伝説のストリートイベント「RAD WEEKEND」を超えるために結成された、女子2人、男子2人のストリートユニットです。シナリオチームのインタビューによると、一番「少年漫画っぽい」「ライバル達との対決を通じて成長していく物語」を目指しているみたいです。

 私は5つのメインストーリーは上から順番通りにプレイしたので、「今までの2ユニットは女子だけだったけど、男子混じっちゃうのかー」と読み始める前は警戒していたのですが……蓋を開けてみれば、「女の子は女の子同士」「男の子は男の子同士」でイチャイチャしようよってユニットになっていました。

 言われてみれば、毎日のように私のTLには「杏こは」がイチャイチャしている二次創作イラストが流れているじゃないか! 百合作品にも「女子だけしか登場しない百合作品」と「男子も登場する中での女子同士の関係を描く百合作品」の2種類が存在するので、男子が登場することが必ずしも百合にはマイナスに響かないんですよね。
 クラスの中でも大人しい女のコだったこはねちゃんが、杏ちゃんと出会うことでストリートミュージックを知り、どんどん成長していくのだから……「ガール・ミーツ・ガール」の物語として魅力的にならないワケがないんです。

 そして、戦った相手がどんどん仲間になっていくのも「少年漫画っぽい」んですね。彰人とか最初はイヤなヤツだったのに、あっという間に頼れる仲間になっていて、ベジータとか飛影とかの系譜を感じなくもない。


【ワンダーランズ×ショウタイム】
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 遊園地「フェニックスワンダーランド」の寂れたショーステージに所属する劇団員が、ステージの復活とみんなの笑顔を目指すユニットです。『バンドリ』で言う「ハロー、ハッピーワールド!」枠で、ぶっ飛んだリアリティラインと勢いのあるストーリーとキャラと、そして「実は一番泣ける」のは健在です。
 ショートアニメ『ぷちセカ』ではタイムマシンまで作っちゃいましたが、流石に本編ではそこまでぶっ飛んではいません。でも、ロボは出てきます。何故なら類くんは天才なので、ロボくらい作れちゃうのです!

 それぞれ別々の夢と能力を持った4人が、それまではそれぞれ1人で夢を見ることしか出来なかったのが、このステージで出会うことができて、仲間になり、1人では起こせなかった「奇跡」を起こす様が最高なんですよ……
 最初のメインストーリーもイイのだけど、その後のイベントストーリー「ワンダーマジカルショウタイム」まで読んでくれ、お願いだから。そこまで読んだ上で、最初の曲「セカイはまだ始まってすらいない」を聴き直すとまた泣いちゃうから。



【25時、ナイトコードで。】
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 最後がこのユニット、というか音楽サークルです。
 ここまでの4ユニットの話を読んだ時点で「超おもしれーーー!」「どのキャラも好きすぎて、誰を推しにするか悩むわ」と思っていたのですが、最後のこの「25時、ナイトコードで。」の話こそが「このゲームでしか出来ない、このゲームならではの話」になっていました。

 「ナイトコード」とは、私達の世界における「Discord」のようなチャットツールのことです。
 サークルメンバーの4人は、それぞれ顔も本名も住む場所も知らない、ただネット上で集まったメンバーです。作曲する人、作詞・編曲をする人、イラストを描く人、それをMVにする人。この4人が、25時になったらそれぞれの部屋からナイトコードにアクセスして、MVを作る作業をしていくのです。

 私達が一番イメージしやすい表現を使うと、「ボカロで曲を作ってMVにして投稿する」サークルなんですね(※5)
 設定からして絶対に面白いヤツだし、それを他でもない「初音ミクのゲーム」でやっちゃうのもズルイし、この4人がどうやって現実で出会うのか or はたまた出会わないままなのかのも是非みなさんの目で確かめて欲しいです。

 そして、ボカロ曲には色んな曲がありますが、悲痛な心の叫びのようなメッセージが込められた曲も少なくなくて、そこに共感した人々が多かったんですね。このゲームではそうした曲達を「アンダーグラウンド」というジャンルにして、「25時、ナイトコードで。」はこの「アンダーグラウンド」担当のため―――

 4人全員がそれぞれ「叫びたくなるような心の痛み」を抱えて生きています。
 レーティングを上げないために直接的な表現はされませんでしたが、「自殺」の暗喩がされた場面もありますし、キラキラした世界の『バンドリ』や『D4DJ』とは一線を画した世界です。

 でも、だからこそ「この物語にしか共感できない」人達がいて、『プロセカ』は10代の若者からの支持を受けたのだと思うのです。絵名、頑張ってくれ……俺も、どんなにバズらなくてもイラストを描き続けるから……

(※5:正確には、「25時、ナイトコードで。」の歌はボカロではなくメンバー4人それぞれが歌ったものらしい)


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 リズムゲームやバーチャルライブは3DCGになったという話を最初の項で書きましたが、ストーリーは基本的にはLive 2Dで進行します+各イベントごとに2枚くらい「ガチャ等で手に入るキャラのイラスト」がイベントスチル的に出てきます。

 Live 2Dの凝りようは『D4DJ』の方が凄いとは思いますし、『プロセカ』はLive 2Dの衣装のバリエーションがあまり多くありません。夏服・冬服の変化もないし、みのりちゃんはいつまでもダサイ練習着のままステージの上に立っているように見えるし(アドベンチャーパートの演出上)。

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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 でも、これはキャラ数が多いからこそだとも思うんですね。
 メインキャラが20人+初音ミク達ボーカロイドキャラ6人×5つのセカイ+ニュートラルなボーカロイドキャラ6人全員がLive 2Dで動きますし。父親などの家族にもLive 2Dとボイスが付いているキャラは多いですし、何なら「このキャラって一度しか登場しなさそうだけど?」ってキャラにもLive 2Dとボイスが付いていたりもします。

 この辺は『バンドリ』遊んでて物足りない部分だったので、そこをしっかりカバーしてくれてるのは印象が良いですね。



 『バンドリ』や『D4DJ』と比較すると、それらの作品は「メディアミックスの一つとしてゲームがある」形だったため、Poppin'PartyやHappy Around!のストーリーは特に「結成などの一番面白いところはアニメでやって」「その後の話がゲーム」だったんですね。話が途中から始まっている印象はどうしてもありました(『バンドリ』は後に0章という形でアニメのストーリーがゲームにも実装されましたが)。

 『プロセカ』のストーリーはゲームでのみ展開されていて、「長期的な目標があってそこに向かっていく続きもの」という印象です。『バンドリ』でもRoseliaのストーリーは「フューチャーワールドフェスを目指す」という長期的な目標がありましたが、『プロセカ』は5つのユニットそれぞれにそういう目標があるカンジなんですね。
 開発者のインタビューによると「ずっとこの20人で固定されているワケではなく、新しく追加されることもあると思う」とのことなんですが、ひょっとしたら目標を達成したユニットは卒業という形もあるんじゃないのかと思っています。どのユニットとは言いませんけど、最近のとあるイベント終盤の展開に「そう来たかー!」「ということは、ラストはそうなっちゃうの……?」と叫んでしまいました。その辺の「先の読めなさ」も、メディアミックス作品ではなく「ゲーム単体で完結する作品だから」ですよね。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 『バンドリ』で大好きだった「ロード時間にはさまる1コマ漫画」と、「Twitterに投稿される4コマ漫画」もあります! これ、『D4DJ』にはなくて寂しかったんですよね……

 出来れば『バンドリ』のように、ゲーム内でアーカイブとして一覧で表示されるようにして読みやすくして欲しいかな。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 『バンドリ』より好きなのは、オンライン協力ライブなどで使える「スタンプ」の仕様です。
 『バンドリ』『D4DJ』では初期スタンプを除けば、「イベントのキャライラスト」をそのまま使ったものだったのですが……『プロセカ』は「イベントに即したシーンをディフォルメ絵で描き下ろしたもの」なんですね。手が込んでいるし、スタンプはディフォルメ絵の方が送りやすいのでこっちの方がありがたいです。

 『バンドリ』もそう思ったのか、最近ショートアニメ『ガルパピコ』のシーンを切り取ったディフォルメ絵バージョンを配っていたので……『バンドリ』→『プロセカ』への影響だけじゃなくて、『プロセカ』→『バンドリ』への影響もあるよなぁと思うところも多いです。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 キャラの育成についても簡単に。
 キャラは☆1~☆4で、☆3まではイベント報酬で手に入り、☆4はガチャを回さないと手に入りません。☆1はレベル20がMAX、☆2はレベル30がMAX、☆3はレベル40がMAXで覚醒(特訓)するとグラフィックが変わってレベル50が上限になる、☆4はレベル50がMAXで覚醒(特訓)するとグラフィックが変わってレベル60が上限になる―――この辺は『バンドリ』と一緒ですね。リズムゲームで経験値がもらえるところも一緒です。

 これはプレイしている期間の長さのちがいでそう思うだけかも知れませんが、『プロセカ』は育成系のアイテムがあまり入ってこなくて、スキルを上げるアイテムとか、サイドストーリーを解放するアイテムが全然足りません。特にサイドストーリーがアイテムが足りなくて読めないのはつらいので、もうちょっと潤沢に手に入るようにしてくれないかなぁ……


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 ガチャは☆4全体の確率が3%で、☆4ピックアップが3人いてそれぞれ0.4%だそうです。
 『バンドリ』のガチャは☆4全体の確率が3%で、☆4ピックアップが2人いてそれぞれ0.504%なので……☆4ピックアップが1人増えた分、狙ったキャラが出る確率が微妙に下がっているんですね。

