豪華フルコースの功と罪。『スーパーマリオギャラクシー2』紹介(6.5点)
・Wiiでしか出来なかった、Wiiリモコン+ヌンチャクの操作に特化したマリオ
・非常にバラエティ豊かなステージ達
・「ゲーム」部分以外もブラッシュアップして遊びやすくなっている
『スーパーマリオギャラクシー2』
Wii用/3Dアクション
任天堂
2010年5月27日発売
5524円(税別)
セーブデータ数:3
公式サイト
Wii U用ダウンロード版
2015年1月15日配信開始
2500円(税別)
公式サイト
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◇ Wiiでしか出来なかった、Wiiリモコン+ヌンチャクの操作に特化したマリオ
この作品は2010年にWii用ソフトとして発売された3Dマリオシリーズ第4弾です(※1)。
2015年にWii Uで遊べるダウンロード版が配信開始されたので、私はそちらをプレイしました。基本的には同じ内容だと思いますし、バーチャルコンソールのような「どこでも中断」や「まるごとバックアップ」などの追加機能はありません。Wiiのパッケージソフトがディスクなしで遊べるというだけですね。逆に言うと、Wiiのパッケージソフトに同梱されていた解説DVDは付いてきません。
(※1:DSで発売された『スーパーマリオ64』のリメイク作品を加えると5作品目になりますね)
さて、この記事を書いている2015年5月の時点では、3Dマリオシリーズは
・NINTENDO64用ソフト『スーパーマリオ64』
・ゲームキューブ用ソフト『スーパーマリオサンシャイン』
・Wii用ソフト『スーパーマリオギャラクシー』
・Wii用ソフト『スーパーマリオギャラクシー2』
・ニンテンドー3DS用ソフト『スーパーマリオ3Dランド』
・Wii U用ソフト『スーパーマリオ3Dワールド』
……と、6作品が発売されています。私がプレイしたことがあるのは、シリーズ1作目の『マリオ64』、この作品の前作『マリオギャラクシー』、この作品の次回作『マリオ3Dランド』の3つで、今回の『マリオギャラクシー2』が4作品目になります。なので、この次の『マリオ3Dランド』をプレイした上で、『マリオギャラクシー2』が何だったのかを語っていければなと思います。
“3Dマリオ”という言葉で一括りにしましたが、実は最初の『マリオ64』と最近の『マリオ3Dランド』では全然違うゲームです。
『マリオ64』は「3Dで作られた箱庭空間を探索してスターを探す」ゲームです。

<写真は『スーパーマリオ64』(Wii Uバーチャルコンソール)より引用>
獲得できる順番に多少の制約はありますし、こっちのスイッチを押しておかないと獲れないスターなんかもあるのですが……1つのステージに大体7~8コくらいのスターが用意されているので、基本的にプレイヤーはそれを好きな順番に獲得していきます。「ステージのボスを倒してもらえるスター」「ノコノコと競争をして勝つともらえるスター」「ステージに置かれている赤コインを全部集めると出てくるスター」……と、条件は様々です。
次のステージに進むには「スターを幾つ獲っているとこの扉が開くぞ」といった条件があるので、プレイヤーはステージを何度もプレイしてスターを探索していくんですね。3Dアクションの悩みの種であるカメラアングルも、なのでこの頃は「自動操作+プレイヤーが操作して補う」となっていて、カメラも自分で操作してステージを探索していくのです。
これが、最近の『マリオ3Dランド』になると……
「スター集め」ではなくなり、画面の右か奥に進むと待っている「ゴールポール」にたどり着くとステージクリア→次のステージに進むことが出来るゲームになりました。カメラアングルも斜め上からほぼ固定で、時間制限も出来て、2Dマリオに奥行きを足したようなゲームになっているんですね。
ザックリした分け方をするのなら……『マリオ64』は「探索」のゲーム、『マリオ3Dランド』は「到達」のゲームと言えますね。この辺の考え方は、『色々水平思考』のhamatsuさんの影響を受けております私。
任天堂失敗列伝〜第四回〜「マリオ64の巻」
三次元のマリオの歩み マリオ3Dランドレビュー
