『SUPER MARIO BROS. 35』紹介/1000回遊べる逆転の発想の『スーパーマリオ』

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
・初代『スーパーマリオブラザーズ』が「バトルロイヤル」として復活!
・おなじみのステージなのに、毎回ちがう展開をしていくローグライクのような『マリオ』
・『マリオ』なのに、プレイヤーの数だけちがう戦い方がある「対戦ゲーム」としての奥深さ
『SUPER MARIO BROS. 35』
・配信:任天堂/開発:アリカ
・Nintendo Switch用ソフト:2020年10月1日~2021年3月31日期間限定配信
※ Nintendo Switch本体機能でのスクリーンショット撮影○、動画撮影○
・2Dアクション+バトルロイヤル
・試合終了時などにオートセーブ
100戦ちょっとプレイ。
1-1~8-4までを全開放してクリアした時点での感想です。
↓1↓
◇ 初代『スーパーマリオブラザーズ』が「バトルロイヤル」として復活!
このゲームは、ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』から35周年を記念して、Nintendo Switch Onlineの有料会員なら誰でも遊び放題の特典として期間限定でサービスが始まりました。予定が変更される可能性もゼロじゃありませんが、一応は「来年の3月末」までのサービスで、以後は遊べなくなる予定です。
このゲームを説明するには、まずは「バトルロイヤル」というジャンルについて説明する必要があります。オープンワールド的にシームレスにつながった空間に、オンラインで100人とかの大人数が集まり、最後の1人(もしくは1チーム)になるまで戦うというジャンルのゲームです。
2017年に『PUBG』、『Fortnite』、『荒野行動』と「バトルロイヤル」のヒット作が続いて登場したことで大ブームとなり、2020年の現在でもこれらのソフトは人気だと思います。
(関連:「バトルロイヤル」のブームは、ゲームの歴史の中でどんな意味を持つのか)

<画像はNintendo Switch版『フォートナイト バトルロイヤル』より引用>
その「バトルロイヤル」のブームを受けて、2019年にNintendo Switch Onlineの有料会員なら誰でも遊び放題の特典として配信開始になったのが99人でテトリスを対戦する『テトリス99』でした。1980年代からあるクラシックな落ちものパズルゲームの『テトリス』と、最新の流行だった「バトルロイヤル」を融合したこのゲームは、その両方の魅力を受け継いだ作品となっていました。
2018年の時点では、「『Splatoon』次回作がバトルロイヤルになるんじゃ」とか「『ブレスオブザワイルド』の世界でバトルロイヤルしてみたい」とか話していたところに、『テトリス』をバトルロイヤルにしてぶち込んでくるのが任天堂ですよ!

<画像はNintendo Switch用ソフト『テトリス99』より引用>
今日の記事で紹介する『SUPER MARIO BROS. 35』は、この『テトリス99』と同じようにNintendo Switch Onlineの有料会員特典として配信されて、『テトリス99』の文法に沿っていて、『テトリス99』と同じようにアリカが開発しています。
「バトルロイヤル」ものではありますが、『PUBG』『Fortnite』『荒野行動』とはもはや別物で、あくまで『テトリス99』の「テトリス」部分を「マリオ」に置き換えたものと考えた方が分かりやすいと思います。
レイアウトやUIも、ほぼ一緒ですからね。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
ステージや登場する敵は、35年前の初代『スーパーマリオブラザーズ』のまんまです。
一部仕様を敢えて変えているところもありますが(連続で敵を踏みやすいように、敵を踏んづけた後のジャンプの高さが『2』以降のように高くなっている)(ファイアーマリオの状態でダメージを食らってもすぐにチビマリオにならず、スーパーマリオになる)(チビマリオの状態でもファイアーフラワーを取るとファイアーマリオになる)、基本的には初代『スーパーマリオ』のまんまです。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
1-1のここには1UPキノコの隠しブロックがあるし。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
1-2の天井裏にはワープ土管があります。
ファミコンの実機で遊んだ人、スーファミのリメイク版で遊んだ人、ゲームボーイアドバンスのファミコンミニで遊んだ人、Wiiのバーチャルコンソールで遊んだ人、ミニファミコンで遊んだ人……この35年間で何度も移植やリメイクされた作品なので、遊んだタイミングはそれぞれちがうかも知れませんが、そこで学んだアイテムの場所や攻略情報が対戦に活きるのが熱いところです。
もちろん、それだけだったら「ただ35人で一斉にスーパーマリオを遊ぶだけのゲーム」になってしまいます。なので、対戦要素として『テトリス99』で「消したブロックが他プレイヤーのところに送り込まれる」ように、このゲームにも「倒した敵は、他プレイヤーのところに送り込まれる」システムがあります。
35人のプレイヤーが遊ぶステージの順番は全員一緒なのですが、進行スピードはバラバラですから、原作ではありえない場所にありえない敵が送り込まれたりもします。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
1-1なのに、ハンマーブロスが山ほど出てくるとか。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
1-2なのに、トゲゾーがわんさかいるとか。
元々は1人用のゲームだった『スーパーマリオブラザーズ』が、特にステージや敵キャラを増やしているワケでもないのに、しっかりと対戦ゲームになっているのが凄いです。名作ゲームはいろんな遊び方をしても楽しいとは言いますが、それを実践してしまったような作品でした。
↓2↓
◇ おなじみのステージなのに、毎回ちがう展開をしていくローグライクのような『マリオ』
ということで、このゲームが「ゲームの歴史」の中で語られる時は、『PUBG』『Fortnite』『荒野行動』などの大ヒット→『テトリス99』の登場→そのシステムを使って『スーパーマリオ』を「バトルロイヤル」にしたゲームと語られるのでしょう。20年後、30年後にこのゲームが思い出される時は、そういう文脈になると思います。
ただ、「マリオシリーズの歴史」で語るとすると、もう一つ画期的な側面があると私は考えます。それは―――「永遠に遊べるマリオ」です。
『マリオメーカー2』のオンラインが楽しすぎて、これまでの『マリオ』が頑なにオンライン対応しなかった理由も分かる
↑の記事は、ちょうど1年前『スーパーマリオメーカー2』でフレンドと一緒にオンラインプレイができるようになったタイミングで書いた記事です。ランダム要素の薄い『スーパーマリオ』シリーズは「そのステージを遊ぶのが初めてかどうか」が重要なため、「リプレイ性」が大事なオンラインプレイに向いていなかったという話を書いています。
『不思議のダンジョン』シリーズのように「マップが自動生成される」ローグライクゲームは「リプレイ性」が高く、1000回遊べるRPGなんてキャッチコピーが付いたりもするのですが……計算されたステージ配置が命だった『スーパーマリオ』シリーズでは、自動生成のステージなんて採用することは出来ませんでした。
しかし、『スーパーマリオメーカー2』ならユーザーが何百万というステージを投稿し続けてくれるので、ランダムでステージを選ぶと「全員初めて遊ぶステージ」になりやすく、自動生成とはちがう形で高い「リプレイ性」を獲得したんですね。