 天井は300で、過去に100連してシールに変えていれば天井200に下がるらしいのですが、これは私はまだやっていないのでよく分かりません。似たような機能は最近『バンドリ』にも実装されましたね。


 「確定枠」の仕様が『バンドリ』とはちがっていて、『バンドリ』は10連をすると必ず10回目が☆3以上になるのですが、『プロセカ』は1~9回目に☆3以上が出なかった場合のみ10回目が☆3以上確定みたいです。なので、同じ回数だけガチャを回しても、☆3以上が少ない感覚になりますね。

 ただ、『プロセカ』はガチャを回す石(クリスタル)が頻繁に手に入るので、ガチャ10連分の石が『バンドリ』の2500→『プロセカ』3000に上がっていても、それでもガチャを回しやすい印象はあります。


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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 とまぁ、「今後のアプデで遊びやすくして欲しいところ」がないワケじゃないのですが、それを補ってあまりあるキャラとストーリーの魅力があるので、一人でも多くの人に遊んでもらいたいゲームです。地球人全員このゲームを遊べ!と言いたいのだけど、唯一のネックが、「最初のメインストーリーの解放」がムチャクチャ大変なことなんです。

 私は正月の期間限定キャンペーンで5つのユニット全部読んだのですが、全ユニットのランクを20まで上げてメインストーリー解放する正規の方法では4ヶ月かかりました。確か『バンドリ』の時は2週間程度、『D4DJ』の時は1週間くらいで出来たと記憶しているのですが、『プロセカ』はここが一番キツイ……

 10日ペースで開催されているイベントストーリーはそんなに時間をかけずに解放できるし、終了したイベントストーリーもアーカイブでいつでも読めるようになっている(ただしイベント開催時に読めばもらえるクリスタルはもらえない)のですが。その前の話である、メインストーリーを読むハードルがこんなに高いのは何故なんだ??

 一応アプデでランクが上がりやすくなったという話も聞くし、頻繁に期間限定メインストーリー解放キャンペーンをやっているみたいなので、私同様にそこで一気に読んでもらうのも手だとは思いますが……地球人全員に読んで欲しいのに、ここだけが唯一最大の難点なんですよねぇ。



◆ で、結局どういう人にオススメ?
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<画像はiOS版『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』より引用>

 「面白いストーリーを読んだら死んでしまう呪いにかかっている」とかじゃなければ、是非万人にプレイして欲しいゲームです。『バンドリ』とちがって「ライトな百合」に興味がなくても、「女×女」「男×女」「男×男」といろんな関係性を描くようになりましたしね。

 ただ、その中でも敢えてこういう人に薦めたいと考えるなら……何かを「作る」創作活動に関わったことがある、関わっている人にオススメだと思います。5つのユニットはそれぞれ自分達で、「作詞・作曲をする」「配信などの企画を考える」「伝説のイベントを超えるイベント作る」「遊園地のショーを作る」「MVを作って投稿する」と何かを作っている(or 作る予定)んですね。だから、そういう活動をしている人にとっては、10代の若者じゃなくても特に響くものがあるんじゃないかと思います。

 だからこそ、最初のメインストーリー解放がどうしてあんな大変なんだよとは思っちゃいます。時間をかけたくないという人は、期間限定メインストーリー解放キャンペーンがあった時にでも是非よろしくお願いします!


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≫ EDIT

『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』紹介/「日本人の口に合わせた」ローグライクの誕生

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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>


【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
『ドラクエ』とは別の系譜で育っていた「ローグライク」というジャンル
ただ『ドラクエ』のガワを着せただけでない、日本人の口に合わせた様々な変更点
『ローグ』の一番面白いところを敢えて削って、クリア後までお預けにした英断


『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』
・発売・開発:チュンソフト
 スーパーファミコン用ソフト:1993年9月19日発売
・ローグライクRPG
・セーブスロット3つ、自ターンならいつでも中断可能
 私がエンディングまでにかかった時間は約13時間でした
 「もっと不思議のダンジョン」クリアまでかかった時間は約45時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 『ドラクエ』とは別の系譜で育っていた「ローグライク」というジャンル
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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>

 このゲームは1993年に発売されたスーパーファミコン用のソフトで、「日本で初めてのローグライクゲーム」ではありませんが、「日本にローグライクというジャンルを認識・定着させたゲーム」と言って過言ではないでしょう。

 パッと見で「アクションRPG」に見えるかも知れませんが、こちらが「1マス動く」「攻撃をする」などをすると、全モンスターも「1マス動く」「攻撃をする」などの動きをするターン制のゲームです。こちらが動くまでモンスターの動きも止まるので、アクションゲームの腕前は必要ありません。誰が操作しても、トルネコは1/8の確率で攻撃を外します。


 「そもそもローグライクって何?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうから、そこから説明をしますね。
 1970年代、アメリカで『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年)に代表される「テーブルトークRPG」が流行します(この呼び方は和製英語ね)。複数人が集まってキャラクターを「演じる(role-playing)」アナログゲームで、これを「コンピューター上で」「1人でも遊べるように」と考えられてコンピューターゲームのRPGは誕生します。

 最初期はパソコン用のソフトですらなく、メインフレームという大学などで用いられた組織共有のコンピューターに書き込まれたプログラムです。商品として流通していたというより、アメリカの大学で学生達が仲間内で開発して、改良していったのでしょう。
 そのため、発表された年数はどれも「と言われている」レベルですが、1974年『m199h』、1975年『pedit5』、『ザ・ダンジョン』、『dnd』、1977年『ウブリエット』などなどなどが生まれています。『ウブリエット』は、後の『ウィザードリィ』に思いっきり影響を与えた作品と言われていますね。

 そして、1980年にカリフォルニア大学バークレー校の学生2人の手によって『Rogue(ローグ)』は生まれます。同校のUNIX上に書き込まれたこの『ローグ』はやがてカリフォルニア大学のすべてのキャンパスで遊ばれるようになり、改良を重ねて、1983~4年頃には世界中の大学や研究機関でプレイ出来るようになっていったそうです。


 一方、Apple IIが1977年に発売されると「パソコン用のRPG」も作られるようになり、1978年には「商用として発売されたRPG」は既にあったみたいです。1979年には、後に『ウルティマ』を作るリチャード・ギャリオットの『アカラベス』が3万本を売り上げています。
 そして、1981年になると『ウィザードリィ』と『ウルティマ』が大ヒットをして、日本にも知られるようになって、それらを遊んだ日本人達もRPGを開発するようになって、1986年にファミコン用に『ドラゴンクエスト』が発売されてRPGが日本の国民的ジャンルになる―――という経緯のため。

 RPG=『ドラクエ』的なゲームだと思っていると、『ローグ』って「これってRPGなのか?」と驚くシステムなんですよね。

 『ウルティマ』や『ウィザードリィ』とはちがう系譜の作品ですし、当時のアメリカのRPGにはあったけど『ドラクエ』などの日本のRPGが削った要素も多いので。


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<画像はSteam版『Rogue』より引用>

 この画像は現在でもSteamで買える『ローグ』で、改良を重ねた『ローグ』を最終的に商用で発売した1985年の「最終バージョン」らしいです。

 『ドラクエ』などのRPGとちがうところを列挙していきましょう。

・「世界を冒険する」のではなく、「1つのダンジョンだけを潜る」
 (これは当時のRPGとしては普通だと思います)(『ウルティマ』が異端)
・そのダンジョンは「ランダム生成」されて、毎回構造が変わる
 (これは1978年の『Beneath Apple Manor』が先駆けています)(『ローグ』がパクったのではなく、「長く遊べるように」「開発者自身でも楽しめるように」と考えた結果2作品が同じアイディアに行き着いたのだと言われています)
・アイテムを入手しても、使うまではどのアイテムなのかが分からない
 (これも『ウィザードリィ』などにもある要素です)
・「空腹」の概念がある
 (これも『ウルティマ』などにはあるし、日本のRPGにも採用したものは結構あったみたい)
・HPが自動回復する
・ゲームオーバーになると、レべル1に戻って最初から

 「ローグライク」の定義では、「ダンジョンがランダム生成される」のと「ゲームオーバーになると、レべル1に戻って最初から」の部分が重要らしいのですが……その部分は、RPGとしては確かに異端に思えるけど、アーケードライクのゲームと考えるならそこまで変とも思わないんですね。シューティングゲームとかだってゲームオーバーになると最初からやり直させられるし。

 個人的には、このゲームの肝は「アイテムを入手しても、使うまではどのアイテムなのかが分からない」のと「HPが自動回復するが空腹になる」部分だと思っています。要は、限られたアイテムのやりくりをする、リソース管理のゲームだと思うんですね。



 さてさて、1980年に『ローグ』が発表されて以降、様々な「ローグのようなゲーム」が生まれます。説明すると長くなるので簡単に端折ると、『ローグ』をプレイしたいけどプレイ出来ない環境になってしまった人達が自前で「ローグのようなゲーム」を作ったりしたんですね。例えば、1980年に発表されて後に様々な人の手によって改良された『Hack』や、1983年の『Moria』、1987年の『NetHack』などなどなど、「ローグのようなゲーム」が日々生まれて改良される時期だったそうです。「ローグライクゲーム」という言葉はここで生まれたんですね。


 ここまでは海外の話でしたが、ここからは日本の話をします。
 日本に『ローグ』や「ローグのようなゲーム」がやってきたのは、1985~6年頃みたいです。1986年にアスキーからPC-88シリーズ用に『ローグ』が発売されていて、そのためアスキーから発行されていたパソコンゲームの雑誌『ログイン』で特集されていたそうです。

