現在4話のサブイベント消化中。もうちょっと自重しないと原稿が進まん…っ!
この作品は『どきどき魔女神判』のプロデューサー松下佳靖とキャラクターデザイン藤ノ宮深森による「1日30分のRPG」(敬称略)。
2006年の東京ゲームショウでタイトルとコンセプトが発表されてから2年、ようやく発売となったSNKプレイモア期待の新規タイトルです。
とりあえずここまで遊んでみた印象を書いておきます。
あ、そうそう。最初に断っておきますが、僕はDSのRPGをプレイするのはこの作品が初めてです。なので“他のDSのRPG”との比較は出来ませんので御了承お願いします。
● 「プレイヤーに無駄な時間をかけさせない」ことが最大の特徴 和製RPGが重厚長大になっていくにつれて、“時間のない人には遊べない”ジャンルになってしまい。『ドラクエ』『FF』『ポケモン』といった人気シリーズ以外のRPGは先細りが続いている時代において、この作品のコンセプトは
「時間のない人でも遊べるRPG」。 「1日30分のRPG」というキャッチコピーもそうですし、以前ウチのブログでも取り上げた
「電源を入れた後に企業ロゴが出ない」というのもそのためなんでしょう。時間がない中でプレイしても「あー、イライラする!」と感じさせないように、至るところで“待ち時間”を少なくしようとする試みが見られます。
まず最初に驚いたのは、バトル終了後の場面。
このゲームはバトルが終わった後キャラが決めポーズをして、最後にトドメを刺したキャラが決め台詞を言うという演出が入るんですが―――
これがAボタンで飛ばせるんですよ。 「それがどうした?」と思われるかも知れませんが、これが出来ないゲームも結構あるんです。
RPGにおける戦闘というのは何千回と繰り返すもので、“主人公達の決めポーズを見せられる”1回辺りの時間が仮に0.5秒だとしても、
そのイライラは何千回も蓄積されるものです。プレステ以降のRPGは読み込みの問題とかもあったんでしょうけど、こないだプレイしたバーチャルコンソールの『スーパーマリオRPG』(スーファミ)ですらそうした待ち時間の蓄積に僕は耐えられませんでした。
決めポーズがある方が嬉しい人はそのまま見られる。
決めポーズがない方が嬉しい人はAボタンで飛ばせる―――これぞ理想形。
最初のバトルが終わった時点で、早くも僕は「これこそが自分が待ち望んでいたRPGだ!」と大ハシャギしていました(笑)。
この、「プレイヤーに無駄な時間をかけさせない」ための象徴的な仕様が一つ……
このゲーム、町は歩けないんですよ。ADV風に「ギルド」「人と話す」「買い物」の三択から選ぶだけ。「ギルド」は全回復(宿屋みたいなもの)とサブイベントの請負、「人と話す」は情報収集やイベント発生、「買い物」はそのまんま。
ファミコンの頃はこういうRPGも少なくはありませんでしたが、プレステ以降のRPGは3Dで街並みを表現して自由に歩き回らせることで「冒険をしている」感覚を味あわせるものが主流になっていたので―――そうした進化とは逆方向の仕様なんですよね。これは賛否両論がありそう。
個人的な心情としても、一長一短あって。
RPGで初めて訪れた町を自由に歩き回れるドキドキ感は好きだったのだけど、同じ町をアッチコッチ歩き回らされると閉口したもので―――コマンド一発で人々に話が聞ける『キミの勇者』は、「こういうRPGがあっても良いじゃないか」と思わせる仕様かなと。全部のRPGがこうなってしまったら寂しい気もしますが。
「1日30分」という謳い文句ですが、僕みたいにダンジョンをくまなく探索して宝箱を全回収しようとしたり、サブイベントも一つ残らずこなしていこうとしたりする人はとてもじゃないが「1話30分」では終わりませんね。
ただ、一つのサブイベントは20~30分を目安にしているみたいですし、長いダンジョンも回復ポイント・セーブポイント・入り口への転送ポイントが配置されているので、30分あればそれなりの冒険が出来ることは間違いないです。ランダムエンカウントの発生率も、かなり抑え目じゃないかと思います。
ちなみにセーブはダンジョン内のセーブポイントとワールドマップ(これも町やダンジョンを選んで移動するタイプ)で可能。セーブファイルは3つまで作ることが出来ます。