んで、その間にはさまれている『スーパーマリオギャラクシー』及び『スーパーマリオギャラクシー2』はどうなのかと言うと……この2作は「スターを探す」ゲームです。そのスターを獲得できる条件も、「頼みごとを聞く」「シルバースターを5つ揃える」「ミニゲームで条件以上のスコアを出す」など『マリオ64』同様に様々なのですが……一番多いのは「ゴール地点=スターまでたどり着く」というものです。
そのコースも球状の惑星から惑星へと一方通行で進んでいったり、とにかく上に登るのだと分かりやすかったりするので、「どっちに行けばイイのか分からない」ことにはなりにくくなっています。つまり、『マリオ64』同様に「スターを探す」ゲームでありながら、プレイヤーがやることは『マリオ3Dランド』同様の「到達」のゲームなんですね。カメラアングルは状況によって変わりますが、基本的には作り手の決めたカメラアングルでの操作になって、プレイヤーがカメラを動かすことは出来ません。
『マリオ64』が『マリオ3Dランド』になる間の“過程”に生まれたゲームと言えますし。
どちらの魅力も兼ね備えたゲームとも言えると思います。
ということで……実は「“3Dマリオ”が好き」という人の中には、『マリオ64』が好きな人もいれば『マリオギャラクシー』が好きな人もいれば『マリオ3Dランド』が好きな人もいるのです。『ファイアーエムブレムif』の白夜王国/暗夜王国どころの騒ぎではありません。全員を満足させるためには、こちらは3作同時に作らねばなりません(笑)。
実際、『マリオ3Dランド』の次の作品が同系統の『マリオ3Dワールド』だと発表された際は、「『マリオギャラクシー3』が良かったぁ!」と嘆いたファンもいましたし、任天堂からも「今後『マリオギャラクシー3』を作らないワケではない」というコメントが出ていましたからね。
さてさて、そんなわけで『マリオ64』とも『マリオ3Dランド』とも微妙に似てて微妙に違う『マリオギャラクシー』シリーズ。もう一つ大きな特徴として、このシリーズはWii専用ゲームとして作られたのでWiiの象徴とも言えるWiiリモコン+ヌンチャクで操作する“3Dマリオ”となっています。
Wii U用のダウンロード版であっても、ゲームパッドやクラシックコントローラでは操作できません。このゲームはあくまでWiiリモコン+ヌンチャクで操作するために作られたゲームなんです。
操作は、ヌンチャク側のアナログスティックで「移動」。
ヌンチャク側のZボタンで「しゃがみ」。
Wiiリモコン側のAボタンで「ジャンプ」。
Wiiリモコンを振ると、「スピン」をして敵を攻撃することが可能です。
操作方法は『マリオ64』に近いですね。Bボタンで「パンチ」していたのが、Wiiリモコン振って「スピン」に変わったくらい。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
操作に使うボタンは多くありませんが、これらを組み合わせることで多彩なアクションが可能となっています。
・ジャンプ中に「スピン」することで空中で微調整が可能
・ジャンプをテンポ良く重ねると三段跳び
・「しゃがみ」の状態でジャンプするとバック宙
・ジャンプ中に「しゃがみ」でヒップドロップ
・走りながら「しゃがみ」→ジャンプで幅跳び
・ジャンプして壁に張り付いた状態でジャンプボタンを押すと壁キック
この辺の多くは『マリオ64』から受け継がれている“3Dマリオ”の伝統ではありますね。
「Wiiリモコン+ヌンチャクで操作する“3Dマリオ”」という話はここから。
上で説明したマリオの操作にプラスして、Wiiリモコンのポインターを使って「スターピースを集めて」「スターピースを敵に発射してぶつける」ことが出来るのが『マリオギャラクシー』シリーズの特徴です。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
こんぺいとうのようなスターピースを、Wiiリモコンのポインターで回収(ボタンは特に押す必要はありません)。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
Wiiリモコンのポインターを敵に向けてBボタンで発射!