 そこからちょっと経って1990年前後になると、パソコンでしか遊べなかった『ローグ』の要素を含んだゲームをゲーム機用に持ちこもうとする流れが出てきます。
 1990年12月にはセガがゲームギア用ソフト『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』を発売、そのシステムを流用して1991年にメガドライブ用の「ゲーム図書館」でダウンロードして遊べた『死の迷宮』なんかもありました。『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』は3DSのバーチャルコンソールで遊べて、『死の迷宮』はメガドラミニに収録されています。

 「セガはいち早くローグライクゲームを出していた!」といういつものやつですが、これらのゲームは「クリアまで4~5時間かかるのに途中セーブ(中断セーブ)が出来ない」という致命的な欠陥を抱えていたので流行らなかったのも仕方ない……
 私は『死の迷宮』はプレイしたのですが、全体マップが見られないのと、拾うアイテムが同じようなものばかりなのがちょっとイマイチかなと思いました。あと、死んでもレベルが下がって中間ポイントとなる階からの復活です。セガなりに「死んだら最初から」なのはハードルが高いと思ったのかも知れませんが、その気遣いが出来たなら途中セーブ(中断セーブ)出来ないことも考えて欲しかったですね。

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<画像はメガドライブミニ収録『ゲームのかんづめ お徳用』内の『死の迷宮』より引用>

 1991年4月にはコナミがゲームボーイ用ソフト『カーブノア』を発売しています。これはレベルアップの要素がなく、空腹の概念はないけどHPが自動回復をしないため、如何に敵との戦闘を避けるかの「パズルゲーム」っぽい調整になっているとか。

 そして、1992年3月には「ローグライク」の要素を含んだ協力アクションゲーム『トージャム&アール』が日本でも発売されます。



 しかし、これらのゲームは日本でのスタンダードになりませんでした。
 『トルネコの大冒険』を企画したチュンソフトの長畑成一郎さんは、電ファミニコゲーマーのインタビューでこう仰っています。

<以下、引用>
 私は中村と同じ大学にいたのですが、そこの研究室で『ローグ』にハマってたんです(笑)。

 当時は、ちょうどRPGの元祖である『ウィザードリィ』や『ウルティマ』、そしてまさにチュンソフトの『ドラゴンクエスト』がようやく出てきた頃でした。でも、あれはグラフィックが特になくてアスキー文字だけで全てが表現されていて、そういう中を歩きまわってダンジョンに入ってモンスターと戦うわけですよ。その見た目が何よりもまず新しく映り、やがてゲームとしての面白さに夢中になりました。

 ところが、卒業後にゲームと関係のない業界でしばらく働いたあとでチュンソフトに入社してみたら、まだ『ローグ』がコンシューマーで出ていないと気づいたんです。そんな最中に先の社内募集があったものだから、真っ先に『ローグ』を提案しました。

</ここまで>
※ 改行や強調など、引用者が手を加えました


 えっ、『ドラゴンクリスタル』や『死の迷宮』や『カーブノア』や『トージャム&アール』の立場は……と思いましたが、この言い方だと「まだ『ローグ(そのものの移植)』がコンシューマーで出ていないから、真っ先に『ローグ(のようなゲーム)』を提案した」とも読めるか。

 とにかく、当時の感覚では「ローグのようなゲーム」は、まだゲーム機用に受け入れられていなかったという認識だったと思います。何せ、RPG=「ドラクエみたいなゲーム」という時代なので、『ドラクエ』とちがう系譜の「ローグのようなゲーム」はどう遊んでイイか分からなかったと思うんですね。『トージャム&アール』なんて、今でもよく分からないなんて言われてますし。


 『トルネコの大冒険』は、そこから「日本人にもローグのようなゲーム」を受け入れてもらえるようにありとあらゆる工夫をして作られたゲームなんですね。

↓2↓

◇ ただ『ドラクエ』のガワを着せただけでない、日本人の口に合わせた様々な変更点
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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>

 日本ではまだ受け入れられていない&認識すらされていなかった「ローグのようなゲーム」を、日本人にも取っつきやすくする様々な工夫をしたのですが―――その1つが、言うまでもなく『ドラゴンクエスト』のキャラを使ったことです。

 主人公は『ドラゴンクエストIV』のトルネコで、武器や魔法の名前も大部分が『ドラゴンクエスト』シリーズのものを使っていて、敵キャラクターは全て『ドラゴンクエスト』シリーズのモンスターとなっています。当時の『ドラクエ』本編のモンスターは、正面からの絵しかなくてアニメーションもしなかったので、『ドラクエ』のモンスターがゲーム内で動きまくること自体が新鮮でした(漫画とかアニメとかはありましたけど)。それらの動きも一応、堀井雄二さんや鳥山明さんの確認を取っているそうです。


 これは賛否両論ありそうですが、本作は「ローグの魅力を日本人にも分かりやすく伝えよう」と考えられているためか、例えばモンスターの役割や能力は『ローグ』そのもので、それを『ドラクエ』のモンスターに置き換えていると言えます。多分こんなカンジ。

・E(エミュー)=スライム…最弱のモンスター
・K(ケストレル)=ゴースト…移動が速い
・B(バット、こうもり)=ドラキー…不規則な動きをする
・S(スネーク、蛇)=おおなめくじ…特に能力は持たないが、経験値がちょっとだけ高い
・H(ホブゴブリン)=ももんじゃ…特に能力は持たないが、ちょっとだけ強い
・I(アイスモンスター)=まどうし…こちらの動きを数ターン封じ込める、寝てる
・R(ラトルスネーク)=おばけキノコ…毒でこちらの「ちから」を下げる
・Z(ゾンビ)=ミイラおとこ…序盤の強敵
・L(レプラコーン)=わらいぶくろ…大金を持ってるがこちらの金も盗む、寝てる
・Q(クアッガ)=キメラ…特に能力は持たないが、なかなか強い
・C(ケンタウロス)=さまようよろい…特に能力は持たないが、かなり強い
・A(アクエイター)=くさったしたい…こちらの防具を錆びさせる、通常攻撃はしない
・N(ニンフ)=ベビーサタン…こちらのアイテムを盗む、寝てる
・F(ヴィーナス・フライトラップ)=マドハンド…掴まれると移動が出来なくなる、動かない
・T(トロール)=ゴーレム…中盤の強敵
・W(レイス)=どろ人形…こちらのレベルを下げる
・P(ファントム)=シャドー…アイテムを使わないと姿が見えない、不規則な動きをする
・X(ゼロック)=ミミック…落ちているアイテムに化けている
・U(ブラック・ユニコーン)=ギガンテス…特に能力は持たないが、うんと強い
・M(メデューサ)=おおめだま…部屋全体に混乱攻撃をしてくる
・V(バンパイア)=ミステリードール…こちらの最大HPや「ちから」を下げる
・G(グリフィン)=シルバーデビル…移動が速い
・J(ジャバウォック)=アークデーモン…特に能力は持たないが、半端なく強い
・D(ドラゴン)=ドラゴン…ムチャクチャ強く、直線上だと炎攻撃を撃ってくる



 ビックリするくらい原作に「同じ能力のモンスター」がいます。例えばマドハンドみたいに「ドラクエだとこんな動きしなくない?」という能力を持たされているモンスターも、『ローグ』を知ると謎が解けますね。アークデーモンは『ダイの大冒険』でヒュンケルに瞬殺されてたイメージしかなかったので「このゲームだとこんなに強いの!?」と思ったけど、元ネタが「ジャバウォック」ならそりゃ強いわ!


 『ローグ』の方にはいるけど『トルネコの大冒険』には当てはまりそうにないのは、わらいぶくろと能力が統合されたっぽい「O:オーク」と、名前は同じモンスターがいるけど能力が全然ちがう「Y:イェッティ」あたりですかね。

 逆に、『ローグ』の方にはそれっぽいキャラがいないけど『トルネコの大冒険』にいるキャラを見ると、このゲームオリジナルで選んだモンスターなので「チュンソフトなりの調整」が分かって面白いですね。

・リリパット…直線上だと矢を撃ってくる
・きめんどうし…バシルーラでこちらを別の場所にワープさせる
・はぐれメタル…倍速で逃げ回り倒しづらい、倒すと必ず「しあわせの種」を落とす
・イエティ…4匹かたまった状態で寝ていて、1匹起こすと全員が倍速で襲ってくる
・うごくせきぞう…オブジェクトかと思ったら、隣接してくると攻撃してくる
・爆弾岩…HPが一定以下になると動きが止まり、一桁になると大爆発する
・マネマネ…他の強敵に化けている


 追加されたキャラは、どれもアクセントになっていて「なるほどなー」と思いますね。
 はぐれメタルがいなかったら別ゲーになっていたことでしょう!


 この調子でアイテムも「ローグにあるもの」「ローグにないもの」をザっとまとめておきますか。興味ない人は読み飛ばしてくださいな。

<Potion→ 草>
・Potion of Healing(回復薬)→ 薬草
・Potion of Extra Healing(高回復薬)→ 弟切草
・Potion of Confusion(混乱の薬)→ メダパニ草
・Potion of Hallucination(幻覚の薬)→ まどわし草
・Potion of Poison(毒薬)→ 毒草
・Potion of Restore Strength(力を回復する薬)→ 毒消し草
・Potion of Gain Strength(力が増す薬)→ ちからの種
・Potion of Blindness (盲目の薬)→ 目つぶし草
・Potion of See Invisible(見えないものが見える薬)→ 目薬草
・Potion of Haste Self(素早くなる薬)→ すばやさの種
・Posion of Raise Level(レベルアップの薬)→ しあわせの種
・Potion of Monster Detection(遠くのモンスターが分かる薬)→ 草ではなく、地獄耳の巻物?
・Potion of Magic Detection(魔法を検出する薬)→ 草ではなく、千里眼の巻物?

