じゃん!!
どん!!
製本直送.comさんを使って、自作の漫画を紙の本に製本してもらいました。
自分は電子書籍は何冊か発売していますが、同人誌など「紙の本」を作ったことがなくて分からないことだらけだったため……いきなり300ページ近くある『春夏秋冬オクテット』じゃなくて、14ページで収まった『モテナイ4コマ』を注文して製本してもらいました(印刷の仕様上16ページ扱いになります)。
「なんのこっちゃ……」という人もいるでしょうから、この記事ではなるべく初心者の人にもわかりやすく説明します。
○ 何のためのサービスなの? 例えばコミケなどで頒布される同人誌は、(1枚1枚コピーして自作する人もいるけど)基本的には印刷所にお金を払って「紙の本」に製本してもらうことになります。その際、印刷所の料金は「同じ本を大量に頼む」ほど、1冊あたりの料金は下がると言われています。
自分は利用したことがないので平均的な相場は分かりませんが……
例えば
パブーのオンデマンド印刷で「白黒16ページの本」を注文した場合、送料抜きで、
・1冊注文で「1101円」
・10冊注文で「11016円」(1冊あたり1101.6円)
・100冊注文で「24624円」(1冊あたり246.24円)
・1000冊注文で「115344円」(1冊あたり115.344円)
という計算になります。
例えば私がコミケでこれを頒布する場合、価格をいくらに設定するかを考えると……1000冊注文して持っていったなら1冊200円でも元が取れますが、100冊注文して持っていった場合は1冊200円では赤字です。10冊注文して持っていく場合は1100円でも赤字です(実際にはこれに加えて更に送料もかかります)。
そもそも印刷所によっては少ない部数での注文は受け付けていなかったりするみたいですしね。
んで、
製本直送.comさんの話です。
ここの特徴は
「1冊注文でも1000冊注文でも料金が変わらない」こと。
自分は「表紙」はカラーのを付けましたが、先ほどのパブーの場合と条件を同じくするために「表紙なし」「白黒16ページ」で料金をシミュレートしてみたところ……
・1冊注文で「166 円」と出ました。
パブーで1000冊注文するよりかは1冊あたりの料金は高いけれど、100冊注文するよりかは1冊あたりの料金は安いことが分かりますね。
実際に私がかかったお金は、カラーの表紙を付けたので
「製本金額:323 円」+「送料:154 円」+「用紙サンプルの注文:60円」=537円でした。
用紙サンプルが要らなかったら477円ですね。つか、こう考えると「表紙がカラー」というのが結構な負担になるんですね。「紙の本で読みたいけど高いのはイヤ!」という人には、「表紙なし」という選択肢もありなのかしら。
んでんでんで。ここからが重要な話です。
ここまでの話は、「本を作った作者」が「自分の本」を製本直送.comさんに頼んで「自分の家に届けてもらう」話でしたが……
「1冊注文でも料金が変わらない」ことを活かして、例えば「このブログを読んでいるアナタ」が「私の描いた本」を製本直送.comさんに頼んで「アナタの家に届けてもらう」ことも出来るのです。 Amazonで漫画1冊注文すると、既に出来上がっている本をAmazonの倉庫からアナタの家に発送してくれるみたいなカンジで……こういうサービスは、漫画1冊注文すると入稿されているデータから印刷を始めて製本してアナタの家に発送してくれるのです。もちろん既に出来上がっている本を発送するよりかは届くまでに時間はかかっちゃいますけどね(私の場合は6月30日に頼んで、7月4日には届きました)。
私はこれまでに何冊か電子書籍を発売していますが、電子書籍を発売すると「紙の本で読みたいので紙の本でも出してください」と言われることが結構あるんですね。個人で出している電子書籍と同じものを出版社さんが紙の本でも出してくれる可能性なんてほとんどないと思うので、「そんなこと俺に言われても……」と今までは思ってきましたが。
このサービスを使えば、「個人で発売している電子書籍」であっても「紙の本」で買ってもらえて読んでもらえるのです!(関連記事:
電子書籍を「やっぱり紙の本で読みたい!」需要はどのくらいあるのか)
(関連記事:
電子書籍のオンデマンド印刷に向けた判型の話)
○ 実際に印刷された「品質」はどーよ? 「品質」をどうこう語る以前に、私の場合は「どういうデータで入稿すればキレイに印刷されるのか」もよく分かっていませんでした。どのくらい端っこまで印刷されるのか、スキャンした画像はトーンカーブをかけるべきか、グラデトーンもキレイに印刷されるのか、エトセトラエトセトラ。

右はサイズ比較のために出してきた『けいおん!』の単行本です。
A5サイズで頼んだので、4コマ漫画の単行本なんかと同じサイズですね。ページ数が少ないので「中綴じ」になりました(製本直送.comさんだと無線綴じ製本は本文20ページ以上)。
「電子書籍」と「紙の本」のカラーのちがい 上の記事に書いた「CMYKカラー」だと思った色にならないという話……
コメント欄で教えてもらった「プロファイル」というものを設定したら、あの記事のような「青のつもりが紫じゃねえか!」みたいなことはなくなりました。ですが、写真だとちょっと分かりづらいですが、出来上がった表紙は
入稿した画像データより若干濃い色になっているかなぁと思います。 モニター上ではほとんど違いが分からなかった「背景の白」と「Yシャツの薄いグレー」が、印刷するとハッキリと別の色なことが分かるくらいなので。ここは新しい漫画の表紙を作るときに気配りしなきゃなーと思いました。
自分は「表紙作成コース」を選択したため、事前に表紙画像を登録して、その後に本文をPDFで入稿というカンジでした。