スターピースを敵にぶつけて気絶させることが可能です。
言ってしまえば、普通のゲームコントローラーの右スティックで行っているエイムをWiiリモコンのポインターで行っているだけなんですが……自分の手の動きで直接介入できる感覚が独特で、Wii発売前のWii Previewにて松野泰己さんが「(Wiiリモコンならば)より直感的にゲームの世界に触ることが出来る」と表現していたくらいです。
ただ……前作『スーパーマリオギャラクシー』をプレイして思ったのは、スターピースは敵を気絶させることしか出来ず、倒せないんですね。『マリオ』というゲームはマリオが生身でジャンプして敵をやっつけなきゃならないので、スターピースだけでは敵を倒せません。
「直接ゲームの世界に触れる」のに、介入できる効果が限定的で物足りなかったんですね。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
しかし、今作はヨッシーが登場します。
ヨッシーは登場するステージが限られてはいますが、ヨッシーに乗っている間は「ポインターを合わせてBボタン」で敵や果物をバンバン食べてくれます。敵を一撃でやっつけられるんですね。アナログスティックで移動しながら、Wiiリモコンのポインターを使って敵をやっつけていくのが非常に楽しく、今度こそ完全な形で「直接ゲームの世界に触れる」と感じました。
◇ 非常にバラエティ豊かなステージ達
皆さんは、「マリオ」シリーズにおける「マリオらしさ」って何だと思いますか?
人の数だけ答えは違うでしょうし、色々な「マリオらしさ」が集まって「マリオ」シリーズは出来ていると思うのですが……私が思う一番の「マリオらしさ」とは、「マリオを使ってバラエティ豊かなステージを冒険するゲーム」だと思っています。『スーパーマリオブラザーズ』1作目の説明書には「ファンタスティックアドベンチャーゲーム」と書かれていたそうですしね。
マリオのデビュー作となる『ドンキーコング』からしてそうです。
「1つのゲーム辺り1面で十分」だった時代に、宮本さんが「4面つくるということは4つのゲームをつくることなんですよ」と言われながらも実現させた全4面は―――マリオという一人のキャラクターを操作しながらも、それぞれの面に違った4つの遊びが詰め込まれているという作品でした。
(関連記事:マリオのジャンプは如何にして「多機能」になっていったのか)
『マリオブラザーズ』は横井軍平さんの色が濃いので例外だと思いますが……
『スーパーマリオブラザーズ』は、『ドンキーコング』のスーパーグレードアップバージョンと言えるでしょう。「地上」「地下」「水中」「空」「敵城」と、バラエティ豊かな様々なステージを駆け抜けてピーチ姫を助けに行くゲームです。まさに「大冒険!」というゲームだったんですね。
『スーパーマリオブラザーズ3』になると、「草原の国」「砂漠の国」「海の国」といったカンジにワールドごとに特色を持たせてあって世界中の不思議な国を冒険している感覚がありましたし。
『スーパーマリオワールド』は、地続きの恐竜ランドを舞台に「このエリアはバニラドーム」「このエリアはまよいのもり」といったカンジにエリアごとに特色を持たせてありました。マップにある巨大な湖を突っ切るには水中面をクリアしなければならない―――といったカンジに、マップとステージが連動しているのが特徴でしたね。
『スーパーマリオ64』になると、前述した通り「ゴールに到達する」のではなく「スターを獲得する」のがクリア条件ですから、色んなステージが舞台になっているだけでなく色んな遊びが詰め込まれたゲームになりました。
大きな山のあるステージならば「頂上までノコノコと競争して勝ったらスター獲得」とか、雪山のステージならば「迷子のペンギンを親ペンギンに届けたらスター獲得」とか。「4面つくるということは4つのゲームをつくることなんですよ」と言われた『ドンキーコング』同様に、各ステージに合わせた色んな遊びを詰め込んだのが『スーパーマリオ64』と言えます。
『スーパーマリオギャラクシー』シリーズもそれに準じた形になっています。
色んな惑星を舞台にしたアクションゲームで、多くのステージは「ゴール=スターにたどり着くこと」がクリア条件なのですが、そこに至るまでの道筋がステージによって「横スクロールアクション」になったり、「水中」を通ったり、「溶岩の上」を通ったり、「空」を飛んだりと様々です。