※ 『ローグ』にあって『トルネコ』にない
・Potion of Levitation(浮遊の薬)…しばらくの間、アイテムも拾えないし階段も使えなくなる

※ 『ローグ』になくて『トルネコ』にある
・火炎草…飲むと、目の前の敵に大ダメージを与える


<scroll → 巻物>
・Scroll of Magic Mapping(魔法の地図)→ レミーラの巻物
・Scroll of Hold Monster (モンスターを動けなくする巻物)→ かなしばりの巻物
・Scroll of Enchant Weapon(武器強化の巻物)→ バイキルトの巻物
・Scroll of Enhant Armor(鎧強化の巻物)→ スカラの巻物
・Scroll of Protect Armor(鎧を守る巻物)→ メッキの巻物
・Scroll of Identify(識別の巻物)→ インパスの巻物
・Scroll of Remove Curse(呪いを解く巻物)→ シャナクの巻物
・Scroll of Scare Monster(モンスターを怖がらせる巻物)→ 聖域の巻物
・Scroll of Teleportation(テレポートの巻物)→ 巻物ではなく、ルーラ草?
・Scroll of Sleep(眠りの巻物)→ 巻物ではなく、ラリホー草?
・Scroll of Aggravate Monster(モンスターを目覚めさせる巻物)→ 巻物ではなく、ザメハの指輪?

※ 『ローグ』にあって『トルネコ』にない
・scroll of blank paper(白紙の巻物)…何も起きない
・Scroll of Monster Confusion(魔物混乱の巻物)…次に直接攻撃を命中させた怪物を混乱させる
・Scroll of Food Detection(食糧検知の巻物)…食料を検知する
・Scroll of Create Monster(モンスターをつくる巻物)…目の前に怪物が出現する

※ 『ローグ』になくて『トルネコ』にある
・イオの巻物…周囲のモンスターに一斉にダメージを与える
・パンの巻物…指定したアイテムをパンに変える
・祈りの巻物…指定した杖の使用回数を増やす
・時の砂の巻物…その階のスタート時に戻る
・リレミトの巻物…地上に戻る
・くちなしの巻物…読んだ階では、何も食べられないし、巻物も読めなくなる
・ワナの巻物…読んだ階に、ワナが30個増える
・パルプンテの巻物…8つある効果の内のどれかが起こる


<wand/staff→ 杖>
・Wand/Staff of Invisibility(モンスターを見えなくする杖)→ レムオルの杖
・Wand/Staff of Polymorph Monster(モンスター変化の杖)→ 変化の杖
・Wand/Staff of Magic Missile(魔法のミサイルの杖)→ いかずちの杖
・Wand/Staff of Haste Monster(モンスターを素早くさせる杖)→ ピオリムの杖
・Wand/Staff of Slow Monster(モンスターを遅くさせる杖)→ ボミオスの杖
・Wand/Staff of Drain Life(自分のライフポイントで攻撃する杖)→ もろ刃の杖っぽいが、それより弱い
・Wand/Staff of Teleport Away(テレポートさせる杖)→ バシルーラの杖
・Wand/Staff of Cancelation(特殊能力を無効化させる杖)→ 封印の杖

※ 『ローグ』にあって『トルネコ』にない
・Wand/Staff of Nothing(ただの棒)…何も起きない
・Wand/Staff of Light(明かりの杖)…部屋を明るくする
・Wand/Staff of Lightning/Fire/Cold(雷の杖、炎の杖、冷気の杖)…電撃・炎・氷で攻撃する
・Wand/Staff of Teleport To(テレポートさせてくる杖)…モンスターが隣にワープしてくる

※ 『ローグ』になくて『トルネコ』にある
・大損の杖…こちらのHPをモンスターに与える
・分裂の杖…モンスターを分裂させる
・転ばぬ先の杖…持っていると転ばなくなる
・ザキの杖…モンスターを殺す
・メダパニの杖(※ポーションはある)
・ラリホーの杖(※巻物はある)


<Ring→ 指輪>
・ring of add strength(力強化の指輪)→ ちからの指輪
・ring of sustain strength(力維持の指輪)→ 毒けしの指輪
・ring of see invisible(見えないものが見える指輪)→ シャドーの指輪
・ring of adornment(何もない指輪)→ きれいな指輪っぽいが、こちらは安価
・ring of aggravate monster(モンスターを起こす指輪)→ ザメハの指輪より強力
・ring of slow digestion(消化を遅くする指輪)→ ハラヘラズの指輪というより皮の盾
・ring of maintain armor(鎧を維持する指輪)→ 指輪というよりみかがみの盾
・ring of teleportation(テレポートの指輪)→ ルーラの指輪
・ring of stealth(ステルスの指輪)→ とうぞくの指輪

※ 『ローグ』にあって『トルネコ』にない
・ring of increase damage(ダメージ増加の指輪)…攻撃力が上がる?
・ring of protection(守りの指輪)…守備力が上がる?
・ring of dexterity(器用さの指輪)…命中率が上がる?
・ring of regeneration(再生の指輪)…HP回復スピードが上がる
・ring of searching(探索の指輪)…周囲がよく見える?

※ 『ローグ』になくて『トルネコ』にある
・眠らずの指輪…眠らなくなる
・人形よけの指輪…レベルダウンや最大HP減少などの特殊攻撃を防ぐ
・ワナ抜けの指輪…ワナにかからなくなる
・ハラペコの指輪(※『ローグ』はほとんどの指輪が空腹スピードが上がる)



 過半数が最初の『ローグ』からあるものを名前だけ変えて使っていることに驚きますが、ただ実際に『トルネコの大冒険』を遊んでみると「重要な組み合わせは『ローグ』にはなく、『トルネコ』が独自に入れたもの」が多いことに気付きます。「はぐれメタル+分裂の杖」とか、「祈りの巻物+ザキの杖」とか。



 また、『ローグ』にはなくて『トルネコ』にはある重要なアイテムが、「リレミトの巻物」です。
 元ネタの『ローグ』は、ゲームを始めたら「死んでゲームオーバーになる」か「クリアする」かしかありません。昔のアーケードゲームのようなプレイ感覚を想像すれば分かりやすいでしょう。そこに、『トルネコ』は「帰還」の概念を加えたのです。

 リレミトの巻物を読んで探索の途中で「帰還」すると、ゴールドは失われず、持っていたアイテムを売ってお金にすることが出来るし、それで店が大きくなると「持ち帰ったアイテムを倉庫に入れて、次の探索に持ちこめる」ようになります。その持ちこんだアイテムも死ねばロストしてしまうので恒常的な成長とはちがいますが、前回の探索での成長を、一部次の探索に持ちこせるようにしたんですね。

 また、死んでしまったとしても所持金の半分は持ち帰るので、「帰還」できなかったとしても徐々に店が大きくなって機能が増えていくんですね。

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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>


 そもそも、『ドラゴンクエスト』のシステムが「死ぬと所持金が半分になって拠点に戻らされるが、経験値は引き継ぐ」となっていて、下手くそな人でも繰り返しプレイしていれば経験値が蓄積されて徐々に楽にプレイできるようになったんですね(このシステム自体は『ドラクエ』が編み出したのではなく、『ウルティマIV』なんかにも採用されていたそうですが)。

 『トルネコの大冒険』もそのシステムを限定的に「ローグのようなゲーム」に取り入れたことで、経験値とレベルは毎回1に戻ってしまいますが、遊べば遊ぶほど「店」が大きくなってプレイヤーの有利になるシステムになったのです。
 また、店が大きくなると人々のセリフも変わって、町の人々一人一人のストーリーが進んでいくのもイイですね。段階的に店を大きくせずに一気にクリアしちゃうと、ストーリーがすっ飛ばされてしまって意味不明になったりもしますが……


 また、詳しくは次の項に書きますが、元ネタの『ローグ』と同じような仕様のダンジョンはクリア後の「もっと不思議のダンジョン」にしておいて、「チュートリアルのちょっと不思議のダンジョン」→ 「本編の不思議のダンジョン」→ 「エンディング後のおまけのもっと不思議のダンジョン」と3段階に難しくしてあるんですね。

 クリアは相当難しくて、どちらかというと「ハイスコアを競うゲーム」だった『ローグ』を、なるべく多くの人がエンディングを見られるゲームにしたのが『トルネコの大冒険』だったのです。


 私は未プレイなんで聞いた話でしかありませんが、『NetHack』のような「ローグライクゲーム」はかなりシステムが複雑で難しくなっていたそうなんですね。日本で作られた『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』や『死の迷宮』も、『トルネコ』で言う「もっと不思議のダンジョン」から始まるゲームと言えます。

 取っつきにくいジャンルになっていた「ローグライクゲーム」のシステムをシンプルなものにして、難易度も下げて、誰でも遊べるジャンルにしようとしたのはそれこそ初代の『ドラゴンクエスト』に通じるものがありますし―――更に、そこに「クリア後には『ローグ』同様の高難度ダンジョン」を用意しているのも抜かりがありませんね。


↓3↓

◇ 『ローグ』の一番面白いところを敢えて削って、クリア後までお預けにした英断
 ということで、このゲームのダンジョンは、「チュートリアルのちょっと不思議のダンジョン」→ 「本編の不思議のダンジョン」→ 「エンディング後のおまけのもっと不思議のダンジョン」の3つがあります。その違いをここに書いてしまいましょう。