しかし、「プレイヤーに無駄な時間をかけさせない」割には“ダッシュのスピードが遅い”“ダンジョンが単調で長い”というのはマイナスポイントかな。ダッシュのスピードは、エンカウント率がそのままだと敵が頻繁に出ているように感じちゃうとか。ダンジョンの長さは「ダンジョン探索を楽しんでね」という表れだとか―――まぁ、分からなくはないんですけど。流石に砂漠越えはダルかったです。
ダンジョン探索時に、上画面で自動マッピングしてくれるのは素晴らしい。
ムダに同じ箇所を何度も行ったり来たりしなくて済みますし、
RPGと2画面の相性の良さを感じました。ステータスとかも2画面だとキレイに収まりますしね。逆に、戦闘シーンでコウモリとかが上画面に飛んでいるのは「どんだけ洞窟の天井高いんだよ!」とは思いましたが……
● 和製RPGとしては物凄くクラシックなスタイル これは「まだ序盤だから」ということもあるんですが……
テンポの良さを除けば、恐ろしいほどシンプルなシステム周り。武器と防具とアクセサリを装備して、ターン制のサイドビューで、魔法は一人3冊まで装備出来て、ステータス上昇アイテムでキャラをドーピングして……と、これだけ書いているとスーファミでも作れそうなRPGですね(笑)。
このゲームの肝となっているのは「コンボシステム」。
“仲間が同じ敵に攻撃を連続でしかける”時のみ発動し、コンボが発動すると後に攻撃をしかけるキャラのダメージがどんどん上がっていくという仕組みみたい。2人パーティの時はさほど重要性を感じなかったのですが、パーティが増えて3人・4人とコンボが繋がるとどんどんダメージが上がっていって気持ちよいです。
また、この「コンボシステム」は通常攻撃だけでなく星技(魔法のようなもの)でも繋げられて、同じ属性の星技を繋げていくことで追加の攻撃を起こすことも出来るみたいです。4人パーティ全員に炎系の星技を装備させて、4つコンボを繋げるとかなりの追加ダメージを与えられるというようなカンジ。
しかし、各キャラには「得意属性」があるので、コンボによる追加ダメージのために炎の星技を使うか、1撃のダメージを優先して得意属性の雷の星技を使うかが悩ましいところ。行動順に割り込まれてしまうとコンボは発動しませんからね。
この「コンボシステム」と関連して―――
各ターンの味方側の「行動順」を指定することも可能なのは地味に面白いです。3人に炎攻撃を使わせて1人が回復をしたい時は、その1人を最初か最後に指定すればイイとか。普通に回復を優先したいとか、後回しにしたいとかを決められるのも便利ですね。
オート戦闘の際も、「一匹の敵に集中攻撃をしてコンボを狙う」のと「攻撃を分散させて満遍なく倒す」のを選べるなどの気遣いも見事。
物凄く画期的だとか、物凄く斬新だとかではないんだけれど、手堅く作っているなーという印象です。この辺は、魔女神判モードが目立っているけど実は手堅くてベタなアドベンチャーゲームだった『どき魔女』に通じるものがありますね。
シナリオは……まぁ、
『どき魔女』から下ネタとパロネタを抜いたような感じ(笑)。 「ライトノベルのようなRPG」という表現がふさわしく。会話のテンポが良くて読みやすくて、すっげー面白いというよりはパラパラとページをめくりたくなるようなストーリーじゃないかと思います。選択肢によって得られる一枚絵が違うとか、ストーリーの要所要所で「感謝をされる」とボーナス経験値がもらえるとかの仕掛けもあるのが良い刺激になっているかな。
「時間のない人でも楽しめるRPG」というコンセプトなんですが、どっちかというとシナリオは「小中学生に勧めたいストーリー」という印象を受けました。ワンダの「何を信じて何を信じないかは人それぞれだよ」は地味にグッと来る台詞。
あと、「町は歩き回れない」仕様の中で冒険している感覚を演出するためか、
ギルドで全回復しようとするとその町の食事メニューが出てくるのが好きです。「都会だとケーキが出るのか!」みたいな(笑)。
ゲームの展開としては、「一本道のお使いRPG」に「ギルドで請け負うサブイベント」が枝としてくっ付いているとイメージしてもらえば分かりやすいかな。サブイベントはやらなくても構わないんですが、サブイベントをやらないと行けないダンジョンがあったりして……宝箱はあるわ、報酬はもらえるわ、もちろんザコ戦が付いてくるのでレベルは上がるわでイイコト尽くめ。ストーリーとの兼ね合いで期間が限られているものもあるので注意が必要です。