また、前述した通り「ゴール=スターにたどり着くこと」以外がクリア条件のステージも幾つかあって、「敵を特定地点まで誘導したらクリア」になったり、「シルバースターを5つ探して集めたらクリア」だったり、「ミニゲームで○点以上を獲れたらクリア」だったりというステージもあります。『マリオ64』同様に、色んな遊びをさせてくれる様々なステージが詰め込まれているんですね。
私が好きだったステージを列挙すると……

木をくりぬいたスライダーを滑り降りるステージ。

氷上をスケートで滑りつつ、もぐらたたきをするステージ。

次々と撃ち込まれるキラーをヨッシーで飲み込み、逆に吐き出して弾丸のようにして敵にぶつけていくステージ。

とうがらしを食べて走り続けてしまう暴走ヨッシーを制御して、重力に逆らって壁まで走るステージ。

こちらもとうがらしで暴走するヨッシーを制御して、コースに並ぶパープルコインを回収していくステージ。

<写真は全てWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
回転し続ける足場から落ちないように進むステージ。このステージは「通常面」と「いたずら彗星の面」がそれぞれ違ったバランスになっていて、単なる高難度化に留まっていないのが好きでした。
各ステージごとに、「舞台」も「クリア条件」も「カメラアングル」も変わり、幾つかのステージでは「操作方法」も違っていて―――
「マリオを使って様々なアトラクションを遊ぶゲーム集」と言えますし、そういう意味では「タッチペンを使った脳を鍛えるゲームを集めた『脳トレ』」や「バランスWiiボードを使ったゲームを集めた『Wii Fit』」とかとゲームの構造としては変わらないんじゃないかと私は思っています。
しかし、色んなゲームを集めて1つのパッケージにすると、どうしたって「俺はこのゲームが好きじゃない!」というものが収録されてしまうものです。私は『脳トレ』の「三角暗算」が好きじゃなかったし、『Wii Fit』の「踏み台リズム」はどうしてもリズムが合わなくて嫌いでした。
『スーパーマリオギャラクシー2』も、「好きだったステージ」もたくさんあるのですが、「遊ぶのがつらくて二度とやりたくないステージ」もたくさんあってそっちの印象の方が強くなってしまいました。
「遠近感のつかめない空中を飛んで、空中に浮かんでいるメダルを獲るステージ」は100回くらいやり直しました。タイミングを合わせてAボタンが出来ない私は「バネマリオ」の面で案の定右肩を傷めました。「高速チカチカブロック」の面は本当に泣きながらプレイしていましたし……“真の最終面”の出現条件のとてつもない作業感には本当にゲンナリしました。同じステージを何度も何度もクリアしなければならないのは苦痛でした。
『脳トレ』や『Wii Fit』ならば「様々なゲームを収録しているけど、好きなゲームだけ遊んでくれればイイよ」で済んだ話です。全部のゲームを極める必要はありません。
しかし、こちらのゲームの場合は、ある程度は嫌いなステージもクリアしなければ先に進めませんし、“真の最終面”を出すためには全てのステージをクリアしなければならないのです。
特につらかったのは終盤のステージのカメラアングル。
段差があって「高さの把握」が重要なステージでは、カメラアングルが真上からになって「高さ」が把握出来なかったり。敵との距離を考えて「間合いの把握」が重要なステージでは、カメラ位置が低くなって「間合い」が把握出来なかったり―――カメラアングルがとにかく遊びづらくて、プレイヤーはそれを変更出来ません。
これが並のゲームならば「作り手が無能なんだな」「3Dアクションゲームが嫌いな人の気持ちが分からないんだな」と諦められるのですが、このゲームの場合は「3Dアクションゲームを食わず嫌いしている人達にも遊んでもらいたい」と言っていて、実際に序盤は本当に計算されていて遊びやすいカメラアングルでした。
それが、終盤になるとカメラアングルが遊びづらくなってしまうので、「カメラアングルの悪さ」で難易度調整しているように思えて非常に印象が悪かったです。
実際“真の最終面”とか、カメラの位置を変えて『マリオ3Dランド』のようなアングルでプレイさせてくれたならそんな難しい面じゃなかったと思います。「3Dアクションゲームを食わず嫌いな人にも遊んでもらいたい」と言いつつ、そんなことも分からないのかこのスタッフは!!