【ちょっと不思議のダンジョン】
・罠はあるけど、「呪われたアイテム」は出ない
・草や巻物は識別済で手に入り、指輪は出てこない
・装備品の強化値と、杖のみが未識別で出てくる
・マイナス効果のあるアイテムはほとんどない
・目標となる階は浅く(10階)、出てくる敵の種類も少ない
・モンスターハウスなし


【不思議のダンジョン】
・罠はあるし、「呪われたアイテム」も出る
・草や巻物は識別済で手に入る
・装備品の強化値と、杖、指輪も未識別で出てくる
・マイナス効果のあるアイテムは少しだけある
・目標となる階は深く(27階)、全ての敵が出てくる
・モンスターハウスあり
・帰還した際のお金で店を拡張していくと、アイテムの持ち込みが可能に


【もっと不思議のダンジョン】
・罠はあるし、「呪われたアイテム」も出る
・草や巻物も未識別で手に入る
・装備品の強化値と、杖、指輪も未識別で出てくる
・マイナス効果のあるアイテムがうんとある
・目標となる階は更に深く(30階)、全ての敵が出てくる
・モンスターハウスあり
・アイテムの持ち込みは不可(大きいパン1つのみ)


 元ネタの『ローグ』に一番近い仕様なのは「もっと不思議のダンジョン」なのですが、ではそれ以前の「不思議のダンジョン」「ちょっと不思議のダンジョン」は『ローグ』からどこを削っているのかというと……手に入るアイテムが未識別で、使ってみたらマイナス効果でしたー、という要素を極力削っているんですね。

 これって「ローグのようなゲーム」の歴史からするとかなり異質で、例えば『トージャム&アール』なんかは「ここが一番面白いでしょ」とヘンテコな効果のアイテムをうんと用意して未識別でそれを使ったら大変なことになってしまうのをみんなでゲラゲラ笑おうって調整になっていました。
 実際「もっと不思議のダンジョン」をプレイして、一番ワクワクする瞬間は「アイテムを識別していく」時だし、一番ドヤ顔になれるのは「まだ出ていない草は○○だけだから、これは○○にちがいない」と自分の力で識別できた時なんですね。

 要は、『ローグ』の一番面白いところを敢えて削っているんです。

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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>

 先に紹介した電ファミのインタビューによると、この提案をしたのは堀井雄二さんだそうです。流石、ゲーム業界のレジェンドは凄い……実際に、そのおかげでムチャクチャ遊びやすくなりました。


 というのも、Steam版の『ローグ』や『死の迷宮』や『トージャム&アール』をプレイして私が思ったのは、そもそもこのゲームにどんなアイテムがあるのかを知らない段階で「未識別」のアイテムに出てこられると、とりあえず不安なまま使うしかなくて、それでマイナスアイテムでしたーと窮地に陥っても―――ただただ腹が立つだけなんですよ。うかつに使った自分のせいだなんて思えないんです。

 それらのゲームは説明書なりなんなりでアイテムリストを眺めながらプレイしろよってことだったと思いますし、アイテムリストがあると面白さが俄然増すのですが……
 堀井さんは恐らく「ゲームプレイヤーの大半は説明書なんて読まない」と思ってゲームを作っている人だと思います。実際ファミコン~スーファミ時代って「中古ショップで説明書なしの裸ソフトを買う」文化があったし、それで遊び方が分からなくてクソだって言われてたゲームもたくさんあったんですね。

 だから、「ちょっと不思議のダンジョン」→ 「不思議のダンジョン」でこのゲームに出てくるアイテムを覚えてもらって、それらをちゃんと把握してエンディングを迎えられた人しか、アイテムが未識別で出てくる「もっと不思議のダンジョン」に入れないようになっているんです。そして、そこにはマイナス効果のアイテムが追加されている―――という調整にしているのでしょう。
 杖だけは「ちょっと不思議のダンジョン」から未識別で出てくるのですが、そのため町の人々に「杖の効果」について繰り返し教えてくれる人がいるんですね。

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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>


 そうしてエンディングを迎えた後に出てくる「もっと不思議のダンジョン」は、ここからが本番だとばかりに、本家『ローグ』同様に草や巻物も未識別で出てきますし、ここでしか登場しないアイテムもあります。ムチャクチャ難易度が高いし、クリアのためにはどうしても運が必要になると思いますが(おおめだまが登場する21階以降にモンスターハウスが出現するか次第というか……)、だからこそ中毒のように遊び続けてしまうのも分かります!


 今でこそ「クリア後が本番」なんてゲームは珍しくないでしょうが、1990年代は「ラストステージより難しいステージ」や「ラスボスより強いボス」なんかがチラホラ出てきた時代です。『スーパーマリオワールド』(1990年)、『ドラゴンクエストV』、『ファイナルファンタジーV』(1992年)などなど……
 要は、「クリア後も遊べるゲーム」が増えてきたタイミングで、クリア後に本編と同じボリュームのダンジョンが現れて、しかもそれが「製作者が一番遊んでもらいたい『ローグ』に近いシステム」というのは衝撃でした。

 思えば『ローグ』の生まれた1980年前後なんて、ゲームは「クリアできなくて当然」「そもそもクリアなどなくて永遠にステージが続く」時代だったでしょう。ダンジョンをランダム生成にしたのも、作者自身が遊んでも容易にはクリアできないようにしたからでしょうし。
 しかし、1986年以降の『ドラゴンクエスト』ブーム辺りから、日本では「ゲームはクリアしてエンディングを見るもの」という認識が広がっていきます。そして、先に書いたように1990年代になると「エンディングまでは多くの人がたどり着けるようにして、その後は果てしなく難しい」というゲームが出てきます。

 『トルネコの大冒険』はまさにその「エンディングまでは多くの人がたどり着けるようにして、その後は果てしなく難しい」というゲームですが、その「クリア後の要素」が「ゲームはクリアできなくて当然」という1980年前後の『ローグ』に準ずるものなんだから……時代の変遷の象徴みたいなゲームで面白いなぁと。



◆ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>

 アクション要素のないRPGではありますが、プレイ感覚は「クリアまで進み続ける」タイプのゲームではなくて、「毎日ちょっとずつちょっとずつ上手くなっていく」タイプのゲームなんですね。ゲームの歴史の順序としてはあべこべですが、シューティングゲームとか、レースゲームとか、リズムゲームみたいな、アーケードライクのプレイスタイルをアクション要素のないRPGに持ちこんだ作品だと言えます。

(関連記事:ずっと気付いていなかった、ゲームってジャンルによっては「クリアまで進み続ける」ものではないってことを

 なので、ゲームオーバーになっても、その失敗から学んで「次こそは」と立ち上がれる人にオススメですし、シューティングゲームとか、レースゲームとか、リズムゲームとかとちがってアクションゲームが苦手な人にもオススメできます! ムチャクチャ楽しかった!

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≫ EDIT

『トージャム&アール』紹介/凶悪な地球人から逃げ回る、海の向こうの「ローグライク」

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
海外メガドライブを代表する「SEGAの顔になってたかも知れないキャラ」
ローグライクの要素をいち早く取り入れた「戦わないゲーム」
教科書英語とはちがう、スラングにまみれた英語たち


『トージャム&アール』
・発売:セガ/開発:Johnson Voorsanger Productions
 メガドライブ用ソフト:1992年3月13日発売
 Wiiバーチャルコンソール版:2006年12月2日配信開始 ※現在配信終了
 Xbox360版(コレクション):2012年11月7日配信開始
 SEGA Genesis Miniに収録:2019年9月27日発売
 セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版:2021年12月17日配信開始
・アクションゲーム+ローグライク
・セーブ機能なし


 私が(巻き戻し使用で)1周クリアにかかった時間は約03時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

↓1↓

◇ 海外メガドライブを代表する「SEGAの顔になってたかも知れないキャラ」
 このゲームは、海外では1991年10月に、日本では1992年3月に発売されたメガドライブ用のアクションゲームです。
 2021年12月に、Nintendo Switch Onlineに更にゲームを追加する「+追加パック」に入っている人だけが遊べる「セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online」のラインナップに追加されたのですが……遊び方の分からない人が「なんじゃこりゃ」「どうしてこんなゲームを入れたの?」と言っているのを見かけて、居ても立っても居られずに紹介記事を書くことにしました。

 そう言いたくなる気持ちもわかります。
 その責任はセガにもあります。何故なら……


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 このゲーム、日本語化されていないんですよ!

 そういうゲームをそのまま日本で発売して、「あんまり売れなかったね」と続編以降は日本では発売しない―――セガはそういうことをやります!
 Nintendo SwitchのeShopにズラッと並ぶ「日本語化されていない得体の知れないゲーム」が、みんなから「こういうのってどれだけ売れるんだろう?」「買うんだったら日本語化されている別のゲームを買うよね」と言われているけど、セガは30年前からそれをやっているんです! セガは30年早いんだよ!!