表紙は「表紙」「背表紙」「裏表紙」が1枚に繋がっている画像を作るのだけど、本のサイズやページ数によって「背表紙」の厚みが変わってくるので……
このページのサイズ計算ツールで事前にサイズを測っておくのが良いでしょう。

実際に画像が出来て登録する前にもこういった情報を登録するところがあります。

画像を登録してからも位置の調整などを行えます。
このスクショは分かりやすいように、わざと「表紙の画像」を縮小していますが……実際には2本の線よりも外側まで画像がくるように大きくしなければ、端っこまで印刷してもらえません。

実際に使った画像はこんなカンジ。

次に中身。
画面いっぱいにしっかりと見開きで印刷されて本になるのを見ると感動しますね!

CLIP STUDIOは「新規作成」の時に「A5」みたいな指定をすることも出来るので、「A5」の用紙に既にスキャンしてあった4コマを貼りつけていっただけです。その際、上下左右にしっかり余白を意識して。
今回は4コマ漫画なので「タチキリ」なかったですけど、『春夏秋冬オクテット』や次回作の漫画は「タチキリ」ありで。B4サイズの原稿用紙に描いたものをA4に裁断してからスキャンしているため、印刷所に頼んだ場合どうなっちゃうかなと
この記事を書いた頃は心配していたのですが。このカンジなら大丈夫かな……

データを入稿してもすぐに「注文」扱いになるワケではないので、一旦データを入稿して「トンボ付きのPDFファイル」でダウンロードして確認することも出来ます。大事な絵や台詞などがハミでていた場合も、ここで気付くことが出来ます。逆に言うと、印刷所の方でチェックはしてくれないってことなんですね。
【スキャンしたままのページ】
【スキャンしてからトーンカーブをかけたページ】
デジカメで写真撮って、それをブログ用に縮小した画像じゃちょっと伝わらないとは思いますが……分かりやすく言うと、上が「濃度調整などをせずに印刷した画像」でちょっと薄いというか線が頼りないカンジです、下が「濃度調整などを電子書籍用の画像同様にしてから印刷した画像」でこっちはちょっと濃い印象です。
どっちかというと下の方が自分は好みかなぁ……
電子書籍用の画像はトーンカーブをかけているので、印刷用の画像もそのまま使える方が手間がかからず楽ですしね。
【左が印刷してもらった紙の本・右がPDFをPerfectViewerで表示したもの】

同じ画像を「紙の本で印刷してもらったもの」と「電子書籍として表示したもの」で比べてみました。黒塗り部分は反射しちゃったところです。私の顔が映っているワケじゃないんですが、デジカメがぼんやり映っていて気色悪かったので消しました。
PerfectViewerの補正の力なのか、電子書籍の方が線がキレイなような……一応、スキャンする前の画像も確認してみましたが……やはり「印刷」という過程を経る分だけ、若干は線が荒れてしまうのかなぁというところ。まぁ、両者を並べてじっくり見て比較しなければ分からないようなレベルかも知れませんが。
○ 使い勝手はどう? 1つの注文は単価数百円だっていうのに、分からないことを「お問い合わせ」のメールフォームから聞いたところ迅速&丁寧な返答が来て感動しました。大きい会社に問い合わせると、1~2週間は待たされるのがデフォでしたからねぇ……
白黒の漫画を印刷する場合は「印刷面積率が50%以上になるかどうか」がどこにも書いていなかったのですが、入稿したもの次第ということなので「入稿した後すぐに注文するのではなくお問合せフォームで聞いて確認してください」とのことでした。
あと、引っかかったのは決済(お金の支払い方)かなぁ。
クレジットカードが使えるのですが、自分の使っているJCBは使用できなかったため銀行振込で入金しました。振込先の銀行は楽天銀行でした。
私は幾つか銀行口座を持っていますが、その内の新生銀行は「月に1回だけ他行への振込が無料」なのでこれを使いました。ということは、月に1回しか私は注文できないことになります(笑)。でも、これだけお金を切り詰めて切り詰めてやっているのに、決済のところで手数料がかかっちゃうとバカみたいだなーと思っちゃうんですね。
とりあえず、1回印刷してもらって使い勝手が分かったので……
次は『春夏秋冬オクテット』をB6サイズあたりで作成しようかなーと考えています。サイズを縮小すると線の荒れ具合も気にならなくなるかなーと思っているのだけど、どうだろう。
「自分用」として考えると、やっぱり自分で描いた漫画が本になるのを見るのは嬉しいです。
今後もたぶん「自分用」としてはこのサービスを使っていくつもりです。みなさんが注文する「販売用」としては、まだ何とも言えないかな……B6サイズで印刷したものを確認してから考えようと思います。
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