それが分かっているからこそ、このスタッフはこのゲームの次に『マリオ3Dランド』を作ったんですよね。
『マリオ3Dランド』の「社長が訊く」にて、開発スタッフは前作『マリオギャラクシー2』について以下のように振り返っています。
<以下、引用>
林田「そうです。『ギャラクシー2』は僕の中で、中華料理の“満漢全席”のイメージなんです。」
岩田「はい(笑)。」
林田「「こんなにいろいろありますから、どれでも食べてください!」というゲームですね。
全部食べるには何時間もかかるし、食べおわるとお腹がいっぱいになる。『サンシャイン』から蓄積していったものをすべて詰め込んだので、それこそ「何でもあります!」というゲームを『ギャラクシー2』でつくったつもりだったんです。」
岩田「次はもっと、次はもっと、とした結果、どんどん大きく、豪華になっていった、ということですね。
でも一方で、「それはお客さん全員にとっていいことなのか」という課題が生まれたわけですよね。」
林田「ええ。ですから、今度は“満漢全席”じゃなくて、手軽にサクサク食べられる“ハンバーガー”みたいな気軽なゲームを目指そう、と。そこから考えていくことにしました。」
</ここまで>
※ 改行・強調など引用者が一部手を加えました
「満漢全席」は清の時代の中国における超豪華な宴会様式のことで、国中の様々な豪華料理を膨大な量を集めて数日かけて食べるという意味から、慣用句として「度が過ぎた贅沢さ」みたいなニュアンスも含んでいる言葉だと思います。分かりやすく言うと、「超豪華なフルコース料理」くらいなカンジですかね。
先ほど私が「好きだったステージ」に挙げたものの中には、『マリオ64』や『マリオサンシャイン』から受け継いだステージがありますし、もちろん前作『マリオギャラクシー』から受け継いだステージもあります。“3Dマリオ”の集大成のような豪華フルコースなゲームを作ったことは確かに凄いのだけど、それゆえに「俺はこれ食べられないんだよなぁ……」というものが出てきてしまったという。
食の喩えに便乗すると、私も割と偏食家というか「嫌いな食べ物」が幾つもある人間です。まずマヨネーズがニオイだけでも吐いてしまうくらい苦手。そういう人間からすると「フルコースの料理」なんて、「絶対どこかで食べられない料理が出てくる……」と思うだけなのです。それだったら、それこそ食べ慣れたハンバーガーだけを食べている方が幸せだと言えます。
この作品の次の『マリオ3Dランド』が「ハンバーガーみたいなゲームを目指す」と作られ、各ステージの舞台はバラエティ豊かではあるものの「クリア条件はゴールポールを目指す」「カメラアングルは斜め上から固定」で基本的に統一したことは……
当時は意味があまり分かっていなかったのですが、『マリオギャラクシー2』をプレイした今ならすごくよく分かりました。私が『マリオギャラクシー2』で嫌だった部分を全部解決していくと『マリオ3Dランド』になる―――と思うのです。
ただ、逆に言うと、私が『マリオギャラクシー2』で好きだった部分も『マリオ3Dランド』では削られてしまったとも言えるので……
「すごく好きなところとすごく嫌いなところがあるマリオギャラクシー2」か「最初から最後までそこそこ好きだったマリオ3Dランド」では、どっちが私にとって良いゲームなのかは難しいですね。それこそ今年のE3で「次の“3Dマリオ”」が発表されるかも知れませんが、次回作がどういう形になるのか興味があります。やはり、いっそのこと三作同時に開発するしか……
◇ 「ゲーム」部分以外もブラッシュアップして遊びやすくなっている
ゲーム部分はもう思う存分に語ったので、ここからはその周りの部分について。