<画像はNintendo Switch用ソフト『スーパーマリオメーカー2』より引用>
そして、その1年後に登場したこの『SUPER MARIO BROS. 35』―――
最初からオンライン対戦ありきのこのゲームは、高い「リプレイ性」を持っていなければならないはずなのに、ステージは32ステージのみです。アプデでステージが追加されていく予定もありません。しかも、初代『スーパーマリオブラザーズ』とまったく同じステージなため、「そのステージを遊ぶのが初めて」どころか「もうみんなこのステージ達は知り尽くしているよね?」が前提なんですね。
じゃあ、すぐに飽きちゃうんじゃないの? と思ったら、全然飽きないし、「クソ!やられた!もう1回だ!」と何度も遊んでしまう中毒性の高いゲームになっていました。この中毒性はローグライクゲームに近いものがあります。遊ぶたびに毎回ちがう展開をしていくため、非常に高い「リプレイ性」を持ったゲームになっているんですね。


<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
その理由の一つが、「倒した敵は、他プレイヤーのところに送り込まれる」システムです。ステージ自体は初代『スーパーマリオブラザーズ』と同じなのに、そこに他プレイヤーから送り込まれた敵が追加されるため、同じステージであっても毎回全然ちがう敵配置になるんですね。
これが高い「リプレイ性」を生むという。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
そして、もう一つの理由が「ステージ選択」の要素です。
このゲームは、1つ1つのステージは初代『スーパーマリオブラザーズ』のままですが、順番に1-1→1-2→1-3と出てくるワケではありません。35人のプレイヤーが選んだステージが順繰りにやってくるのです。「最初は序盤のステージ」「終盤のステージは後半まで出てこない」などの法則はあるみたいですが、毎回ちがう順番でステージを遊ぶことになるので、ちがう展開をしていくことになります。
分かりやすい例を言うと、35人の誰も「ジュゲムの出てくるステージ(4-1、6-1、8-2)」を選んでいなければ、ジュゲムは1匹も発生しないんですね。35人が選んだステージによって、ジュゲムが大量発生する回もあれば、ジュゲムがまったく出ない回もあるという。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
そこがこのゲームの面白いところだと思うので、「出現するステージが固定」の「スペシャルバトル」の方は私はあまり好きではありませんでした。
もちろん「出現するステージが固定」になるとランダム要素が減るので、覚えゲーの要素が強くなって、パターンを構築するのが好きな人はこちらの方が好きなんだとは思うんですけどね。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
↓3↓
◇ 『マリオ』なのに、プレイヤーの数だけちがう戦い方がある「対戦ゲーム」としての奥深さ
初代の『スーパーマリオブラザーズ』は「右に進み続ければクリアになるシンプルなアクションゲーム」と言われることもあります。その『スーパーマリオブラザーズ』を題材にしている『SUPER MARIO BROS. 35』も、一見すると右に進むだけのシンプルなゲームに思えるかも知れませんが……『テトリス99』のシステムと融合したことで、人によって全然ちがうプレイスタイルが生まれるゲームになりました。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
このゲームは「敵キャラを倒すとタイムリミットが延びる」仕様のため、他プレイヤーから大量に敵を送り込まれるとタイム回復のチャンスにもなります。そこを逆手に取って、例えば「敢えて敵を送り込まずに他プレイヤーを時間切れに追いこむ」兵糧攻めとか。