 しかし、海外では知名度の高いゲームなのです。
 開発中、セガ・オブ・アメリカの偉い人達がこのキャラクター達を気に入ってGenesis(メガドライブのアメリカでの名称)の看板キャラクターにしようと言っていたという逸話があります。「任天堂にはマリオがいるがセガにはいないので、トージャム&アールをセガのマリオにしよう」と。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 コイツらを看板キャラクターに……?
 ちなみに、右の赤い三本足がトージャムで、左の柄パン穿いているのがアールです。


 しかし、結果的に『トージャム&アール』はセガのマリオにはなりませんでした。何故なら海の向こうの日本からスーパースターになれるキャラクターがやって来たからです。その名も「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」―――『トージャム&アール』の開発終盤、1991年6月に発売されたこのゲームの主人公は瞬く間にセガを象徴する看板キャラクターになります。

 ソニックの人気によって、アメリカではGenesis(メガドライブのアメリカでの名称)が大ヒットしました。特にこの1991年のクリスマス商戦は、『スーパーマリオワールド』同梱のSNES(スーパーファミコンのアメリカでの名称)と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』同梱のGenesisの直接対決となり、Genesisの方が優勢だったとまで言われているんですね。


 さて、話を『トージャム&アール』に戻しましょう。
 日本人の感性からすると「コイツらを看板キャラにするの…?」と思われたトージャム&アールですが、アメリカ人の感性にはフィットしたのかというと実はそうではなかったそうです。発売当初はアメリカでもあまり売れず、それは後述するゲームシステムが独特だったからもあるので、セガは開発会社に「このキャラクターを使った別ジャンルの続編」を要求しました。

 そのため、続編の『ToeJam & Earl in Panic on Funkotron』は、分かりやすい横スクロールアクションになっていました(日本では当時は未発売です)。


 しかし、『ソニック』で売れまくったGenesisの勢いに乗り、『トージャム&アール』1作目もアメリカでジワジワと売れていきます。当時の北米セガの看板キャラは間違いなくソニックでしたが、その次の2番手くらいにはメジャーになっていたとの記述もあります。その証拠に、メガドライブソフトの復刻が行われる際には『ソニック』と並んで『トージャム&アール』も真っ先に復刻されることが多いんですね。

 Wiiのバーチャルコンソールが始まった際は、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ガンスターヒーローズ』、『ぷよぷよ』などと並んでサービス開始からのロンチタイトルで配信されていましたし。海外版のメガドラミニ、Genesis Miniにも収録されています。今回の「+追加パック」でも初期のラインナップに入ったのはアメリカでの知名度を受けてのことでしょう。

 「セガのマリオ」のポジションはソニックに奪われましたが、アメリカでの「セガのゼルダ」くらいのポジションにこのトージャム&アールが付いていたのかも知れません。


 ただ、こうしてジワ売れして人気になるだなんて分かるわけもなかったため、『トージャム&アール』の続編は横スクロールアクションになっていました。なので、「これじゃ俺達の好きな『トージャム&アール』じゃないじゃないか!」と当時は賛否両論だったそうです。1作目が売れなかったから続編はジャンルを変えろと言われたのに……(笑)。

 さてさて、時代は進み―――
 2002年の『ToeJam & Earl III: Mission to Earth』(日本では未発売)を経て、1作目のテイストを受け継いだ新作『ToeJam & Earl: Back in the Groove!』が2019年に発売されました。SteamNintendo SwitchXboxOnePS4などで遊べて、しかもなんと待望のシリーズ初の日本語化がされたんですよ!ありがとう、架け橋ゲームズ!

 この新作もクラウドファンディングの資金により作られたそうなので、世界中に熱心なファンがいることの証拠でもありますね。だから、「+追加パック」のラインナップに選ばれるのも分かるのです! みなさんも食わず嫌いせずに遊んでみてください! (ぶっちゃけメガドラのゲームは「巻き戻し」使ってもほとんど私にはクリアできないだろうことを考えると、このゲームは難易度低い方だと思いますし)

(参考記事:自分たちを信じなければ何もなし得ない──ファンキー宇宙人トージャム&アールとともに激動の米ゲーム業界を生きてきたベテランインディーデザイナーが語る変わったもの、変わらないもの【インタビュー:グレッグ・ジョンソン】

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◇ ローグライクの要素をいち早く取り入れた「戦わないゲーム」
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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Onlineの紹介文>

 このゲームの紹介文には「ローグライクアクション」と書かれているんですよね。
 海外で1991年に発売された(日本では1992年に発売)ゲームに「ローグライク」という言葉が使われていたのか、そもそもRPGでもないゲームに「ローグライク」ってジャンルを当てはめるのはどうなのか、昨今の「ランダム要素があれば何でもローグライクと言い張る」風潮はどうなのかと思ったのですが。


 先のインタビュー記事に、思いっきり『Rogue』がゲームの原体験だったという話が書かれていました。そして、同作者が『トージャム&アール』の前に作ったゲームにもランダム生成の要素が入っていたそうで……「ローグに感銘を受けてゲームを作るようになった作者」が、ローグのようなランダム生成の要素を持ち込んだゲームということで、これはもうローグライク以外の何でもないとしか言えません!


 「ローグって何?」という人もいるかも知れないので説明します。
 『ローグ(Rogue)』とは、1980年にカリフォルニア大学の学生だった2人が開発したRPGが始まりで、年数をかけてバージョンアップして改良&世界中に広まっていったそうです。

 RPGではありますが、「ダンジョンの構造が毎回ランダム生成される」「拾ったアイテムは使ってみるまで正体が分からない」「死ぬと終わり=死ぬまでにどれだけ深く潜って所持金を増やせるかを競う」といった独特のシステムとなっていました。

 また、時期を同じくして、この『ローグ』を自分の環境で遊べるようにしたり勝手に改良を加えるなどしたりと、多数のローグクローンのゲームが生まれたそうです。『Hack』、『Moria』などなど……要は1本のPCゲームだけじゃなくて、そこから多数の「ローグみたいなゲーム」が何年間も作られ続けていたんですね。

 日本初のローグライク?と言われているのが、1990年12月にゲームギアで発売されたセガの『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』です。ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールにも出ていますね。
 同じ1990年(1991年?クレジットが2種類あってどっちが正解か分からん)にはそのシステムを使った『死の迷宮』が、メガドライブのダウンロードゲームサービス「ゲーム図書館」にて配信されました。「ゲーム図書館」で配信された多くのソフトは、セットになってメガCD用ソフト『ゲームのかんづめ』シリーズとして発売されているため……メガドラミニでも遊べますね。

 『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』も『死の迷宮』も、どうやら途中セーブが出来なかったそうで、高い評価を受けつつも一般化はしなかったみたい……セガはそういうところあるよな!


 そして、1993年になると『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』がスーパーファミコンで発売され、大ヒットします。「ローグライク」という言葉は日本でも周知されるようになり、「ローグライク=不思議のダンジョン=チュンソフトのお家芸」のように浸透していきました。
 セガが耕した土壌を、他がかっさらう! いろんなジャンルで見てきたけど、ローグライクもそうだったのか!

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<画像はスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』より引用>


 ということで、この1990年代前半は―――1980年代に(主に海外の)PCゲーマーの間で愛好されていた『ローグ』のシステムを、家庭用ゲームにも持ち込もうという流れが各所で起こっていた時期みたいなんですね。
 日本では『ローグ』を「日本人にも分かりやすいグラフィック」で再構成したのだけど、海外では……


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 ということで、『トージャム&アール』は「ローグ」のシステムをRPG以外のジャンルに当てはめて、全く新しいゲームを作ってしまったゲームのはしりなんですね。なので、「ローグライク」ではありますが『トルネコ』や『シレン』より、『Enter the Gungeon』や『Dead Cells』の方が近いし、ご先祖と言ってイイのかも知れませんし、そんなこと言ったら怒られるかも知れません。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 (固定マップで遊ぶことも出来るけど)マップは毎回ランダム生成されます。Cボタン(SwitchのプロコンならAボタン)を押して開ける地図を埋めていき、「エレベーターのドア」を探して入れば次のフロアへ。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 ただし、新しいフロアに着いた際に「SHIP PIECE HERE」の表記が出た場合は注意してください。このフロアには「宇宙船のパーツ」が1つ落ちているので、「エレベーターのドア」だけでなくそちらも探さなくてはなりません。あらすじを簡単に説明すると、トージャム君とアール君は地球に不時着してしまった宇宙人なので、宇宙船のパーツを10個集めて地球を脱出しなければならないのです。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 バラバラになってしまった宇宙船のパーツのくせに、仰々しい看板で「ここだよ!」と教えてくれているの何なのだろう。これを10個集めて宇宙船を完成させればゲームクリアです。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 ただし、地球から見たらトージャム&アールは侵略してきた宇宙人でしかないから、地球人はトージャム&アールを見つけ次第襲ってきます。そのため、このゲームの敵キャラクターは地球の生物なんですね。
 「槍を持った悪魔」「フラダンスを踊る女」「巨大なガチャカプセルに入って転がってくるハムスター」「芝刈り機で突撃してくるオジサン」……と、みなさんの身近にいる地球の生物が襲いかかってくるのです。日本ではそんなの見かけないかも知れませんが、アメリカではきっと身近なんですよ!


 そうした地球人と戦いながら進むゲームかと思いきや、このゲームのコンセプトに「暴力を中心に置かない」というものがあったそうなんですね。なので、トージャム&アールはデフォルトでは「攻撃手段」持ちません。じゃあ、どうするのかというと……


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 Aボタン(SwitchのプロコンならYボタン)を押しながら移動すると「忍び足」になるので、これで敵キャラを起こさないようにそ~っと横を抜けるのです。メインとなるボタンに割り当てる操作がそれなの!?