前作『マリオギャラクシー』に比べて、今作はとにかく「分かりやすく」を心がけているように思いました。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
まずは「ステージ選択」の画面。
前作『マリオギャラクシー』は、「テラス」「バスルーム」「キッチン」といった部屋に入って、それぞれの部屋で「スターが幾つあるとこのステージに飛べる」とステージを選んでいました。『マリオ64』の「スターが幾つあるとこの扉の中に入れる」を踏襲しているのでしょうが、正直分かりづらかったです。
今作は『スーパーマリオ3』以降の“2Dマリオ”が採用しているようなワールドマップを取り入れ、ステージで一つでもスターを取ると次のステージに進めるようになりました。それで、ポイントポイントに「ここから先はスターを幾つ集めてから来てね」という箇所が用意されているという。
ステージごとに用意されているスターも、「通常面」「応用面」「いたずら彗星面」と大体2~3個となっていて(※2)、いたずら彗星は「通常面」に隠されているいたずら彗星メダルを獲ると現れる&一度現れた「いたずら彗星面」はいつでも挑戦出来る―――と、非常に分かりやすくなりました。前作のいたずら彗星の仕組みはエンディングまでプレイしたのに、よく分かりませんでしたからね……
(※2:“真の最終面”を目指すと変わりますが……)
ただ、個人的には「いたずら彗星」は大嫌いです。
恐らく『マリオ64』のように「一つのステージに色んな遊び方を詰め込みたい」というコンセプトで生まれたのだと思いますし、そういう「いたずら彗星面」がなかったワケではないのですが……今回の「いたずら彗星面」は、「ライフ1でボス戦を戦う」とか「同じステージを時間制限ありでプレイする」とか「同じステージを影が追いかけてくる状態でプレイする」とか、単に「通常面」の難易度を上げただけの面が多くて非常に残念でした。
このことについてTwitterで愚痴っていたら「難しいとすぐ文句を言うんですね」と言われたんですけど、そういうことではなくて……単なる高難度の「いたずら彗星面」が全てのステージに用意されていると分かっていると、苦労して「通常面」のボスを倒したとしても「この後またライフ1でコイツと戦わなきゃいけないんだろうな」と分かってしまっているので全然達成感がないんです。
「いたずら彗星」のせいで、本編であるはずの「通常面」が前座というか前哨戦というか、イージーモードになってしまったと思うんです。低難度ステージと高難度ステージを両方プレイさせて「ボリュームたくさんでしょ?」と言われても、極上のスープを水で2倍に薄めて飲んでいるような感覚で、それぞれの面の達成感を損なっているだけだと思うんですけどねぇ。
それと、この記事に書いたように……どうも前作から「中間ポイント」を減らして、コンティニューの際のやり直しが長くなったように体感では感じました。1UPキノコの数も減ったことで、アクションゲームが苦手でも1UPキノコを取って何度もコンティニューすればゴリ押しで突破できた前作と違って、確実に上手くならないと突破できなくなったように思えました。
「マリオ」シリーズは、「プレイヤーに上手くなる快感を味わって欲しいゲーム」だからだとも言えるので、そういう選択をしたのは分からなくはないです。コンティニュー連発で上手くならなくてもクリア出来た前作は正しくなかったと、スタッフは思ったのでしょう。

<写真はWiiソフト『スーパーマリオギャラクシー2』より引用>
じゃあ、どうして「クリア出来ない人はスキップできる機能」とか入れるのよ?