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
逆に、「カウンター」を駆使してクッパやジュゲムなどの強力な敵を増やしていく戦法もあります。
このゲームには『テトリス99』同様に「複数のプレイヤーから狙われた時のために、その全員に反撃できる作戦」があるのですが、これによって1匹のクッパを4人や5人に送り込むことが出来ます。そうすると、そのクッパを4~5人が倒して送り返してくるので、1匹のクッパがネズミ算的に増えていきます。
その結果、画面が敵キャラで覆い尽くされて、それをまた倒して4~5人に送り込んで倒す―――私はこれを勝手に「インフレ戦法」と呼んでいます。
逆に、「他プレイヤーからなるべく狙われないようにターゲットを外す」「カウンターで敵を増やさないように気をつける」「クッパやジュゲムなどはなるべく倒さずにスルーする」と言った、敵キャラを増やさない「デフレ戦法」もあると思います。私は割とこの方法を使います。アイテムルーレット運に自信がないので。


<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
また、「最初のステージ選択でどこを選ぶのか」や「ワープ土管を使う場合はどのステージを飛ばすのか」も重要です。
例えば、1-2はコインが大量に手に入る上にワープ土管があるので「拠点」と役立ちます。ここまで書いてきませんでしたが、このゲームは「20枚のコイン」を使ってアイテムルーレットを回すことが出来るので、むしろ原作の『マリオ』以上にコイン集めが大事ですからね。終盤はどれだけコインを持っているかで勝負が決まります。
攻撃的なプレイヤーは敢えて厄介な敵キャラが出るステージを選んで、それを敵に送り込んできたりしますね。「4-1のジュゲム&トゲゾー」「2-2のゲッソー」「3-1のハンマーブロス」「城ステージのクッパ」とかですね。大量のジュゲムは、マジで泣きたくなる……
なるべく敵を倒すのか、倒す時は踏んづけるのかファイアーで済ますのか、じっくり進むか土管に入って一気に進むのか―――みんな同じステージの『マリオ』をプレイしているだけなのに、人それぞれプレイに個性があるのが面白いのです。元は1人用のゲームなのは言うまでもないのに、ちゃんと対戦ゲームとして奥深くなるようにステージが作られているのが本当すごいです。
ただ、「不満点」もそこにあって……
それ故に、このゲームは「CPU」で穴埋めが出来ないんですね。
『テトリス99』では99人のプレイヤーが集まらなかった場合は「CPU」で穴埋めされるのですが、このゲームは空席で始まります。恐らくですが、「人間性」の出る『マリオ』のプレイをちゃんと再現した「CPU」を実装するのは難しかったんじゃないかと思います。『Splatoon』とかでもよく言われることですが「計算された動きをするCPU」なら今すぐに実装できるけど、「人間らしい“迷い”とか“ムダな動き”とかをするCPU」を実装するのは難しいらしいですからね。
そのためか、『テトリス99』では後に追加された「仲間内で集まって一緒に遊ぶパスワードマッチ」がこのゲームにはありませんし(「パスワードマッチ」は足りない人数は「CPU」で穴埋めする仕様のため)。
期間限定でサービスが終わってしまうのもそのせいじゃないかと思います。今はみんな面白がってこのゲームを遊んでいますが、ステージもキャラも追加されることがないゲームですから、流石にみんないつかはやめてしまって人数が集まらなくなるでしょうからね。永遠に遊べるポテンシャルを持った面白いゲームですが、実際には期間限定で終わってしまって永遠には遊べないのもオンライン専用ゲームの宿命なのかなぁと。
◆ 結局、どういう人にオススメ?

<画像はNintendo Switch用ソフト『SUPER MARIO BROS. 35』より引用>
ハマるか、ハマらないかはさておき。
「ゲームの歴史」としても、「マリオの歴史」としても、2020年の今でしか実現できない最先端のゲームだと思うんで……期間限定で遊べる今の内に、1度は触れてみて欲しいゲームだと私は思います。ハマらなくても、「あのゲーム結局遊ばなかったな」と後に悔やんでも遅いので。
それでいて、このゲームにハマりそうな人を考えると……
「オンライン対戦とかはちょっと」「ゲームはやっぱり1人で遊ぶものだし」と考えている昔ながらのゲームプレイヤーにこそ、遊んでもらえたらオンラインで人と対戦する面白さが分かるゲームじゃないかなぁと思います。
オンラインで人とつながってはいるものの、最終的には自分との戦いになるゲームですからね。
| ゲーム紹介 | 21:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑
やまなしレイ(管理人)(01/23)
ああああ(01/23)
やまなしレイ(管理人)(01/22)
あ(01/22)
やまなしレイ(管理人)(01/19)
竜騎兵(01/19)
やまなしレイ(管理人)(01/11)