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 とは言え、「忍び足」で何とかなるのは序盤だけ。
 階層が進むと、最初から起きていてこちらより速い脚でこちらを追尾してくる敵がわんさか現れます。当然触れるとそれだけでダメージで、あっという間に残機を失ってしまいます。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 なので、このゲームの主なプレイは「そこら中に落ちているプレゼント」を拾い集めて、イザという時にそれらを使って敵の追撃を逃れる―――んですね。そのアイテムの中には「敵にトマトをぶつけてやっつける」ものもあるのだけど、基本的には「敵から逃げるアイテム」だと思ってください。

 上のスクショは「SUPER HITOPS」、一時的に高速で走れるようになる靴です。これで敵より速く走って逃げましょう。
 Bボタン(SwitchのプロコンでもBボタン)を押してメニューを開き、Aボタン(SwitchのプロコンではYボタン)で使うアイテムを選んでください。キャンセルはBボタン、Cボタン(SwitchのプロコンではAボタン)を押すと「使う」ではなく「その場に置く(捨てる)」と切り替わります。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 ただし、アイテムは(最初から持っているBONUS HITOPS4つ以外は)使うまで「?????」となっていて、効果が分かりません。中には、使うと体力が減ったり、1機失ったり、敵を召喚したりするアイテムもあるのに! ヒドイ!


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 しかし、このゲームが「ローグライク」だと分かれば納得ですよね。
 例えば『トルネコの大冒険』にも「使うまで効果が分からない杖」「装備しても何の効果があるか分からない指輪」「装備したら呪われてて外れない剣」などがあるように、使ってみるまでアイテムの効果が分からないのは『ローグ』の伝統なんです。

 上のスクショとさっきのスクショを見比べて下さい。白に青の水玉、赤いリボンが十字にかかった箱―――さっきのスクショでは「?????」だったものが、その次のスクショでは「SPRING SHOES」となっているのが分かると思います。1度開けた箱と同じ色・形の箱には同じものが入っているので、使う前から効果が分かるのです。

 この辺も「ローグライク」の伝統ですよね。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 もちろん新しく1フロア目からゲームを始めると、また箱と中身は変わってしまいます。
 どこに何のアイテムがあるか分からない、使ってみるまでどんな効果があるか分からない(後述しますが使わずに鑑定する方法もあります)、だから毎回ちがうプレイ感覚になる―――これぞ「ローグライク」ですよ!



 『トルネコ』や『シレン』といったローグライクRPGは、このランダム要素を「何が起こるか分からないヒリヒリの緊張感」としてゲームに落とし込んでいると思うのですが……『トージャム&アール』は、このランダム要素を「何が起こるか分からないゲラゲラ笑えるおもちゃ箱」みたいなゲームとして作っていると思うんですね。

 敵に追いかけられている! ピンチだ!→ 残っているアイテムは中身が分からないヤツだけだ、イチかバチか開けるぞ! → 教科書開いて寝やがった! → ゲラゲラ


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 そのため、このゲームは2人同時プレイに対応しているだけでなく、ゲーム開始時のモード選択画面の一番上が「2人プレイ」になっているんですね。ここからも「みんなで遊ぶハチャメチャなゲームだよ」というメッセージが伝わってきます。

 2人の距離が開くと画面分割になるのは地味にスゴイ機能だし、2人で協力してランダム生成されるマップを埋めていくのめっちゃ楽しいです。1人が下のフロアーに落ちても、別のフロアーのままプレイが続くのもスゴイ。『セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online』の機能を使ってフレンドと30分くらい協力プレイさせてもらったのですが、ムチャクチャ楽しかったです!(クリアを目指すとなると大変でしょうが……)

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 更には、モード選択画面で「JAM OUT」を選ぶとリズムゲームが始まります。「リズムゲーム」と言っても『パラッパラッパー』よりも5年も前なので、成否があるワケじゃなくて、音楽に合わせてボタンを押すとキャラ達が音を奏でるだけのモードですが……このゲームが持つ遊び心が溢れたモードだと思います。


 海外でこのゲームが未だに人気なのも、日本で言えばファミコン時代の『くにおくん』シリーズとか、スーファミ時代の『ゴエモン』シリーズみたいな「友達や兄弟といっしょにゲラゲラ笑いながら遊んだ」思い出が強いのかなぁと。


↓3↓

◇ 教科書英語とはちがう、スラングにまみれた英語たち
 ということで、「遊び方さえ分かれば面白いゲーム」だと私は思うんですが、それでもなかなか人に薦めづらいのは「日本語化されていないこと」と……
 更に、使われている英語がスラングばかりなので、日本人が学校で学んできた英語とは全然ちがうんですね。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 例えば、この「YUP/NOPE」とは「YES/NO」のスラングだそうです。
 日本語で言えば、「うん/いや」みたいなカンジですかね。

 「got 2 BUCKS?」の方の「BUCKS」もスラングで、「dollars」を砕いて言った表現だそうです。「2ドル持ってる?」ってところか。まぁ、これは「この世界の通貨単位はBUCKSだ」と思えばなんとかなりそうですが。


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 ちなみに、この落ちている黒いヤツが「お金」です。
 「お金」に見えなくない?? 最初、コゲたパンかと思ってスルーしてましたよ!


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 このゲームにはアイテムが入っている「プレゼント」以外にも、食べ物が落ちていて……基本的には取ると体力が回復します。なるほど、これはピザかなと思って取ると。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 「ick(おえっ!)」と表示されて、体力が減りました。
 どうやらこれは「MOLDY CHEESE(カビの生えたチーズ)」という食べ物らしく、取ったら体力が減るのです。「ローグライク」だから取るまで効果が分からないのではなく、グラフィックが識別しづらくて、「体力の回復するピザ」と「体力が減るカビの生えたチーズ」の見分けがつかないのです!


 つまり、このゲーム―――
 ゲームシステムとして、使うまで何が起こるか分からない「ローグライク」のシステムだけでなく、日本人には何を言っているか分からない「スラングの英語」と、作り手のセンスによる部分が大きい「グラフィックでは良いものか悪いものかが分からない」三重苦で初心者の心を砕くのです!

 その辺の翻訳・解説は、Wiiのバーチャルコンソール公式サイトファンの方がまとめてくれたページを参考にすれば遊べるようになると思うのですが……そうしたサイトがいつまで存続してくれるか分からないのが、インターネットの常です。超役立つサイトがある日突然なくなってしまったことを私達は何度経験すればイイのだろう。


 なので、改めてこのブログにもまとめておこうと思います!

 これから遊ぶみなさんの役立つ情報になれば嬉しいです。


【食べ物一覧】
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A HUMBURGER(ハンバーガー)
 「wow(最高!)」→ 体力回復

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FUDGE SUNDEE(チョコレートサンデー)
 「wow(最高!)」→ 体力回復

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FUDGE CAKE(チョコレートケーキ)
 「wow(最高!)」→ 体力回復

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CHERRY PIE(チェリーパイ)
 「yummm!(おいしい!)」→ 体力回復

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PANCAKES(ホットケーキ)
 「yummm!(おいしい!)」→ 体力回復

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FRIES(フライドポテト)
 「yummm!(おいしい!)」→ 体力回復

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PIZZA(ピザ)
 「yummm!(おいしい!)」→ 体力回復

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CANDY CANE(キャンディ)
 「not bad(悪くないね)」→ 体力回復

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WATERMELON(スイカ)
 「not bad(悪くないね)」→ 体力回復

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BACON'N EGGS(目玉焼き)
 「not bad(悪くないね)」→ 体力回復

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CEREAL(コーンフレーク)
 「not bad(悪くないね)」→ 体力回復

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MOLDY CHEESE(カビの生えたチーズ)
 「ick(おえっ!)」→ 体力マイナス

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MOLDY BREAD(カビの生えたパン)
 「ick(おえっ!)」→ 体力マイナス

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FISH BONES(魚の骨)
 「yuck(まずっ!)」→ 体力マイナス

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SLIMY FUNGUS(青カビ)
 「yuck(まずっ!)」→ 体力マイナス

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OLD CABBAGE(しなびたキャベツ)
 「gross!(最悪!)」→ 体力マイナス


 カビたものよりしなびたキャベツがマイナス値が大きいのか……
 ぶっちゃけ同じ効果のアイテムが複数あってもゲーム的にはプラスにならないどころか「識別しづらい」だけなんですが、そういうものを詰め込んだのがこのゲームなんですよね。ゴチャゴチャと「作者の好きなもの(と嫌いなもの)」をぶちこんだからこその魅力があるというか。『ダウンタウン熱血物語』でたくさんの店があって、たくさんのメニューが並んでいるのに通じるものがあります。



【アイテム一覧】
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SUPER HITOPS(スーパーハイトップ)
BONUS HITOPS(ボーナスハイトップ)


 Aボタン(SwitchのプロコンではYボタン)でダッシュが出来るようになるアイテム。敵から逃げるのに役立つのはもちろん、崖に向かって走るとジャンプするので、ちょっとの距離の離れ小島ならこれで行き来できます。一定時間で切れてしまうのでイザという時に使いましょう。
 「BONUS HITOPS」は最初から4つ持っているので、序盤はこれを切り札として使いながら、「?????」のプレゼントの中身を調べてゆくのがイイかな。

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SPRING SHOES(スプリング・シューズ)

 Aボタン(SwitchのプロコンではYボタン)でジャンプが出来るようになるアイテムです。これも一定時間で切れてしまいます。ちょっとの距離の離れ小島ならこれで行き来できる他、空中を飛んでいる敵をやっつけることも出来ます。使いどころを間違えなければ、役立つアイテムではあります。

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ROCET SKATES(ロケットシューズ)

 高速で飛び続けてしまうので、うっかり地面のないところに行ってしまうと下のフロアに戻らされてしまいます。水面の上は走れるし、上手く使えば敵の包囲網を突破できるアイテムですね。

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ICARUS WINGS(イカロスの翼)

 一定時間だけAボタン(SwitchのプロコンではYボタン)連打で空が飛べます。敵から逃げるのにも、地形ショートカットにも、離れ小島に行くのにも使える万能アイテムです。プレゼント全部これでイイよ!