「アクションゲームが苦手な人でも楽しめるよ!」と宣伝する
→ 前作はコンティニュー連発&1UPキノコ大放出で、ゴリ押しで進められた
→ それでは「上手くなる快感」が味わえない
→ 今作はコンティニューポイント減らして、1UPキノコの数も絞った
→ アクションゲームが苦手な人がゴリ押し出来なくなった
→ そういう人に向けて、上手くならなくても先に進めるスキップ機能を入れた
本末転倒じゃないですかね……
アクションゲームが苦手な人の立場で考えてみて、「コンティニュー連発してゴリ押しでクリアできる」のと「クリアしなくてもステージをスキップできる」のと、どっちが遊んでいて達成感があると考えるのなら断然前者だと思うのですが。マリオシリーズは後者を選んで「この方が容赦なく難易度上げて上級者も楽しめる」としているのだから、正直私はこのゲームを「アクションゲームが苦手な人でも楽しめるよ!」とは言いたくないです。
本当に「アクションゲームが苦手な人でも楽しめるゲーム」を目指すのなら、前作のようにコンティニューポイントを増やすとか、1UPキノコを大量に出すとか、むしろ残機を無限にするとか―――色々と手はある思います。実際そういうアクションゲームは世の中にたくさんあります。
でも、「スキップ機能」という一番(作るのが)楽な方法を入れて「これでアクションゲームが苦手な人でも先に進めますよ」と言い張っちゃうとか、私はこういう考え方が全くもって好きになれません。
それと、「マリオを使って様々なアトラクションを遊ぶゲーム集」で様々な遊びが詰め込まれているこのゲームなのですが、「マリオのテンプレ」を踏襲してしまっていることで歪さを感じることは少なくありませんでした。例えば、このゲーム……ポーズしても「このステージの最初からリトライ」が出来ないんですよ。レースゲームのタイムアタックのように何回も何回も繰り返し挑戦するステージだってあるのに、「あ……もう今回は無理だ」「最初からやり直したい」って思ってもワールドマップに戻るか、自殺するかのどちらかでしかやり直しが出来ないのです。
また、私なんかは苦手なステージは100回単位でやり直したのですが、マリオはもちろん「残機が0になるとゲームオーバー」になるので、その度に星船に戻らされる→ワールドマップをテクテク歩いてステージまで戻る→読み込み→読み込み→ゲームスタートと、やり直すのに時間がかかるのが地味に苦痛でした。
マリオシリーズに「残機を無限にしろよ」って言っても、それやっちゃうと1UPキノコの価値がなくなっちゃうのでそうは出来ないのかも知れないのですが、それだったら「マリオにこだわる理由はないのでは……」と思ってしまいます。
各国の料理を取り揃えた豪華フルコースなのに、食器が箸ししかないから、箸でステーキ切って食べているみたいなカンジでした。食べられなくはないけどさぁ……もっと良い方法あるでしょうと。
◇ 総括
「すごいゲーム」なのは分かります。
作った自分達で「満漢全席」と言っちゃうのも分かるくらい、“3Dマリオ”の色んな遊びを詰め込んだ超豪華なゲームだったと思います。こんなゲームはそうそう作れるものではないと思います。
ただ、「好きか嫌いか」で言うと、私はあまり好きになれませんでした。
遊びづらいカメラアングルで難易度を上げるところ、同じコースを何度もプレイさせてボリュームを増やすことで薄味になってしまったところ、上手くならなければクリア出来ないというバランスにしながら「スキップ機能」で初心者救済と言い張っているところ、「色んな遊び」を詰め込みながらそれに合わせた「リトライ機能」などを組み込めていないところ……
元々、私は「好きなゲームの続編は楽しめない」ので仕方ないのかも知れませんが。
以前コメント欄で「好きなゲームの続編は楽しめないと仰るのなら『マリオギャラクシー2』をプレイしてから言ってください」と言われたんですけど、申し訳ないですが今回のケースも楽しめませんでした。
この『スーパーマリオギャラクシー2』は、前作の『スーパーマリオギャラクシー』同様に世界中で大ヒットして高い評価を受けているゲームです。こんなに辛口に評価しているユーザーは世界中で私くらいかも知れませんが……
でも、作ったスタッフも「このままではダメだ」と思ったから、次に『マリオ3Dランド』を作っているワケで……売上も評価も高いものを残した『スーパーマリオギャラクシー』『スーパーマリオギャラクシー2』に対して、誰よりも厳しい目を向けていたのは任天堂自身だと思うのです。
もし仮に今年のE3で『スーパーマリオギャラクシー3』が発表されたとしても、『マリオ3Dランド』と『マリオ3Dワールド』を経過してきたスタッフによる『スーパーマリオギャラクシー3』になるでしょうから、より幅広い層を楽しませる作品になると期待しています。
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