逆に、
サブイベントをちゃんとこなしているとレベルや資金が潤沢になりすぎて難易度が下がるという言い方も出来ますね。歯ごたえを期待するのなら、敢えてサブイベントを全くやらないという手もあるのかも。サブイベントは量があるから、もちろん時間がかかりますしね。
あ……そうか。ひょっとして。
このゲーム、1話クリアするごとにかかった時間や倒したモンスターの数なんかが表示されて「取得アイテム」がもらえたみたいなんですが。
もしかしたら1話ごとのクリア時間によってレアアイテムが手に入ったりする仕様があるのかも。 その場合はサブイベントを請け負っている場合じゃないからレベルが上がりにくいですし、「サブイベントをやらない」というやりこみ要素が出てくることに。メニュー画面に「ロード」という項目があるのが不思議だったんですが、タイムアタックのためと考えれば納得かも。
僕は一周目クリアするまで攻略情報は見ないんで、現時点では推測でしかないんですけど……『どき魔女』の隠し要素を思い出していくと、これくらいの隠し要素は詰め込んでいそうな気がします。ここまで言っておいて、物凄いタイムでクリアしたのに「上やくそう」しか手に入らなかったとかだったらゴメンなさい。
武器や防具は序盤から結構な種類が出てきて、町で買い揃えたらダンジョンでもっと強いのが手に入るなんてことも多々。RPGの王道ですね。「守備力は上がるけど運は下がる」みたいな一長一短な装備も多くて悩みどころ。
「時間がかからないように工夫してある」ことを除くと、恐ろしく手堅くシンプルで「懐かしいなぁ」というRPGですね。良く言うと安心して遊べるし、悪く言うと新鮮味はないというか(タイムアタックの要素があるんだとしたら別ゲーになりますけど)。
スーファミ時代の2D・RPGをそのまま進化させたらこうなったという言葉が相応しいかも。ドット絵がグリグリ動くのは楽しいですしね。
● 今のところの感想 スーファミ時代の『FF5』『FF6』辺りが好きだった自分としては、当時少年ジャンプで『FF7』の画面写真が初公開された時は「あ……終わった……」と落胆したものでした。自分が好きだった2DのRPGは絶滅して、全てのゲームが3Dになってしまう時代になると。
でも、2Dには2Dの良さがあるし、3Dには3Dの良さがあったワケで―――
あの落胆から数年後、僕は普通に『FF9』や『FF10』といった3D・RPGを楽しんでいました。だから3DのRPGを否定するワケじゃ決してないんですけど、今の時代にこういう2DのRPGがあっても良いんじゃないかと思う作品でした。
「ゲームはリアルさだ」「ゲームはグラフィックだ」「息抜きにゲームなんてやるんじゃない、こっちはゲームに命賭けてんだ!」という人達を否定するつもりじゃありませんし、そういう人にはオススメしません。
決して万人受けするゲームじゃないと思うんですよ。 でも、「息抜きにゲームをやりたいな」「もうしばらくRPGやっていないなぁ。久々にやってみようかなぁ」という人は、数は少ないかも知れませんが確実に存在するワケで。
そういうニッチな需要に応えるゲームなんじゃないかと思います。これは『どき魔女』も一緒。
僕個人としては「短い時間で遊べる」という安心感から、ちょっとの息抜きに起動して、「もうちょっとやろう」「次のサブイベントもやろう」と気付けば凄い時間が経っているということが多々……ある意味で中毒ゲー。RPGってこんなに楽しかったんだなぁと思い出しながらプレイしています。
あと、片っ端からヒロインにドーピングアイテムを注いでいたらパーティ1番の最大HPになっていました。
このゲーム、僕が日参しているブログの中でも結構購入者が多くて嬉しい反面ネタバレに気をつけなきゃならん状態になっているのですが……忍さんによると
初日は1万本も超えなかったそうな……ネットでの盛り上がりと世間での熱では随分と差があるんだなぁと思い知りました。
こういう「時間がなくても楽しめるゲーム」という方向性は、もっと他のゲームにも浸透して欲しかったんですけどねー。
VIPな5まとめっさん(11/28)
ああああ(11/27)
やまなしレイ(管理人)(11/15)
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