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INNERTUBE(浮き輪)

 水上移動がスムーズになりますが、サメには同じようにやられます。

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TOMATOES(トマト)
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SLING SHOT(パチンコ)

 Aボタン(SwitchのプロコンではYボタン)を押すと、トマトを投げて敵を攻撃できます。SLING SHOTの方がちょっと飛距離が長いけど、撃つまでに時間がかかる気がします。トマトが投げられるのは一定時間だけで、なかなか当たりません……そもそもこのゲーム、敵から攻撃を喰らった後の無敵時間がほとんどないし、敵に攻撃を当ててもノックバックしないで突っ込んでくるので、何発も当てて倒しきる前に体当たりを連続で喰らってあっという間に死んじゃうんですね。

 このゲームで数少ない攻撃手段ですが、やはりこのゲームは「戦うゲーム」じゃなくて「逃げるゲーム」だと思った方がイイですね。

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ROSE BUSHES(バラの茂み)

 Aボタン(SwitchのプロコンではYボタン)を押すとバラを植えることが出来ます。自分も敵もダメージを喰らうので敵に追いかけられている時には有効、一定時間内なら何度も植え直せるのでまぁまぁ役立つアイテムです。

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DECOY(おとり)

 自分そっくりのデコイを出すと、敵がそちらに群がるのでその隙に逃げよう!というアイテムです。耐久力はそんなにないみたいですが、結構好き。

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BOOMBOX(ラジカセ)

 これを出すと画面上の敵が踊りだすので、その隙に逃げよう!かなり使えるアイテムですね。

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DOORWAY(どこでもドア)

 フロアーのどこかに移動するドアを出します(一方通行で、通ったら消滅します)。敵から逃げられそうにない時、イチかバチかで使うとイイですね。

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TELEPHONE(電話)

 後述する「お助けキャラ(?)」の電話を召喚します。取ると埋まっていないマップを少しだけ埋めてくれます。

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ROOTBEER(ラムネ)

 体力は回復するけど、しばらくゲップが止まらなくなるので「忍び足」をしても眠っている敵に気付かれてしまうという。

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FUDGE SUNDEE(チョコレートサンデー)

 落ちているチョコレートサンデーと同じで体力回復です

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FOOD(食べ物)

 ↑のチョコレートサンデーと同様に食べ物を食べて体力回復するのだけど、こちらは「何の食べ物か」が分からないのでダメージを喰らうこともあります。

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EXTRA BUCK(お金)
JACKPOT(大当たり)


 お金が増えます。通常は1BUCK、JACKPOTだと5BUCK増えるみたい。

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PROMOTION(レベルアップ)

 使うと1レベル上がる「幸せの種」ですね。
 レベルアップ直後に使うのが理想です。


EXTRA LIFE(ライフ)

 1機増えます。私は自分で見つけたことがないので、スクショもありません。申し訳ない。


TOGETHERNESS(友達の輪)

 2人プレイ時専用のアイテムで、もう1人のプレイヤーのところにワープする効果があります。フレンドと遊んだ時には出なかったのでスクショなしです。

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SCHOOL BOOK(教科書)

 教科書を読み始めて眠ってしまいます。敵がいない時には害はないけど、経験値になるくらいしかメリットもない。

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TOMATO RAIN(トマトの雨)

 しばらくの間、空からトマトが降ってくるようになります。敵味方ともに当たるとダメージらしいのだけど、これで敵を倒せたことないです。

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RAIN CLOUD(雨雲)

 雨雲を自分の上空に召喚し、雷が落ちてダメージを喰らいます。
 何それ……

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EARTHLING(地球人)

 敵が出現するアイテムです。分かりやすいハズレ。

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TOTAL BUMMER(最悪!)

 使うとビリビリと体力が減っていき、死んで1機失うアイテムです。
 最悪にもほどがある。

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UN-FALL(復活)

 下のフロアに落ちてしまっても、元のフロアに戻れるアイテムです。保険として持っておきたいアイテムです。一度も落ちたことない状態で使うと、その場で飛び上がるだけです。

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RANDOMIZER(ランダマイザー)

 今まで確定させていたアイテムが全部シャッフルされて「?????」になる恐怖のアイテムです。スクショは鑑定してもらって「ランダマイザー」だと発覚したところですが、通常は中身が分からずに使ってみて今までの苦労が水の泡になってしまうことがほとんどだと思います。特に後半そうなったら地獄ですね……

 なるべく早い段階で、コイツを鑑定させて「この箱は開けてはいけない」と分かることが重要です。

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 「?」の箱は、どうやら何度空けても中身が確定しないランダムの箱みたい?(鑑定してもらえば中身は発覚します)


【お助けキャラ】
 地球人の中にもイイやつらはいる!
 ということで、トージャム&アールを助けてくれるキャラ達を紹介します。金はかかるけどな!

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魔術師

 1BUCKS払うことで体力を全回復してくれます。最大HPが増えて食べ物数個では全回復しなくなる&鑑定の必要がなくなる後半はかなり助かります。

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ワイズマン

 2BUCKS払うことで、アイテムの中身を鑑定してくれます。
 序盤に出会えたら片っ端から鑑定してもらいましょう。「ランダマイザー」と「最悪」を確定させておきたい。

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オペラ歌手

 3BUCKS払うことで、画面上の敵を全部倒してくれます。この見た目で敵じゃないの……

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サンタクロース

 気付かれないように「忍び足」で後ろから近づいて背中に触れば、持っているプレゼントをいくつか奪えるみたいです。気付かれるとジェットパックで逃げられちゃいます。あれ、お助けキャラじゃなくて、宇宙人がサンタの持ち物を強奪しているだけでは?

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MAIL ORDER(郵便受け)

 3つのアイテムを提示され、お金を払えばそれらを買うことができます。「?????」ばかりの序盤よりも、アイテムをいくつか使って中身が判明している後半に「イカロスの翼」などの強力なアイテムを狙って買うのがイイですね。

 ちなみにコイツに偽装したミミックもいるので注意が必要です。


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TELEPHONE(電話)

 コイツはお金がかからずに使用できます。
 近くにいるとリンリーンと鳴っていて、取ると地図のパネルが数枚埋まります。敵に追われている時には、鳴っていても探せないことが多々あります。


【攻略のヒント】
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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 地形の端っこを歩いていると突然道ができることがあります。
 「地面になっているところ全部歩いたのにエレベーターのドアがない……」という時は大概これですが、予想外のところが繋がっていてなかなか道ができないこともあります……

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 道路の上は、他よりも移動スピードが上がるので逃げる時は有効活用しましょう。

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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 フラガールは結構厄介な敵です。
 コイツ自身に攻撃力はないものの、コイツの傍を通ろうとするとトージャム&アールもいっしょに踊ってしまって行動不能になります。そこを別の敵に襲われたら避けられません。しかも、「踊らされる範囲」がかなり広くて、ただでさえ移動速度が遅いのにコイツがうようよいる序盤はテンポが悪くなるんですよね……


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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 このゲームには一応「レベルアップ」システムがあって、マップを探索したり、アイテムを使ったりしているとレベルが上がっていきます。最大HPが増える他、3レベルごとに1機アップするみたい。

 しかし、このレベルがスラング英語なのでイマイチ分かりませんね。
 WIENER(おちんちん)→ DUFUS(バカ)→ POINDEXTER(勉強ばかりしているやつ)→ PEANUT(安月給)→ DUDE(イケてる男)→ BRO(パリピ)→ HOMEY(ダチ)→ RAPMASTER(ラップマスター)→ FUNKLORD(ファンクの王)

 私も英語は得意じゃないんで、検索などをしてピンときたものを当てはめました。
 「WIENER」は流石に「ウィンナー」という意味で使っていないと思うので、恐らく「おちんちん」だと思います。こんなゲームが、よくぞアメリカで「家族でワイワイ遊ぶゲーム」としてヒットしたもんだな!



◆ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はセガ メガドライブ for Nintendo Switch Online版『トージャム&アール』より引用>

 現在でもそれほど多くはない「2人協力プレイで遊べるローグライクのゲーム」ということで、もっとゲーム実況とかで流行ってもイイのになぁと思います。Vtuberとかのコラボ配信にすげえ向いていると思うんですよ。ゲームスピードがゆったりだし、緩急があるので、雑談できる時間的な余地も大きいですし。

 日本語化されていないのがイヤだったら、新作の『ToeJam & Earl: Back in the Groove!』もありますよ!(こちらは4人プレイまで可能みたい?)


 一緒に遊ぶ友達なんていないよという人も、「探索ゲーム」が好きな人作家性の強い「インディーゲーム」が好きな人には是非オススメです!

 「ローグ」のシステムを家庭用ゲーム機に持ち込んだものがまだほとんどなかった時代に出たのだから、そりゃ当時の人々も戸惑ったのだと思います。クリアまでを目指すと数時間かかるのに、当時は途中セーブとかもなかったし……よくみんなそこに文句を言わなかったもんだ!
 でも、スラングまみれのセリフ回しなんかも、黒人文化やヒップホップ文化をいち早く「ゲーム」の世界に取り入れたとアメリカで受けた要因みたいなんですね。日本で言うと、ヤンキー文化をいち早く「ゲーム」に取り入れたくにおくんみたいなもの?

 そういう意味でも、やはり「ゲームの歴史」に残る作品だと思います!
 みんなも「おちんちん」から始めてレベルアップしていこう!

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